子どもの貧困 の商品レビュー
再読。 働けど働けど、暮らし楽にならず。ワーキングプアの問題などが叫ばれているが、日本の労働関連政策は本当に正しい効果を発揮しているのだろうか。教育費は義務教育期間であっても、私費負担割合が他国と比較しても大きい。再分配後、低所得者においては受益が負担を上回る構造となっており、...
再読。 働けど働けど、暮らし楽にならず。ワーキングプアの問題などが叫ばれているが、日本の労働関連政策は本当に正しい効果を発揮しているのだろうか。教育費は義務教育期間であっても、私費負担割合が他国と比較しても大きい。再分配後、低所得者においては受益が負担を上回る構造となっており、貧困層はますます苦しい生活を強いられている。これまで政策課題として子どもに焦点を当ててこなかったために、子どもの格差は拡大し、子どもの貧困が深刻化している。 「少子化政策」ではなく、「子ども政策」を。 「自己責任」という言葉が一時よく聞かれたが、自分さえよければ他は関係ない、とどこかで思う風潮が日本にはあるように思う。弱い立場にある人々へはあたたかい眼差しを向けるべきだ。大人はみんな読むべし!
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(「BOOK」データベースより) 健康、学力、そして将来…。大人になっても続く、人生のスタートラインにおける「不利」。OECD諸国の中で第二位という日本の貧困の現実を前に、子どもの貧困の定義、測定方法、そして、さまざまな「不利」と貧困の関係を、豊富なデータをもとに検証する。貧困の...
(「BOOK」データベースより) 健康、学力、そして将来…。大人になっても続く、人生のスタートラインにおける「不利」。OECD諸国の中で第二位という日本の貧困の現実を前に、子どもの貧困の定義、測定方法、そして、さまざまな「不利」と貧困の関係を、豊富なデータをもとに検証する。貧困の世代間連鎖を断つために本当に必要な「子ども対策」とは何か。
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TFJが向き合っている子どもたちの状況について、客観的なデータを用いながら概観することができます。 ============================= 【著者「阿部彩」の紹介】 貧困研究の第一人者として活躍。 国立社会保障・人口問題研究所に所属。 研究テーマ: 貧困、...
TFJが向き合っている子どもたちの状況について、客観的なデータを用いながら概観することができます。 ============================= 【著者「阿部彩」の紹介】 貧困研究の第一人者として活躍。 国立社会保障・人口問題研究所に所属。 研究テーマ: 貧困、社会的排除、社会保障、公的扶助 【本が与えた影響】 2000年代に入り様々な貧困や格差研究がされてきた。研究対象は成人が中心であったが、子どもの貧困に焦点をあてた研究は少なかった。(数ある貧困の中の1つとして取り上げることはあった) 発行後、子どもの貧困を取り上げた本が多く出版されるようになった。 【内容】 ・絶対的貧困と相対的貧困があり、日本に置ける貧困研究は相対的貧困を定義する ・貧困によって、子どもの生育環境がきまる。それにともない、機会の損失、可能性の制約が起こる。 ・高齢者・若年層の社会保障だけでなく子どもの社会保障(教育)にも目を向ける必要がある。 ・広い視野で見ると、日本社会全体の機能不全に原因がある。議論し尽くせない問題である。 ※上記の【内容】は以下2つの章を中心に記載 第4章 追いつめられる母子世帯の子ども 第5章 学歴社会と子どもの貧困
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思いもよらないほどに日本の貧困度の高い事を知っておどろく 自分の視野の狭さがこれほどに実態を見損ねている無関心さに愕然とする 目の前に見えることでアップアップとなり 身の回りの事以外は見たくも触れたくもないのだろうか 先進国の動向と逆行している事に付いてもこれほどに身勝手...
