コトラーのマーケティング3.0 の商品レビュー
企業優位のマーケティングが1,0 顧客重視のマーケティング2,0 そして、現代はマーケティング3,0へ 「共働」「文化」「スピリチュアル」の3つを軸に10の法則にまとめ上げてある
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「ほうほう、またマーケティングに新たな用語が出てきましたなあ、今度は3.0ですか」という懐疑的視点と、「加熱するソーシャルメディア関連のWebマーケティングに対する視座が得られるかも」という希望的視点を持ち合わせて読んでみました。 読了後の率直な感想としては「ピンとくる内容があ...
「ほうほう、またマーケティングに新たな用語が出てきましたなあ、今度は3.0ですか」という懐疑的視点と、「加熱するソーシャルメディア関連のWebマーケティングに対する視座が得られるかも」という希望的視点を持ち合わせて読んでみました。 読了後の率直な感想としては「ピンとくる内容があまり多くなかった」。ある程度マーケティングで成功を収めた大規模の企業に対する、次の施策に向けた概念的なロードマップを示したものなのかな、という印象です。 同著によると、マーケティング3.0は3つの因数に分解できます。(1)ある企業が他企業や株主、チャネルパートナー、社員、消費者と協働する「協働マーケティング」、(2)テクノロジー化とグローバル化が引き起こす世界規模の文化的な課題をビジネスモデルの中心に据える「文化マーケティング」、(3)企業の理念と事業の妥当性、将来のビジョンが消費者にどのような影響を与えるかという視点を取り入れる「スピリチュアルマーケティング」――この3つのバランスを適正に保ったマーケティング活動が、マーケティング3.0のあるべき姿なのだ理解しました。 なぜこれがピンとこなかったのか。これは「いまだにマーケティング1.0の段階でとどまっている企業が多い」というコトラーの指摘が背景にあるのでしょう。多くの企業が、いかに製品やサービスを利益に変えていくかという視点でマーケティング戦略を立てていると思います。ソーシャルメディアが登場してようやく「傾聴」「対話」といった消費者とのやりとりに焦点が定まるようになったとも思います。マーケティングは1.0から2.0に移行する過渡期であるのに、コトラーはすでにその先を見ている。ここにいち企業で働く身として現実感を持って向き合うことができなかったのです。 ちなみに「マーケティング1.0/2.0」については以下のように落とし込みました。マーケティング1.0は、良い製品を作ればマーケティングで売れるという「プロダクトアウト」、マーケティング2.0はユーザーの意見を取り入れたマーケティングを実施する「マーケットイン」の手法であると。 マーケティング3.0を実現する1つの例としては、最近報道でたまにみかける「コーズ・マーケティング」という取り組みです。これは、企業の製品やサービスを購入することで、その一部の利益が教育支援や環境保護に結び付くという考え方です。同著の言葉を借りると人間の感情や気持ち、精神を充足させることが今後の企業のマーケティング活動には大事で、そのために企業はコーズ(大義)に取り組む必要があるという見方です。 「質も価格も同じA、Bという製品がある、Aは購入額の一部がどこかの国への寄付になる、Bは特に何もない」。この状態で多数の人は製品Aを購入するというように、消費者視点に立つとコーズマーケティングの威力を理解できるのですが、それをサプライヤー側の企業視点で見ると、それをあまねく実現できる企業は少ないだろう、と感じてしまうのです。 とはいえ、グローバル化とテクノロジー化にともなって、製品はコモディティ(日用品)化し、差別要因を付加できなくなりつつある今、マーケティングの手法として、人の感情や気持ち、精神を充足させることを考えるのは、やはり正解といえるのかもしれません。そしてそれを実現するには、部門や担当者といったミクロではなく、企業全体というマクロな規模で、マーケティング活動を実現していかないといけないのでしょう。マーケティング3.0は限りなく組織論に近い内容なのだと感じました。 先進企業はマーケティング3.0のステージに足を踏み入れています。すべての企業がそこに到達する必要はないと思いますが、概念だけでも頭に入れておくといいかもしれません。今回は本著のうまみをあまり実感できなかったので、少し時間をおいてから再読してみようと思います。 【目次】 はじめに ●第1部 トレンド 第1章 マーケティング3.0へようこそ 第2章 マーケティング3.0の将来モデル ●第2部 戦略 第3章 消費者に対するミッションのマーケティング 第4章 社員に対する価値のマーケティング 第5章 チャネル・パートナーに対する価値のマーケティング 第6章 株主に対するビジョンのマーケティング ●第3部 応用 第7章 社会文化的変化の創出 第8章 新興市場における起業家の創造 第9章 環境持続可能性に対する取り組み 第10章 まとめ
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■マーケティング ①マーケティング3.0は、マーケティングのコンセプトを人間の志や価値の精神の領域に押し上げる。消費者を全人的ととらえ、消費者としての一面以外のニーズや願望もおろそかにされてはならないと考える。 ②マーケティングとは、消費者、顧客、パートナー、および社会全体にとっ...
