遥かなる水の音 の商品レビュー
やっぱり村山由佳はこういう小説がいい。 翼に少し雰囲気が似ている かな? 一人の青年が死んで、彼を弔うために彼の親友と姉と同居人がサハラまで旅をする。 透明感あふれる文体で自分まで旅をしているかのように情景が浮かび上がります。
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村山さんの本は久しぶりかな。 あの〰、すごくよかったです。 長編ならではのスケールの大きさにはちょっとうっとりしちゃったし。 行ったことのない国々が舞台なので、想像力をフル稼働して、読みました。でも、村山さんの表現力で、まだ見ぬ土地ながら、なんとなく目に浮かぶようで・・・。 人物描写も的確で、同性愛や、死者の声が聞こえる、などは、私は経験したことのない感情だけど、理解はできたし、それぞれの人物の思いも伝わってきた。 物語は若き青年、アマネの死により、アマネの周りにいた人々が死後のアマネを楽にしてあげようと、アマネの骨をサハラに還しに行く物語。 アマネの姉、アマネと共に住んでいたジャン・クロード、アマネの友人の浩介とユイ。 それぞれの思いを胸に、かつてアマネが旅したのと同じルートでサハラに向かう・・・。 これぞ、作家! って感じの作品でした。 こういうズシンと胸に響くような作品をたくさん読みたいな。
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翼に、似たテイストのはなし。 エイズで死んだ弟の遺言は、「自分が死んだらサハラにまいてほしい」 その姉と弟の同居人のフランス人のゲイ、高校時代の友人たち、の4人で、パリからモロッコへと旅をする物語。 4人と、弟、ガイドのアラブ人の目線で描かれている。 アラブ人の目線がよい...
翼に、似たテイストのはなし。 エイズで死んだ弟の遺言は、「自分が死んだらサハラにまいてほしい」 その姉と弟の同居人のフランス人のゲイ、高校時代の友人たち、の4人で、パリからモロッコへと旅をする物語。 4人と、弟、ガイドのアラブ人の目線で描かれている。 アラブ人の目線がよい。 コウスケの目線は、めっさイライラする。こういうヤツいるよねって感じが、ものすごい、リアル笑 ダブルファンタジーのダンナとものすごいかぶりました笑 後半は、この伏線いる?とか、ちょい思うところが若干… モロッコ人の宗教観とか、旅の醍醐味は、そこでしか感じられないものを感じること。 旅をしてみたくなる話。 でもサハラは、いいや笑
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視点が転々とするので、わかりにくい部分があった。 特にいない人の視点が、ん?という感じで混乱した。 持っている想いを伝えるということについて、再度考えた。
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村上由佳の小説は風景描写がきれい。 とにかく、読むものに、「絵」を見せてくれる。そして数あるレパートリーのなかでもこの小説はそいう言う意味で非常に「美しく、絵になる」一冊である。 砂漠に弟の遺骨を撒きにいく姉を中心に、さまざまな人々が登場する。 舞台の砂漠はしかし、風が凪ぎいて...
村上由佳の小説は風景描写がきれい。 とにかく、読むものに、「絵」を見せてくれる。そして数あるレパートリーのなかでもこの小説はそいう言う意味で非常に「美しく、絵になる」一冊である。 砂漠に弟の遺骨を撒きにいく姉を中心に、さまざまな人々が登場する。 舞台の砂漠はしかし、風が凪ぎいていて、大地の奥深くに水を湛えている。だから、この小説に出てくる「砂漠」はやさしい。すべてを奪ってしまう、荒れ果てた大地ではない。すべてを内包する、浄化する場所なのだ。 ゆっくりと、鈍行電車に揺られながら読みたい一冊。 恋愛モノではない。旅行に出たくなる。砂漠に行きたくなる。自分の人生の行き着く先を考えたくなる。
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ダブルファンタジーとは違い 星々の舟とか天使の卵とかの従来の村山作品 ゲイの男が死に、その灰をサハラにまきに、そのゲイの彼氏と姉、友人ふたりと旅にでる、そんな話 ダブルファンタジーはよかったけど これは残念
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静かな文章だけど、それぞれの登場人物に感情移入して、感情を揺さぶられた。ラストは涙。ステキな小説でした。
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【ストーリー】 「僕が死んだら、遺灰をサハラに撒いてほしい」。パリの旅行代理店に勤める緋沙子は、若くして逝った弟の遺言を叶えるため、モロッコを旅することになる。同行者は、弟の友人だった浩介・結衣という若いカップルと、中年のフランス人男性。資産家の彼はゲイであり、晩年の弟と同居していた。互いを理解できないままに、さまざまな事情を抱えながら、4人は異国を旅する。ムスリムのガイド・サイードも加わり、異文化に触れていくなかで4人は徐々に、互いの抱える問題や思いに気がついていく。そんな折、仕事のトラブルから浩介がパリに戻ることになり・・・・・・。 魂の拠りどころを求めて彷徨う男女の姿を通じて、同性愛、姉弟の愛など多様な愛のかたちを描いた意欲作。
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きれいな物語でした。 登場人物それぞれの視点から書かれているのが面白い。 身近な存在の死に直面した時、 人は何を思うのだろう。 自分なら? いろいろ考えながら読み進めた。 周の旅路をたどりながらそれぞれが考える。感じる。 そして、変わっていく。 最後、ジャンクロードの気持ちを...
きれいな物語でした。 登場人物それぞれの視点から書かれているのが面白い。 身近な存在の死に直面した時、 人は何を思うのだろう。 自分なら? いろいろ考えながら読み進めた。 周の旅路をたどりながらそれぞれが考える。感じる。 そして、変わっていく。 最後、ジャンクロードの気持ちを考えると とても切なくなりました。 物語を通して、自分もなにか成長した気持ちになった。
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【遥かなる水の音】 村上由佳さん 周は特殊な能力(チカラ)を持った少年だった。 死者の声がラジオのノイズのように彼の日常生活に 入り込んでくるのだ。 昼夜となく聞こえる死者よりのノイズに、周は落ち着いた 静かな日常というモノが送れていなかった。 自分が死んで後も、この声に悩まされるのだろうか? 360度見渡す限りの砂の世界、彼はサハラの旅で、 人の思念も何もないこの土地に死後の想いを寄せるようになった。 「お願いがあるんだ。僕が死んだら、その灰をサハラに まいてくれないかな。」 その言葉に導かれるようにパリからアルジェリアへと旅をする一行。 亡き弟、亡き恋人、亡き友を想い、周がかつて辿った道のりを進み 彼らはサハラを目指す。 ☆ それぞれが、それぞれの想いを周に抱きつつ、彼ら自身にも 素直になれない意固地な悩みがあった。 彼らは旅の中で、「時間には限りがある」というコトを 実感として認識する。 面白い・・とも言えますが、それよりも「いい本」でした。 「素敵な本」と言いかえてもいいかもしれません。 何が自分の琴線に響いているのか分からないのに、読んでいると 漠然とウルウルとしそうになる場面がいくつかあります。 いい言葉もありました。 高校時代、浩介が周の製菓作りの腕を見込んで 卒業後は周と結衣と浩介の気の合う仲間3人でカフェを併設 した雑貨商を営む夢を語る場面がありました。 その時に「一生放課後、みたいな人生」という言葉を使いました。 そうだった、学生時代の思い出は、授業よりも放課後の方が 圧倒的に多いです。 「一生放課後みたいな人生」か・・ いいなぁ、そういう人生。現実にそういう人生を歩むより、 そう考えて、想像することがすごく楽しくていい。。
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