夜想曲集 の商品レビュー
なんかこう切ない雰囲気がとても好き。 イシグロさんって、淡々と進む情景描写に、綺麗な色の哀愁を乗せるのがとても上手な作家なんだと思う。たぶん、情景と感情の絵をいつも思い描いている人。うまく色が溶け合わさせて、読者を癒してくれる。 この本はそれがすごく出てる。 サンマルコでいつ...
なんかこう切ない雰囲気がとても好き。 イシグロさんって、淡々と進む情景描写に、綺麗な色の哀愁を乗せるのがとても上手な作家なんだと思う。たぶん、情景と感情の絵をいつも思い描いている人。うまく色が溶け合わさせて、読者を癒してくれる。 この本はそれがすごく出てる。 サンマルコでいつかこんな音楽家に会えますように。
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個人的には、私を離さないでに続く2作目のカズオイシグロさん。なんだか突拍子もない背景やイベントの中で人間性を描くのが上手だな、という印象を抱いた。読んでいて間違いなく面白い。
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音楽をなりわいにする人達を題材にしたちょっと切ない5篇のお話。この作者は、どこかが噛み合わない違和感にも似た不穏な感覚と人情味溢れる哀愁を同時進行で、自然な文体の中で感じさせてくれる。マイナスな感情が溢れる中でも、あくまで柔らかな表情の中でスーっと受け入れられるような、そんな作品...
音楽をなりわいにする人達を題材にしたちょっと切ない5篇のお話。この作者は、どこかが噛み合わない違和感にも似た不穏な感覚と人情味溢れる哀愁を同時進行で、自然な文体の中で感じさせてくれる。マイナスな感情が溢れる中でも、あくまで柔らかな表情の中でスーっと受け入れられるような、そんな作品です。
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音楽とその才能、そして夫婦の危機という共通のキーワードを持つ作品集。会話などでの心の襞を納得感のある繊細な表現で描写してくれるところが好きです。 降っても晴れても、夜想曲は現実にはありえないようなとんでもない方向に展開していて、それでもその先に興味も持ち続けたまま読ませてくれます...
音楽とその才能、そして夫婦の危機という共通のキーワードを持つ作品集。会話などでの心の襞を納得感のある繊細な表現で描写してくれるところが好きです。 降っても晴れても、夜想曲は現実にはありえないようなとんでもない方向に展開していて、それでもその先に興味も持ち続けたまま読ませてくれます。老歌手と夜想曲は繋がりがあり、作者もこのキャラクターをもう少し描きたいと思うことがありそうだと考えながら楽しめました。 いずれも味わい深い短編、その先をもう少し読みたいと思うところで終わるところも余韻と想像力を掻き立てます。
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読みやすかったです。 イシグロもこんな短編集を書いていたんだなぁと。 チェリストという話が1番不思議だったけどどのお話も心地良い余韻が残っていてよかった。 一日の最後に枕元で読んでみてほしいです。
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音楽が出てくる小説が好きなので友人が貸してくれたが…なかなか手こずってしまった。外国の方の話はもともと苦手なのもあるけど…文章はそんなに難しくないし登場人物も少ない。なのに、息苦しい感じがして、読み進むのに時間がかかり、頭に入ってこなかった。残念ー。 他の本もこんな感じかな?長編...
音楽が出てくる小説が好きなので友人が貸してくれたが…なかなか手こずってしまった。外国の方の話はもともと苦手なのもあるけど…文章はそんなに難しくないし登場人物も少ない。なのに、息苦しい感じがして、読み進むのに時間がかかり、頭に入ってこなかった。残念ー。 他の本もこんな感じかな?長編にチャレンジしてみたい。
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老歌手 この短いテキストでこれほどに芳醇なストーリーが編めるのかと驚きます。まあ、この老歌手に共感できるようになってこそはじめて、一端の大人、なのかもしれません。 降っても晴れても この作家の作品をそれほどたくさん読んだことがあるわけではありませんが、こういうコメディタッチもあ...
