遮光 の商品レビュー
正直、主人公の気持ちを理解できるとは言えない。 最後の殺人についても正直分からないし、指を持ち歩くということもわからない。 しかし、死んだ人を忘れられずにいる姿だけは少し理解できる。 しかし、所々で描かれている演技をしているという表現から本当に本人が望んでいたものは何だったのか、...
正直、主人公の気持ちを理解できるとは言えない。 最後の殺人についても正直分からないし、指を持ち歩くということもわからない。 しかし、死んだ人を忘れられずにいる姿だけは少し理解できる。 しかし、所々で描かれている演技をしているという表現から本当に本人が望んでいたものは何だったのか、本当に彼女さえ生きていればよかったのか…… 確かに私達は少し演じているところはある。本音と建前を使い分けこの人に対してはこういう態度を試みよう、この言葉や表現をしてみようなどと半ば調整とも取れるようなものをすることもあるだろう。 もしかしたら、それの延長線上には自分を見失う主人公のような結果が待ち受けているのではと少し怖くなる。
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狂いまくってる。 正気に戻りたくない気も理解出来る。 「〜だった。が、〜〜」 みたいな書き方が多くて気になり始めた。
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彼の作品に共通して出てくる水。そして 虫 水は流れる先がないデッドエンドに溜まり濁り腐った水。そして、その汚水より自然発生的に生まれてくる虫。 そんなイメージの薄暗く鬱屈とした世界に生きる希死念慮の強そうな破滅型な優男。 漫画家古谷実の描くヒミズの主役住田を 思い出した。ダークネ...
彼の作品に共通して出てくる水。そして 虫 水は流れる先がないデッドエンドに溜まり濁り腐った水。そして、その汚水より自然発生的に生まれてくる虫。 そんなイメージの薄暗く鬱屈とした世界に生きる希死念慮の強そうな破滅型な優男。 漫画家古谷実の描くヒミズの主役住田を 思い出した。ダークネスであるが、何故か惹かれてしまう。
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中村文則氏は全作品読むのがもったいなくて、半分くらい読み終わっているが、その中で1番好き。 地球の、地球上の、生命のって考えたらありなのかな。 愛じゃなくて、と考えたり。 愛であって欲しいと考えたり。 何度でも読んでいきたい。
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中村文則の2作目、野間文芸新人賞受賞作品。作者自身も認めているように、暗いし癖もある。生きながら此岸と彼岸のボーダーに立っている男の話。
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億劫だったことが過ぎ去った。 浮かれた気分から通常へとバランスを整えたくて、手に取った。 崩壊と悲しみが今のわたしにちょうどよかった。
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中村文則さんの作品を初めて読んだ。陰鬱で不気味で不快なのに、なぜか惹かれてしまう。恐怖さえ感じる不条理な世界だ。「遮光」というタイトルが、この作品の全てを表してて素晴らしいタイトルだと思う。この不快感を忘れられず中村作品を手に取るんだろうな
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【一言感想】 どうしようもない悲しみに出会ってしまい、その事から逃避を続けると自身を見失ってしまう どんな平和な世界に暮らしていても、乗り越えがたい苦しみや悲しみというものは必ず付き纏ってくる、その出来事や光景に対して自分自身を"遮る"行動をしてしまうと、自...
【一言感想】 どうしようもない悲しみに出会ってしまい、その事から逃避を続けると自身を見失ってしまう どんな平和な世界に暮らしていても、乗り越えがたい苦しみや悲しみというものは必ず付き纏ってくる、その出来事や光景に対して自分自身を"遮る"行動をしてしまうと、自分の立ち位置が段々と不安定になるため、平常心を装うために虚言を吐き続けてしまう、現代人の闇を描いたような作品であった
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
冒頭から「多分『まとも』な人間ではないのだろう」と感じた主人公が、進めば進むほど狂気性を増していく。 このまま「ああ、頭のおかしな人間の様を見る話なのだな」というところで終わらせてくれないのが恐ろしいところで、過去をやんわりと見せつつ終盤畳み掛けるような展開の中で、ふと主人公と感情を分け合えるような場面も出てくる。『銃』を読んだ時も思ったが、「もしかしたら、明日私はこちら側の人間になってしまうかもしれない」と思わせる瞬間を見せながら崩壊していく主人公にいつも翻弄されている気がして読後放心してしまう。
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中村文則の小説にまたハマっていて最近読んでるけど、遮光は読んでいてものすごくジョジョの第4部の吉良吉影を思い出した。著者はジョジョ大好きなのではないだろうか。主人公が死んだ彼女の指を大事にしているのは気持ち悪いけど、無機質な感じは共感が持てた。中村文則の本はどれを読んでもどこか陰...
中村文則の小説にまたハマっていて最近読んでるけど、遮光は読んでいてものすごくジョジョの第4部の吉良吉影を思い出した。著者はジョジョ大好きなのではないだろうか。主人公が死んだ彼女の指を大事にしているのは気持ち悪いけど、無機質な感じは共感が持てた。中村文則の本はどれを読んでもどこか陰鬱な空気が漂っているけれども、ある意味すごく人間的でやはり好きだなと再認識した。また違う本も読んでみようかと思うが、なぜか中村文則の本て読んだ数か月後に内容が全然思い出せないことが多い。おもしろいと感じているのに。
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