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犯罪 の商品レビュー

3.9

242件のお客様レビュー

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  3. 3つ

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2011/09/03

語り口が淡々としてるせいかどこか現実感が希薄だなー、とか思いながら読み進めていったら「正当防衛」で笑ってしまったよ。「チェロ」とか「棘」とかが好きかなー。

Posted byブクログ

2012/05/10

やられた。 淡々とした筆致でありながらも、 どこか扇情的な文章に、まんまと乗せらた。 読後に響く苦いユーモアと深い情愛と 読者を巻き込み考えさせる展開も見どころ。

Posted byブクログ

2011/08/20

視点が第三者視点なので、小説を読んでいるという感覚はちょっと薄かったです。 とはいえ、面白かったです。 翻訳の日本語もとてもよかった。 (翻訳本は訳にもよるので難しいよねー)

Posted byブクログ

2011/10/20

ダ・ヴィンチでもミステリマガジンでも取り上げられていたのが気になって、購入した本。 この物語に登場するのは皆、ただの人たちです。しかし、彼らは皆、紛れもない犯罪者なのです。 本書は、ごく普通の人々(中には、特殊な人間もいますが…)が、それぞれの理由により犯罪者となった11の事例...

ダ・ヴィンチでもミステリマガジンでも取り上げられていたのが気になって、購入した本。 この物語に登場するのは皆、ただの人たちです。しかし、彼らは皆、紛れもない犯罪者なのです。 本書は、ごく普通の人々(中には、特殊な人間もいますが…)が、それぞれの理由により犯罪者となった11の事例を描いた短篇集。 彼らの弁護を受け持つ弁護人『わたし』の回顧録のような体裁をとっています。 彫像の『棘』に取り憑かれた男の話のように、執念深い倒錯へと駆り立てられていく異様な犯罪。 恋人を救うべく狂気に満ちた行動を選ぶ少年の話に見られるような、ある種のメルヘンのような愛情。 かたや、恋人に対する過剰ともいえる愛情に自覚しながらも最悪の結末を迎える、異常な愛情。 中でも、短篇をしめくくる最後の話『エチオピアの男』が、この短篇集の中で最も印象深い作品でした。 罪を犯しながらも、遠い国エチオピアで人々を助け、小さな幸せを手に入れようとした男の話です。 数々の異常な犯罪のラストを締めくくるこの物語をして、本書を傑作にまで押し上げたのではないでしょうか。 『彼はそのたびにいう。幸せだ、と。』 透徹な切り口で描かれる様々な物語の最後に相応しい、締めくくりでした。

Posted byブクログ

2011/08/17

新聞の書評で見かけ、気になっていた本。 弁護士である著者が、実際にあった事件をモチーフに、事件の弁護を引き受けた弁護士という視点から綴った連作短編集。 どこまでが事実でどこまでが創作なのかは判然としないが、結構グロテスクで目を覆いたくなるような事件も正直ある。それでもなお総じ...

新聞の書評で見かけ、気になっていた本。 弁護士である著者が、実際にあった事件をモチーフに、事件の弁護を引き受けた弁護士という視点から綴った連作短編集。 どこまでが事実でどこまでが創作なのかは判然としないが、結構グロテスクで目を覆いたくなるような事件も正直ある。それでもなお総じて感じられるのは、人間の悲哀や愚かさ、そして愛おしさ。 最後の「エチオピアの男」がよかった。幸せになってほしいと思う。

Posted byブクログ

2011/08/09

著者のシーラッハはドイツの高名な刑事弁護士。 本書は11篇からなる短編集で、いずれもかつて実際に起きた事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの哀しさと愛しさ、人間というものの不可思議さを描く。 どの物語にもでてくる「私」は弁護士なのだが、「私」が主役なのではない。むしろ「私」...

著者のシーラッハはドイツの高名な刑事弁護士。 本書は11篇からなる短編集で、いずれもかつて実際に起きた事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの哀しさと愛しさ、人間というものの不可思議さを描く。 どの物語にもでてくる「私」は弁護士なのだが、「私」が主役なのではない。むしろ「私」は何のアクションも起こさず、ただの語り手である場合すらある。 「私」は著者であるシーラッハ自身と重なり、語られる物語は妙なリアリティと何とも言えない気味悪い後味を残す。 一歩引いた視点で、文体はそっけないともいえるほど。 ドイツでは弁護人が陳述する相手は、陪審員ではなく裁判官と参審員だという。感情の吐露、まわりくどい言い回しなどはマイナスに働く。ドイツ人はもはや情念(パトス)を好まないーーー(本書、「エチオピアからきた男」より) この鉈で断ち切ったような文体は、まさに弁護士の陳述を思わせた。 収録されているのは、 フェーナー氏/ タナタ氏の茶碗(碗は旧字)/ チェロ/ ハリネズミ/ 幸運/ サマータイム/ 正当防衛/ 緑/ 棘 / 愛情/ エチオピアの男 どれも一筋縄ではいかない。 現実に起こった事件を骨子にしているというから、やはり事実は小説よりも奇なりか。 弁護士が本業の人にこんな作品を書かれてしまったら小説家も形無しかも。 最後の「エチオピアの男」は一転、ハートウォーミングな感動の物語なのだが、 このしばしの感動の後、最後のページにぽつりとある「Ceci n' est pas une pomme.」という一文に虚を衝かれる。 フランス語で「これはリンゴではない。」と書いてあるのだ。 これが本書におけるミステリー。 この謎解きを是非楽しんでほしい。 「りんご」は11篇の物語どれにも登場する。注意しなければわからないほどさりげなく、時には重要な役割を担って。 冒頭に捧げられているハイゼルベルグの言葉に戻り、改めて唸らされた。 帯に連なる主要各誌の賛辞の言葉のなかで一番鋭いのは、ニュージーランド・ヘラルド紙かもしれない。 曰く、フォン・シーラッハは生まれついての小説家(ストーリーテラー)だ。細部をとらえる眼と、たぐいまれな構成力を有している。—— http://spenth.blog111.fc2.com/blog-entry-111.htmlより

