もうすぐ絶滅するという紙の書物について の商品レビュー
博覧強記、イタリアの中世学者ウンベルト・エーコとフランスの作家ジャン=クロード・カリエールによる対談本。 タイトルのインパクトと、まさに本文で何度も出てくる"インキュナビュラ"( 1500年以前に印刷された本)を彷彿させる装丁の美しさに惹かれて買いました。 ...
博覧強記、イタリアの中世学者ウンベルト・エーコとフランスの作家ジャン=クロード・カリエールによる対談本。 タイトルのインパクトと、まさに本文で何度も出てくる"インキュナビュラ"( 1500年以前に印刷された本)を彷彿させる装丁の美しさに惹かれて買いました。 本書は、本の魅力や本の価値が、引き出しの多い愛書家のお二人のストーリー(うんちく話し?)によって緩やかに展開していきます。 例えば、本には、あえて読まないでワインのように貯蔵して古い書物を所有する楽しみ方もあることや、本の価値を金額にすると、インキュナビュラでは100万ユーロ以上もの高値で入札するものもあることとか。亡くなった父親の遺産相続の際に土地やお城ではなく「本だけでいいです」といった子供の話しが印象的でした。 では、紙の本は、電子書籍に駆逐されてしまうのか?本は絶滅するのか?という問題提起についての結論をどう捉えるべきか。 確かに本にも寿命はあるし、最初から本という体をなさずに電子媒体として生まれてくる書物もあるかも知れません。 そもそも紙の本や電子がもたらす体験や価値には、少なくとも紙であれば単純に「読む」ということだけではないことが本書からはメッセージとして明確に受け取れるんじゃないかと思います。 だからこそ、そんなことをふまえて、紙の本や電子書籍をを提供する方は、もっと「読む」ということにまつわる体験や価値を本書の対談のように広く深く考えたうえで、従来の延長戦ではない本の価値を絶えずリノベーションし続けることが必要に感じました。 ぜひとも再読したい一冊です。
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原題を直訳すると「本から離れようたってそうはいかない」となるらしい。 邦題の「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」とはかなり印象が違うし、原題の方が内容にあっているように思う。 ウンベルト・エーコとジョン=クロード・カリエールの対談。 博識なおじいちゃん同士の対談というだけ...
原題を直訳すると「本から離れようたってそうはいかない」となるらしい。 邦題の「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」とはかなり印象が違うし、原題の方が内容にあっているように思う。 ウンベルト・エーコとジョン=クロード・カリエールの対談。 博識なおじいちゃん同士の対談というだけあって、議題は、本、映画、文化、芸術、言語、宗教、と多岐にわたっている。 正直なところ、彼らが取り上げた、フランス文学の巨匠も、イギリス映画の重鎮も、ギリシャ哲学の偉人のほとんどを知らなかった。 それでもおもしろいと思ったのは、彼らが取り上げるエピソードが機知に飛んでいるということと、なにより楽しそうに話ていたから。 進行役のジャン=フィリップ・ド・トナックがふった話題をそっちのけで、よくしゃべるし、脱線してまたよくしゃべる。そしてなんでも知ってるんじゃないかと思うぐらいの豊富な知識 。そして、本が好きなんだなってのがよく伝わってくる。 自分も彼らの間に入って、一緒に話せるぐらいの知識があれば、もっともっと面白いと思えたんだろう。私が今の彼らと同じ歳になったときには、それぐらいの知識が身についているんだろうか。 本を車輪に例え、完成された発明品と呼んだのが印象的だった。 本好きの本好きによるの本好きのための本 そんな感じの本。 以下は、自分メモのための抜粋。 グローバリゼーションにより、みんなが同じようにものを考えるようになるとばかり思ってましたけれども、じっさいにはまったく逆の結果になりました。グローバリゼーションがもたらしたのは共有経験の細分化という現象でした。 ・・・・・・119頁(ウンベルト・エーコ) 私もいつか文化や思想が統一化に向かうのではないか、まるで混ざり合った絵の具のように、暗くつまらない色に染まってしまうのではないかと考えたことがある。学生時代、それを風刺(しようと)した絵を描いたこともあったことを思い出した。 だがネットをはじめとするあらゆる情報媒体が教えてくれるのは、驚くほど人は多種多様な思想もち、あまりに違い合うということ。 無知な人々というのは、そこらじゅうにいて、しばしば無知の何が悪いと開き直っています。熱心に仲間を増やそうとさえしています。無知は自身に満ちていて、狭量な政治家たちの口を借りて、その優位を宣言します。 ・・・・・・417頁(ジョン=クロード・カリエール) 無知を是とする彼らは、いつその自信を手に入れたのだろうか、自ら思いついた結論なのだろうか。誰かの言葉が彼らの自信を支えているのだろうか。なら、その言語によって、その知識によって救われたということではないだろうか。知識は道具だ。その道具で、もし誰かを助けることができるのだとしたら、私はできるだけ多く、より良い道具を持っていたいと思う。 ちなみに、私はハードカバーの本読むときは、カバーを外して読むことが多い。 単純にそのほうが読みやすいのと、ズレたり、折れたり、汚れたりするのが嫌だからだ。 そこで、カバーを外し、裏を見てみると、フランス語の原題が記されている。 そうこのカバーはリバーシブルだったのだ。 これには気づけたときには、歓喜し、自分で自分を賞賛した。 「よくぞ気づいた、お前は天才だ。きっとこれに気づいたのは世界で数人の愛書家だけだろう。」と。 (後で知ったが、リバーシブルであることを書いている書評はネットでも多くあったので、持っている人なら誰でも知っているんだと思う。) 今、この本はフランス語の背表紙で私の本棚を彩ってくれている。 実に美しい。
