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犯罪 の商品レビュー

3.9

242件のお客様レビュー

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  3. 3つ

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2011/10/05

きちんと書かれた小説を読んだ感じ。一筋縄ではいかないできごとを、静かに丁寧に。最後の短編が読後感がすごくいいので、読了した時の気持ちもすっきり

Posted byブクログ

2011/10/05

ノンフィクションと文学のボーダーライン。 研ぎ澄まされた一切無駄のないシンプルで静謐な文体。 人が罪を犯すその一歩とは。 罪を犯す=悪人、かと言えば一言では括る事の出来ない マージナルさを、突き放すでもなく入り込み過ぎるでもなく、 淡々とした筆致で描いています。 巻頭の一篇と...

ノンフィクションと文学のボーダーライン。 研ぎ澄まされた一切無駄のないシンプルで静謐な文体。 人が罪を犯すその一歩とは。 罪を犯す=悪人、かと言えば一言では括る事の出来ない マージナルさを、突き放すでもなく入り込み過ぎるでもなく、 淡々とした筆致で描いています。 巻頭の一篇と、ある彫刻に魅入られた博物館の警備員の一篇は、 中でも特に好きな作品。 彼岸と此岸の紙一重の妙。 単純に法で裁くことのできない罪。 読み終わった後、じんわりじんわり余韻に浸れること請け合いです。

Posted byブクログ

2011/10/02

つべこべ言わず、『物語を読む』ことが好きな全ての人が読むべき大傑作。 最後のページで更に深みを加えている所がまた素晴らしいです。 東京創元社HP掲載の訳者による著者インタビューを読んでから再読すると、また違う味わいが楽しめると思います。

Posted byブクログ

2011/09/28

 手に取るまでノンフィクションかと思っていました。「現実の事件に材を得て」書かれた短編集なので、基本的にフィクションなんですよね。なぜここにフランス語?と思った「Ceci n'est pas une pomme.」、ルネ・マグリットの絵のタイトルだとか。「Ceci n&...

 手に取るまでノンフィクションかと思っていました。「現実の事件に材を得て」書かれた短編集なので、基本的にフィクションなんですよね。なぜここにフランス語?と思った「Ceci n'est pas une pomme.」、ルネ・マグリットの絵のタイトルだとか。「Ceci n' est pas une pomme.」と「シーラッハ」で検索したら、訳者の「ここだけのあとがき」や読み応えのあるレビューに出会えました。 「翻訳ミステリー大賞シンジケート」の「書評七福神の6月度ベスト」で6人が選んだ本。

Posted byブクログ

2011/09/23

シンプルだけれど、心にしみる短篇集。 キュウリのようにクールではなく、 トマトのようにクールな作品群。 トマトの意味するところがよくわからなかった。 誰か教えて欲しい。

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2011/09/17

ドイツの弁護士が自分が携わった犯罪者たちを 簡潔明瞭ながらも琴線にふれるような情緒性のある 話に仕上げていると思います。 20ページにも満たない短編が11編。 主人公たる加害者も関わる被害者も 当事者達には実際には関係の無い 何気に描かれている人々も とても短い話の中に人生を語...

ドイツの弁護士が自分が携わった犯罪者たちを 簡潔明瞭ながらも琴線にふれるような情緒性のある 話に仕上げていると思います。 20ページにも満たない短編が11編。 主人公たる加害者も関わる被害者も 当事者達には実際には関係の無い 何気に描かれている人々も とても短い話の中に人生を語らせているような。 以前、読んだ本「殺人者たちの午後」よりは断然面白い。 f(^ー^; 全編に共通するアイテムはリンゴ。 その扱い方も上手だなあと。(←上から目線) 人類初めての罪は禁断のリンゴを手にしたトコロからか。 実は常に、誰の中にもリンゴを持ち続けている比喩なのか。 奇妙だけれど惹かれずにはいられないお話ばかりで 余韻を残す終わり方など、あらゆる側面を考えさせられる。 これは、なかなかお薦めの本。

Posted byブクログ

2011/09/15

犯罪を犯した人を断罪するでもなく、なぜそのような行為に至ったかの解釈でもなく、ただ粛々とその時に至るまでの人々の人生が語られていく。 その孤独や寄る辺のなさが胸に迫る。 ただもうそう在るしかなかった、というような彼らの人生、そう生きざるを得なかった彼らの人生を思う時、もし自分も...

