ギヴァー の商品レビュー
ストーリーよりも、平和を追求したらこういう世界になるのか!というのが衝撃だった。その完璧なシステムの説明が内容のほとんどだった。 戦争をなくすには「色」もなくさなければならないんだなあ。思想も宗教もないから争いは起きないんだろう。恋愛もしない、性欲も薬で抑制してる、だから犯罪も起...
ストーリーよりも、平和を追求したらこういう世界になるのか!というのが衝撃だった。その完璧なシステムの説明が内容のほとんどだった。 戦争をなくすには「色」もなくさなければならないんだなあ。思想も宗教もないから争いは起きないんだろう。恋愛もしない、性欲も薬で抑制してる、だから犯罪も起きない。あるのは平和だけ。愛がない世界。 結局、愛と平和は共存できないのか?なんて考えてしまった。愛もない音楽もない本もない、そんな世界は絶対いやだなあ。 任命される仕事のなかに「出産」があるのもびっくりだったけど、その仕事がすごく軽視されてて優秀じゃないひとが選ばれるみたいになってたのがすごく気になった。著者は女性なのに。 2016/9/15
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レビューの評価が高かったので、読んでみた。 読後は表現しがたい重たさを感じた。 一見、平和で人々が穏やかに生きる近未来社会。そこは高度に管理された社会で、様々な奇妙なルールがあった。 「なぜ奇妙なルールができたのか?」「人々が感情や感動を封印する程の選択をした過去の苦痛が何だっ...
レビューの評価が高かったので、読んでみた。 読後は表現しがたい重たさを感じた。 一見、平和で人々が穏やかに生きる近未来社会。そこは高度に管理された社会で、様々な奇妙なルールがあった。 「なぜ奇妙なルールができたのか?」「人々が感情や感動を封印する程の選択をした過去の苦痛が何だったのか?」「なぜ解放しなくてはならないのか?」等は、最後まで分からなかった。 真実を知った12歳の主人公が、生まれたばかりのニューチャイルドを連れて逃亡する。その先は果たして希望だったのか?分からないまま、物語は終わる。 結局自分で想像して考えろということなんでしょうね! 昔読んだ竹宮恵子氏の「地球へ」や「アンドロメダ・ストーリー」等のSF漫画を思い起こしました。 続編も是非読んでみたい。
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とても良かった。 とある秩序で整備されたコミュニティーを舞台にした話である。そこでは子どもが12歳になると、適性を考慮し、コミュニティー内での役割がアサインされる。人々が暮らしやすいように、あらゆる配慮がなされているが、そこに生きる人には選択肢が与えられない。また、疑問を抱かせる...
とても良かった。 とある秩序で整備されたコミュニティーを舞台にした話である。そこでは子どもが12歳になると、適性を考慮し、コミュニティー内での役割がアサインされる。人々が暮らしやすいように、あらゆる配慮がなされているが、そこに生きる人には選択肢が与えられない。また、疑問を抱かせるような経験の記憶は、住民から徹底的に排除されている。 そこには人々の記憶を一手に引き受ける存在が一人だけいる。その役に任命された少年の話である。 人々の本来持つべき悩みを一人で抱え、悩んだ少年は一つの決断をする。 この本は児童向けのように平易に書かれているが、その暗示するものは壮大である。人々が当たり前だとおもっていることを変えるのはとても難しい。 不思議な読後感が残る小説だった。
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映画を先に見ました。良いお話だったんだけど、なんとなく釈然とせず、これは小説を読まなければ!と思って読みました。 結果、釈然としない気持ちは残ったまま、解消されることはありませんでした(笑) レシーヴァーとか、ギヴァーとか、高揚とか、彼方を見る、とか、言葉の使い方はとても丁寧で素...
