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暗渠の宿 の商品レビュー

3.7

92件のお客様レビュー

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2014/04/21

毒は留まらずに進行する。毒においては前進か後退しかない。どちらが前か。この毒との付き合い方が、すなわち教育かもしれない。

Posted byブクログ

2014/04/01

西村賢太の私小説『けがれなき酒のへど』、『暗渠の宿』の二篇収録。 風俗、借銭、DV…。どうしようもない男のぎりぎりの内面の描写は、狂気に満ちていて恐ろしいのだけれど、しかし、健気でもある。よくもわるくも、少年、小僧という感じなのだ。 ひとつは男(西村さん自身)の卑屈な話しぶり...

西村賢太の私小説『けがれなき酒のへど』、『暗渠の宿』の二篇収録。 風俗、借銭、DV…。どうしようもない男のぎりぎりの内面の描写は、狂気に満ちていて恐ろしいのだけれど、しかし、健気でもある。よくもわるくも、少年、小僧という感じなのだ。 ひとつは男(西村さん自身)の卑屈な話しぶり。 「うん、でもぼく、江戸の言葉が聞こえない土地だと、日に日に痩せさらばえてゆく体質だからなあ。悪いけど、もう少しぼくの気の済むようにさせて」(『暗渠の宿』から) 「ぼく」という一人称がたまらなくおかしい。「~させて」で終わるのもおかしい。この台詞ひとつだけで、十分に西村さんの文章に惹かれてしまう。 かたや、「私は、この女はもっと私に従順であるべきだと思う」(『暗渠の宿』から)という我侭、傲慢さ。 この振れ幅は一体何なのだ!? 社会的な立場からも生活・金銭的な面からも追い詰められている状況にあると、人間の感情の強弱は、片や強烈な激しさへと、片や無風のごとき穏やかさへと、両極端な振れ幅を示すのだと思う(こればかりは、そこまで自身、追い詰められたことがないから、想像の域を出ない)。 それにしても、風俗嬢へと御執心になっていくプロセスは滑稽すぎてやりきれなくなる(『けがれなき酒のへど』)。もう、ハナッから、「いや、どう考えても騙されているってば!!」と思いながら、僕の視線はどんどん次のページへと流れていく。実際、藤澤清造全集出版のための大切な軍資金の一部を騙し取られてしまうわけで、能登。 「もう一切、ああした所でつまらぬ期待をかけるのはやめよう。どうでいいことなんて、何も起こりはしないんだから」と自省したかと思いきや、たちまち「とはいえ、犬も歩けば、式で今度こそ、もしかしたらこの俺を愛してくれる、うれしい女と出会えたりしてな」などと愚考してしまう有様。なんともはや、いじらしい。同性の人間がいうのも変だが、いじらしいのだ。 人間の感情の脆さゆえなのか、その人に対して妙な愛おしさめいたものが湧いてくるというのは、何とも不思議なことで、西村さんという人が21世紀、現代の日本に生きていて、こういう赤裸々過ぎるともいえる私小説を書いていることが、とてつもない奇跡のように思えてくる。

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2014/02/22

2014.2.21ー9 全くの私小説なのであれば、共感出来るかは別として、ここまで赤裸々に書くとは天晴れかも知れない。ある意味大変に興味深い。

Posted byブクログ

2014/01/31

耄碌したもので、著書に載せられた二作は、何処かで読んだものだった。まあそれにも拘らず、楽しく読む事が出来る。自制心の無い行動、判断。そんな風に、生で生きても、人間は成功出来るものなんだなあ。勇気を与えられた。

Posted byブクログ

2013/11/27

安くて不味くて強い酒。 でもそこにあるとついつい手に取ってしまうような 中毒性のある西村賢太の私小説。 二日酔いもさめやらず 「小銭をかぞえる」をいう迎え酒を飲んでいます。

Posted byブクログ

2013/10/29

どこまでが本当にあったことでどこからが作者の作り物なのかは分からないが、それが私小説の面白さなのだとすれば、これはかなり面白いんじゃないだろうか。

Posted byブクログ

2013/10/14

http://seigerecht.blog.fc2.com/blog-entry-340.html

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2013/09/09

図書館で借出。 西村賢太はクセになる。 よくわかった。 相も変わらず(作者本人だから仕方ないが)のクズっぷりにしてやられるのだ。 作中の「私」の台詞だけが擬古調の文体で、それでもって自分のことを棚に上げたキレ方をするあたりに思わず笑ってしまう。 そして相手を恫喝した後、 「ひ...

図書館で借出。 西村賢太はクセになる。 よくわかった。 相も変わらず(作者本人だから仕方ないが)のクズっぷりにしてやられるのだ。 作中の「私」の台詞だけが擬古調の文体で、それでもって自分のことを棚に上げたキレ方をするあたりに思わず笑ってしまう。 そして相手を恫喝した後、 「ひょっとしたらこの親父はどこかその筋方面のかたではないかしら、と逆に怯えを感じ始めていた」 という小心。 笑っちゃうだろう、これは。 デビュー作「けがれなき酒のへど」は、終盤に西村が「没後弟子」を自称する作家、藤澤清造の研究ノートのような調子になって唐突さ・生硬さを感じさせる。 ただ、彼の藤澤清造への傾倒ぶりを知れば知るほど、西村賢太・藤澤清造という2人の私小説家に興味が湧いてくる。 その日暮らしのような生活の中で大量の蔵書コレクションをつくり、それと共に住まいを移すというのは、尋常のことじゃない。 それにしても、やっぱりタイトルのセンスがいい。 「私」が恋人と一緒に住みはじめたマンションは「暗渠の宿」なんだよ。見えてはいないけど、地面の下、暗い地中を流れているわけだ。

Posted byブクログ

2013/07/27

書いてある事のほとんどは2chにスレ立てされてるような内容だし やってる事はダメ人間、ダメ男の典型なんだけど なぜか藤澤清造に関しては真摯に向き合ってるのが不思議 ただ、藤澤清造を知らないこちらとしてはその長ったらしい説明に辟易

Posted byブクログ

2013/06/30

人生いろいろで、正解の生き方なんてないんだなと感じた。 この人の本が魅力的なのは、読んでいて人柄がまっすぐ伝わってくるからだと思う。書いてある事が正直だからこそ、「いやいや、おかしいだろ・・」とは思いつつも、心のどこかでは共感してしまう。 人の日記を勝手に読んでいるような...

人生いろいろで、正解の生き方なんてないんだなと感じた。 この人の本が魅力的なのは、読んでいて人柄がまっすぐ伝わってくるからだと思う。書いてある事が正直だからこそ、「いやいや、おかしいだろ・・」とは思いつつも、心のどこかでは共感してしまう。 人の日記を勝手に読んでいるようなドキドキを感じられる本。私小説ってみんなこんな感じなんだろうか。

Posted byブクログ