犯罪を犯した人を断罪するでもなく、なぜそのような行為に至ったかの解釈でもなく、ただ粛々とその時に至るまでの人々の人生が語られていく。 その孤独や寄る辺のなさが胸に迫る。 ただもうそう在るしかなかった、というような彼らの人生、そう生きざるを得なかった彼らの人生を思う時、もし自分も同じような境遇であったら、とふと考えてしまう。 あるいは、たとえば「フェーナー氏」を読んで、フェーナー氏が耐え忍んだ結婚生活を思う時、自分の倫理観すらちょっと揺らいでしまうような気にもなる。 ここで扱われている犯罪が(「愛情」は別として)、快楽殺人や連続殺人ではないせいもあるかもしれないが、彼らの物語を読んでいくうち、彼らの行為に納得して、彼らと私との間には自分が思っているほどの深い溝はないのかもしれない、とも思ったりする。 エピグラフの“私たちが物語ることのできる現実は、現実そのものではない”という言葉は、つまり、語られた現実というものは、語り手によって再構築された現実である、ということを意味しているのだろうか。 そして締めくくりの“Ceci n'est pas une pomme.”(これはリンゴではない) (ルネ・マグリットのリンゴの絵に描き込まれた言葉)は、私たちが目にするのは、描き手によってそのように描かれたリンゴであり、それは描き手自身を観ることにも、そのように観賞する自分自身を認識することにもなる、ということなのだろうか。 Ceci n'est pas une pomme. C'est moi. このリンゴは、言葉として最後に唐突に出てくるわけではなく、収められた11篇の短篇それぞれに様々な形で描き込まれている。お菓子だったり、 壁に飾られた絵であったり。1話目で木に生っていたリンゴが、最終話では地に落ち腐り、アリがたかっていたりする。 「ハリネズミ」だけはトマトしか出てこないので、コンピュータ=アップルかとも思ったが、トマトはドイツ語でparadeisapfel(天国のリンゴ)と呼ぶらしい。なるほど。 この「ハリネズミ」の主人公、カリム・アブ・ファタリスの半生が印象的だった。 兄8人がみな前科者という犯罪者一家に生まれ育ったカリムは、世間からはろくでなし一族の馬鹿者とみなされ、家族からは軟弱者としてまともに扱われない。ところが実のところすぐれた知能の持ち主であったカリムは、家族とはまったく別の生き方を選ぶのである。誰にも知られずに。 それは、どれだけ孤独で、どれほど強い意志を必要とするものだったろう。 物語は、そのカリムが強盗容疑で訴えられた兄の裁判でちょっとしたひっかけをやって、兄の犯罪を立証不可能にしてしまうというもので、にやりとさせられるのだが、とにもかくにもカリムすごいよ、カリムなのだった。 内戦のため身ひとつでドイツに逃れてきた若い女性と、家出をして十代の頃から路上に暮らす青年という寄る辺のない二人が身を寄せ合うようにして生きていく様を描いた「幸運」も好きな一篇。 最後に配された「エチオピアの男」は、じわっと涙がこみあげてくる。 誰かに必要とされる、それが人に生きる力を与えてくれること。 主人公ミハルカがさ迷いこみ、生きる喜びを見つけることになったエチオピアのコーヒー農園とそこで暮らす人々が、その発展と時間の経過にもかかわらず、ミハルカを受け入れた当時のまま純朴で無垢なものとして描かれていること。 ミハルカの物語に心動かされる人々を作中に登場させていること。 ある意味、美しいお伽噺のようにも思えるが、不条理に見える人生にも無垢で美しくて信頼すべきものはあるのではないか、それを見出す力も人はもっているのではないか。作者のそのような思いが感じられて心打たれるのかもしれない。 Verbrechen by Ferdinand von Schirach

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2011/09/14

結論から言うと、11編の物語のどれもが面白い。 文章自体は第三者視点からの、極限まで無駄を省き、一見すると備忘録と思えるほど簡潔そのもの。 しかし、不思議とどの物語も犯罪を犯していく普通の人々の、どうしようもない感情が凝縮されている。 こんなシンプルな文章でここまで心に残る物語を...

結論から言うと、11編の物語のどれもが面白い。 文章自体は第三者視点からの、極限まで無駄を省き、一見すると備忘録と思えるほど簡潔そのもの。 しかし、不思議とどの物語も犯罪を犯していく普通の人々の、どうしようもない感情が凝縮されている。 こんなシンプルな文章でここまで心に残る物語を書けるのかと驚いた。 文句なしの傑作です。 個人的には『フェーナー氏』が一番良かった。

Posted byブクログ

2011/09/13

罪を犯し、裁かれる「犯罪」。 呼び方は皆同じだけどその内容や起こった真実はそれぞれで。 何が正しいのか正しく無いのか考えてしまうけど、 罪は罪で罰せられるのは悪事。 淡々と書き綴られる物語の中に見え隠れする現実。 でも、その物語の中にある「幸せだ」の言葉に 救われる思いでした。

Posted byブクログ

2011/09/12

ドイツの弁護士が、自分が担当した事件を語る形式の短編集。かなりインパクトのある話が多く、殺人の描写などは気持ち悪くなるような話が多々。おもしろいけれど、拒絶反応を引き起こす人もあるのでは?

Posted byブクログ