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遥かなる水の音 の商品レビュー

3.9

93件のお客様レビュー

  1. 5つ

    25

  2. 4つ

    36

  3. 3つ

    22

  4. 2つ

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  5. 1つ

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2024/04/08

大切な人の最期の願いを。 こんな旅路をしてまで届けてくれるだなんて、それだけ想われていたのだろうな。 この世から消えて居なくなることを実感した時、悲しみよりも先に恐怖が襲ってきそうだな。

Posted byブクログ

2019/02/20

人気作家において割と見受けられる「取材と称した成金海外旅行紀」の典型。それでも多少の心ある作家なら庶民目線での安宿やヒッチハイクなどで体験したりするのだが、ご丁寧にも登場人物に金持ちを入れることによって作家自身の散財を作品に落とし込む必然性を作っている。そんなノイズを圧倒凌駕する...

人気作家において割と見受けられる「取材と称した成金海外旅行紀」の典型。それでも多少の心ある作家なら庶民目線での安宿やヒッチハイクなどで体験したりするのだが、ご丁寧にも登場人物に金持ちを入れることによって作家自身の散財を作品に落とし込む必然性を作っている。そんなノイズを圧倒凌駕する手腕がある。砂漠でのラストは見事。

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2017/11/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

パリで死んだ青年、久遠 周(あまね) その最期を共に過ごしたフランス人、ジャン=クロード・パルスヴァル  周の姉、久遠 緋沙子  高校からの友人、奥村 浩介と早川 結衣  通訳兼ドライバー、サイード・アリ 周の「僕が死んだらその灰をサハラにまいてほしい」という遺言を叶える為にフランス、スペイン、モロッコへ。 周が生前辿った行程通りにサハラを目指す旅に出るそれぞれの登場人物が順番に想いをかたる。 ジャン・クロードの細やかな感情の起伏が素敵に描かれている。優しい人だな、私もこんな人がいたら好きになる。 緋沙子の同居人のアランジルボーも、とてもステキな男性。やっぱり、こんな人がいたらすぐに好きになる! なのに緋沙子は、自分の想いの重さとアランの重さが違うことに気づき、充分に愛されているけど、この寂しさは埋まらない、と感じてしまう。 緋沙子の気持ちが、一番、今の私にはしっくりくる。代弁してくれているかのように感じた。 アマネの想いをかたる部分だけが字体が違うのは、細かい気の配り方だと思う。アマネらしいというか。 サハラに行ったことはないけど、目の裏に浮かんでくる。風景の描き方が、とてもいい!そんな感想しか述べられない語彙力の無さが悲しい。 素晴らしい作品でした。 サハラって、日本語では砂漠、の意味なんですね。

Posted byブクログ

2015/12/20

この作品も大好き。 エロスという銘柄の紅茶缶に遺灰を入れて旅に出る。 素敵で気になって、紅茶も買いに行った。 敷居の高い紅茶屋さんでドキドキしていたら、店員さんに当店をどこでお知りに?と質問されて、思わず正直に小説で…と言ってしまい恥ずかしかった思い出。笑(店員さんには素敵ですね...

この作品も大好き。 エロスという銘柄の紅茶缶に遺灰を入れて旅に出る。 素敵で気になって、紅茶も買いに行った。 敷居の高い紅茶屋さんでドキドキしていたら、店員さんに当店をどこでお知りに?と質問されて、思わず正直に小説で…と言ってしまい恥ずかしかった思い出。笑(店員さんには素敵ですね、と言って貰った)

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2015/03/10

<お願いがあるんだ。僕が死んだら、その灰をサハラにまいてくれないかな> そんなインパクトのある一文で始まるこの小説は、一瞬で心を異国の地に連れ去ってくれる、泣きたくなるくらい静かで孤独な、だけど人肌のようなぬくもりのあるものでした。 もともと村山さんは異国を舞台にした小説も多い...

