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玻璃の天 の商品レビュー

4

125件のお客様レビュー

  1. 5つ

    31

  2. 4つ

    58

  3. 3つ

    19

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

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2012/04/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

1年近く本棚の肥やしにしていたけれど、最終巻が文庫落ちしていたので読み始めた、 ベッキーさんシリーズ2作目。 1作目より心なしか読みやすくなった気がする。 今のテンションと合致していたのか。 時代は昭和初期、花村商事の令嬢花村英子が遭遇した事件を、運転手のベッキーさんと解き明かす連作短編集。 英子は実に「北村薫作品の主人公」という印象。 好奇心旺盛で行動力があり根が優しいお嬢さん。 時代的に女性の行動に制約が多い中で、をうまく動かしているなあと思う。 今回は切ない恋のお話3作品。 『幻の橋』は仲違いした兄弟の孫同士が恋に落ち、ふたりの仲を認めてもらうよう英子が知恵を絞る。 その中で、仲違いの真相が明らかになる。 かなり教養を試されるような内容である。 推理に関しては完全にお手上げ。 謎解きの部分は筋は通っていたものの、まったく共感できなかった。 現在のロミオとジュリエットを結びつけるために、過去の悲恋が立ち上がってきて、ハッピーエンドではあるものの個人的にあまり読後感のよくないお話。。。 『想夫恋』は華族のご令嬢が駆け落ちをし、 その行方を探るお話。 これまた教養が必要であるなぁ。 現代で展開するには難しい、身分違いの恋。 1、2話はなんだか国語の授業みたいで、講釈が好きな人は楽しいだろうけど少し過剰な感じもした。 まぁこのシリーズは謎解きがメインではないと思っているので、そこらがよくわからなくて充分楽しめるが。 将棋がわからなくても将棋漫画を楽しめるような感じ。 北村薫わーるど全開。 とりあえず教養のない私には謎解きはチトつらかった。 最終話の『玻璃の天』は、一話目の伏線を回収し、一番ミステリらしいお話。 殺人事件の解決だけれども誰から見ても犯人は一目瞭然。 動機も見えている。 心の機微を感じる物語なのだろうな。 ベッキーさんの過去もちらりと明らかになり、せつな過ぎる回。 トリックはとても美しかった。

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2012/04/14
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タイトルにもなっている「玻璃の天」が一番好みでした。 ベッキーさんの秘密も少し分かって前進。 今後どのような展開になるのかちょっと不安ですが楽しみです。

Posted byブクログ

2012/03/25

数年前にシリーズ第一作「街の灯」を読んだ時は、円紫さんシリーズや時の三部作ほどにのめりこめるものを感じられなくて、かなり長い間手をつけずにおいてしまっていたのですが。。。 時の三部作「リセット」で、なが~い導入部に挫折しそうになりながらも読み続けて、ラストの奇跡に触れたときの感...

数年前にシリーズ第一作「街の灯」を読んだ時は、円紫さんシリーズや時の三部作ほどにのめりこめるものを感じられなくて、かなり長い間手をつけずにおいてしまっていたのですが。。。 時の三部作「リセット」で、なが~い導入部に挫折しそうになりながらも読み続けて、ラストの奇跡に触れたときの感動がより深まったように、「街の灯」は、このベッキーさんシリーズの、ながいながい助走部分だったんだなぁと、すとんと腑におちました! この第二作「玻璃の天」では、前作では輪郭しかつかめなかったベッキーさん(それでも十分に凛としてかっこいいのだけれど)が、あたたかい血の通った存在として、もっと身近に感じられました。 でも、なんといってもうれしいのは、14歳にして、軍事色の強まってくる時代にあって、軍人相手に大義よりも心の自由を選びたいと、臆することなく 言えるようになったヒロイン英子の成長ですね! このときの会話のお相手若月少尉と英子の今後も、戦争にむかって坂をころがり落ちるように進んでいく日本の姿も気になってしかたがないので、このあとすぐ「鷺と雪」を読み始めちゃいます。

