文庫版 邪魅の雫 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
京極堂シリーズ最新作。 敬愛する榎さんの見合いが次々と破談になる原因を突き止めよ、と榎さんの伯父に益田君が依頼されて動き出すところから始まるのだが…。 黒幕(?)が榎さんの元カノー!!榎さんが唯一長く付き合った人で、見合いがうまくいかないよう願ってしまったことが原因と。あくまで自分は手を汚さないあたり、『絡新婦』っぽい。 けど榎さん自体の活躍が少ないから物足りない。 あと今回は益田君に注目。益田君は本当は根暗だから、アホのようにふるまう努力をしているのだっていう…見習わねば!!
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榎木津はもちろん、関口も益田も「らしくない」一面を披露する。歪んだ愛情が引き起こす連続殺人ならぬ連鎖殺人。因果関係を必死で脳内整理する。女たちがすべて偽名を駆使した「あの女」に収斂されるから、分かりいいようで混乱をきたす。いつもは話半分どころか三分も理解できない京極堂の薀蓄が、今...
榎木津はもちろん、関口も益田も「らしくない」一面を披露する。歪んだ愛情が引き起こす連続殺人ならぬ連鎖殺人。因果関係を必死で脳内整理する。女たちがすべて偽名を駆使した「あの女」に収斂されるから、分かりいいようで混乱をきたす。いつもは話半分どころか三分も理解できない京極堂の薀蓄が、今回は最も分かりよかった。昔話と伝説と歴史の相違を理解させていただく。でもあの長い能書は、この事件の謎解きにどれほど必要であったかどうか。いずれにせよ、これまでの百鬼夜行シリーズと比して「らしくない」のだ。エンディングなんて、それこそ彼奴に似合わんぞ「ばかやろう」
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最後の場面がとても好き。 榎さんの言葉は呪いか制裁か。榎さん、少ない登場シーンながら全て持って行かれました。 これでシリーズ長編はひとまず全て読み終わったと思うと寂しい。続きを待ってます。
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〝百鬼夜行シリーズ〟のご多分に洩れず、1,311ページに及ぶ長編なのですが、これまでと違うのは、妖のものが出てこないのと、榎木津礼二郎と中禅寺秋彦の登場する場面が少ないということです。ちょっとさびしい気もしますが、物語の内容からすると、このくらいが丁度いいのかなぁという気がしない...
〝百鬼夜行シリーズ〟のご多分に洩れず、1,311ページに及ぶ長編なのですが、これまでと違うのは、妖のものが出てこないのと、榎木津礼二郎と中禅寺秋彦の登場する場面が少ないということです。ちょっとさびしい気もしますが、物語の内容からすると、このくらいが丁度いいのかなぁという気がしないでもありません。でも、京極堂の騙りは相変わらずですし、榎木津礼二郎のシリアスな部分を垣間見ることもできます。 邪な部分は誰にだってあります。それは、人の心の弱いところに巣食う妖なのかもしれませんネェ。 べそかきアルルカンの詩的日常 http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/ べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
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久々の京極作品。 いやー分厚い。持ちにくい!読みにくい! それでも読んでしまうのは、やはり面白いからだろうなぁ。 今回の百鬼夜行シリーズは良くも悪くも普通な感じ。 途中、だいぶ頭がこんがらがりましたが。 えのさん、ちょっと切ないね。
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容疑者が全部死んでしまったーー 2つの毒殺事件の関連性とは何か。戦時中開発されたという恐るべき毒薬の行方は…? 世界と自分、世間と社会、事実と嘘、拡張する自己。 忙しい時期に読み始めたから、これまでのより難解だった。わかったけど、もう一度ざっと読み直したい。山下や石井が立派に...
