ぼくのメジャースプーン の商品レビュー
ランチに軽い気持ちで読みはじめたら止まらずに、会社のカフェテリアで読みながらちょっと途中泣きそうになった一作。なので忠告しよう、辻村深月は、止まらんぞ。 以前の作品に対する私の感想は: デビュー作は昔クラスに一人はいたようなおさげの学級委員タイプの女子高生のバイブルともいわ...
ランチに軽い気持ちで読みはじめたら止まらずに、会社のカフェテリアで読みながらちょっと途中泣きそうになった一作。なので忠告しよう、辻村深月は、止まらんぞ。 以前の作品に対する私の感想は: デビュー作は昔クラスに一人はいたようなおさげの学級委員タイプの女子高生のバイブルともいわれる「冷たい校舎の時は止まる」。個人的には、なんか傷ばっかり抱えている登場人物たちと、あたしみたいに気の強い女子には嫌われそうな主人公の取り合わせ、ふわっふわした現実味のない会話についていけなかった。透明感がいいって?そういわれちゃうとごめん、オジサンそんなに若くなくてさー。てな感じ。でも、伏線とか意味ありげな展開で、最後まで行きます!ってがんばりましたともえぇ。 続く「子供たちは夜と遊ぶ」は、少し年を重ねて大学生。・・・なのだが、また例によって出てくる男女は絶世の美男美女揃い、ついでになにかと不幸。韓流ドラマか少女マンガを小説にした感じ。さくさくストーリーが進むので楽に読めるが、キャラクターづくりが・・作家さんが若いからなのか、とにかく青い。軽やかで読後感は悪くない。後悔はしないということで、★4つ。 ・・こんな感じだった。 正直、若い作家だから若い子の目線の小説なんだなぁ・・老人には無理だな、って思ってなめてた。 なので、本作「ぼくのメジャースプーン」は、さらに小学生が主人公と知り、まったく期待はしなかったんだ。ゴメン。そうでなくとも無菌状態の世界感のこの作者に、「大事な幼なじみが大切にしていた兎が死んだ。死んだんじゃない、殺されたんだ。単に暇つぶしをして楽しむためだけに。犯人の大学生が笑いながら退屈しのぎに奪ったのは、兎の命と幼なじみのふみちゃんの言葉と心。僕は決意する、僕が復讐するんだ、チャンスは一回・・」なははは。こりゃー無理だわ、こんな純情可憐なスイート話、読めませんって。なになに、小学生のボウヤが何をするんだって? しかし、アマゾンなどの本紹介のつたなさが、意図的ではないかと思われる程に内容はかなりシリアス。 兎の惨殺シーンしかり、犯人の医学生が第一発見者であるふみちゃんを見て、「第一発見者、君?マジかよ。うっわ、萌えねぇー」と嘲笑しながら携帯で撮影するシーン、その前後のネットでのやりとり・・嫌になるくらい、この軽薄な描写がうまい。 そしてぼくには、「条件付」で相手に行為を強制する能力があることが明かされる。相手に対して心を込めて、ある行為を強制できるのだ。「・・・しなくちゃだめだよ、そうしないと・・になるよ」というように。ぼくは、その力のなんたるかを学び、医学生に対峙するための修行を始める。与えられた期間は1週間。何を条件にして何を罰にすれば、ぼくは心から満たされるのか、相手がどうなることをぼくは、望んでいるのか。 最終的にぼくが出した答えと、犯人の末路はここでは明かさない。 まだこの本を読んだことがないのであればあなたは幸せだ。読み終わった後のカタルシスをあたしは、羨ましく思う。そうしてこの本の前にでも後にでも、もう一度前作、「子供たちは夜と遊ぶ」を読むと良いと思う。あえて伏せられている登場人物が誰なのか、秋先生の後悔はなんだったのか、まだお楽しみが残っているから。 「誰かが死んで、それで悲しくなって泣いても、それはその人がいない自分が可哀想で泣いているだけなんだ、人間は自分のためにしか泣けない」 「どうしようもなく最低な犯人に馬鹿にされたという事実は、自分のために誰かが一生懸命になって、自分が誰かにとってのかけがえのない存在であることを思い出すことでしか消えない」 作者の青さが胸にイタいのは、あたしがこの輝きを失ったからに他ならない。と、ひとりちょっとだけ反省。
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自分がぼくの立場だったとしたらどんな声をかけていたんだろう。 いくら考えてもぼくのような考えには行きつけないんだろうな。 1人のためにここまで強くなれるのってすごいなぁ。 人間って、絶対に他人のために泣いたりできないんだって。 誰かが死んで、それで悲しくなって泣いてて...
自分がぼくの立場だったとしたらどんな声をかけていたんだろう。 いくら考えてもぼくのような考えには行きつけないんだろうな。 1人のためにここまで強くなれるのってすごいなぁ。 人間って、絶対に他人のために泣いたりできないんだって。 誰かが死んで、それで悲しくなって泣いてても、それは結局、 その人がいなくなっちゃった自分のことがかわいそうで泣いてるんだって。 自分のためにしか涙が出ないんだって
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「もしも『何か』をしなければ、『ひどいこと』が起きる。」 そんな『条件ゲーム提示能力』を持ったぼくと、 幼馴染の、ウサギが大好きな女の子ふみちゃんの話。 自分ならこの力をどうやって使うだろうかと考えながら読みました。 最後の選択には驚かされ、同時に、なんてバカなことをするんだろ...
