夜想曲集 の商品レビュー
イシグロ氏短編集、肩から力を抜いているようで見事にペーソスの情景を描いている。 「音楽と夕暮れを巡る・・」まさにまさに! 夕暮れとは当然、字kン的それではなく、人生の黄昏。 人生の、恋愛のそれ。。。 上り詰めていた時間では見えなかった、感じなかった、臭わなかったであろう機微が、...
イシグロ氏短編集、肩から力を抜いているようで見事にペーソスの情景を描いている。 「音楽と夕暮れを巡る・・」まさにまさに! 夕暮れとは当然、字kン的それではなく、人生の黄昏。 人生の、恋愛のそれ。。。 上り詰めていた時間では見えなかった、感じなかった、臭わなかったであろう機微が、ぼんやりと姿を現してくると、思いがけず、加速度的に、危機をはらんでいく刹那。 ブラックユーモアセンス一流のペンにかかると、時にはコメディーがかったり、不条理に走ったり。。 ふと最近読み続けているオースターと重なる感覚に陥った。 「降っても晴れても」が好み 親友夫婦の間に生じている不協和音に遭遇したダメダメ僕の想いや行動がクスッと笑わせる。
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副題のとおり音楽と夕暮れがテーマの短編集ですが、胸がジンとする話やクスッと笑える話まで幅広いお話が収録されています。 どのお話も主人公たちは現実的な悩みを抱えていて、それを主旋律として他の様々な登場人物や出来事が副旋律として重なり合い、複雑で厚みのある物語となっているように感じま...
副題のとおり音楽と夕暮れがテーマの短編集ですが、胸がジンとする話やクスッと笑える話まで幅広いお話が収録されています。 どのお話も主人公たちは現実的な悩みを抱えていて、それを主旋律として他の様々な登場人物や出来事が副旋律として重なり合い、複雑で厚みのある物語となっているように感じました。 個人的には「老歌手」・「降っても晴れても」が特に面白かったです。前者はしんみりジーン、後者はふふっわはは、的な感じです。
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カズオ・イシグロの短編集。 音楽と夕暮れって、本当によく付けたタイトルだと思う。いわゆる人生の黄昏時を表現してるんだけど、短編の主人公5人とも自分とはかすりもしない人生を歩んでいながら、もう節々に「その気持ち分かるわー」と感心する時がある。 カズオ・イシグロって、そういった誰...
カズオ・イシグロの短編集。 音楽と夕暮れって、本当によく付けたタイトルだと思う。いわゆる人生の黄昏時を表現してるんだけど、短編の主人公5人とも自分とはかすりもしない人生を歩んでいながら、もう節々に「その気持ち分かるわー」と感心する時がある。 カズオ・イシグロって、そういった誰の人生でも経験する言葉にし難い気持ちを文章に表現するのがすごく上手い。 正直ストーリー的にはそれほど引き込まれなかったんだけど、その絶妙な文章に出会いたいために、また他の作品も読みたくなってしまうんですよ。
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カズオ・イシグロ初の短編集。面白かった。 作者らしい上品な文章と雰囲気は、ドタバタな場面でも損なわれていなくて妙に感心した。 整形したサックス奏者の彼が、うまくいっているといいなと思う。 そして、訳者あとがきで印象に残ったのは、カズオイシグロが、自作を様々な言葉に翻訳されることに...
カズオ・イシグロ初の短編集。面白かった。 作者らしい上品な文章と雰囲気は、ドタバタな場面でも損なわれていなくて妙に感心した。 整形したサックス奏者の彼が、うまくいっているといいなと思う。 そして、訳者あとがきで印象に残ったのは、カズオイシグロが、自作を様々な言葉に翻訳されることに不安やプレッシャーを感じているということ。 「インタビュー症候群」と命名されていたけど、新作を書いて最長2年をかけて世界各国をまわり、膨大なインタビューを受ける。そのときに、翻訳された言葉について不安を感じる場面があったのだろうか。 それにしても1、2年もかけて世界中をプロモーションするなんてすごすぎる。村上春樹さんはこれを最初から断って批判されたそうだけど、たしかに途方もないことだものなぁ。 そうなると毎年のように作品を発表している有名英語圏作家は超人なのだな。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
カズオ・イシグロの作品を読むのはこれで三作目。 これまで読んだ二作の長編(「私を離さないで」と「遠い山なみの光」)と異なり、今回は短編集でした。これまた全く作風が異なり、エンタメ寄りの味わいのある作品集でした。器用な方なのですね。 ・・・ そんな短編集の中で私が一番気に入ったのは「降っても晴れても」ですかね。 英語教師としてフラフラしつつ?今はスペインで教えている主人公(50ちょいのおっさん)が、大学時代の仲間の元へ遊びに行く話。 この二人(夫婦)とも世間でしかるべく出世を果たした模様。ただし来てみると人柄も何となく変わり、どうにも不穏な空気。諸々聞くと、主人公氏は二人のこじれた仲を取り持つべく呼ばれた模様。彼は孤軍奮闘するさなかで、物事がうまく運ばないという不穏さを引きずりつつ、徐々にユーモラスなテイストが混じりつつ進行してゆく模様は技ありでありました。 ・・・ なお、それ以外の短編もなかなか良かったです。 因みに解説によると、夫婦仲というテーマが一つ。もう一つは音楽とのこと。