映画を先に見ました。良いお話だったんだけど、なんとなく釈然とせず、これは小説を読まなければ!と思って読みました。 結果、釈然としない気持ちは残ったまま、解消されることはありませんでした(笑) レシーヴァーとか、ギヴァーとか、高揚とか、彼方を見る、とか、言葉の使い方はとても丁寧で素敵だったんだけれど、過去の教訓から「同一化」を目指した社会が、それでもなおレシーヴァーを作り上げて記憶を保持しようとした理由がわからなかったし、レシーヴァーを喪失するとその記憶が社会へ戻っていくというカラクリが理解できなかった。また、人間性を喪失した社会であるかのように描かれてはいるものの、偽善的ではあっても、この社会はこれはこれでうまくいっていたのではないか?変える必要なくない?ギヴァーとジョナスが「よそ」を目指して何をしようとしたのかもよくわからなかったし、この社会において記憶の解放が善なのかどうかも判断がつきかねた。この物語に唯一引き付けられるのは、ジョナスが色彩を取り戻す過程であり、愛を理解する過程である。そして、その先にあるものを自ら手にするために旅立つ決断に、かろうじて感動できるところがあったのではないかと思う。
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職場の人にすすめられ、気になり図書館で借りて一気読み。実態のない違和感!終始ひきつけられっぱなし!どこかの国では中学生の必読書だそう。この物語を読んだ中学生達の感想がとても気になるところ!
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
SFってこういう感じなんだなぁ~と思いました。読書家の時間をやっている人たちがオススメしている作品なので読みました。合理的を極めた世界なのかな。安心安全を極めている一方、抑制も極めている。人々の目は暗く濁り、喜びのない世界。喜びもない代わりに、悲しみや痛みもない。そこからの解放は、死しかない。弱い人間や秩序に反する人間が淘汰される。究極の合理主義的世界。今の日本の「空気を読め」的な社会は、少しこれに似ている気がする。考える要素がたくさんあるお話で、読書家の時間をやっている先生たちが子どもに読ませたいと思うのも、すこし納得。
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この本はリトマス紙のようだ。読みおわってなかなか言葉の見つからない本である。それはこの本の答えは読者の今までの経験に左右されるからである。 物語を理解するには、読者と筆者の間である程度の共通の認識がいる。そしてその説明をしながら物語自体を進めなければならない。さらには文字数も制約...
この本はリトマス紙のようだ。読みおわってなかなか言葉の見つからない本である。それはこの本の答えは読者の今までの経験に左右されるからである。 物語を理解するには、読者と筆者の間である程度の共通の認識がいる。そしてその説明をしながら物語自体を進めなければならない。さらには文字数も制約になる。そう考えればこの物語では世界そのものが制約に満ちている。そういう意味ではこの物語を面白くすることと、分かりやすくすることに役立っている。 この本の作者の世界の見え方は、自閉症スペクトラム、大人の発達障害と呼ばれるものにらかなり近い。普通の人にとってかなり異質な世界観に見えるだろう。しかし、普段からこのように見えていたり、そう単純であって欲しいと考えていたり、そう単純になるようにイロイロと無理をしているのである。 そういう意味ではギヴァーの世界は今ここにあるのだ。
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はるか昔に旧訳で読んで以来の再読。圧巻のディストピアSFがこれほどコンパクトにまとめられていることに驚いた。「新世界より」が下敷きにしたらしいが、私がこれを読んで思い出すのは「地球へ」のジョミーで、ジョナスと印象がかぶる。
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現代の人類は、まさにこの方向に進んでいる感じがします。 一見、平和で秩序だった理想的な社会。しかし実は、その代償にこの作品の”人類”はさまざまなものを失っています。 科学技術の発達によって、いい意味でもそして悪い意味でも人類は「頭でっかち」になっている気がします。 科学技術の...
現代の人類は、まさにこの方向に進んでいる感じがします。 一見、平和で秩序だった理想的な社会。しかし実は、その代償にこの作品の”人類”はさまざまなものを失っています。 科学技術の発達によって、いい意味でもそして悪い意味でも人類は「頭でっかち」になっている気がします。 科学技術の発達は、実は何かを得ることを可能にしているのではなく、何かを排除することを可能にしているのではないでしょうか。 何かを得るということは何かを失うこと。何かを失うということは何かを得ること。
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近未来。SF。色のない、感情のない世界。ラストだよね。ジョナスはどうなったんだろう。救いがあったのか、記憶はどうなったのか。伝わりにくい。もう少し、続きがほしい。それでも、ギヴァ―とジョナスの関係は素敵だったし、ジョナスのコミュニティからの脱走は十分に心躍る。
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