乳と卵 の商品レビュー
時間は場面によってゆっくりと流れる。終盤の台所における描写は登場人物の心情とともに行先不明な行動へと導かれていく。その時間は果てなき反復のようで一瞬のまばたきのようでもある。消えていくようで心に刻み込まれる。絶対ではなく相対。未来に確信はなく希望がほのかに見えるところで私たちは生...
時間は場面によってゆっくりと流れる。終盤の台所における描写は登場人物の心情とともに行先不明な行動へと導かれていく。その時間は果てなき反復のようで一瞬のまばたきのようでもある。消えていくようで心に刻み込まれる。絶対ではなく相対。未来に確信はなく希望がほのかに見えるところで私たちは生きているのだ。"がんばろう" という言葉が読後ふと頭に浮かぶ。
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表題作は生々しくてちょっと吐き気を覚えた。 でも、自分の中にもあんまり見たくない、どろどろした部分があることを突き付けられた感じがした。 生理的に嫌やけど、なぜか惹きつけられる作品やと思った。 『あなたたちの恋愛は瀕死』はリアルに感じられた。 言葉に出さずとも、こういうことはみ...
表題作は生々しくてちょっと吐き気を覚えた。 でも、自分の中にもあんまり見たくない、どろどろした部分があることを突き付けられた感じがした。 生理的に嫌やけど、なぜか惹きつけられる作品やと思った。 『あなたたちの恋愛は瀕死』はリアルに感じられた。 言葉に出さずとも、こういうことはみんな考えてるんじゃないだろうかと思った。
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『ヘヴン』を最初に読んで 川上さんの他の作品も読んでみたくなったので芥川賞作品を読んでみた。 独特の文体と関西弁。 それらに慣れるまでは少し読みずらかったけど、 慣れるとそれがまた味わいになっていった。 男の僕からしたら少し生々しいところもあったり、実際に100%理...
『ヘヴン』を最初に読んで 川上さんの他の作品も読んでみたくなったので芥川賞作品を読んでみた。 独特の文体と関西弁。 それらに慣れるまでは少し読みずらかったけど、 慣れるとそれがまた味わいになっていった。 男の僕からしたら少し生々しいところもあったり、実際に100%理解などできないのだろうけど、 女性とか母性とか母子とか命を描いた作品で 個人的には嫌いじゃない。
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芥川賞といってもいろいろあるんだな、と思った。 共通しているのはちょっと独特の世界。なんだろう、私にはあまり良さが理解できなかった。エッセイは良かったのだけれど。
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女性ならではの感性で書かれた作品だなと思う。女であること、老いること。母と娘。娘の母への感情をうまく書いている。それも含めて女性なのだと。登場人物が母への感情を吐露するシーンで泣いた。上手く言えないけどその気持ちがとても良くわかった。独特の文章なので取っつきにくいかもしれないけど...
女性ならではの感性で書かれた作品だなと思う。女であること、老いること。母と娘。娘の母への感情をうまく書いている。それも含めて女性なのだと。登場人物が母への感情を吐露するシーンで泣いた。上手く言えないけどその気持ちがとても良くわかった。独特の文章なので取っつきにくいかもしれないけど、冒頭文を読んでみて魅力を感じたらイケると思います。
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文藝春愁かなにかで短編を読んだことがあったので、この人の文体は、知ってはいたのだが、最初は読みづらい、どうしてわざわざこんな書き方をするんだろうと思ったが、 最近読んだ芥川賞受賞作品の中では一番良かった。 「おかあさん、ほんまのことをゆうてや、」と叫ぶ緑子、お互い卵まみれになりながら、緑子の最初からみんな生まれんかったら何もないねんから、という言葉も非常によくわかる。 だけれども、『緑子、ほんまのことってね、ほんまのことってね、みんなほんまのことってあると思うでしょ、でも緑子な、ほんまのことなんてな、ないこともあるねんで、何もないこともあるねんで』と、母親である巻子の言葉。 あなたたちの恋愛は瀕死、についても、かなり痛いところをついてくる。振り向きざまに灰色に浮かび上がってくるぞっとするような女の顔。なぜか、なぜなのかはわからないが、「必然」に殴り倒す男。そつがない。
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初読。図書館。村上春樹さんへのインタビューをした『みみずくは黄昏に飛び立つ』が面白かったので、1冊も読んだことがないのは失礼だと思い、芥川賞受賞作を読んでみた。この文体が最初すんなり入って来ずに苦労。部分部分のエピソードは面白いものもあったし、女性として共感できるところもあったけど、総じてよくわからなかった。卵まみれになるところは想像すると吐きそうで、映像が生理的に受け付けず、そこがいちばんの壁かも。
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大阪弁苦手やしwwこんなにずっと口語調でつづられるのもどうなのかと驚いたけど、引き込まれた。星で評価って難しいけど好みでいうと3.99という感じ。 乳と卵。そうか、卵か。女は、卵の時から卵を抱えて生きてきたのか。 泣いた。緑子のあおい、子ども的な思いが愛おしくてに。そして、卵...
大阪弁苦手やしwwこんなにずっと口語調でつづられるのもどうなのかと驚いたけど、引き込まれた。星で評価って難しいけど好みでいうと3.99という感じ。 乳と卵。そうか、卵か。女は、卵の時から卵を抱えて生きてきたのか。 泣いた。緑子のあおい、子ども的な思いが愛おしくてに。そして、卵に。
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村上春樹との対談本を読んで再読。 うーん、確かに文体だけですな、しかも読みづらい。何かを成し遂げようとする野心は十二分に買いなのですが、「物語っている」文体ではないですなぁ、決して。 内容もフェミニシズム全開であまり感心しない。テーマを選んだ時点で作家の意図は読者に嫌でも伝わるの...
村上春樹との対談本を読んで再読。 うーん、確かに文体だけですな、しかも読みづらい。何かを成し遂げようとする野心は十二分に買いなのですが、「物語っている」文体ではないですなぁ、決して。 内容もフェミニシズム全開であまり感心しない。テーマを選んだ時点で作家の意図は読者に嫌でも伝わるのだから、もうちょい抑制して欲しかったかな。あくまで個人的好みの問題かもしれませんけれども。
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独特の文体であるが、手を伸ばせば届きそうな、というか、目の前で繰り広げられているような、生命感がある。内面に迫ってくる。素晴らしい。
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