特に前者では明言されない不穏な夫婦仲を描く様子がどれにも挿入されており良かったですね。お尻がむずむずしてくる感じ。 一応以下、簡単に。 「老歌手」・・・一発飛ばした歌手が、再ヒットを目指し愛する妻と別れるために用意した儀式とは。行き過ぎた資本主義ショービズ界と純朴な共産圏出身の若者とのギャップがスパイスに。 「モールバンヒルズ」・・・アーティストを目指す若者が田舎でカフェを営む姉夫婦の居所で過ごす日々。そこで出会うプロの演奏家夫婦とのふれあいを描く。 「夜想曲」・・・これも良かった。才能は十分、ルックスだけ欠けた男。妻に出ていかれ、その代わりに整形費用を出すという元妻。とうとう離婚も整形手術も承諾した男は、術後に一流ホテルで日々を過ごす。隣室にはご意見番的芸能人が手術後の安静のため過ごしており、彼女の勢いに次第に翻弄されてゆく。ドタバタ系。 「チェリスト」・・・決してチェロを弾かない「大家」が指導する、才能ある若手チェリストの話。若手チェリストの、師匠を見る目と揺れる心の具合。これもまたなかなか良かった。 ・・・ ということで、イシグロ作品、三作目を読了しました。 三作品読んで感じたのは、氏の「不穏」の表現の秀逸さです。Uneasinessとでも言いましょうか。嫁が普通のふりして怒っている時に似ています(似ていません)。 明示的ではなく、説明的でもなく、人物はしっかり描かれているのに、何だか尻が落ち着かんのです。 こういう「味の効かせ方」もあるのか、と感心した読書体験でした。他の作品も続けて読んでみたくなりました。
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なんかお洒落な感じの短編集だった。人生の黄昏的なところを描く人なのかな。ちょっと沁みるところもある。夫婦関係が悪化する様子とか。 若いとき読んだ「日の名残り」はものすごい退屈だったけど、今読んだら面白いのかな。クララ~は面白かったし。
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4冊目のカズオ・イシグロの作品である。 カメレオンのように作風を変えられる、“ひとり映画配給会社”と私は彼を呼んでいる。 そのイシグロは、実は音楽にも精通していて、シンガーソングライターを目指していたこともあったとか。そんなところから生まれているのがこの短編集で、5篇をひとつとし...
4冊目のカズオ・イシグロの作品である。 カメレオンのように作風を変えられる、“ひとり映画配給会社”と私は彼を呼んでいる。 そのイシグロは、実は音楽にも精通していて、シンガーソングライターを目指していたこともあったとか。そんなところから生まれているのがこの短編集で、5篇をひとつとして味わうように求められており、すべてミュージシャン(もしくは音楽愛好家)を題材としている。 今まで読んだ中で、最も読みやすい、ムード漂う作品集である。ドラマ性や落ちはなく、人生の一瞬を描く趣向となっている。長編小説とは全く異なる素顔のイシグロの感性が垣間見られた。 主人公は皆、才能はあるが認められておらず、たゆたゆと人生を彷徨っている。読み手も、物思いに耽りながら、カフェで頁をめくるのにうってつけの良書ではなかろうか。 私のお薦めは、コメディタッチの強い中盤3作品よりも、コリッとした読後感のほろ苦さ(これが著者の本領)がある「老歌手」、「チェリスト」。 ヘンな言い方だが、カズオ・イシグロって大家のように思って見てたけど、現代作家なんだよね。
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これもブックオフで買った。音楽家や音楽を愛する人の短編集。 間抜けだったり、見栄っ張りだったり、強欲だったり… あんまり良い奴は出てこないけど、他作品のように重苦しくはない。もの悲しくはあるけど。
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常に音楽が流れている短編集。 冷めきった関係を復元しようとする老歌手や、メジャーデビューのために整形手術を受けるミュージシャンとか、設定が微妙に現実離れしているところに面白さがあって、すぐ読めてしまいます。 面白くて品のある短編集です。
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カズオイシグロの短編集。タイトルにある「夕暮れ」とは、サンセットタイムだけではなく、人生の夕暮れ(中年から初老の世代)とか男女関係の夕暮れ(別れの予感がある状態)を指しているようだ。熟年離婚、旅先での喧嘩、不安を感じる結婚相手など、何かしら影を感じる設定である。 登場人物はいずれ...
カズオイシグロの短編集。タイトルにある「夕暮れ」とは、サンセットタイムだけではなく、人生の夕暮れ(中年から初老の世代)とか男女関係の夕暮れ(別れの予感がある状態)を指しているようだ。熟年離婚、旅先での喧嘩、不安を感じる結婚相手など、何かしら影を感じる設定である。 登場人物はいずれも「若さ」「付き合いたての頃」「才能」への憧れを持っており、やるせなさを織り交ぜながら切ないストーリーが展開する。それでも、コメディの要素が含まれる話も2話入っていて、ユーモアたっぷりの登場人物とぶっ飛んだ展開に驚かされ、思わずクスッと笑ってしまう場面もあった。切ないストーリーでテンションが下がった読み手としては救われる。
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