ギヴァー の商品レビュー
設定からすると、もっと大作になってもおかしくないと思います。 ジョナス(主人公)に寄り添って作品が進むため、 このくらいの分量におさまっているのでしょう。 ジョナスの心の成長と伴に読者は導かれていくので、 とても読みやすいです。 続きがとても気になりますね。
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談話室で「新世界より」の元ネタと紹介されていたのを見て興味を持った作品。 確実な情報は見つけられず本当のところはわからないけれど、貴志さんがこの物語を読んでいるのなら、影響は受けていると思う。 読みはじめて一番に出てきた感想は、「これ、児童書なの?!」。 児童書ということで手に...
談話室で「新世界より」の元ネタと紹介されていたのを見て興味を持った作品。 確実な情報は見つけられず本当のところはわからないけれど、貴志さんがこの物語を読んでいるのなら、影響は受けていると思う。 読みはじめて一番に出てきた感想は、「これ、児童書なの?!」。 児童書ということで手に取らない人がいるかもしれないのがもったいない。 長い間絶版になっていたということも惜しまれる。 近未来らしき、〈同一化〉の進む画一的で完璧な管理社会。 そのなかのコミュニティのひとつが舞台となっている。 コミュニティを構成する人々の基本的な単位は家族ユニットで、父・母・男女各一人ずつの子どもたちから成る。 彼らは、あらゆる感情(痛み・苦しみなどから愛まで)と、そこから生まれるもの(歌や芸術)などの、さまざまな記憶を持っていない。 色彩まで差別の原因となるため認識できなくなっている。 その記憶は世界から失われてしまったわけではなく、ただ一人〈記憶の器〉=レシーヴァーと呼ばれている人が管理している。 新たなレシーヴァーが後継者として選出された時、現在のレシーヴァーは新たなレシーヴァーに自分の持っているすべての記憶を与える〈記憶を注ぐ者〉=ギヴァーにもなる。 そして10年ぶりの後継者として選ばれたのが、主人公である12歳の少年ジョナス。 ジョナスはギヴァーに少しずつ記憶を移され、色を判別できるようになり、美しい風景や楽しい感情・愛などを感じられるようになる。 もちろん、ほどなくして辛い記憶もたくさん注がれるのだが。 最初のほうからたびたび出てくる〈解放〉という儀式。 規則違反を大きく犯したものに与えられる罰則であり、老年者には祝福とされる。 多様な記憶を注がれるなかで、ジョナスに芽生える疑惑。 〈解放〉とは何なのか。 なぜ人々は記憶を共有せずに手放すことを選んだのか。 やがて明らかになる真実。 他者を愛しむ心や痛みや苦しみを覚えたてのジョナスのショックはいかほどだったか。 予測がついたうえで読んでいても、ジョナスの感じたであろう恐ろしさと足元が崩れるような衝撃が凄まじい叫びとともに流れ込んでくる。 コミュニティに意識の変革は訪れたのか。 ジョナスが目指す〈よそ〉とは、どこなのか。 絶望・希望、どちらともとれるラストにしばし放心。 「新世界より」のように畳みかけるような奇禍が襲ってくるわけではないが、色もなく淡々と過ごされる世界は恐ろしく、想像すると薄ら寒くなる。 幸いなことに続編が出たところなので、続けて読む予定。 カッシアの物語(アリー・コンディ)も読んでみたい。
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10年以上前に講談社版を読んで衝撃を受けました。 新訳も読んでみようと思い立ち、一気に読了。 さすが!でした。 自分で「選ぶ」権利があるということの素晴らしさを実感するとともに、この本で描かれているような「ユートピア」が実現してしまいそうで怖い・・・。 表紙、良くなりましたね。
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近未来 SF らしいが、これは遠未来 SF だろう。感情やら何やらを操作された管理社会において、過去の記憶や人間的な感情を維持し、施政者たちに助言をなす立場を与えられた少年の成長物語。 ディストピア小説らしく、主人公は管理社会からの脱出を図るが、なんだかよくわからないままに小説...