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アマゾンで話題になっていたのと、装丁が素敵で思わず購入。しかし期待した程収穫はなかったです。豆知識好きのおじさんと話してる気分で読みました。簡単な話をしているけど、文章が難しいです。 “これ読んでる自分に酔いたい”人が好きそうな本でした。
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読書が大好きな海外の文筆家たちの対談集です。 対談の片方が「薔薇の名前」の作者であることと、装丁の美しさとタイトルの奇抜さで一目惚れ買いしてしまいました。。。 内容は、紙の書物の過去・現在・未来、あとは本好きの二人がとりとめのないことを自由に好きに語っています。 正直、作中に出て...
読書が大好きな海外の文筆家たちの対談集です。 対談の片方が「薔薇の名前」の作者であることと、装丁の美しさとタイトルの奇抜さで一目惚れ買いしてしまいました。。。 内容は、紙の書物の過去・現在・未来、あとは本好きの二人がとりとめのないことを自由に好きに語っています。 正直、作中に出てくる海外の作家・詩人をほとんど知りませんが、それでも全然飽きない。むしろ彼らが語ると非常に魅力的に見えます。例えば、全部で14作品出した某作家を『ゼロかける十四』と批評した作家を紹介したり。この批評は痛烈で面白いですよね。 この本を読後、自分が読書好きであることを改めて感じ、今しかないのだから、その時に自分が好きだ面白そうと感じる本を自由に読めば良いのだと思いました。
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正直、ジャケ買い。 まだ、中身は読んでませんが、 タイトルにハマった装丁に惚れ込んでしまいました。
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とある雑誌で装丁が取り上げられていたのが気になったのとタイトルに興味を持ち購入 まず装丁の素晴らしさもさることながら「紙の本」を愛する人達の哲学にも似た情熱が伝わってきます。 でも知識がたらず一回読んだだけではまだ1/3程も理解できていません… 多少なりとも本を愛する者とし...
とある雑誌で装丁が取り上げられていたのが気になったのとタイトルに興味を持ち購入 まず装丁の素晴らしさもさることながら「紙の本」を愛する人達の哲学にも似た情熱が伝わってきます。 でも知識がたらず一回読んだだけではまだ1/3程も理解できていません… 多少なりとも本を愛する者として読み込みたい一冊です。
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ジャン=クロード・カリエールとウンベルト・エーコの古書蒐集など書物を話題の中心にした対談本。正直、出てくる固有名詞は全く理解できなかったが、書物が担う役割、意味をじっくりと理解できた気がする。書物を好きになるよ。
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本の蒐集の大家による対談集。 つまらなくはないけど、まとまりがなく話もよく飛ぶ。 雑学をどや顔で応酬している印象で、ちょっと投げ出した。
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80を過ぎた本をこよなく愛するジジィ二人…いや、書物の歴史を知る生き証人二人の対談集。 タイトルに惹かれて購入したけど、それそのものについてはちょっとしか触れられてない—というか、どの章でもコーディネーターが困るくらい話が別方向へと脱線しまくる。楽しい。 書物の未来を論じるだけな...
80を過ぎた本をこよなく愛するジジィ二人…いや、書物の歴史を知る生き証人二人の対談集。 タイトルに惹かれて購入したけど、それそのものについてはちょっとしか触れられてない—というか、どの章でもコーディネーターが困るくらい話が別方向へと脱線しまくる。楽しい。 書物の未来を論じるだけなら、べつにこの二人でなくてもいいし。 例えに出てくるいろいろな書物、ほとんど分らないけど、書物に憑かれた愛すべき二人のジジィの話は、それでもとても興味深い。
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紙の書物が絶滅するのか否か、その答えは冒頭に書かれてしまいます。 結果が出てしまった後に続くのは、エーコとクロードの雑談です。 彼らの飽くなき書物への愛情が長々と綴られる一冊。
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