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夜想曲集 の商品レビュー

3.7

119件のお客様レビュー

  1. 5つ

    15

  2. 4つ

    42

  3. 3つ

    36

  4. 2つ

    5

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2019/01/31

副題「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」 を描いた短編集。 物語によってしんみりしたりクスッとできたり なかなか面白かったです。「降っても晴れても」の 主人公の友人たちのなかなか下衆さに呆れたり 「夜想曲」のホテル探検はいい歳した大人でも ハラハラドキドキしてしまいました。 な...

副題「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」 を描いた短編集。 物語によってしんみりしたりクスッとできたり なかなか面白かったです。「降っても晴れても」の 主人公の友人たちのなかなか下衆さに呆れたり 「夜想曲」のホテル探検はいい歳した大人でも ハラハラドキドキしてしまいました。 なんとなく50~60歳になったときに また読みたい。

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2018/11/05

うまいな、といった感じの短編集。ササッと読めてしまった。 「老歌手」 「まるで国語のテストの問題文みたいだ」という謎の感想がアタマをよぎった。なぜだ? オチはなんだか取って付けたみたいだが、実は後のほうの短編への伏線になっている。 「降っても晴れても」 まるでコメディ映画。テ...

うまいな、といった感じの短編集。ササッと読めてしまった。 「老歌手」 「まるで国語のテストの問題文みたいだ」という謎の感想がアタマをよぎった。なぜだ? オチはなんだか取って付けたみたいだが、実は後のほうの短編への伏線になっている。 「降っても晴れても」 まるでコメディ映画。テンポが良いね。 「モールバンヒルズ」 イシグロみたいな一人称の手法を指して「信用できない語り手」と呼ぶとどこかで読んだ。この短編集ではその手法が前面に出るではないが、やはり語り手が、ひねくれた自意識やコンプレックスを抱えていて素直には語っていない気がする。この短編ではクラウト夫妻も素直でない。 「夜想曲」 これもコメディ映画風。老歌手では脇に近かったリンディが前面に。 「チェリスト」 この短編は珍しく語り手が素直で存在感が薄い。その代わりか女がミステリアス。

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2018/08/30

副題のとおり、音楽と夕暮れがモチーフとなる5つの短編集。ぼく、として語られる主人公は音楽家だったり、音楽好きだったり。そして主人公に関係するカップルが登場するがどれも関係が危うくなっている。話の進行には音楽が介在し、物語は進む。5つの短編それぞれが一つの曲が流れるように、一つの曲...

副題のとおり、音楽と夕暮れがモチーフとなる5つの短編集。ぼく、として語られる主人公は音楽家だったり、音楽好きだったり。そして主人公に関係するカップルが登場するがどれも関係が危うくなっている。話の進行には音楽が介在し、物語は進む。5つの短編それぞれが一つの曲が流れるように、一つの曲を聴き終わるように、そんな読後感だ。 「老歌手」はベネチアでバンドを掛け持ちするギター弾きが、ある老歌手が妻のためにホテルの窓下の水路で歌う伴奏をする。なぜそういうシチュエーションが起きたのかがミソ。 「降っても晴れても」は、雲行きが怪しくなった、ロンドンに住む大学時代のクラスメイト夫婦の家に訪問した47歳の主人公の話。その妻と主人公とは音楽の好みで共通点があったが・・・ 「モールバンヒルズ」は、ひと夏、姉夫婦の営むイギリスのモールバンヒルのカフェで働くギターで身を立てようとする若い男性が、客として訪れた音楽家夫婦に自分の作った曲を聴いてもらうと・・。 「夜想曲」。これはなにかとんでもなく突飛な設定。売れないサックス吹きが、「整形をしたら売れるんじゃない?」というマネージャーの言に従い手術をしたが、その術後の部屋の隣に有名な女性スターがいて・・ 「チェリスト」。これもなんとも不思議な話。イタリアのアドリア海に面した町で、若いチェリストがやってきて町のバンドに在籍するが、天才チェリストと名乗る女性と出会い、自身の演奏を指導してもらうが、女性は決して自分では演奏して見せない。実は・・

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2018/08/12

音楽が関わる5つの短話。それぞれの話の流れが個々の音楽を聴いているような印象を受けた。全体的に静かな感じで心地良く、時折アップテンポになる感じで飽きが来なくとても楽しめた。

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2018/07/18

友人に「カズオ・イシグロの中で一番貴女向き」と言われて手に取った。タイトルから静かな人生の一時がBGMとともに続く作品かと想像していたら、どれも不協和音が聞こえるような話だった。5編中4編にどこかぎすぎすした夫婦(元を含む)がでており、作中に出てくる登場人物は流れる音楽に興味を持...

友人に「カズオ・イシグロの中で一番貴女向き」と言われて手に取った。タイトルから静かな人生の一時がBGMとともに続く作品かと想像していたら、どれも不協和音が聞こえるような話だった。5編中4編にどこかぎすぎすした夫婦(元を含む)がでており、作中に出てくる登場人物は流れる音楽に興味を持津人物とそうでない人物がはっきりしている。そしてドタバタ喜劇のような進行(モンティ・パイソンかよ!と突っ込み)。でもこれが実は最もカズオ・イシグロらしい一冊ではないかと思った。英国で育ち60年代に長髪でボブ・ディランを聞きロックスターに憧れていた青年が長じて書いた物語らしいと思う。若いのにどうしてこうも人生の黄昏を迎えた人たちを書くのだろうと思ったけど、著者55歳の作品だと思うと不思議ではない。イシグロ氏は1979年から小さな2冊のノートしかない」とNHKのインタビューで語っているが、小さなきっかけから様々な作品を生み出しているのだろう。ところで友人はなぜ私向きだと思ったのだろう?