思いもよらないほどに日本の貧困度の高い事を知っておどろく 自分の視野の狭さがこれほどに実態を見損ねている無関心さに愕然とする 目の前に見えることでアップアップとなり 身の回りの事以外は見たくも触れたくもないのだろうか 先進国の動向と逆行している事に付いてもこれほどに身勝手な 縄張り根性が染み付いているとは思いもよらなかった 日本はいまだに後進国の意識を引きずったままで 明治以来の成り上がりのヤクザ稼業から成長できていないようだ 特に母子家庭のイジメラレ方は尋常でない 法律を初め職場や地域社会で目の敵のようにイジメの対象にして 恥ずかしげも無く搾取をむさぼっている 法律的にも行政的にも司法においてもいちじるしい憲法違反だし 各国との比較においてもはなはだしい格差であり ビジョンの方向性すらソッポを向いて逃げている この事をOECD2005年のデーターで見ると 誤魔化しで格差を広げてうそぶいていることが歴然としている これは当然ながら母子家庭においても同じ状態で 弱い者イジメの典型なのだろう 「逆機能」と言う言葉を生んだ福祉対策と絡めた税制で 弱気をクジキ強気に媚びる大勢は 島国で濃縮された依存主義によって友食いしてきた民族のなれの果てなのだろうか ユニセフが2007年「子供のウェルビーイング=幸福度」を公表している 物の過不足・健康と安全・教育・家庭と人間関係・行動とリスク・主観的満足度 の六項目による国別調査を行っている それによるとオランダを筆頭とする北欧諸国が上位を占める中 イギリスが21位と最下位でアメリカが20位である 財政に苦しんでいるギリシャが13位で東欧のポーランドとチェコそれに続く 日本はデーターを出さず不参加であるけれど OECDによる貧困率で見るとイギリスと日本は並んでいるので 同じく最下位の部類になるだろう これに対して日本政府はこの調査を信頼できないし 改善もしていると言う見解を国会で述べ 調査することすらこばんでいると言う 見せ掛けのバラ蒔きはするけれど トータルとしてはジワジワト貧困率を上げる政策に偏っている それに引き換えイギリスではこの最下位を受けて 貧困撲滅のための10カ条を掲げて対応している その第一に、すべての政党が貧困撲滅政策を目標にする事 第二に、すべての政策に貧困に対する観点を盛り込む事とある OECD二〇〇五年・日本における母子家庭の就労率はスイスに次いで四位である それに引き換え同じデーターによる貧困率はトルコに次いで二位である まさに働けど働けど楽にならずどころかひどくなる一方である そのくせ少子化によって搾取の相手が減ることには神経を尖らし 子供を増やせと動揺して気をもんでいる 少子化対策でなく貧困対策こそが健全な環境を創る事に気付いていないらしい あるいは気付かない振りをしているようだ
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1年以上積読状態だった本書をやっと読了した。 学校教育に携わる者として、本書をどう読むか。やはり教育に関する部分に関心を持つことになる。 初等中等教育は、とりわけ子供の生活の中で中心的な位置を占める。子供にとって居心地がよく、クラスの一員として認められた生活が送れるかどうか、と...
1年以上積読状態だった本書をやっと読了した。 学校教育に携わる者として、本書をどう読むか。やはり教育に関する部分に関心を持つことになる。 初等中等教育は、とりわけ子供の生活の中で中心的な位置を占める。子供にとって居心地がよく、クラスの一員として認められた生活が送れるかどうか、という点でも格差が生じているという(P.17)。このことは教職員の意識と工夫次第で、学校種の違いを問わずに活用できるのではないか。 日本の子供の貧困率は約15%であり(P.53)、子供の貧困の不利(1章)をこのまま放置していくと、貧困大国のアメリカに迫ってしまうことになる。貧困率は、相対的貧困を数値化したもので、原因には、意識の格差、努力の格差、希望格差といった、子供間の格差があるという。また、貧困率が同じでもは、国によって具体的な生活状況は異なる。このことは、終章の結論で重要な示唆を与える論拠となる。(アフリカ諸国の貧困とは質が違う。) P.187の表6-1「子どもに関する社会的必需品」の中で、「希望すれば高校・専門学校までの教育」を、「希望する全ての子供に絶対に与えられるべきものである」の割合が61.5%で、「短大・大学」の場合は、42.8%と示している。P.210で筆者はこの数値の低さを指摘し、貧相な貧困観を改めるよう主張し章を閉じている。 これに対して、あえて、筆者の視点と違う解釈をしてみたい。トロウが提唱した高等教育の発展段階説によると、50%という進学率が、「マス」から「ユニバーサル」への高等教育の段階移行の指標とされる。この段階移行が、質保証コストと無関係でないことは、多くの大学人の日々の業務の中で感じているところだろう。仮に何らかの要因で、進学率が42.8%前後で推移していたら、今打ち出されている高等教育政策は、だいぶ趣が異なっていたはずと感じるのは私だけだろうか。どのレベルまで多様化した学生を受け入れることを求められるのか。今後も注視していきたい。 7章で、子どもの貧困ゼロ社会への11のステップの提案がある。 ①すべての政党が子どもの貧困撲滅を政策目標として掲げること ②すべての政策に貧困の観点を盛り込むこと ③児童手当や児童税額控除の額の見直し ④大人に対する所得保障 ⑤税額控除や各種の手当ての改革 ⑥教育必需品への完全なアクセスがあること ⑦すべての子どもが平等の支援を受けられること ⑧「より多くの就労」ではなく、「よりよい就労を」 ⑨無料かつ良質の普遍的な保育を提供すること ⑩不当に重い税金・保険料を軽減すること ⑪財源を社会全体が担うこと ⑥では、高校までの教育の必需品として認識するよう提唱している。大学・短大の件は特に終章では、ふれられていない。 上記の提案は、日ごろ意識している姿勢とは、だいぶ異なっている立場で展開されている、と感じる人も多いのではないか。 日ごろ見聞きする、今の日本の大学における市場化・競争的環境の醸成は、大学の個性という差を促進、少なくとも容認している気がしてならない。大学改革という名の差別化戦略を実行している。やはり高等教育と子供の福祉は、別に分けて考えた方がよさそうだ。その分、業務外で子供の貧困に対する行動を模索していきたい。
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総中流幻想は過去のものになったとはいえ「選挙権を持たない」がゆえに社会から忘れられている日本の子どもの貧困に関する本です。 具体的な実例を挙げるのではなく、冷静にデータを積み上げて現状を分析しております。 政権交代前の2008年に書かれた本ですので、子ども手当も高校無償化もでてき...