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2012/03/23
  • ネタバレ

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北村さんは、細やかな感情をこぼさず深く掘り下げていく描写が毎回鮮やかだなー、と思う。今回のベッキーさんシリーズも、人の気持ちを淡々と、でも鋭く突いてくる。 そんな調子だから、ゆっくりじっくり楽しんだ。物語もさることながら、時代背景が斬新。今じゃ当たり前のことが当時はもてはやされていたり。 で、主人公がお嬢様だから、そのセレブぶりも面白い。自宅に運転手って。どれだけのものよ。

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2012/03/23
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2~3年前の読了 べッキーさんシリーズ第2弾、前作に続き昭和の匂いかぐわしい時代のお話。 表題作「玻璃の天」では北村作品には珍しいことに人が死ぬ。そしてベッキーさんの過去も明らかになって…と人物の背景を小出しに明らかにし、ラストへ導く「破」にあたる作品。秀作です。

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2012/03/22

・虚栄の市 ・銀座八丁 ・街の灯 鷺と雪の文庫が出る前から買っていたのにずっと積んでいたがシリーズ一気読み。舞台は昭和初期、お嬢様とその時代では珍しい女性運転手という組み合わせだが運転手はあくまで助言役のままで探偵は主人公のお嬢様が務めるというスタイル。和の中に入ってきた洋が程...

・虚栄の市 ・銀座八丁 ・街の灯 鷺と雪の文庫が出る前から買っていたのにずっと積んでいたがシリーズ一気読み。舞台は昭和初期、お嬢様とその時代では珍しい女性運転手という組み合わせだが運転手はあくまで助言役のままで探偵は主人公のお嬢様が務めるというスタイル。和の中に入ってきた洋が程良く混ざり合ったとても美しい時代を満喫出来た。

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2012/02/13

ちょっと大人になった英子さんの推理があいかわらず冴えている。 どんどん不穏な空気が漂う、昭和初期の日本。 一体この先どういう事が待ち受けているのだろう。 タイムスリップして、その時代を味わえるので、 大変興味深い。

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2012/02/12

私はベッキーさんシリーズでは玻璃の天が一番好きだ。ベッキーさんの揺れ動く気持ちにも触れられている。ベッキーさんと英子さんも相手を最後まで追い詰めることはしない。一線を引いている。それが正義論を振りかざした感じがなく好感が持てる。

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2012/02/07

この作品の良いところは、時代描写がとてもうまい所にあると思う。 昭和初期の暗澹とした狂気が社会全体を覆っている世界。 その狂気が、ある一点に向かって人々を押し流していく。 だけど、英子もベッキーさんも流されるだけでないところがいい。

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2018/03/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

先ほど読み終えた一冊。シリーズ第一作目『街の灯』と同時に手に入れる機会があったので、続けて読むことができた。 花村家お抱え運転手、ベッキーさんこと別宮さんの素性が明らかになる一冊。 どんどん気になる展開になってくる。この分では、第三作目を手に取る日もそう遠くないように思う。 幻の橋 想夫恋 玻璃の天 の三篇からなる。 前作から思っていたが、昭和初期の学校に通うことのできた人々は、非常に知識を持っていたのだということがわかる。 日常から、古典や芸術の話題が出て、それがお互い分かるというのは、付け焼刃なものではなく、身についていたからなのだろう。 今巻でも、お嬢さんは好奇心と強い意志を持ち、様々な事柄、人に出会う。 世間知らずを痛感することもあるが、それを恥じ少しでも学ぼうとする姿勢が好ましい。お嬢さんも確かに、ウェブスターの小説に出てくるような真直ぐな人物であるのだ。 そして傍には、ベッキーさんという、親鳥のような存在があることも大きく関係しているだろう。 想夫恋の結末は、どうなっただろう。 作者の北村氏は、優しく世の不条理や冷たさ、ままならなさをも語るように思う。決して隠すということはせずに。 要するにこの世は、生き馬の目を抜くようなところです (p.172) ということか。 それでも、そんな冷たさを知っていつつも、前を向いていく人々の姿が描かれている。 最後に主人公が別宮さん、ベッキーさんに言った言葉を、何も知らない少女の言ったことだと笑うことは容易い。けれど、力づけられもするのではないだろうか。そういう“正義”をもった、別宮さんならば。 これから来る時代の波を思う。一巻でも思ったが、彼女たちはどう立ち向かっていくのか。どういう思いで未来を生きるのか。見てみたい。

Posted byブクログ