■マーケティング ①マーケティング3.0は、マーケティングのコンセプトを人間の志や価値の精神の領域に押し上げる。消費者を全人的ととらえ、消費者としての一面以外のニーズや願望もおろそかにされてはならないと考える。 ②マーケティングとは、消費者、顧客、パートナー、および社会全体にとって価値のある提供物を創造、伝達、流通、交換するための活動、一連の制度、及びプロセスをいう。AMA定義 ③消費者がより協働的、文化的、精神的になるつれて、マーケティングの性格も変化する。 ④消費者のマインドとハートと精神に訴えるためには、マーケターは消費者の不安や欲求を特定する必要がある。 ⑤ミッションから出発することは、成功している非営利組織から企業が学べる最も重要な教訓かもしれない。 ⑥ブランドは今や消費者のものに。 ⑦彼(ジョブズ)はいつもストーリーから始める。まずストーリーが伝えられ、それからその製品の機能や他の事実について語られるのだ。 ⑧理性より感情に訴えるやり方が効果的である。 ⑨顧客を愛し、競争相手を敬う。変化を敏感にとらえ、積極的な変化を。評判を守り、何者であるかを明確に。製品から最も便益を得られる顧客を狙う。
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「消費者志向はもう古い」って自分が言い出しっぺじゃねーか。しかも、まだ本売ってるし。もう過去の本読むなってことなら絶版にすれば?あ、神様だから何でも言えるし、何でも出来るのか。すごいなー。
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マーケティングに携わる人は、ある意味、教科書だから、読んだ方がいい。ソーシャルやグリーンなど、今のキーワードをどのように解釈するかの示唆がある。だからと言うわけではないが、電車で読むのではなく、机で読みたい。共著というためかもしれないが、キレはいまひとつ。
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前半の価値観をベースとしたマーケティングの必要性に関する議論は、ニーズ志向のマーケティング戦略の限界を的確に指摘していた気がします。 ただ、後半がマネジメントベースの展開だったので、『モチベーション3.0』を読んでいたせいか、あまりグッときませんでした・・・。 期待が大きかった分...
前半の価値観をベースとしたマーケティングの必要性に関する議論は、ニーズ志向のマーケティング戦略の限界を的確に指摘していた気がします。 ただ、後半がマネジメントベースの展開だったので、『モチベーション3.0』を読んでいたせいか、あまりグッときませんでした・・・。 期待が大きかった分、評価は☆3つにさせていただきました(^―^)
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製品中心の考え方である1.0。 消費者中心の考え方である2.0。 そして、更に進んだ新たな考え方3.0を提唱しているのが本書。 読み終わって感じるのは、 かなり概念的であり、やや具体性に欠けている点。 とは言え、ソーシャルメディアの発達とグローバル化という 3.0の背景に...
製品中心の考え方である1.0。 消費者中心の考え方である2.0。 そして、更に進んだ新たな考え方3.0を提唱しているのが本書。 読み終わって感じるのは、 かなり概念的であり、やや具体性に欠けている点。 とは言え、ソーシャルメディアの発達とグローバル化という 3.0の背景にある大きな流れ。 これを踏まえて提案されている方向性は新規性はないものの、 実務に携わっている人であればその納得性は実に高い。 例えば・・・ ソーシャルメディアの発達により、消費者は同じ価値観を持った 横(人)の繋がりを重視するようになっている。 企業は、消費者を自社に組み込む必要がでてきており、 プロシューマーという考え方が重要になっている。 また、グローバル化の発展によって、消費者は地球規模で物事を 考える人が増加してきている。 環境に優しく、社会貢献している企業・商品しか支持されない。 コーズを意識したプロモーションが有用になっている。 これらの話は、個人的にも今後重要となると考える。 前者については、そのために消費者のエンパワーメントが重要になる。 特に後者については、消費者はそうした商品を買うことで、 自身の欲求レベル(マズロー)の充足を求めている。 など、人的資源のモチベーション理論とリンクさせている点は 大変興味深かった。 あらゆる分野で「見える化」が叫ばれる中で、 見えない部分の多い3.0がどれだけ浸透するであろうか?とも 感じるが、現在の流れを踏まえた最新のマーケティングの本。 一読の価値はある。
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最初に断ると、僕はマーケティングについては全くのど素人だ。 そして、ある種の偏見-マーケティングというのは消費者にいかにしてうまく商品やサービスを売りつけるかを競う活動だ-を持っていた。 それがソーシャルテクノロジーの力を得て3.0になったというのはどういうことだろう?そんな疑問...