「もしも『何か』をしなければ、『ひどいこと』が起きる。」 そんな『条件ゲーム提示能力』を持ったぼくと、 幼馴染の、ウサギが大好きな女の子ふみちゃんの話。 自分ならこの力をどうやって使うだろうかと考えながら読みました。 最後の選択には驚かされ、同時に、なんてバカなことをするんだろうと憤りも覚えました。 けれど、ぼくの強さも弱さも 賢さも狡さも、決して嫌いにはなれない。 愛しいなぁって思ってしまうんです。
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辻村深月の4つ目かな。「子どもたちは夜と遊ぶ」の秋山先生が再登場!! あの中では触れられなかったことも明かされて、月子ちゃんとかも幸せそうに。 基本構成は、「僕」と「秋山先生」との会話。罰とは、罪とは、みたいな思想論が展開されていく。もしも自分が同じ立場だったら、「条件」と「罰...
辻村深月の4つ目かな。「子どもたちは夜と遊ぶ」の秋山先生が再登場!! あの中では触れられなかったことも明かされて、月子ちゃんとかも幸せそうに。 基本構成は、「僕」と「秋山先生」との会話。罰とは、罪とは、みたいな思想論が展開されていく。もしも自分が同じ立場だったら、「条件」と「罰」をどうしようか、と考えながら読んじゃったなぁ。 俺だったら・・・わかんねぇ。考えとこう。 「僕」の能力の前提条件がよかった。 まず、自分と相手しかゲームの成立に関係しないこと。これによって、復讐が自分のためのものでしかないことが確立された。 さらに、ゲームとして「条件」と「罰」にすることで、ダブルバインドや条件設定ができるようになったこと。 このゲーム能力はまだまだ使えそうなんで、使ってってほしいなぁ。 作るのはしんどそうだけど、期待したいなぁ・・・
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この作品はカテゴリが思いつかない かれこれ、辻村作品は私にとって三作品目。 彼女の作品はいつもほのぼのと始まって、油断している読者の隙を 見計らって、奈落の底に落とし入れる でも、それらは全て物語の人物と同じように奈落の底に落ちたり、 悲しんだり、感動したりと感情をともにできるよ...
この作品はカテゴリが思いつかない かれこれ、辻村作品は私にとって三作品目。 彼女の作品はいつもほのぼのと始まって、油断している読者の隙を 見計らって、奈落の底に落とし入れる でも、それらは全て物語の人物と同じように奈落の底に落ちたり、 悲しんだり、感動したりと感情をともにできるように作品が緻密に 作られているのであって、それもその計算の内なのではないかと思った 容赦なく、残酷な事件などが起こることを全く暈さずにちゃんと向き合い 考えていく様は本当に読者側も色々考えさせられる
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人間は人のために泣けないらしい。 大切な人が死んでしまっても、その人がいなくなった自分がかわいそうで泣くんだって。
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辻村さんの本は結構読みましたが、これが一番おもしろかった! ふみちゃんのエピソードには心が温かくなる。 ぼくが力を使って犯人にどう反省させるか、 秋先生との問答も奥が深い。 大きく二度おいしい本だなと思います。
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8月1日には読了。 ある特殊能力を持つ少年の話。その能力の設定が面白い。 またその能力を使うか否かを考えるため少年が先生とする会話が深い。いろいろ考えながら読める本。
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真面目で、明るくて、頑張り屋さんなふみちゃん。 うさぎが大好きで、4年生になるのを楽しみにしていたふみちゃん。 そんなふみちゃんを大好きなぼく。 4年生になったぼくたちはうさぎの世話をできるようになった。 ぼくが風邪を引いてうさぎの世話をふみちゃんに代わってもらったその日、 うさ...
真面目で、明るくて、頑張り屋さんなふみちゃん。 うさぎが大好きで、4年生になるのを楽しみにしていたふみちゃん。 そんなふみちゃんを大好きなぼく。 4年生になったぼくたちはうさぎの世話をできるようになった。 ぼくが風邪を引いてうさぎの世話をふみちゃんに代わってもらったその日、 うさぎ達は殺された。 ふみちゃんは喋らなくなった。 そんなふみちゃんを助けようとぼくが奮闘するお話。 秋先生や秋先生の元教え子のお洒落な先生や、その先生のお友達の目つきがこわい人。そんな懐かしい顔ぶれも出しつつ進行するこの話は とても深い話だと思った。 人は自分の快楽のために残酷なことができるけれど、 自己保身のために残酷なことができるけれど、 でも、自分の大切な人のために必死に戦ったり、 自分を犠牲にしてでも助けたいと思ったり、できる。 読んでいてずっと、切なかった。 辻村深月っていう人は、すごい人だと思った。
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非常に考えさせられる内容でした。 何の前触れもなくやってきた悪意に大切な人を傷つけられた時、もし自分にも主人公である“ぼく”と同じ能力を持っていたらどうするかと考えてしまいました。 復讐することも何事もなかったように忘れることも出来るそんな状況で”ぼく”が選んだ答えは“ぼく”自身...
非常に考えさせられる内容でした。 何の前触れもなくやってきた悪意に大切な人を傷つけられた時、もし自分にも主人公である“ぼく”と同じ能力を持っていたらどうするかと考えてしまいました。 復讐することも何事もなかったように忘れることも出来るそんな状況で”ぼく”が選んだ答えは“ぼく”自身が後悔せず納得のいくものなのか、最後まで悩み続け出した答えの結末は予想とは異なっていたものの満足のいくものでした。 この作品で前作、「子供たちは夜と遊ぶ」で気になっていた部分も解消され、そういうことだったのかと納得することも出来ました。 「ぼくのメジャースプーン」は色々な人に勧め意見を聞いてみたくなる作品です。評価は文句なしの★五つ! 2013再読
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