影との戦い の商品レビュー
ファンタジー小説は大好きですが、このシリーズはどういうわけかとっつきが悪く、何度も途中で本を閉じてしまっていました。 ジブリのアニメ化からしばらくたった今、ようやく読了。 主人公がほぼ呪われたような運命を背負うという立ち位置は『指輪物語』と似ていますが、話の中心であるゲドが野心的...
ファンタジー小説は大好きですが、このシリーズはどういうわけかとっつきが悪く、何度も途中で本を閉じてしまっていました。 ジブリのアニメ化からしばらくたった今、ようやく読了。 主人公がほぼ呪われたような運命を背負うという立ち位置は『指輪物語』と似ていますが、話の中心であるゲドが野心的な未熟者として描かれている点が、これまでのヒーロー像とは違っています。 普通の人間くさい打算や下心があまさず描かれているため、はじめのうちは全く彼のことが好きになれません。 おそらくそれが理由で、なかなか読み続けられなかったのでしょう。 まったく現代的なヒーロー像。その分、あまり距離を感じることなく、読者はゲドの体験を共に追って行けます。 第1巻なので、まだ自分の力をコントロールできておらず、精神も成熟していない、荒々しいままの青年像。 世の中の不幸を消すわけではなく、自分のおごりが招いた災いを消すという、大いなるひとりよがりのようなパーソナルスタイルの強い設定。 強い自我を持ち、もがきながら、成長していく様子が2巻以降にも描かれていくのでしょう。 野性児のような彼の補填役として登場するカラスノエンドウの存在が、重苦しい悲劇に救いを与えています。 孤独であるべき魔法使いでありながらも、孤独すぎると判断を誤り、道を間違いかねないため、信頼のおける存在が必要不可欠。 生きていくとはかくもバランスの難しいものかと思います。 もはや、絶対的価値ではなく、相対的価値観の社会で生きている我々には、昔ながらの物語は、パターン化しているような印象も受けるもの。 時代の移り変わりの中で、生まれるべくして生まれてきた物語でしょう。 自分と対峙し、戦い続けて行くという成長譚。 また、通り名と真の名という区別は、対人関係の壁を作る現代人を写しているようにも思えます。 現代風で、哲学的でもあり、コアな読者に支持されているということが頷けました。
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『ゲド戦記』三部作(当時)を初めて読んだのは高校生の時。図書室の司書さんのおすすめで。翻訳者が高校のOBだと教えてくれた。静岡書店大賞の児童書・名作部門に何を投票するかを考えていてこの作品のことを久しぶりに思い出し、少年文庫版が出てるのを知って思わず買ってしまった。読み返すたびに...
『ゲド戦記』三部作(当時)を初めて読んだのは高校生の時。図書室の司書さんのおすすめで。翻訳者が高校のOBだと教えてくれた。静岡書店大賞の児童書・名作部門に何を投票するかを考えていてこの作品のことを久しぶりに思い出し、少年文庫版が出てるのを知って思わず買ってしまった。読み返すたびにその時の自分自身を発見するような気がする。その時でないと思わないこと、今だから判ること、が作品に如実に反映する。
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"自分がしなければならないことは、しでかしたことを取り消すことではなく、手をつけたことをやりとげることなのだ。" テーマは"責任"と他の人がレビューしていてなるほどと思いました。 淡々とした語り口で、すすすッと読みました。淡々と窮地に陥ったり、脱したりするゲドの姿が新鮮でした。
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ゲドシリーズ3巻まで読みましたが、 一番良かったのが、第一巻でした。 最後の結末で、衝撃が走り、 そうきたかと涙しました。 光と影の関係を、 深く考えさせられた一冊です。 多分、私がこれだけ衝撃を受けた本は、なかなか現れない気がします。
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大賢人ゲドの一生を中心としたファンタジー小説。 子供の頃、国語の教科書に「影との戦い」の一部が 載っていて、絶対に全部読みたいと思っていた。 実際には1回読んでいるけど、やっぱ面白い。 「影との戦い」では少年期のゲドの成長がストーリーの中心。 「魔法があればなんでもできる」と思...
大賢人ゲドの一生を中心としたファンタジー小説。 子供の頃、国語の教科書に「影との戦い」の一部が 載っていて、絶対に全部読みたいと思っていた。 実際には1回読んでいるけど、やっぱ面白い。 「影との戦い」では少年期のゲドの成長がストーリーの中心。 「魔法があればなんでもできる」と思っていた愚かさ故の過ち。 それを糧として成長するゲドが非常によく描かれている。 ちなみに映画は4作品目と5作品目の間の話らしい? あまりに評判が悪いので見ていない。 映画を見て残念に思った人は是非、小説を読んで欲しい。
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2012.6.28 読了。暗くたんたんとしたなかに、読み進めてしまう魅力があって、あっという間によんでしまった。
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面白かった。王道ファンタジー。巻頭の地図と見比べて今ここを旅してるのね、と確認しながら物語を読み進めるのが楽しい。
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※このレビューにはネタバレを含みます
思春期の迷いの影と闘う、力をもって生まれしゲド少年の物語。不遇な境遇で生まれ育ったゲド少年は、生来持っていた力に魅了され自分の欲求のために使用する。しかし、それは昏き影を生み出し、ゲド少年につきまとう。若さゆえの過ちだろうか……。いや、そんなことはどうでもよい。ゲド少年は自分の行動によってでた犠牲者を悲しみつつも成長を続けていく。アースシーを取り巻く世界観の緻密さが感じられる。そして困難の末に、人として成長して自分との闘いに勝利する。こういうとカッコいいが、個人的には、ラスト部分の影との戦いに不満が残った。また、視点を引いた俯瞰的な描き方も全体像を描くためには素晴らしいが、もっと主人公よりの視点で共感したい気持ちも残った。
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宮崎アニメの「ゲド戦記」とは、ストーリーがまだ一致しません…。むだ先のようです。 ハエタカの精神的な成長が、素晴らしかった。オクタの死ショックでした。 2巻以降も借りてこよう。
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ゲドが何回も船を作る話。船旅に出る度に巻頭の地図と見比べるのが楽しかった。ゼルダの風のタクトみたい。 真の名と魔法の関係とか、魔法の地域性とか、その辺の設定は今でこそ目新しくはないけど、当時は画期的だったんだろうな。 ゲドの気持ちがブレ気味なのも人間臭くてよかった。
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