もうすぐ絶滅するという紙の書物について の商品レビュー
これは「卑怯」な本だ。愛さざるをえない。本を愛する人達に向けて、本を愛する賢人二人が、本への愛を語る、という本なのだから。内容の是非以前に、悪い評価を「付けられるはずがない」本になっている。 もちろん内容も面白い。賢人二人が自然に発しているセリフの中にも、引用したくなるフレーズが...
これは「卑怯」な本だ。愛さざるをえない。本を愛する人達に向けて、本を愛する賢人二人が、本への愛を語る、という本なのだから。内容の是非以前に、悪い評価を「付けられるはずがない」本になっている。 もちろん内容も面白い。賢人二人が自然に発しているセリフの中にも、引用したくなるフレーズが山ほどある。例えば、「哲学って何の役に立つんでしょう?」とか・・・あなたたちが言いますか! 当然ながら装丁も凝っていて、まるで高級家具のよう。考えぬかれたであろうタイトルもずるい。電子書籍の話が毎日取り沙汰される現在、このタイトルにそそられない人がいるだろうか。 いやほんと、卑怯な本だ。
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2011 8/18読了。筑波大学図書館情報学図書館で借りて読んだ。 ウンベルト・エーコとジャン=クロード・カリエールによる、文化史・書物史・読書史的な対話篇。 タイトルは原題の正確な邦訳ではないけど、皮肉が効いていていいと思う。 電子書籍云々、インターネット云々という話も多少はあ...
2011 8/18読了。筑波大学図書館情報学図書館で借りて読んだ。 ウンベルト・エーコとジャン=クロード・カリエールによる、文化史・書物史・読書史的な対話篇。 タイトルは原題の正確な邦訳ではないけど、皮肉が効いていていいと思う。 電子書籍云々、インターネット云々という話も多少はあるけど、大半は古書やインキュナブラや刷られなかった本や残らなかった本や残った馬鹿・阿呆・間抜けな本についてだったりする。 次々に参照される知識量が半端ない。なんだこの2人。 それも今は忘却されて知られていない17世紀の詩人の話とか、他に興味を持っている人の限られるような古い大衆小説の話なんかもぽんぽん出てくる。 分厚いけどすらっと読めるし、面白かった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
Amazonから到着した本と対峙した時、読みきれるだろうかと恐れたけれど、中を開いてみたら読みやすく面白く楽しくで、一週間足らずで読破出来ました。 「耐久メディアほどはかないものは無い」の章で、本当に私たちは短い時間の間で何度記録メディアを変え、それに振り回されないといけないのだろうと思い知らされ、最終章「死んだあと蔵書をどうするか」で本というものの「肉体」の「長寿の可能性」を思い知らされました。 タイトルだけだと「紙の書物はこんなに優れていていいんだよー」と延々書かれているのではないか、と危惧しがちですがそんなことはありません。ただ、本という物質を愛し、本という精神を愛し、それが紙であろうと電子的な何かであろうとそのものを愛する2人の人間の、止めどなく本についての愛を語った本でした。 もっとたくさん本を読んで、また再読したいなと思わせる一冊でした。
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これは面白いです。タイトルがちょっと刺激的ですが、非常に読みやすい本です。エーコとカリエールという偉大なビブリオマニアが、書物への偏愛を基軸にあらゆる知識教養を駆使して語ってくれます。本が好きな方には間違いなくお勧めできる一冊です。
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刺激的で知的好奇心が湧いてくる良作。タイトルが釣っぽいが、価値や意味を変えて残り続けるという結論が冒頭に出て安心して読み進められる。そこからは、話題があちらこちらに振れ。知識が追いつかないが、一つ一つの逸話を追うだけでも十二分に愉しめる一作。その二人の熱量が図書館や本屋に足を運ぶ...
刺激的で知的好奇心が湧いてくる良作。タイトルが釣っぽいが、価値や意味を変えて残り続けるという結論が冒頭に出て安心して読み進められる。そこからは、話題があちらこちらに振れ。知識が追いつかないが、一つ一つの逸話を追うだけでも十二分に愉しめる一作。その二人の熱量が図書館や本屋に足を運ぶ欲望を誘発する一作。 特に面白かったのは「今日、我々が目にしているのは本当に価値がある本なのか?」というテーマ。ギリシア時代の悲劇/喜劇の内、「その後の世界史を変えたかもしれない傑作」は既に姿を失い、今読んでいるものは当時のポピュリズムに迎合しただけの駄作かもしれない。その可能性に想いを馳せるだけで、やるせなくもあり、悠久の時を感じられて楽しくもある。 時に事故的な火災。時に焚書。時に間違った廃棄。意図する/しないに関わらず失われた本、残った本がある。そのことに対して感傷的にも懐疑的にもならず事実を受け止めた上で進んでいく対談が、静かなながらも熱量があり、スリリング。 装丁と序章だけでも読む価値がある本。これで興味を惹かれた人は絶対に本章も面白く感じられると断言できる作品。本好きの人が更に本好きになる。お勧めです!!
