ぼくのメジャースプーン の商品レビュー
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主人公は小4の僕で、彼が気になる女のコふみちゃんが、大事に面倒見ている学校のうさぎが、ある日残虐な事件に巻き込まれてしまい、彼女は心を閉ざしてしまう。主人公はその事件を起こした犯人に罪を償わせようと、自身が生まれ持った不思議な力を使う決心を固め、同じ能力者の秋山教授に力についての指導を仰ぐ。 つらい出来事への向き合い方、対処の仕方、償うとは。テーマは深く人ってなんだろう、悪とは、罪とはなんだろう、色々考えさせられる。こどもが当事者という部分にも胸が痛む。 語り手が僕なため、彼目線の見えていない部分の描写があったり最後まで読んでストーリーが繋がったり読後感がよかった。
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被害者というのは、あっさりと復讐するための加害者になってしまうことができる。ただし、相手に何か危害を加えてしまった時点で、それはその人の負けです。 この暴力は、時としてこちらがあきらめること、相手にしないことでしか立ち向かう術のない、とても厄介なものです。あきらめることは必要か...
被害者というのは、あっさりと復讐するための加害者になってしまうことができる。ただし、相手に何か危害を加えてしまった時点で、それはその人の負けです。 この暴力は、時としてこちらがあきらめること、相手にしないことでしか立ち向かう術のない、とても厄介なものです。あきらめることは必要かもしれません。けれど、怒っていい。あなたたちは、なにも悪くありません。 自分のことに興味がないなんて、どうだっていいなんて言うのは、卑怯です。負け惜しみと強がりなんじゃないのか。本当は、あの人は何も失うつもりがない。 だけど、それには終わりが来る。人間というのは、とても強い生き物なんです。ときが来れば、素通り笑顔を浮かべることができるでしょう。 どうしようもない悪というのは、いつまでも悪のままです。あきらめて、割り切ることができないなら、罰を与えたいなんて思うべきでさありません。 わかりあえない者同士な、無理に一緒にいる必要はない。関わらず、住み分ける以外に道はありません。 これが何という正解はない。けれど、そんな中でどうすることが自分の心に一番恥じないのか。何を一番いいと信じるか。それだけはきちんと胸に置いておく必要があります。 自分のために一生懸命になってくれる誰かがいること。自分が誰かにとってのかけがえのない人間であることを思い出すことでしか、馬鹿にされて傷ついた心は修復されない。 誰かに対してひどい行いをした者、誰かを馬鹿にして笑った者、傷つけた者。そういう人間は、いつか必ず自分の人生にそれが返ってくる。 不幸な目に遭った時、人は自分のそれまでの行いを振り返り、反省する時が来る。心を責める機会が来るとしたら、その時だと。 人間の人生は、自分自身の過去の責任を必ず取らなければならないようにできているんです。 責任を感じるから、自分のためにその人間が必要だから、その人が悲しいことが嫌だから。そうやって、『自分のため』の気持ちで結びつき、相手に執着する。その気持ちを、人はそれでも愛と呼ぶんです。 自分のエゴで、自分の都合で、時に結びつき、時に離れ、互いを必要とする気持ちに名前を与えてごまかしながら、僕たち人間は発展してきた。
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人は自分のためにしか泣けないらしいけど、ぼくも、先生も、ふみちゃんも人のことまで考えられる人で、その想いが伝わってきて、気づいたら泣いていた。
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『名前探しの放課後』を読むために読んだから構えてなかったせいもあるけど、 学生のときに出会ってたら読書感想文書いてたと思う
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好きな子のため?自分のため? 自分を犠牲にしてまで犯人に立ち向かう 彼の選択は「正しくはない」が「好きだ」 最後の言葉を自分なりに考えたが、作品の言葉のほうが良かった さすが名作家さん 『人間は他人のために泣いたりできない』のか? 『その人が悲しいことが嫌だから…《自分のため》の気持ちで結びつき執着する。それを…愛と呼ぶんです。』
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話としては大切な人を傷つけられた主人公が、犯人に対して自分の特殊な力で復讐するという内容です。そして、その復讐の内容をどのようにするべきなのかということについて、先生とぼくが対話し続けるところがこの作品の主な部分です。メジャースプーンとは、大さじ小さじなど測りとるための器具でいわばものさしです。先生とぼくが対話を重ねて、動物や人間の命の重さはどう測れるのか、そしてその命を奪った人間の罪と罰はどう測れるのかというところがこのタイトルに込められた意味の一部かなと思います。 ハエや蚊は殺していいけど、ちょうちょは殺すのは忍びなかったり、うさぎは昔食べる文化があったりなど、命の重さをどう測るか、は人によって、そして時代によっても移りゆくものだなと思います。命の価値、罪の重さ、罰はどうあるべきかなと考えさせられる内容でした。 もう一つのメジャースプーンの意味は、ぼくとふみちゃんの絆を意味すると思います。ぼくが切実にふみちゃんを想っていることは読者は痛いほどわかるのですが、ラストでふみちゃんから見舞いにいくと言い出したことや、ふみちゃんが、ぼくに友達であることが誇りだと言われたことをとても嬉しく思っていることから、ふみちゃんもまたぼくのことを大切に想っていることが分かります。ぼくもふみちゃんも小学生離れしたキャラクターですが、幼い二人の絆もエモいポイントでした。
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人は自分のためにしか泣けないのか... 人間ってみんな自己中心的な生き物なんだなぁ 主人公とふみちゃんの人間性が素晴らしい!自分が主人公の立場で、声を使えたとしてもあんな風には使わいだろうしそもそもあの考えに至らないだろうな〜
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罪と罰、復習、愛情 について考えさせられた。 『ぼく』視点からの語り口調で読みやすい。 最後100ページくらいからぐっと面白さが急上昇して、辻村深月さんぽさが出ている素敵な作品でした。 表紙や挿絵、書評の方の文章も好きで、そこを含めて☆5です!!
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満点に近い4点。 ただ一度きりの、復讐のおはなしである。 復讐を行うには、あまりに若く、純粋な主人公。 思っていた以上に、深く、重く、面白い。
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私にとっては少し心が痛んだ作品… 「ぼく」は小学校4年生なのに、すごく大人で賢くて、落ち着いてる…凄い… 子供達は夜と遊ぶの秋先生の言動と月子の本能には切なくなった…T T
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