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暗渠の宿 の商品レビュー

3.7

92件のお客様レビュー

  1. 5つ

    15

  2. 4つ

    39

  3. 3つ

    19

  4. 2つ

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2016/09/14

大宮辺りである女に騙され大金をむしり取られたエピソードがメイン。 買淫しときながら恋人を求める様が歯がゆくて切なくもおかしかった。 そのあとの同棲した女とのやりとりで、女からしてみたら 突然 切れる様、笑える。痛快だ。最低なのに。なんでだ。

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2016/07/14

この作家はいまのところ、どこをどう切っても同じ断面が出てくる。 近代文学への思い、それに寄りかかった矜持、幼児的な愛の求め方、むらむらと沸き立つ怒りと暴力。 しかしそれにしても地の文が面白いのだなと気づく。 内面の変化とその説明の具合が面白いのだ。 喧嘩しながらも愛おしさ...

この作家はいまのところ、どこをどう切っても同じ断面が出てくる。 近代文学への思い、それに寄りかかった矜持、幼児的な愛の求め方、むらむらと沸き立つ怒りと暴力。 しかしそれにしても地の文が面白いのだなと気づく。 内面の変化とその説明の具合が面白いのだ。 喧嘩しながらも愛おしさや恐れがマグマのように渦巻いている。 それを卑近な話や持って廻った口調で表現するなど、笑ってしまう。 友川カズキの解説文には、ちょっとがっかりしながらも、友川かずきをBGMに読んだ。 「無頼」にはどこか怪しさや胡散臭さがある。 西村賢太ももちろんそうだが、太宰、安吾、中也、織田作之助、田中英光、くだっては町田康、車谷長吉なども。友川カズキも。

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2016/06/12

私の周りでは、一挙に注目! 「あほかいな」と云えば仕舞の情けなさ、こだわりの極地、同感はしないが何故か読んでしまう。

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2016/01/26

私小説なので主人公=著者であるが、この西村氏はまさしく救いようのないろくでなしなのである。誰もが関わりたくないと感じるであろう。しかし、不思議なもので、完全に憎むことができない。読めばその理由がわかるかも知れない。

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2016/01/23

「暗渠の宿」、「けがれなき酒のへど」を併録している作品。ここでは、「けがなき酒のへど」をピックアップすることにする。一言で語るとしたら”娼婦に貢いだ哀れな男の物語”であろうか。私小説だけあり、性描写がとてもリアルで、のめり込むように読破した。娼婦に騙されるであろうに……と思ってい...

「暗渠の宿」、「けがれなき酒のへど」を併録している作品。ここでは、「けがなき酒のへど」をピックアップすることにする。一言で語るとしたら”娼婦に貢いだ哀れな男の物語”であろうか。私小説だけあり、性描写がとてもリアルで、のめり込むように読破した。娼婦に騙されるであろうに……と思っていても、周囲の警告を無視して貢ぎ、捨てられていく。人間を盲目にしてしまう物は、恋と崇拝であると感じる作品であった。

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2015/12/06

 女性に対する悪罵「整形は獣医にでもやってもらうんだなあ」「おまえなんか見た目からして落度そのものじゃねえか」も、さすが芥川賞作家だなー、と納得だけども。  ご自身(の分身である主人公)の風貌を「水死した金太郎」と書いていらっしゃってて、なんかもう、この一言――単なる描写を読んだ...

 女性に対する悪罵「整形は獣医にでもやってもらうんだなあ」「おまえなんか見た目からして落度そのものじゃねえか」も、さすが芥川賞作家だなー、と納得だけども。  ご自身(の分身である主人公)の風貌を「水死した金太郎」と書いていらっしゃってて、なんかもう、この一言――単なる描写を読んだだけでヘタりこむほど打ちのめされる、という貴重な体験をさせていただき、これぞ文学だと思いました。  でも、西村氏の写真とか見たことない人にはインパクトが薄いかもしれない。

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2015/08/16

主人公の人間像には、ヘドが出そうなほど気分が悪くなる一方で、共感と同情、悲しみまで覚えるから不思議である。次は何をやらかすんだ!と思うと読む手が止まらなくなる。。。

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2015/07/05

出来事は三流雑誌の投稿欄レベル。しかし纏わりつくような粘度の文体と硬質な言い回しは純文学。このミスマッチが西村氏の魅力だろう。「けがれなき酒のへど」での風俗嬢に入れあげ騙されたあと七尾の清造供養に至る構成は前著までには見られない巧みさ。「暗渠の宿」で秋恵の愛情を確かめたうえでそれ...

出来事は三流雑誌の投稿欄レベル。しかし纏わりつくような粘度の文体と硬質な言い回しは純文学。このミスマッチが西村氏の魅力だろう。「けがれなき酒のへど」での風俗嬢に入れあげ騙されたあと七尾の清造供養に至る構成は前著までには見られない巧みさ。「暗渠の宿」で秋恵の愛情を確かめたうえでそれに恍惚しつつも不安感や猜疑心から豹変して暴力を振るう。人間だれしもに潜む二面性や狡猾さ、自己正当性を私小説という形で恥ずかしげもなく語ることが著者の魅力だろう。 それにしても西村氏の題名はいつも独特で面白い。「暗渠」という単語選びもしかり、「けがれなき酒のへど」は読後に感心させられる。汚い言葉なのだが何か高潔さを感じさせられる。

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2014/07/31

なるほど、これはとんでもない小説家かもしれない。 中卒の日雇い労働者、短気で酒飲み、女遊びはするが徹底的にモテず、不満があればすぐに暴力をふるうが気は小さい。 一方で文学を好み、世間的にはあまり知られていない大正期の作家、藤澤淸造の歿後弟子を自任し、信仰にも近い徹底的な愛好を示...

なるほど、これはとんでもない小説家かもしれない。 中卒の日雇い労働者、短気で酒飲み、女遊びはするが徹底的にモテず、不満があればすぐに暴力をふるうが気は小さい。 一方で文学を好み、世間的にはあまり知られていない大正期の作家、藤澤淸造の歿後弟子を自任し、信仰にも近い徹底的な愛好を示す。 そんなアンビバレントな性格を持つ著者の私小説。 短気な性格が災いしてトラブルを巻き起こしては、藤澤淸造のことを思い頭を冷やし、かと思いきやまたも酒と暴力で自分を追い詰める。 お前に反省という言葉はないのか、と言いたくなるような愚かしさだが、この小説の凄いところは、それが衒いも見栄もなく恐らく著者自身の本当の姿であるというところ。 こんな人物とまともに知り合ったら堪ったものじゃないかもしれない。でも、紙面を通してなら付き合える。 自分ではこんなに直情的には生きられない。でも、西村賢太がやっているのを見て、胸が空くと同時に「やはりやってはいけない」と身も引き締まる。 小説を読むことの効能の一つは、現実では出会えないような多くの人物に出会い、その人格を心の中に住まわせることにあると思っているが、この本はそういった小説の楽しみを十二分に味わわせてくれた。 恐るべし。

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2014/07/21

酒と金にだらしない屑人間の極地を行く男。 女にかける執念は共感に値するし、ちゃんと同棲までしているのだから羨ましいものだ。

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