玻璃の天 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
久しぶりのベッキーさんシリーズ。かなり前に『街の灯』を読んで以来だな。シリーズ最終巻の『鷺と雪』が直木賞なんだよね。今度読んでみたいが。 内容としてはまあまあ面白かった。北村薫の書く世界観ってのは、やっぱり独特。主人公の女の子がやっぱり独特なんだろうなぁ。円紫さんシリーズの『私』もそうなんだけどね。 ただ、この本は謎解きよりも若月少尉やベッキーさんに「富める者(=花村英子)」と「その日暮らしの庶民」との違いを語らせているところがハイライトなんじゃないかな、と思うんだけど。 結局英子は、世間知らずのお金持ちのお嬢ちゃん、でしかないんだよね。使用人であるベッキーさんとは、最後の最後までその1点は交わらないんじゃないかと感じた。 どれだけ英子がベッキーさんのことを慕っていたとしても、ね。 その点が、この本の評価されるべき点であり、切ない部分でもある、と思うんだけど、どうだろう?
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ベッキーさんシリーズ第二弾。 やっぱり面白い、綺麗というかしなやか?文体、家族、言葉、会話、雰囲気、イメージが綺麗。推理小説のはずだけど、それだけじゃない。 ベッキーさんも好きだが、やはり主人公英子がお気に入りだ。令嬢だが、好奇心旺盛で行動力があり、我儘でもなく、理解もある。前作より成長してるなぁと「幻の橋」では伺える。とても15歳前後?だとは思えない。自分よりかなり教養があるだろう。和歌すら読めない日本人なんで反省している。もうちょっと文学を勉強しようと思う。このままだと、まずい……。 あと昭和初期という舞台も覗けて、楽しい。コピー機でコピーが10分程かかる。何っ‼これが当時の最新なのか。俺が生まれた時には携帯電話がすでに誕生してたし、パソコンもあった。可笑しな気分になる。 「玻璃の天」。玻璃とは、硝子のことだ。ここでは、ベッキーさんの素性がやや触れられる。見所だね、これが。他にも見所は山ほどあるが…。この時代ならではの暗がここにはある。 「幻の橋」が個人的には好きなんだが。どうだろう。
Posted by
ベッキーさんはかっこいいし、英子さまも賢くて、脇役のお兄ちゃんも可愛くて魅力的だけど、少し重苦しいところが多かった。
Posted by
「街の灯」がおもしろくて、一気に3部作を読み終えてしまった。 短編でありつつ、連作としてのおもしろさもある。このシリーズを読んでいると、銀座と軽井沢に行きたくなる!
Posted by
言いたいことも好きには口に出せない、口にすればたちまち糾弾される。そんな時代をうまく物語に絡めてきます。前作に比べると昭和初期の事件が近づいてくる時代を意識してか、少し暗い話題もちらほら。その中で、資生堂パーラーのクロケットなどの明るい流行の話題が混じったりしていいバランス感。と...
言いたいことも好きには口に出せない、口にすればたちまち糾弾される。そんな時代をうまく物語に絡めてきます。前作に比べると昭和初期の事件が近づいてくる時代を意識してか、少し暗い話題もちらほら。その中で、資生堂パーラーのクロケットなどの明るい流行の話題が混じったりしていいバランス感。ところで、コーヒーが出てくるのはいつの時代からなんだろう・・・。
Posted by
一作目に引き続き、耽美な昭和初期を舞台に、柔らかく描いている。 推理小説ではあるが、推理小説っぽくなく、大正から昭和の文化を感じるにはとても良い本だと思いました。 上品な小説です。
Posted by
5 シリーズ前作「街の灯」を読んだときは、それほど面白いというわけでもなく、かといってつまらないというわけでもなく、そこそこ興味を引かれる北村作品に目を通しましたというぐらいの感想だった。しかし本作はぐいぐい物語に引き込まれる。面白い。前作も読み返したくなるし、読めば以前と異なる...
5 シリーズ前作「街の灯」を読んだときは、それほど面白いというわけでもなく、かといってつまらないというわけでもなく、そこそこ興味を引かれる北村作品に目を通しましたというぐらいの感想だった。しかし本作はぐいぐい物語に引き込まれる。面白い。前作も読み返したくなるし、読めば以前と異なる感想になるだろう。次作も早く読みたい。
Posted by
ベッキーさんシリーズ二作目。昭和初期が舞台のミステリシリーズ短編集。とにかくこの時代の雰囲気が良い。ベッキーさんがかっこいいというイメージだったけど、主人公のお嬢様もかっこいいんだなぁ。
Posted by
『昭和初期の帝都を舞台に、令嬢と女性運転手が不思議に挑むベッキーさんシリーズ第二弾。犬猿の仲の両家手打ちの場で起きた絵画消失の謎を解く「幻の橋」、手紙の暗号を手がかりに、失踪した友人を探す「想夫恋」、ステンドグラスの天窓から墜落した思想家の死の真相を探る「玻璃の天」の三篇を収録。...
『昭和初期の帝都を舞台に、令嬢と女性運転手が不思議に挑むベッキーさんシリーズ第二弾。犬猿の仲の両家手打ちの場で起きた絵画消失の謎を解く「幻の橋」、手紙の暗号を手がかりに、失踪した友人を探す「想夫恋」、ステンドグラスの天窓から墜落した思想家の死の真相を探る「玻璃の天」の三篇を収録。』
Posted by
ベッキーさんの過去が明らかになる 玻璃の天 すこしずつ戦火の足音がしのびよるが、まだ大正文化の自由な香りが残る昭和初期の雰囲気が感じられる。 上流階級の作法にしばられたお嬢さんながら、若い女性の闊達さがいい感じ。
Posted by