最初に断ると、僕はマーケティングについては全くのど素人だ。 そして、ある種の偏見-マーケティングというのは消費者にいかにしてうまく商品やサービスを売りつけるかを競う活動だ-を持っていた。 それがソーシャルテクノロジーの力を得て3.0になったというのはどういうことだろう?そんな疑問がこの本を手にとったキッカケだったりする。 けれど、この本はむしろ、今後の企業のあり方 - ソーシャルテクノロジーによって不可逆的に変化してしまった社会から要求される企業のあり方について書いた本だ。 大前提となるのは、自分が何者であるか決定する権利が企業の側にはない -それは消費者の側にわたってしまった- という事実だ。 ではどうすれば企業は自らの理念やミッションに忠実な存在へと近づくことができるか、この本はその方法論に多くのページを割いている。 それは、「マーケティング」というよりも企業の戦略の立て方や意思決定のあり方と言う方が近いんじゃないか、と思わないでもない。 逆にいうと、すでに技術としての「マーケティング」では顧客の心を掴み、商品やサービスを使ってもらえる時代ではなくなった、ということかもしれない。 最後に。 書店の店員さんが丁寧にブックカバーを掛けてくれたおかげで事前に目にせずに済んだんだけど、帯に書かれた煽り文句はヒドい。 僕なら、第二章に書かれたこの言葉を帯に引用したいところなんだけれど。 「マーケターと消費者の対立はもう終わりにすべきだと、われわれは思っている。」
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タイトルからソーシャルメディアについて書かれた本かと思ったが、むしろ趣旨はソーシャルビジネスについて書かれています。個人的には修士論文の参考にはなりましたが、ソーシャルメディアについて勉強される方にはそれほど参考にはなりません。また、コトラーが共著になってますが、明らかにメインは...
タイトルからソーシャルメディアについて書かれた本かと思ったが、むしろ趣旨はソーシャルビジネスについて書かれています。個人的には修士論文の参考にはなりましたが、ソーシャルメディアについて勉強される方にはそれほど参考にはなりません。また、コトラーが共著になってますが、明らかにメインは他の人物です。 しかしながら、タイトルにマーケティング3.0とあるようにマーケティングの推移を大局的に捉えているところは参考になりました。コトラーファンとして☆3つにしました。 マーケティング1.0:製品中心 マーケティング2.0:消費者中心 マーケティング3.0:人間中心
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ソーシャルマーケティングという新しい概念を持ち込んだコトラーの新しいマーケティング理論。時代はグローバルになり、産業も従来のプロダクト中心からサービス中心に大きく移行しようとしている。そこで著者たちはソーシャルな世界でこれからは顧客とともにサービスや製品を作り上げていく時代だとと...
ソーシャルマーケティングという新しい概念を持ち込んだコトラーの新しいマーケティング理論。時代はグローバルになり、産業も従来のプロダクト中心からサービス中心に大きく移行しようとしている。そこで著者たちはソーシャルな世界でこれからは顧客とともにサービスや製品を作り上げていく時代だととく。そのために顧客とともに共創していく重要さを示し、そのために企業は自らの事業活動に基づいたミッションを確認し、未来に向かってビジョンを打ち出し、社会の中で自らの価値を示していかないといけない。そのために自らをストーリーテイリングし、顧客とともに作り上げる姿勢重要性を説いていきます。事業の継続可能性、グローバリズム、環境問題等も絡め多視的な展開になっているのも面白い。マーケーターは必読。
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