遮光 の商品レビュー
あとがきにある“苦しみから一定の距離を置くのではなく、その中に入り込んで何かを掴み描き出そうとすること”これがこの本の全てだと思う。強い執着でもなく、他人の存在がどれほど自分に影響齎して事態を招いたかという内容とは異なり自分の中に収めていたあらゆるものが衝突し暴発するような、そん...
あとがきにある“苦しみから一定の距離を置くのではなく、その中に入り込んで何かを掴み描き出そうとすること”これがこの本の全てだと思う。強い執着でもなく、他人の存在がどれほど自分に影響齎して事態を招いたかという内容とは異なり自分の中に収めていたあらゆるものが衝突し暴発するような、そんな小説だった。
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没入感がすごい。 主人公の嘘や周囲の人々の言動との矛盾に最初は違和感を覚えるが、段々と世界観に飲み込まれ、何が本当だったのか分からなくなる。 自分が同じ立場になったとき、どうするか考えさせられた。
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彼女の交通事故死を受け入れられず、周囲には今も生きていると、 幸福であることを語っていた。その彼の手元には、黒いビニールに 包まれた、謎の瓶があった・・・。 人の内に秘めた顔が表に出てしまう、それがどういうきっかけになるか、 過去の出来事をきっかけに、「虚言癖」がある彼にとって...
彼女の交通事故死を受け入れられず、周囲には今も生きていると、 幸福であることを語っていた。その彼の手元には、黒いビニールに 包まれた、謎の瓶があった・・・。 人の内に秘めた顔が表に出てしまう、それがどういうきっかけになるか、 過去の出来事をきっかけに、「虚言癖」がある彼にとってみれば、 自分を不幸のどん底に叩き落さないための行動だったのでは? 、と推測することもできる。 彼女の死を目の前にして、彼は何をして、その後の行動や物語の最後に 至るまでをどう読み、感じ取るか、 それは自分としてはとても難儀し、奇怪に感じた。 想像力が豊かな人、こう言う内容が苦手な人は、 心して読むべきでしょう。
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ずっと、自分に関心が向いている主人公。 自分の振る舞いを演じていると捉え、自分が本当にそうしたいのか分からないまま過ごす。 自分が社会において異質であることを証明するための、指。振り切って、その異質を受け入れた世界へ入る。 自分のしたいことと、相手(世間)に求められてることの境...
ずっと、自分に関心が向いている主人公。 自分の振る舞いを演じていると捉え、自分が本当にそうしたいのか分からないまま過ごす。 自分が社会において異質であることを証明するための、指。振り切って、その異質を受け入れた世界へ入る。 自分のしたいことと、相手(世間)に求められてることの境目がわからなくなる、、、それはきっと、自分が異質であることをどこかで認めつつ、どこかで否定しているから。
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僕はこの歪さを、純愛だろうとは言えない。でも、たしかに、愛にはどうしようもなく崩壊へ誘うものがあるのだと思う。だから、これは純愛の鱗片なんだろう。
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新年から暗い気持ちになることが、僕にとっては 重要なんじゃないかと思い、読みました。 素晴らしい読後感でしたね、何かに導かれるように、陰鬱な気持ちになりました。 デビュー作の「銃」に通ずる、衝撃のラストですね。愛する人の死を受けいられずに、常に自分を 偽り続けて、死んだはずの...
新年から暗い気持ちになることが、僕にとっては 重要なんじゃないかと思い、読みました。 素晴らしい読後感でしたね、何かに導かれるように、陰鬱な気持ちになりました。 デビュー作の「銃」に通ずる、衝撃のラストですね。愛する人の死を受けいられずに、常に自分を 偽り続けて、死んだはずの人が生きているかのように、周りに嘘を言い続ける、虚言癖のある男性が主人公で、狂気じみた言動が心に響きます。 中村文則作品の原点でもあるような気がします。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
再読 終わりで美紀と一体になれてよかった 陰鬱さを抱えながら明るい世界で生きていくのは難しい、希望だった美紀と死で分断されても理性を乗り越え狂気の中で出会えるならそれは希望だ 仮面の告白と並行して読んでおりこれまた偶然性だなと
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黒いビニールに包まれた瓶を肌身離さず持ち歩く青年が、瓶の中身に執着し取り込まれていく様子は、前作『銃』を彷彿とさせます。 虚言癖、唐突すぎる暴力衝動など、狂気に満ちた言動は理解出来ませんが、その迫力は十分で読み進めるごとに引き込まれてしまいました。 陰鬱さと不穏さがドライに描...
黒いビニールに包まれた瓶を肌身離さず持ち歩く青年が、瓶の中身に執着し取り込まれていく様子は、前作『銃』を彷彿とさせます。 虚言癖、唐突すぎる暴力衝動など、狂気に満ちた言動は理解出来ませんが、その迫力は十分で読み進めるごとに引き込まれてしまいました。 陰鬱さと不穏さがドライに描かれ、息苦しさすら感じる暗い世界観。 それでも、他の作品も読みたくなってしまうという、不思議な魅力を感じる一冊です。
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狂った恋愛小説が読みたいと思って読みました。個人的にはもっと狂っていてもよかった。文章はかなり読みやすいです。最後の行動は最初からそうしてたらニコイチになれたのにね。
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狂気の愛。主人公は狂っているが、常人では理解できない何かがあるのだろう。気持ち悪い作品だが薄い本だし、引き込まれてあっという間に読んでしまった。 やはり、なんとなく大江健三郎さんの世界観に似せようとしている感覚があると思った。
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