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これぞまさに本の本だと思いました。 と、判面がちいさいのでけっこう分厚いけどすらすら読めました。今までで最速かも。。 そういう点からも参考になる本でした。
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厚いが嵩高用紙なのとページ文字数が少なめなので、意外とさっくり読める。テーマが本だけに装丁も凝ったもので、鮮やかな青く塗られた小口は、本としての所有感も考えてでしょう。書名から想像するような電子書籍についての見解はほとんど1章でさらっと触れて終わり。紙の書籍は車輪のように完成され...
厚いが嵩高用紙なのとページ文字数が少なめなので、意外とさっくり読める。テーマが本だけに装丁も凝ったもので、鮮やかな青く塗られた小口は、本としての所有感も考えてでしょう。書名から想像するような電子書籍についての見解はほとんど1章でさらっと触れて終わり。紙の書籍は車輪のように完成された発明で、「車輪の再発明はない」で結論。あとの尽きることない稀覯書談義で内容的には気軽に楽しめるが、洋書中心となるのはいたしかたない。2人のファンならともかく、装丁はがんばったけど常に手元に置いておきたい1冊とはいえないところかな。
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書物が消滅するという固定概念について、「インターネットが登場したことで、私たちはアルファベットの時代に戻ったのです」との回答。これが、書物、言語の全てを表している。蔵書のすべてを読んでいる訳でもないし、読まなければいけないと思っている訳でもないそうだが、電子書籍だとそういった積ん...
書物が消滅するという固定概念について、「インターネットが登場したことで、私たちはアルファベットの時代に戻ったのです」との回答。これが、書物、言語の全てを表している。蔵書のすべてを読んでいる訳でもないし、読まなければいけないと思っている訳でもないそうだが、電子書籍だとそういった積ん読は間違いなく増えるだろう。紙と電子の差はその辺りにあると理解した。
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面白かった! ウンベルト・エーコとジャン=クロード・カリエールという、読書界の巨人2人(と言って間違いないですよね?)が、紙の書物について縦横無尽に語る語る。 前半は、技術の革新と紙の書物の関係、紙の書物の特性や魅力を語り合い、紙の書物はなくならないという確信を深める。 ま...
面白かった! ウンベルト・エーコとジャン=クロード・カリエールという、読書界の巨人2人(と言って間違いないですよね?)が、紙の書物について縦横無尽に語る語る。 前半は、技術の革新と紙の書物の関係、紙の書物の特性や魅力を語り合い、紙の書物はなくならないという確信を深める。 また、中程からは書物という物体への愛を語り出し、それぞれのコレクションを披瀝するに及び、これじゃあ、まるでメンココレクションを自慢しあう小学生小僧じゃん!!の勢いで、書物オタクの面目躍如なんである。 そのオタク度に、あちこち笑ってしまったのだが、中でも 「オクタビオ・パスの身に降りかかった悲しい出来事の話をしましょう。書庫が焼けたんです。悲劇です!それも考えてもみてください、オクタビオ・パスの書庫ですよ!世界じゅうのシュルレアリストたちが彼に贈った直筆サイン本の数々。ここ数年で、いちばん悲しい事件でした」 と言う、身も世もないほどのカリエールの嘆き。 いやあ、オクタビオ・パスの書庫が焼けるなんて、書物マニアにとって、そりゃあこの上ない悲劇ですよ、だけど、だけどねえ? また後半のほうで、 「世界には書物があふれていて、我々にはその1冊1冊を知悉する時間がありません。(略)ですから我々は、読んでいない書物、時間がなくて読めなかった書物から、深い影響を受けています。誰が『フィネガンズ・ウェイク』を全部、というのは最初から最後まで一字一句逃さず読んだことがあるでしょう。」「白状しますと、私が『戦争と平和』を読んだのは40歳になってからです。」 などと言い出すエーコは、なんとも愛くるしいではないか。 これだけの読書家でも、読んでない本がある! 読んでなくたっていいのだ! なにせ、カリエール曰く 「本棚に入れておくのは、読んでもいい本です。あるいは、読んでもよかった本です。そのまま一生読まないのかもしれませんけどね、それでかまわないんですよ」 である。 さすがマニア。 書物本というより、オタク本、かも。一級品の。
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店頭で見た時、厚い本だなぁ!と感じました。最近は文庫本、新書が紙の書籍では多くなっています。電子書籍端末でも本を読んでいるので尚更です。 内容は面白かった!です。何カ所かで過去に読んだクリフォード・ストールの「インターネットはからっぽの洞窟」でデジタルデバイスの危うさを言ってい...
店頭で見た時、厚い本だなぁ!と感じました。最近は文庫本、新書が紙の書籍では多くなっています。電子書籍端末でも本を読んでいるので尚更です。 内容は面白かった!です。何カ所かで過去に読んだクリフォード・ストールの「インターネットはからっぽの洞窟」でデジタルデバイスの危うさを言っているのを思い起こしました。 核廃棄物の処理方法は今の福島第一原発の後処理に参考になりそうです。 本の内容では無いのですが翻訳者の表現力が足りないかなぁと感じました。言葉の使い方、句点の入れ方がしっくり来ないのです。
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