遮光 の商品レビュー
2024.10.28 読了 恋人の美紀の事故死を周囲に隠しながら彼女がまだ生きているかのように今を語り続ける男 男の一人称で語られるその内面と周囲への虚言とのちぐはぐさに戸惑いながらもどんな結末が待っているのか知りたくて読む手が止まらない不思議な物語だった。 男が迎えた結末は理...
2024.10.28 読了 恋人の美紀の事故死を周囲に隠しながら彼女がまだ生きているかのように今を語り続ける男 男の一人称で語られるその内面と周囲への虚言とのちぐはぐさに戸惑いながらもどんな結末が待っているのか知りたくて読む手が止まらない不思議な物語だった。 男が迎えた結末は理解できるものではなかったけど失くした純愛の行き着く先のひとつなのかなとは思った。
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亡くなった恋人の小指を盗んでそばにおいておく…というやばい主人公。 挙動が頭からつま先までおかしいのだけれど、語り口調は至って冷静で客観的でもある。暴力や演技がかった行動も淡々と実況されるので、いっそ思考もおかしくなってくれないかと思いました。 できた瘡蓋を、痛い、キモいと思...
亡くなった恋人の小指を盗んでそばにおいておく…というやばい主人公。 挙動が頭からつま先までおかしいのだけれど、語り口調は至って冷静で客観的でもある。暴力や演技がかった行動も淡々と実況されるので、いっそ思考もおかしくなってくれないかと思いました。 できた瘡蓋を、痛い、キモいと思いながらも剥がしたりほじくるのが愉しいような…危うい感覚を思い出しました。
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本人もあとがきで触れていたが、「銃」とかなり似ていると思った。構成も文体も。その上で本作の主人公の方が理解できる所は多く感じた。 ラストシーンも「銃」と似ているが、このシーンの美しさは本作特有のものであると感じた。そして僕はこれがかなり好きだった(「銃」のラストも好きだったが)。 久々に「何もかも憂鬱な夜に」を読みたくなった。
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虚言を重ねないと自分を保っていられない程の悲しみを読む間ずっと浴び続けた。中村さんは「共感」と軽々しくは言えないけれど、確かに自分の中にある感情の片鱗を、すくいあげて、違う形にして小説の中で見せてくれるなぁ。
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1日で読了。怖い、でも読めば読むほど過去に色々あったこと、今までは虚言癖で通せたことでも、本当に大切な人に出会ってその人のことになると嘘はつけないこと。瓶のインパクトが強い。
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初めて中村文則さんの作品を読みました。狂った人が出てくる小説が読みたいと思い買いましたが、読む時はそこまでじゃなくなってて、でも読みたいと思って買ったしと思って読み始めたら、やっぱ今読むべきじゃなかったかもと思い始め、でも途中でやめたら、ずっと読まないかもしれないと思い、二日で読...
初めて中村文則さんの作品を読みました。狂った人が出てくる小説が読みたいと思い買いましたが、読む時はそこまでじゃなくなってて、でも読みたいと思って買ったしと思って読み始めたら、やっぱ今読むべきじゃなかったかもと思い始め、でも途中でやめたら、ずっと読まないかもしれないと思い、二日で読みました。 なかなか共感も、理解もできない小説でした。ただ、こういう小説を書く人もいるんだなと。又吉が中村文則さんと仲良しなのは何となく分かるような気がしました。 巻末にご本人の解説があって、今回こういう作品を一度でも読めて良かった気がしました。 (2回目読み中)主人公の虚言癖は幼少期のことがあったから……おじさんからの助言を守り、そのおかげでちゃんと生きてこれた。虚言は自分を守るための無意識の習慣なんだな。そして今度は美紀のいない世界をなんとか生きるための手段なのだなと。不運で悲しい、いたたまれない人だと思った。
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本当になんとなく、東京にいる友人にこの本を送った。まだ届いていないみたいなのだけれど、間違えてしまったような気もする。まあいいか。
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虚言癖の青年が『恋人の死』と言う圧倒的な絶望に抗おうとする物語。 純愛と狂気、そして終始不穏な空気が漂う作品。 ラストまで主人公の行動と心理は理解出来なかった。 ダークで陰鬱な雰囲気が『中村文則作品』の魅力だと思うが、残念だけど私には合わなかった。
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大切な人の死という、不条理に対して足掻き苦しむ青年の物語。 青年の狂気が最終的に最悪の形で顕在化してしまうわけだが、この狂気の根源はなんなのか? 幼少期両親の死という不条理を一旦受け入れ、自分を偽りながら幼少期を過ごした青年。 その青年が心を許した恋人が死にもう一度、不条理な現実に向き合う事になる。 その不条理に抗う姿勢が狂気に変わっていく。 おかれる立場や環境によっては、誰もがこの青年のような狂気を顕在化させる可能性はあると思う。 読後、恋人が生きていて青年が幸せに生きていく物語をつい想像してしまう。
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ピース又吉が愛してやまない20冊に挙げている作品。人は誰しも心のうちに狂気を秘めているのか?主人公は恋人の死を境に、狂気が顕在化してしまう。但し、本作では主人公は幼少期から、かなりの異常気質を抱えていた事も窺える。恋人の死が無ければ、それなりに幸せな暮らしが出来ていたのかもしれな...
ピース又吉が愛してやまない20冊に挙げている作品。人は誰しも心のうちに狂気を秘めているのか?主人公は恋人の死を境に、狂気が顕在化してしまう。但し、本作では主人公は幼少期から、かなりの異常気質を抱えていた事も窺える。恋人の死が無ければ、それなりに幸せな暮らしが出来ていたのかもしれないところがとても痛ましい。主人公の感情と行動にズレが生じている部分を、作者は巧みに表現しているが、読んでいて恐怖を感じる程惹き込まれる。恐ろし過ぎて普通の小説愛好家には決してお勧めできる代物ではない。挑戦する方は、覚悟して読んで欲しい。
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