総中流幻想は過去のものになったとはいえ「選挙権を持たない」がゆえに社会から忘れられている日本の子どもの貧困に関する本です。 具体的な実例を挙げるのではなく、冷静にデータを積み上げて現状を分析しております。 政権交代前の2008年に書かれた本ですので、子ども手当も高校無償化もでてきませんが、社会保険料負担の逆進性や母子家庭に対する社会的偏見、高卒ではまともな仕事に就きにくくなっている現状を詳細に書いております。 貧困問題は得てして政治的に利用されたり、正義を振りかざす感情論に落ち込むことも多いのですが、この本は非常に冷静です。 子ども手当の引き下げと増税が決まった状況も踏まえ、改訂版を出して欲しい1冊です。
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所得の再分配により貧困率が増加する国・日本。何故だ。 現行の「子ども手当」は意味があるのか。甚だ疑問である。給付つき税額控除の方が良いのではあるまいか。 今の日本は、社会的・経済的に見ても「上昇気流」はなく、ただ停滞感のみ漂っていて、いつか来るであろう破滅のときを回避しようと...
所得の再分配により貧困率が増加する国・日本。何故だ。 現行の「子ども手当」は意味があるのか。甚だ疑問である。給付つき税額控除の方が良いのではあるまいか。 今の日本は、社会的・経済的に見ても「上昇気流」はなく、ただ停滞感のみ漂っていて、いつか来るであろう破滅のときを回避しようと「先送り」をしているだけである。 未来の日本を支える子どもたちが、階層の固定化により希望をなくし、やむなく貧困の連鎖を生んでしまう。そのような社会にならないように、今のうちに子どもに優しい税制・社会保障制度を作っていくべきであると感じた。
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今の高齢者世代は日本を支え盛り上げた自負があると思う。 時代が味方してくれた。努力はいつだって報われた。 だけど今はどうだ。 生まれおちた時代が悪いのか。運がなかったのか。 子どもたちが大人になる頃は…想像もしたくない。 子どもは国の宝だと思う。 そこに対する政策があまりにも手...
今の高齢者世代は日本を支え盛り上げた自負があると思う。 時代が味方してくれた。努力はいつだって報われた。 だけど今はどうだ。 生まれおちた時代が悪いのか。運がなかったのか。 子どもたちが大人になる頃は…想像もしたくない。 子どもは国の宝だと思う。 そこに対する政策があまりにも手薄すぎる。 実態をもっと世間に訴え、意識改革が必要だと思う。
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本書は、主に日本の子どもの貧困についての現状を解説したものである。 本書は膨大な分析と社会調査アンケートから、子どもの貧困を明らかにしている。正直、この分析から得られる事実は衝撃的なものばかりと言わざるをえない。 最終章では、ここから得られた結果や、海外の事例をもとに政策提言も行...
本書は、主に日本の子どもの貧困についての現状を解説したものである。 本書は膨大な分析と社会調査アンケートから、子どもの貧困を明らかにしている。正直、この分析から得られる事実は衝撃的なものばかりと言わざるをえない。 最終章では、ここから得られた結果や、海外の事例をもとに政策提言も行っている。 筆者は低所得者の立場を重要視しているため、その価値観に合わない人もいるだろうし、政策提言も財政の問題に着目せず理想を描いているように見えなくもない。しかしながら日本の社会の一側面を見るという意味で、本書は有用なものに思われる。
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え?っと思う発言やデータもあるけど、基本的には日本の子どもを育てることに対する補助がどれだけ少ないかがわかる良書だと思います。 金銭的な問題だけじゃなく、子どものやる気や努力などの研究についても言及しているところが信頼おけました。 自分の中で今一度中身を整理しておきたいです。
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