容疑者が全部死んでしまったーー 2つの毒殺事件の関連性とは何か。戦時中開発されたという恐るべき毒薬の行方は…? 世界と自分、世間と社会、事実と嘘、拡張する自己。 忙しい時期に読み始めたから、これまでのより難解だった。わかったけど、もう一度ざっと読み直したい。山下や石井が立派になってて嬉しい。 京極堂の意外な登場や、益田の意外な苦悩や、関口の意外な成長や、榎木津の意外な過去と盛り沢山の内容。 かつてなく理不尽で悲しい事件、と云うより此れまで以上に得心がいかぬ。この結末に納得がいかぬ。この制裁に異議がある。 …わたしも、此奴が嫌いだ。 あと、論評についての論議は読書感想文に関わって興味深い。
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再読。読み返すなら間を置かない方が良い作品と感じた。桜の時と同じ手法が使われてて、イイナァ。 自己が拡張しすぎてしまっている、民族社会の壊れた世界というのは、この物語の舞台となっている戦後間もない頃よりもさらに深化していると感じた。個人を救済/吸収するシステムが脆くなってるんだ...
再読。読み返すなら間を置かない方が良い作品と感じた。桜の時と同じ手法が使われてて、イイナァ。 自己が拡張しすぎてしまっている、民族社会の壊れた世界というのは、この物語の舞台となっている戦後間もない頃よりもさらに深化していると感じた。個人を救済/吸収するシステムが脆くなってるんだろうなぁ、とボンヤリ考えた。現代、「個=自己」というのはSNSなんかを見てても思うけど、どこまでも広がっていて、自分自身の重みというのは個人個人の中でたいへんに増している感じがします。 人が一人死んだところで、世界は確かになにも変わらないんだよなぁ。そこでオシマイだもんなぁ。 大海のひと雫なのだと、思い知らされました。 ところで京極堂のウンチク、回を増すごとに結びつけが強引になているように感じる。ウブメの見事な論理構築のすぐあとに読んだのでますます強く印象に残った。でも、おもしろいもんはおもろい。シラけて読んだらもったいない。 ていうか鵺はやく…!という思いを胸に、鉄鼠に戻ろうと思います。
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『するしないの基準は、通常は個人の外にある。多くは法律だとか常識だとか社会通念だとか云うものである。 でも木場の基準は木場の中にしかない。』 『児童である。 頭が悪いんだ、きっと。 そう思う。 誰かに認めて貰わなければ、良くやったねと云って貰わなければ、己の行動を己できちんと評...
『するしないの基準は、通常は個人の外にある。多くは法律だとか常識だとか社会通念だとか云うものである。 でも木場の基準は木場の中にしかない。』 『児童である。 頭が悪いんだ、きっと。 そう思う。 誰かに認めて貰わなければ、良くやったねと云って貰わなければ、己の行動を己できちんと評価出来ないのだろう。 正当化も出来ない、責任も取れない。 自信がないのだ。だから恩着せがましいことを何度も何度も云う。褒めて褒めてと繰り返す。お菓子を強請る児童のように。 大の大人が見苦しい。』 『己の行為に対する代償を他人に求めたりするものか。何であれ遣り遂げたなら達成感がある筈だ。それで充分だと思う。真に褒められる結果があるならば、徒らに自己申告を繰り返さずとも、自ずと評価はされている筈である。』 『まるで葬式を二十ばかり梯子したかのような極め付きの仏頂面だ。』 「読書に上手いも下手もないよ。読む意志を持って読んだなら、読んだ者は必ず感想を持つだろう。その感想の価値は皆等しく尊いものなのだ。書評家だから読むのが巧みだとか、評論家だから読み方が間違っていないとか、そんなことは絶対にない」 「何だか如何でも良くなってしまったよ。君の云う通り、作品を悪く書かれたって僕の日常は何も変わらない。褒められたって同じことだ。僕は今までと同じように暮らすしかない訳だな」 「まあ読んでくれた人の数だけ、読んでいる間の時間だけ、小さな流行は生み出したのさ。