<お願いがあるんだ。僕が死んだら、その灰をサハラにまいてくれないかな> そんなインパクトのある一文で始まるこの小説は、一瞬で心を異国の地に連れ去ってくれる、泣きたくなるくらい静かで孤独な、だけど人肌のようなぬくもりのあるものでした。 もともと村山さんは異国を舞台にした小説も多いですが、共通していつも遠いところに想いを馳せているようなところがありますよね。本書を読むと、旅に出たい気持ちが刺激されて、すぐにでも遠い異国の地に行きたくなります。 小説の端々から村山さん自身とても感性が鋭い人なんだろうと感じますが、きっとだからこそ生きにくい部分があったんじゃないかと思います。 そんな生きにくさと折り合いをつけながら生きてきた哲学が本書にも詰まっていて、ああやっぱり村山さんの小説が好きだと改めて感じました。 感性の鋭さといえば、いつも思うことですが、村山さんの言葉選びがすごく好きです。 例えば、お砂糖入りの濃いミントティー(モロッカン・ブランデー)について、「脳を洗い清めるかのようなあの芳香」とか、センスのある言い回しが溢れています。読めて、もうしあわせ。 男女の機微、異国の美しい景色、ハプニングありつつの濃い旅路など描かれていますが、読み終わってもどこか蜃気楼を見た後みたいな、夢のような不思議な読了感です。 それから本書で何度も登場したポール・ボウルズの作品も一度読んでみたい。読了感はとても悪そうだけれども。

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2015/01/16
  • ネタバレ

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ハードカバーで購入しましたが本の装丁が美しい。 そして、話のスケールが大きい。 話のスケールが大きいという表現は正しくないのかもしれないけれど、紀行文学のようでいて宇宙に還る生命を 語る素敵な小説でした。 各登場人物が語り部となり各自の目線で話が展開しますが周の目線で語られる章があったことがすごく良かったと思います。 サハラの圧倒的な質量と完全な無の矛盾を感じるほどの広大なシチュエーション(直に見たことはありませんが)をこんな風に描写するのだなあと感じました。 ”「そう。俺ほら、モノ集めたりするの好きじゃん。いつかガラクタ屋とか輸入雑貨屋とか、そういう店やるのが夢なんだわ。でさ、ついでにそこでカフェなんかを作っちゃうからさ、お前そこでこういうの焼いて出せよ。なんなら結衣も誘ってさ。一生、放課後みたいな人生。」” あらすじ パリで死んだ青年、久遠 周(あまね) その最期を共に過ごしたフランス人の同居人、ジャン=クロード・パルスヴァル  周を唯一の家族とする姉、久遠 緋沙子  高校時代からの友人、奥村 浩介と早川 結衣  通訳兼ドライバー兼ツアーガイド、サイード・アリ 周の「僕が死んだらその灰をサハラにまいてほしい」という遺言を叶える為にフランス、スペイン、モロッコ 一行は様々な思いを抱えたまま、周が生前辿った行程通りにサハラを目指す旅に出るそれぞれの登場人物が順番に語り部になって、話が進みます。