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2018/06/18

カズオ・イシグロの短編5編。 どの作品も印象的な音楽をバックに、夫婦の危機であったり男女の微妙な距離感を底辺に据えて、時にはユーモア全開に、あるいはポール・オースター風の不条理な謎かけで、あるいは哀愁あふれる物語であったりと、作者の自在な構想力を楽しめる作品集に仕上がっている。 ...

カズオ・イシグロの短編5編。 どの作品も印象的な音楽をバックに、夫婦の危機であったり男女の微妙な距離感を底辺に据えて、時にはユーモア全開に、あるいはポール・オースター風の不条理な謎かけで、あるいは哀愁あふれる物語であったりと、作者の自在な構想力を楽しめる作品集に仕上がっている。 中でも自分がいいなと思った作品は『老歌手』と『降っても晴れても』だったかな。 『老歌手』は東欧から来たしがないギター弾きがヴェネツィアの地で、昔、母が好きだった有名老歌手と出会い、彼のためにゴンドラからホテルの一室にいるその老歌手の妻に歌声を捧げるという企画に参加する物語。 物語全体に漂う哀愁とラストの愛情のすれ違いが何とも堪らない余韻を残す作品となっている。 『降っても晴れても』はいまや人生の成功者となっている学生時代の友人夫妻のもとを訪れた男の視線から、夫婦間の危機をドタバタに描き出すブラック・コメディー。 もともといろいろな作品で時折見せていたカズオ・イシグロ流のユーモアであったが、今回はタガを外したかのように全開で炸裂させていて、普段とは違う不条理なギャグセンスを見せてくれる作品。 『モールバンヒルズ』は音楽界の最前線から少し離れ、力を溜めこむために姉夫婦のいる田舎のカフェに転がり込んだギタリストの青年と、たまたまそのカフェを訪れたスイス人夫婦とが織りなす音楽を通じた対話の物語。 物語全体につんつんとした感じがあって、青年とスイス人夫婦とのその接触と距離感とを自然の雄大さと対照させており、そうしたヴィジュアル的にも面白い構図のまま迎えたラストが印象的であった。 『夜想曲』はこれまたポール・オースターを思わせるような不条理で謎に満ちた突拍子もない展開が魅力の物語。 何といっても顔面を整形手術して包帯でぐるぐると顔を覆い隠した男女二人が、深夜のホテルの中を歩きまわる姿が滑稽でもあり、さらには物哀しさも感じさせる微妙なバランスが面白かった。 『チェリスト』は東欧からきたチェリストが、自分を有名チェリストであると名乗る美女から日々チェロの特訓をすることになった話。 これも謎が先行する話だが、チェロの特訓を通じてお互いを理解できるようになった男女の物語でもあり、ラストの思いがけない別れは夢から覚めた昔話の感覚を思わせる。 全体として、男女の別れをテーマにしながらも、カズオ・イシグロのお茶目ぶりとチャレンジが味わえる短編集だったのではないか。 『夜想曲』や『チェリスト』はさらに後ろを広げて、長編にしても良かったかもしれない。

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2018/05/29

カズオ・イシグロ氏の本を初めてよんだ。 英文学の翻訳と言うこともあると思うけれど、村上春樹から性的なところと狂気さを少なくした感じを受けた。 音楽に纏わる短編集であるこの作品は、とても良かった。 二話目の終わり方が好き。 また、社会主義経済圏出身の登場人物の描写が、興味深かっ...

カズオ・イシグロ氏の本を初めてよんだ。 英文学の翻訳と言うこともあると思うけれど、村上春樹から性的なところと狂気さを少なくした感じを受けた。 音楽に纏わる短編集であるこの作品は、とても良かった。 二話目の終わり方が好き。 また、社会主義経済圏出身の登場人物の描写が、興味深かった。

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2018/05/04

短編集。 ガードナーさんが歌う 老歌手 ノートを見なかったことに。家が犬臭くなるレシピ 降っても晴れても リンディ ガードナーの隣の部屋のサックス奏者 夜想曲 などなど。 カズオイシグロさんを初めて読んで、なんだか好きだなぁと思い、何冊か買ってしまった。

Posted byブクログ

2018/04/15

過ぎ去りし時代の音楽は知らない曲ばかり、YouTubeで探し聴きながら読んだ。格調高い文章は行間に時間の狭間が織り込まれる。情景を空想し登場人物に自分を重ね合わせて読む。すると今日一日疲れた体、心が癒される、不思議な文体である。

Posted byブクログ

2018/04/10

「忘れられた巨人」と一緒に平積みになっていたのを買う。「巨人」も老夫婦の話だったが、本書も中年・老年の夫婦の話ばかり。著者のテーマなのだろうか。

Posted byブクログ