還るべき場所 の商品レビュー
K2に奪われた彼女、亡くなっているとわかっても死体は見つかっていない。それから山から離れていた主人公だが、頼まれごとで再び登ることになる。 そして、再びK2にチャレンジすることに。 彼女にとっても、主人公にとっても還るべき場所とは、強烈な自然の猛威のなか、苦悩と葛藤による主人公の...
K2に奪われた彼女、亡くなっているとわかっても死体は見つかっていない。それから山から離れていた主人公だが、頼まれごとで再び登ることになる。 そして、再びK2にチャレンジすることに。 彼女にとっても、主人公にとっても還るべき場所とは、強烈な自然の猛威のなか、苦悩と葛藤による主人公の生き様に涙が出る。
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初の笹本先生の作品。標高8000m超の自然の過酷さが伝わってくる山岳小説の傑作。「なぜ、山に登るのか?」登山好きの自分も改めて考えさせられる、めちゃ面白いオススメの作品です。
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感想 2024年8月、今まさに、日本の有名なクライマーがK2で遭難していることから、ちょっと思うことがありつつ読む。クライマー死と向き合せだが、無事を祈るばかりだ。 翔平のK2登山が主要な内容になると思っていたが、その前の公募登山のブロードピークの内容が主だった。悪童のアルゼン...
感想 2024年8月、今まさに、日本の有名なクライマーがK2で遭難していることから、ちょっと思うことがありつつ読む。クライマー死と向き合せだが、無事を祈るばかりだ。 翔平のK2登山が主要な内容になると思っていたが、その前の公募登山のブロードピークの内容が主だった。悪童のアルゼンチン三人組や悪いリエゾンオフィサーの行く末も書かれていないがどうなったのか? あらすじ 翔平は4年前に挑んだK2で相棒の聖美を失った。失意の中にいた翔平は、仲間の亮太に商隊をヒマラヤに連れていくついでにK2に再び挑戦しようと持ちかけられる。 それから回想シーンに入る。中学から高校にかけて日本アルプスで鍛えたこと。怖いもの知らずの勢いでマッキンリーに挑み、天候の見誤りと過信で友人三人と死にかけたこと、そして、聖美がパートナーとなり、K2にて帰らぬ人となる。 2章は、竹原が会社のペースメーカーをつけた会長をヒマラヤに連れていく話。公募登山で登頂を果たし、ペースメーカーの広告塔となる。神津は、亮太が主催するブロードピークの公募登山に応募する。 前乗りした翔平と亮太はブロードピークのコンディションの確認と高所順応をする。アルゼンチンの素人クライマーに頭を悩ませる。 神津は、自分がブロードピーク登山に参加している間に甥の副社長が会社の乗っ取りを画策していることを察知する。会長の座は譲るが、株主総会で副社長一派を一掃する計画を立てる。 ブロードピーク登山を開始したが、ニュージーランド隊の遭難やアルゼンチン三人組の悪さなどが相まって死にそうになる。無事に客をブロードピークの頂上まで連れて行き、自分たちもK2へのリベンジアタックをする。
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山岳小説というものは初めてだったけど、どんどん読み進めることができた。 山に対してそれぞれ思いを持った人たちが公募登山にて集まって8000メートル級の山を登る。 山と向き合い、自分自身と向き合う。 人生や生と死と色々考えさせられる本でした。
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初めて読んだ山岳小説。たまたまブックオフで、この本を推してたので手に取ってみた。 それぞれの人生が8000メートル、デッドラインで交差する。伏線とその回収も最後にあって、読み応えのある小説でした。今年のナンバーワンになりそう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
登山を題材にした小説。生死が関わる話しの中、なぜ山に登るか、生きていることを実感するためか、死なないために登るか、自分のため、仕事のため、周りからの期待に応えるため、とか人それぞれあることを実感した。 個人的には、山を登らない人でも、普段の人生の中で何かしらの山、越えるべき目標を探し登っている、というのが印象に残った。
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この手の山岳小説は初めて読みました。本格的な登山経験も無く、初めて聞く専門用語が出てきましたが純粋に楽しんで読めました。
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486p一気読み。 場所はプロードピーク、死と隣り合わせの登攀で様々な困難と直面する登山家達。 揺れ動く人間模様。人はどう生きどう死んでいくかを問われている。スリリングで感動を味わえる素晴らしい山岳小説。
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サスペンスやハードボイルドよりも、より強いスリルと緊張感に心が震え胸が押し潰されそうだった。登場人物が極寒と対峙していた8000m付近で本を読んでいるのではと思えるくらい息苦しかった。 どちらかというと諦めがよく、こういうシチュエーションだと命を落とす側のタイプなので、今更だけど...