近未来 SF らしいが、これは遠未来 SF だろう。感情やら何やらを操作された管理社会において、過去の記憶や人間的な感情を維持し、施政者たちに助言をなす立場を与えられた少年の成長物語。 ディストピア小説らしく、主人公は管理社会からの脱出を図るが、なんだかよくわからないままに小説は終わる。いくつかの不思議な設定も作中で消化されておらず、 SF というよりはファンタジー色が強い仕上がりになっている。 消化不良感が強いものの、しかし、もう少し話が長かったらこんなに人気にならなかったんじゃないかな。このぐらいの長さだと読みやすいという人が多いと思われるし。
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これは本当に素晴らしい作品。 何度も読み返しては、心を鷲掴みにされたような感覚に陥ります。 心とは何か、感情とは何か。 それを深く考えさせられる本です。 読み終わった後、大切な人に会いたくなりました。
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決して長大な物語ではないが世界観はしっかり伝わってきた。これが『新世界より』の元ネタなのね。 なぜこのような世界(ディストピア)になったのか、管理社会はどのような過程で形成されたのかを詳細に語ってほしかった。 そしてこの続編を併せて「ギヴァー三部作」となるらしいが、もう二作...
決して長大な物語ではないが世界観はしっかり伝わってきた。これが『新世界より』の元ネタなのね。 なぜこのような世界(ディストピア)になったのか、管理社会はどのような過程で形成されたのかを詳細に語ってほしかった。 そしてこの続編を併せて「ギヴァー三部作」となるらしいが、もう二作は未邦訳。ぐぬぬ。待ち遠しいです。
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う~ん、深い意味があるのかもしれないが、今の自分にはピンとこなかった。もう少し置いてから調べてみる、すいません。
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子供向けかと思いましたが、いえいえ。大人が読んでも楽しめます。 今の日本、こういった世界に向かっているように感じることがあります。 この設定、別の小説の中にもあったなぁ 日常に息苦しさを感じる人たちが沢山いるということなのかもしれませんね 疑わずにこの世界に暮らせれば楽かもしれ...
子供向けかと思いましたが、いえいえ。大人が読んでも楽しめます。 今の日本、こういった世界に向かっているように感じることがあります。 この設定、別の小説の中にもあったなぁ 日常に息苦しさを感じる人たちが沢山いるということなのかもしれませんね 疑わずにこの世界に暮らせれば楽かもしれませんね。 自分の意思を持って、楽しいことばかりではないけれど、自分の意識で生きていきましょう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
遠い未来、“同一化”により完璧な秩序を手に入れた世界のお話。この世界では、人々は感情や感覚といった秩序を乱すものは全て奪われているが、その事に疑問を持つ事もなく生活していた。その世界の中でただ2人だけ、感情や感覚といった遠い過去の記憶を知る者がいた。記憶を注ぐ者“ギヴァー”と、それを受け継ぐ者“レシーヴァー”である。 子供のころに読者感想文の推薦図書で読み、衝撃を覚えたのを今でも覚えています。どうしてもまた読みたくて本屋を巡り、ようやく見つけました。 文章を読んでいると色や痛みなどを一生懸命想像してしまいます。と同時に、感覚があるという事に対し何とも不思議な気分になります。自分が今感じている“感覚”って、何なのだろう。
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図書館で見かけて、あらすじもわからず読み始めてましたが、すごくいい作品でした。表紙の雰囲気からしっとりした物語を想像していたのだけど、いい意味で予想を裏切られる設定に引き込まれて、これまた一気読み。 近未来、選ばれた者だけで形成された争いや貧困のないコミュニティ。安心で安全、<...
図書館で見かけて、あらすじもわからず読み始めてましたが、すごくいい作品でした。表紙の雰囲気からしっとりした物語を想像していたのだけど、いい意味で予想を裏切られる設定に引き込まれて、これまた一気読み。 近未来、選ばれた者だけで形成された争いや貧困のないコミュニティ。安心で安全、<同一化>された彼らの生活は、理想的な社会である。しかし…。 コミュニティの中では、それぞれ適任の仕事に任命されるのですが、「ギヴァー」はその仕事のひとつ。タイトルにあるように「記憶を注ぐ」のです。って「そんなヒントじゃなんもわからん~」でしょうが、ぜひ読んでみて。 「満たされてる」とはどういうことか、「痛みを抱く」ことって…なんてことを考えてみたりしました。
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