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2014/10/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「僕が死んだら、遺灰をサハラに撒いてほしい」 姉の緋沙子、弟・周の友人カップル浩介と結衣、そして彼の同居人であるゲイのフランス人ジャン=クロード。 それぞれの思いを抱え、周の遺言を叶えるため彼らはモロッコへ旅立つ。 静かに胸に染み入ってくるような物語。 指をすり抜けていくいくようなさらさらとした美しいサハラ砂漠。モロッコの市場や現地の人々の濃密な空気を感じる。 周は同性愛である事を悩み、長い間友人である浩介への想いを胸に秘めていた。 そして遠い異国の地に来てなお、そこに彼の影を見てしまう周が切なくて悲しい。 でも気のいい大型犬みたいな男の人、私も惹かれるかも。 モロッコを旅する四人の近くを、寄り添うように漂う亡き周の存在。 彼らを静かにやわらかなまなざしで見つめる周の、清廉さのようなものを感じる。 彼の遺灰が「エロス」という名の紅茶の缶に入ってるっていうのも、いかにも彼ららしい馬鹿馬鹿しさで、それでいて小洒落ていてすごく良い。 周を亡くした後なのに、夜な夜な二人で何燃え上がってるんだとつっこみたくもなるけど。それでも浩介と結衣の強く求め合う気持ちに熱くなる。お互いにうまく向き合えなかったのが、周の死と飛行機事故を経験した事によってようやく向き合って、相手の心と体に本当の意味で触れる事ができた。その事を思うと、この旅も周の死さえ無駄じゃなかったんだと思える。 でも確かにあれだけの大きな出来事に直面したら、もうそこに生きて存在するっていう事を肌で感じる事でしか確認できないんだろうな。盛り上がってる若い二人の、隣の部屋であるジャン=クロードには相当気の毒だけど。 あと周という名前の、音の響きが素敵だと思う。 でもジャン=クロードが亡き彼の名前を呼ぶ「アマネ」その響きが慈しむように優しくて、なんだか聞いていてたまらなくなってくる。

Posted byブクログ

2014/10/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

弟の周が言った。死んだらサハラに灰を撒いて欲しい。 周の同居人皮肉屋だけどお金持ちのジャン・クロード、周の姉、『結婚』という形式にこだわる緋沙子、周の友人浩介と結衣。4人で周がたどったサハラ砂漠への道を訪れるロードムービーのような小説。 モロッコの風景がとても素敵に描写されていた。 山場となるのが、浩介が仕事で一度パリに戻って帰る所。浩介が乗った飛行機が墜落との報告がツアコンをしている緋沙子の携帯にかかってくる。 周は浩介に思いを寄せていた。 しかし、友人を失いたくない周はそれは絶対に告げてはいけない事。 最後の最後に浩介に想いが届いて報われた~と思った。 そもそも何故、サハラに灰を撒いてくれと周が言ったか。彼にはもともと死者の声や気配を感じる能力があった。死んでもそれを感じたくない。一度行ったサハラ、あそこだったら誰の声も気配も感ず、静かに過ごせるだろう。そう思った周の遺言からだった。 この本を読んでいて、『なんて長い旅をしているのだ!!!』と思っていたのだけれど、実際はそんな日数は経っていないんだよね。一日を濃密に描写している本だった。

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2014/03/12

モロッコに行きたいなと思って手に取った本。 死んだ人を取り巻く人々が砂漠に遺灰を撒きに行く旅に出た。 彼らは様々な思いを抱えている。 それよりも、旅先での情景や登場人物の心がとても静かに描写されている。水の流れのように、さらさらと。 でもあっさりしすぎて、何かが物足りなかったよ...

モロッコに行きたいなと思って手に取った本。 死んだ人を取り巻く人々が砂漠に遺灰を撒きに行く旅に出た。 彼らは様々な思いを抱えている。 それよりも、旅先での情景や登場人物の心がとても静かに描写されている。水の流れのように、さらさらと。 でもあっさりしすぎて、何かが物足りなかったようにも思う。 だから4つなのかも。

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2014/01/14

「遺灰をサハラに撒いて欲しい」と遺言を残して、27歳という若さで死んだ一人の青年。その姉、恋人、そして友人がともに旅をするロードノベル。 私自身は、姉に感情移入して読んでいたのかもしれない。家族という関係を少し考えさせられた——。そして、たとえ血のつながりがあろうとも、大切であ...

「遺灰をサハラに撒いて欲しい」と遺言を残して、27歳という若さで死んだ一人の青年。その姉、恋人、そして友人がともに旅をするロードノベル。 私自身は、姉に感情移入して読んでいたのかもしれない。家族という関係を少し考えさせられた——。そして、たとえ血のつながりがあろうとも、大切であろうとも、私にとっては家族ではなく、だから寂しい・・・そうした事実を突きつけられたような気持ちがする。 個人的には、特に友人(若いカップル)の話は感情移入できなかったのがちょっと残念。

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