サスペンスやハードボイルドよりも、より強いスリルと緊張感に心が震え胸が押し潰されそうだった。登場人物が極寒と対峙していた8000m付近で本を読んでいるのではと思えるくらい息苦しかった。 どちらかというと諦めがよく、こういうシチュエーションだと命を落とす側のタイプなので、今更だけどもっと前向きで心の強い男になるぞ
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「笹本稜平」の長篇山岳小説『還るべき場所』を読みました。 山岳小説は今年10月に読んだ「新田次郎」の『縦走路』以来ですね。 -----story------------- 登攀中に起こる陰謀やトラブル。 登頂は成功するのか! 登攀(とうはん)中に恋人を遭難で失った「翔平」は登...
「笹本稜平」の長篇山岳小説『還るべき場所』を読みました。 山岳小説は今年10月に読んだ「新田次郎」の『縦走路』以来ですね。 -----story------------- 登攀中に起こる陰謀やトラブル。 登頂は成功するのか! 登攀(とうはん)中に恋人を遭難で失った「翔平」は登山ツアーのガイドとしてK2に戻ってきた。 圧倒的な迫力で描く感動のアドヴェンチャーミステリー大作 世界第2の高峰、ヒマラヤのK2。 未踏ルートに挑んでいた「翔平」は登頂寸前の思わぬ事故でパートナーの「聖美」を失ってしまう。 事故から4年、失意の日々を送っていた「翔平」は、アマチュア登山ツアーのガイドとして再びヒマラヤに向き合うことになる。 パーティに次々起こる困難、交錯する参加者の思い。 傑作山岳小説、待望の文庫化! ----------------------- 世界第二位の高峰K2… 未踏の東壁ルートに挑んでいた「矢代翔平」は、登頂寸前の思わぬ事故で最愛のパートナーの「栗本聖美」を最も哀しい形で喪ってしまう、、、 雪崩に遭い、宙吊りになった「聖美」が「翔平」を救うために自らザイルを切ってしまったのだ… 山で死ぬ事を厭んでいた「聖美」のまさかの選択。 事故から4年、失意の日々を送っていた「翔平」のもとに、かつての山仲間で、トレッキングツアー会社を経営する「板倉亮太」から、ブロード・ピーク(8,047m)への公募登山で客を登らせた後に、あの因縁のK2の東壁を再び攻めることを持ちかけられる… 「聖美」を喪った事実を受けとめ、引きこもりに近い生活から抜け出すために、「翔平」は公募登山のガイドとして再び山に向き合うことになる、、、 この登山ツアーに、医療機器メーカーの経営者「神津」と秘書の「竹原」が参加していた… 「神津」は、自社の心臓ペースメーカーを自ら身体に埋め込み、ペースメーカーの販売促進のためにエベレストに登頂した経験を持ち、「竹原」はK2で遭難し登山を捨てたという経緯があった。 公募登山を見下し、アルパインスタイルで無酸素でブロード・ピークを目指すと宣言しつつ、実は公募登山のために張ったロープやツアー客用の酸素ボンベを勝手に利用するアルゼンチンの三人組のパーティーが巻き起こす騒動や、「翔平」たちに先行してブロード・ピークを目指した「キース」率いる公募登山隊の遭難等のトラブルに見舞われながら、「翔平」たちは公募登山を成功させるために、山の仲間を救うために、考えて、判断して、行動していく、、、 そして、公募登山を終えて、K2を制覇した「翔平」と「亮太」は、「聖美」が自ら命を絶ったのではなく、アクシデント(ここで、アルゼンチンの三人組が使用していたスペイン製の登攀器具の不具合が伏線として登場します…)からザイルが切れたこと… その後、「聖美」は滑落から奇跡的に生き延びてK2の東壁を攻略していたことを知る。 ミステリー要素もあり、なかなか愉しめました… 6年前に読んだ「夢枕獏」の『神々の山嶺』を読了したときの感覚と似た感動がありましたね、、、 サイドストーリーとして展開する「神津」の企業経営者としての活躍も愉しめ、企業小説としての側面もありましたね… でも、「神津」のことで印象に残ったのは、彼の山への想いや、生きることへの考え方等ですね、 「人間は夢を食って生きる動物だ。 夢を見る力を失った人生は地獄だ。 夢はこの世界の不条理を忘れさせてくれる。 夢はこの世界が生きるに値するものだと信じさせてくれる。 そうやって自分を騙しおおせて死んでいけたら、それで本望だとわたしは思っている」 「真の人生は不可視だ。 それは生きてみることでしかかたちにできないなにかだ。そしてそれこそが、 この世界で生きることを喜びに変えてくれる糧なんだ」 「死ぬ前にぜひK2の頂を踏みたい。 これは勝つとか負けるとかの問題じゃない。 長い人生で一度くらいは、魂の糧になるようなことをやってみたいんだよ。 さもないとわたしは魂のレベルで飢えたまま死ぬことになる」 等々、示唆に富んだ発言が多く、その都度、納得しながら読んじゃいました… 面白かったです。秀作ですね。
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