老歌手 この短いテキストでこれほどに芳醇なストーリーが編めるのかと驚きます。まあ、この老歌手に共感できるようになってこそはじめて、一端の大人、なのかもしれません。 降っても晴れても この作家の作品をそれほどたくさん読んだことがあるわけではありませんが、こういうコメディタッチもありなんですね。小説というよりもドラマ脚本という感じがしますが、それでもどこかに詩的な雰囲気が漂っていて入り込めました。 モールバンヒルズ 人間というのはなかなかまっすぐに伸びていくことはできないものですね。節を作りながらそのたびに少しずつ曲がっていくので、それがその人のその人らしさを形づくっていくんですね。 夜想曲 ひょんなことから顔の整形手術を受けることになった男のコミカルなショートストーリーです。現状と未来との間にプライドがとぐろを巻いていて、あるセレブリティがそれを解きほぐすために突然目の前に現れる。シンプルな筋なのに、読み手側で色々な解釈ができるエンディングです。 チェリスト 他の作品とは少し違った趣があります。ある意味では、最も他の長編小説に近いものがあるような気もしました。コメディタッチは鳴りを潜め、どこか深刻な苦しさが表れているような気がしました。
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副題「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」 を描いた短編集。 物語によってしんみりしたりクスッとできたり なかなか面白かったです。「降っても晴れても」の 主人公の友人たちのなかなか下衆さに呆れたり 「夜想曲」のホテル探検はいい歳した大人でも ハラハラドキドキしてしまいました。 な...
副題「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」 を描いた短編集。 物語によってしんみりしたりクスッとできたり なかなか面白かったです。「降っても晴れても」の 主人公の友人たちのなかなか下衆さに呆れたり 「夜想曲」のホテル探検はいい歳した大人でも ハラハラドキドキしてしまいました。 なんとなく50~60歳になったときに また読みたい。
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うまいな、といった感じの短編集。ササッと読めてしまった。 「老歌手」 「まるで国語のテストの問題文みたいだ」という謎の感想がアタマをよぎった。なぜだ? オチはなんだか取って付けたみたいだが、実は後のほうの短編への伏線になっている。 「降っても晴れても」 まるでコメディ映画。テ...
うまいな、といった感じの短編集。ササッと読めてしまった。 「老歌手」 「まるで国語のテストの問題文みたいだ」という謎の感想がアタマをよぎった。なぜだ? オチはなんだか取って付けたみたいだが、実は後のほうの短編への伏線になっている。 「降っても晴れても」 まるでコメディ映画。テンポが良いね。 「モールバンヒルズ」 イシグロみたいな一人称の手法を指して「信用できない語り手」と呼ぶとどこかで読んだ。この短編集ではその手法が前面に出るではないが、やはり語り手が、ひねくれた自意識やコンプレックスを抱えていて素直には語っていない気がする。この短編ではクラウト夫妻も素直でない。 「夜想曲」 これもコメディ映画風。老歌手では脇に近かったリンディが前面に。 「チェリスト」 この短編は珍しく語り手が素直で存在感が薄い。その代わりか女がミステリアス。
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副題のとおり、音楽と夕暮れがモチーフとなる5つの短編集。ぼく、として語られる主人公は音楽家だったり、音楽好きだったり。そして主人公に関係するカップルが登場するがどれも関係が危うくなっている。話の進行には音楽が介在し、物語は進む。5つの短編それぞれが一つの曲が流れるように、一つの曲...
副題のとおり、音楽と夕暮れがモチーフとなる5つの短編集。ぼく、として語られる主人公は音楽家だったり、音楽好きだったり。そして主人公に関係するカップルが登場するがどれも関係が危うくなっている。話の進行には音楽が介在し、物語は進む。5つの短編それぞれが一つの曲が流れるように、一つの曲を聴き終わるように、そんな読後感だ。 「老歌手」はベネチアでバンドを掛け持ちするギター弾きが、ある老歌手が妻のためにホテルの窓下の水路で歌う伴奏をする。なぜそういうシチュエーションが起きたのかがミソ。 「降っても晴れても」は、雲行きが怪しくなった、ロンドンに住む大学時代のクラスメイト夫婦の家に訪問した47歳の主人公の話。その妻と主人公とは音楽の好みで共通点があったが・・・ 「モールバンヒルズ」は、ひと夏、姉夫婦の営むイギリスのモールバンヒルのカフェで働くギターで身を立てようとする若い男性が、客として訪れた音楽家夫婦に自分の作った曲を聴いてもらうと・・。 「夜想曲」。これはなにかとんでもなく突飛な設定。売れないサックス吹きが、「整形をしたら売れるんじゃない?」というマネージャーの言に従い手術をしたが、その術後の部屋の隣に有名な女性スターがいて・・ 「チェリスト」。これもなんとも不思議な話。イタリアのアドリア海に面した町で、若いチェリストがやってきて町のバンドに在籍するが、天才チェリストと名乗る女性と出会い、自身の演奏を指導してもらうが、女性は決して自分では演奏して見せない。実は・・
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