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2011/08/08

事実は小説よりも奇なり。 まさにそのとおり。 ハッピーエンドで終わるもの、切ない結末で終わるもの。 珠玉の短編集といってよいのではないでしょうか。 作者(ドイツの弁護士)があたたかな目で当事者たちを見ていることが伝わってきます。 個人的には、姉弟が切ない結末を迎える「チ...

事実は小説よりも奇なり。 まさにそのとおり。 ハッピーエンドで終わるもの、切ない結末で終わるもの。 珠玉の短編集といってよいのではないでしょうか。 作者(ドイツの弁護士)があたたかな目で当事者たちを見ていることが伝わってきます。 個人的には、姉弟が切ない結末を迎える「チェロ」、悲惨な人生を歩んできた男が遠いアフリカで幸せをつかむ「エチオピアの男」がお勧めです。

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2011/08/07

いや、それが、なんとも不思議なことに、苦くないんである。 伝わってくるのは、人の心の不思議さ、のようなもの。憎めない。 孤独な姉と弟の、最後が切ない「チェロ」。 兄たちから馬鹿にされながらこっそり勉強し知恵をつけてきた弟が、兄を救うため法廷中を騙そうと頭を働かせるたくましさ。...

いや、それが、なんとも不思議なことに、苦くないんである。 伝わってくるのは、人の心の不思議さ、のようなもの。憎めない。 孤独な姉と弟の、最後が切ない「チェロ」。 兄たちから馬鹿にされながらこっそり勉強し知恵をつけてきた弟が、兄を救うため法廷中を騙そうと頭を働かせるたくましさ。「ハリネズミ」。 不幸な過去の2人がつかむ「幸運」。 よく出来たスパイ小説のような後味を残す、「正当防衛」。 「棘」が気になってならない男。 幸せになってほしいと願わずにいられなくなる「エチオピアの男」。 犯罪はいけない。罪は罪である、償わなければならない。 でもそこここに漂う人間臭さ。 それをちょっと距離を保って綴る。

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2011/08/04

ドイツの弁護士である作者が実際に起こった事件に想を得て書いた短編集。 ストレートなタイトルが表すとおり、まさに犯罪を描いている。 犯罪を犯した人たちの悲しさ、滑稽さ、辛さ、愛おしさなどが淡々と語られている。 犯罪を犯す側も人生の落伍者だけでなく、尊敬されたり裕福だったりする立場...

ドイツの弁護士である作者が実際に起こった事件に想を得て書いた短編集。 ストレートなタイトルが表すとおり、まさに犯罪を描いている。 犯罪を犯した人たちの悲しさ、滑稽さ、辛さ、愛おしさなどが淡々と語られている。 犯罪を犯す側も人生の落伍者だけでなく、尊敬されたり裕福だったりする立場の人もいて、そこに様々な事情が見て取れる。 語弊がありそうだけど、面白かった。

Posted byブクログ

2011/08/03

犯罪、特に生死に関わる犯罪を犯すということはとんでもなく高いハードルを超えることのように思える。きっと、そう思えているうちはまだ社会的な範疇にいられているのだろうと思う。そこを超えてしまう人の中には、それが高いハードルではなくなっている人もいる。それがごく自然な道筋に思えるように...

犯罪、特に生死に関わる犯罪を犯すということはとんでもなく高いハードルを超えることのように思える。きっと、そう思えているうちはまだ社会的な範疇にいられているのだろうと思う。そこを超えてしまう人の中には、それが高いハードルではなくなっている人もいる。それがごく自然な道筋に思えるようになった人もきっと。いくつかは、程度は違えど共感できて、心に響く。でも「タナタ〜」や「緑」のラストなどを読んでいると、もう完全に理解を超えて、別の意味で感動する。だからこそ余計、ハッピーエンドがうれしくて「幸運」と「エチオピア〜」はよかった。20110802

Posted byブクログ