この書評はその証拠だ。そう思い賜え」 「捜査に限らずどんな場合でも、出来過ぎた絵は思い込みだ。思い込みはどんな些細なもんでも、何の役にも立ちやせんぞ。」 「思い込みはいかん。先ず目の前のものを見ろ。正義なんてものは ー 見えねえだろう」 『世界はお前なんかを拒んでいない。 受け入れてもいないけれども。』 「してないよ。普通だって」 「普通って ー どう云ったのよ」 「どうって、普通だよ。と云うかさ、そんな、なんて云うのかな、死亡通知なんかしたことないよ」 「じゃあ普通かどうか判らないじゃん」 「そうだけどさ」 『妙な気起こさないでくださいよ。 妙な。 妙な気? 妙なものか。私の世界では私の気持ちは常に正当だ。何を思おうと何を考えようと、これは常に正しいのだ。妙なのは ー 実菜が殺されるような歪つな世界の方だ。』 『殺してしまった ー か。 何がしまった、だと思う。 殺そうとして殺したのなら、ただ殺したと云えばいい。しまったの部分に、何か云い訳がましいものを感じてしまう。』 『殺してやった、と云う云い方もあったか。 殺してやった ー お前のために、と云うことなのだろう。やった、の部分で責任を転嫁しているのである。誰のためであろうとも、行動を起こしたのは自分だと云うのに。』 『毒を嚥ませる。 刃物を突き立てる。 そんなことをしておいて、殺してしまったはないだろう。反省するなら警察に自首でもして罪を償うべきである。少なくとも今の社会では、そうすることで取り返しのつかぬ行為を生産すると云う、まやかしの救済措置を用意してくれているのだから。』 「親の身分だの地位だの家の場所だの大きさだの職業だの役職だのが、一体何の証しになるんだ? そんなものは酒のつまみにもならんぞ。」 「分相応のことをしろッ」 「は、はい。僕ァ、その、こそこそ卑屈に適当なことをします」 『「自殺か。まあ君から見ればそうなるだろう。しかし私からしてみれば ー まあ」 世界の終わりだよ。』 『「君は ー」 誰だ。 「世界を騙る者です」』 「謎とは解らないこと、不思議とは誤った解釈。」
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長い・・・ 長すぎる・・・。 1,000ページ読んでもまだわからん。 ずーっとなんだかわからん話を読み続け、 やっと京極堂さんが出てきて謎を明かしてくれそーだと思ったら、 そこから全てが明らかになるまで200ページ。 読みやすいから読めるけどね。 それにしてもいくらなんでもひ...
長い・・・ 長すぎる・・・。 1,000ページ読んでもまだわからん。 ずーっとなんだかわからん話を読み続け、 やっと京極堂さんが出てきて謎を明かしてくれそーだと思ったら、 そこから全てが明らかになるまで200ページ。 読みやすいから読めるけどね。 それにしてもいくらなんでもひっぱりすぎ。 もう長いしか感想が出て来ない(笑)
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今回は読み終わるのに苦労しました… 分厚いのは相変わらずなんだが、人がバタバタ死んでいくだけのワンパターンの展開で全然犯人に近づかない… 京極堂や榎木津の出番も少ないし… 京極作品で二番目につまらない 2022/02/23 2回目の読了 ★3 なぜか前回より面白く読めた。 登...
今回は読み終わるのに苦労しました… 分厚いのは相変わらずなんだが、人がバタバタ死んでいくだけのワンパターンの展開で全然犯人に近づかない… 京極堂や榎木津の出番も少ないし… 京極作品で二番目につまらない 2022/02/23 2回目の読了 ★3 なぜか前回より面白く読めた。 登場人物が多いので なんとか混乱しないように集中して読んだのが良かったのかな。 ただ榎木津らしさが無かったのと 京極堂の登場があまりに唐突で違和感があった。 やはりちょっとネタ切れ感があるな。 続きは出ないのかな〜
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