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乳と卵 の商品レビュー

3.1

426件のお客様レビュー

  1. 5つ

    40

  2. 4つ

    91

  3. 3つ

    169

  4. 2つ

    60

  5. 1つ

    28

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2009/10/04

芥川賞受賞作品。 よかった!台詞や口語の文体の中に 歯がゆさがたくさん詰まった物語でした。 登場する三人の、三人が想うことが とってもよく解って切なかったです。 好き嫌いが分かれる文体ですけど、 僕にはすごく斬新でお気に入りです。 おしい、とすれば僕は前作の 「わたくし率・・・」...

芥川賞受賞作品。 よかった!台詞や口語の文体の中に 歯がゆさがたくさん詰まった物語でした。 登場する三人の、三人が想うことが とってもよく解って切なかったです。 好き嫌いが分かれる文体ですけど、 僕にはすごく斬新でお気に入りです。 おしい、とすれば僕は前作の 「わたくし率・・・」の方が 川上さんの世界がバシバシしてて いいかな〜。

Posted byブクログ

2009/10/04

芥川賞受賞作ってことで読んでみた。文体は読みにくかったが、まあ、ラストに向けて話がどんどん展開していくあたりは面白かった。センスはあると思ったけど、もうちょっとってかんじかな。もう一度じっくり読んでみたい気はするけど、きっと読まないだろうなーって本ですww

Posted byブクログ

2009/10/04

『わたくし率〜』とは打って変わって、非常に小説っぽく読みやすい印象を受けるストーリーと文体だけれども、やっぱり内容は濃かった。川上未映子という人は、物語を語る「私」の位置づけを非常に上手いところにもってくる印象を受けるのだけれど、今回も巻子・緑子という親子関係を「私=ナツ」という...

『わたくし率〜』とは打って変わって、非常に小説っぽく読みやすい印象を受けるストーリーと文体だけれども、やっぱり内容は濃かった。川上未映子という人は、物語を語る「私」の位置づけを非常に上手いところにもってくる印象を受けるのだけれど、今回も巻子・緑子という親子関係を「私=ナツ」という語りの主体を通して非常に上手く描き出していると思う。芥川賞の際の山田詠美のコメントを借りれば、非常に「無駄口が少ない」ということになる。内容に関しては、『わたくし〜』の時と比べると非常に社会的なあり方で個人の内面を注視していて、個人的には『わたくし率〜』の時の社会性零度の世界をアプリオリに提示する作風の方が好きだったりもするのだけれど、「社会化」という形式を文学にするのであればこれしかないというくらいに上手くまとめられていて、この人の批判的文章表現には嫉妬したくなるほどだ。特に、最後の晩の描写は絶妙でしょう。最後に、蛇足であるけれども「これは豊胸手術のために上京してくる“女”の話ではないですよ」と、いまの都知事に言ってやりたい。単に母性や女性性といったものの批判に留まらず、それを包括的に支配する社会性というものを批判的に描いているという点においては、“障子破り”なんかよりもよっぽど高尚な作品であると、個人的には思うのだが。

Posted byブクログ

2011/09/15

乳と卵=父と乱じゃあないか。著者は言葉遊びがなんて好きなんだろうと勝手に思っていて。頭からそのことが離れなかった。言葉をしゃべらず筆談で話す娘のこと。作品に父の存在を特に説明するようなことは書かれていなかったはずだけど。豊胸手術に奔走する母親を見てなんか言葉というものを駆使するこ...

乳と卵=父と乱じゃあないか。著者は言葉遊びがなんて好きなんだろうと勝手に思っていて。頭からそのことが離れなかった。言葉をしゃべらず筆談で話す娘のこと。作品に父の存在を特に説明するようなことは書かれていなかったはずだけど。豊胸手術に奔走する母親を見てなんか言葉というものを駆使することが億劫になってきて。そういう形容しがたい心の揺れが読んでいて娘は無意識に母とその卵からできた私と考えた場合。父と乱という葛藤を感じ取っているはずと。深読みしすぎならば誰か言ってください。そうじゃなければなかなかコレは。ということなのでしょう。

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2009/10/07

川上未映子の文章に、言葉に、絡んでいる湿度のことは、ぼんやりと意識はしていたのだった。多分に粘性の高い質感を伴う湿度を。例えば小池昌代の文章にもいつも湿度は高く伴っており性的な匂いも漂うのであるが、何故か粘性のようなものを感じたりはしない。それが何か体から分泌された液体のもたらす...

川上未映子の文章に、言葉に、絡んでいる湿度のことは、ぼんやりと意識はしていたのだった。多分に粘性の高い質感を伴う湿度を。例えば小池昌代の文章にもいつも湿度は高く伴っており性的な匂いも漂うのであるが、何故か粘性のようなものを感じたりはしない。それが何か体から分泌された液体のもたらす湿度であろうことは解るのであるけれど。 一方、川上未映子の文章から立ち昇ってくるモノからもはっきりとした体臭を感じ、どことなく伊藤比呂美との比較をしたくなるのだけれど、その訳が「血」にあるかも知れないことに気付いた。 川上未映子の湿度、その粘性はまさに血の持つ粘性なのだった。 血はありとあらゆるものを運んで体中を巡る。身体に生理的な変化をもたらすホルモンも、脳が必要とするエネルギーであるブドウ糖も。身体感覚に敏感でありながら脳の行う活動に向ける意識の強さを持ち合わせていること、それが自分の感じる川上未映子の特徴であり、彼女の言葉の中にもそれに類した言及がある。それを血というイコンに落とし込んでしまうのは拙速であると重々承知の上で、川上未映子の世界にとって、それが重要な要素であると敢えて言いたい。少なくとも自分の勝手な脳内活動の中では、何かがピタッと嵌まるような落ち着きのよさがある。 とはいえ、所詮そんな居心地のよさを求めるような理屈を彼女の文章に貼り付けること自体、つまらないことではあるけれど。

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2011/07/19

何年ぶりかで読んだ芥川賞受賞作。 今の三十代の子は、世の中も人生も人間も、こんなもんだと思ってるんだろうなあ。 そして、これが選者に選ばれて、いろいろ褒められているところをみると、今の小説家もみんなそうなんだろう。 内側ばかりをさぐり合う、小さなつまらない話。でも、遠い将来、...

何年ぶりかで読んだ芥川賞受賞作。 今の三十代の子は、世の中も人生も人間も、こんなもんだと思ってるんだろうなあ。 そして、これが選者に選ばれて、いろいろ褒められているところをみると、今の小説家もみんなそうなんだろう。 内側ばかりをさぐり合う、小さなつまらない話。でも、遠い将来、こういう作品の集積で、今の時代が語られることになるんだろうと思う。 文章は下手じゃない。 でも、今樋口一葉というコピーには無理があります。一葉は冗舌体とは違う。お三味線の、ちん、とん、しゃん、の拍子に似て静かなものです。 こちらはイマドキのラップじゃないですか。まあよく舌の回ること。 むしろ野坂昭如かとも思うけれど、ああいう、浪花節のような野太さもなく。長く聞いていると疲れます。 石原慎太郎評に、珍しく共感しました。ははは。

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