完全なる首長竜の日 の商品レビュー
いったん足を踏み入れてしまったらあとはもう巡礼者のようにこの切ないほどに美しい迷宮をさまよい続けるしかないだろう。最後に救済が訪れるのかあるいは更なるカオスの渦に飲み込まれてしまうかはあなたしだい。いやー面白かった。
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読み終わると、現実と夢の区別がつかなくなるような不安定な酩酊感にとらわれる。 今私がここにいること、身の回りにいる人は本当に存在しているのか、たしかに現実だと思うけれども、でも明け方に見る夢のリアルさを思うとそれもまた心もとない感じがしてくる。 〇〇賞受賞とかそういうことで本を...
読み終わると、現実と夢の区別がつかなくなるような不安定な酩酊感にとらわれる。 今私がここにいること、身の回りにいる人は本当に存在しているのか、たしかに現実だと思うけれども、でも明け方に見る夢のリアルさを思うとそれもまた心もとない感じがしてくる。 〇〇賞受賞とかそういうことで本を選ぶことはしないので、この本も冒頭を立ち読みした時点では読む気はなかった。 しかしテレビで著者がインタビューに答えているところを見て、その考え方が面白いなと思ったので読んでみたのであった。 あちこちの書評を見ると、ミステリーっぽくないとかオチが見えたとか、そういう点で評価が低くなっているようだが、謎解きだけがミステリーじゃないと思っているので私は気にならなかった。 それよりも、めまぐるしく入れ替わる現実とSCインターフェースの描写が、激しい酩酊感をもたらしてきて、惑溺してしまう。 「ミシンとこうもり傘」、マグリットの「光の帝国」などの、シュルレアリスムの用語が出てくるあたりが、この小説のカラーをなんとなく物語っているように思う。 おのれの既成概念を激しくゆさぶるという意味では大変充実した読書体験をさせてもらった。時代小説の方も読んでみようかな。
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このミス大賞2011受賞作品。 昏睡状態にある人間とコンタクトが取れるシステムが実現している世界を舞台にした作品。夢と現実とが入り混じり、読者にも主人公にも次第にどちらが現実なのかわからなくなってくる。 しかしこれってミステリかなあ?普段あまり読まないのでわからないけど。 巻末...
このミス大賞2011受賞作品。 昏睡状態にある人間とコンタクトが取れるシステムが実現している世界を舞台にした作品。夢と現実とが入り混じり、読者にも主人公にも次第にどちらが現実なのかわからなくなってくる。 しかしこれってミステリかなあ?普段あまり読まないのでわからないけど。 巻末にあった選考委員・大森望さんの選評「ふつうによくできたミステリは必要ない」って結構ひどくない?(笑)書く側も大変だなあ。
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第9回『このミス』大賞受賞、乾緑郎(いぬい・ろくろう)のデビュー作。 現実と虚実の入れ替えをストーリーに巧みに取り入れ読者を翻弄します。今後、この作品を読んで模倣したものがでてくるのでは、と思わせる作品です。
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途中の現実とが曖昧になるような感じが面白くて、早く先をと思いつつ読み進めました。けど、読み終って話の筋を纏めちゃうと、ちょっとがっかり。ありがちな話を読ませている力量は凄いのだろうけど。
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面白くない訳では無いですが、わたくし的には相性が合わなかったです。読ませる文章は素晴らしいですが、どうもアッサリ感がありまして。
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ふっとこれは夢かもしれないと、疑いが浮かぶ瞬間がたまらない。 日常の描写がリアルなだけに、揺さぶられるような衝撃を感じる。 夢か現か、入れ替わるというより、入れ子になっているような感じを受ける。 ぐるぐると深い穴に落ちていくような。 実は恐竜が好きだという理由だけで手にとったのだ...
ふっとこれは夢かもしれないと、疑いが浮かぶ瞬間がたまらない。 日常の描写がリアルなだけに、揺さぶられるような衝撃を感じる。 夢か現か、入れ替わるというより、入れ子になっているような感じを受ける。 ぐるぐると深い穴に落ちていくような。 実は恐竜が好きだという理由だけで手にとったのだけど、プレシオサウルスの存在に大満足。 夢なのか現実なのか、いつもこの竜が問いかけてくる。 そしてラスト。「バナナフィシュにうってつけの日」を読み返したくなった。
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慣れるまでは読みづらい印象でしたが、ぐいぐい引き込まれました。 が、如何せん全体的にどんよりしておりました。 しんどかったので☆少なめです。 面白かったですけど。スンマセン。
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四畳半マトリックス(もしくはインセプション)という印象。 話は悪くないけど文章が単調で少し読みづらい。 語尾が~した、~だった、~していた、と続くばかりなのでもう少し工夫してほしい。 本の良さというよりも映像にした方がおもしろそうだった。 元編集者との関係は切ない。 主人公は「あんなことで飛び降りなんて」と言っていたが、 そら飛び降りたくなっちゃうよな、と共感できるほど。 変に長く付き合ってた果ての、とかじゃないだけに良かった。 しかし相原先生はなんであんなに偉そうな態度なんですかね。 そこが一番納得いかなかった。
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ミステリーっていうよりSFっぽい 岡嶋二人の『クラインの壺』を思い出した。 植物状態の患者と話せるようになった世界っていうSFな設定だけど説明不足でも過多でもなくすんなり入っていけた。 途中現実か虚構かわからなくなっちゃうのもいい感じに謎めいてた。 自分が実は植物状態でしたっていうのやっぱりだったけど ちゃんと納得できるように解決されていた。 ラストは解決したかーって安心したところからのーだったので びっくりした。 最初化石発掘モノかと思ってた。
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