乳と卵 の商品レビュー
口語体で書かれている文章が、どうも合わなかった。 題名の通りが扱っている女性特有のテーマは決して嫌いではないが、読後にどうにも消化不良の思いが残る。 一緒に掲載されているもう一つの短編も、どうにも後味の悪い思いだけが残った。 2015/06
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関西弁の口語で書かれている文章は、読む人によっては心地よく感じるかもしれませんが、私には辛いところがありました。読み易い、わかりやすいと思うところもありますが、どうもリズムに乗ることができませんでした。 生理をきっかけに大人になることに戸惑いを感じる思春期の女の子(緑子)と、...
関西弁の口語で書かれている文章は、読む人によっては心地よく感じるかもしれませんが、私には辛いところがありました。読み易い、わかりやすいと思うところもありますが、どうもリズムに乗ることができませんでした。 生理をきっかけに大人になることに戸惑いを感じる思春期の女の子(緑子)と、豊胸手術をしようとする母(巻子)とのぎこちないコミュニケーションが何ともいえません。特に緑子の文章はとても新鮮で面白く感じたのは、私が歳を取っているせいでしょうか・・子どもっぽい無意味に思える抵抗もかわいく感じます。 内容的には女性しか出てこないのですが、男性も読むと楽しめると思いますよ。
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読まず嫌いの作者だったけど、 以外と親しみのもてる内容で(女にしかわからないことを書いてたからかも)、 表題作は短めで、もっと長く読みたかった。
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娘(姪)は、人生を苦しんで生きているように見える母の側で、 生きてるのはしんどい。子どもなんて絶対作らない。と、人生に及び腰。 もう一視点は、母の姉、娘の叔母。 豊胸手術を受けたい姉の理解に苦しむ、こちらは独身、子無し。 子ども、母、独身。 3者それぞれの立場に立ったことのある私...
娘(姪)は、人生を苦しんで生きているように見える母の側で、 生きてるのはしんどい。子どもなんて絶対作らない。と、人生に及び腰。 もう一視点は、母の姉、娘の叔母。 豊胸手術を受けたい姉の理解に苦しむ、こちらは独身、子無し。 子ども、母、独身。 3者それぞれの立場に立ったことのある私、意外と共感するところありけり。 どの立場でも、あの頃はよかった、反対に、あれは辛かった、がつきまとうのかしらなんて思った。 女のほうが断然、時代で立場や立ち位置激変するもんね。 その都度戸惑いながら、徐々に慣れていきながら、生きて。徐々慣れ。からの卓越
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月経や胸の膨らみといった身体的な成長をすることで「女」になっていく自分に嫌悪を抱く思春期の少女。 子供を産み育て日々の生活に追われながら年を重ねて、身体的に「女」ではなくなっていく少女の母親。 「成熟期」へと変化する怖さと、「成熟期」を過ぎていく怖さ。 「人間の雌」が抱える理不...
月経や胸の膨らみといった身体的な成長をすることで「女」になっていく自分に嫌悪を抱く思春期の少女。 子供を産み育て日々の生活に追われながら年を重ねて、身体的に「女」ではなくなっていく少女の母親。 「成熟期」へと変化する怖さと、「成熟期」を過ぎていく怖さ。 「人間の雌」が抱える理不尽な宿命に恐怖し絶望する二人の女。 20代・30代の真っ盛りの時には気づかない「変化」に対する思いを生々しく描いている。 ひとつひとつのセンテンスが理路整然としていない。 語り言葉をそのまま文字に起こしたような文体がとても読みにくい。 この読みにくい独特の文章だからこそ、二人が抱える漠然とした不安みたいなものが滲み出ている。 私は女性作家のこのネットリとした質感が苦手。 女の人が描く文章ってどうしてこうもヌメっているんだろう。 もちろん、そうじゃない女性作家さんもたくさんいるけど、そうじゃない女性作家さんは好きなんだけど、この作品みたいにヌメヌメしたのは好きじゃない。 たぶん、同類嫌悪なんだろうな。
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語り部「私」の姉にあたる巻子は豊胸手術に異常に執着している。巻子の娘である反抗期の緑子は言葉を発さず、コミュニケーションは筆談で行う。豊胸手術をするために、ある日巻子は緑子とともに私の住む東京にやってくる。 句読点を多用したりほぼ改行が無かったり話言葉に「」があったり無かったり...
語り部「私」の姉にあたる巻子は豊胸手術に異常に執着している。巻子の娘である反抗期の緑子は言葉を発さず、コミュニケーションは筆談で行う。豊胸手術をするために、ある日巻子は緑子とともに私の住む東京にやってくる。 句読点を多用したりほぼ改行が無かったり話言葉に「」があったり無かったりといった独特の文体裁が、取りとめのない滞った感情を表しているようで印象的。 緑子が自身の「女」への体の変化や胸を“何か”で膨らませようと躍起になっている母の行動に対し、嫌悪にも似た感情を示す。「母」が「女」に戻ろうとする姿は子供にとっては恐怖だ。母も一人の女性であり一人の人生には違いないのだけど、「母」が「女」になってしまったら、もう「子」では居られない。もっと言えば「子」として誕生させしなければ、「母」は「女」のままでいられたのにとさえ感じる。 母としての役割と反対側に置かれる女としてのアイデンティティ。生きていく以上女はやめられないのだから、女を疎んだとしても煩わしいと感じても、その入れ物で勝負をしていくしかない。
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川上未映子さんの芥川賞授賞作品を読んでみた。大分前の作品だが確かに新しいチャレンジをしている文章という感じはした。だからといって面白い話かというとそうでもないのだが、ただ大阪から豊胸手術の為上京し自分の部屋に同居しはじめた親子が強烈な個性を持っているので、そこには思わず引き込まれ...
川上未映子さんの芥川賞授賞作品を読んでみた。大分前の作品だが確かに新しいチャレンジをしている文章という感じはした。だからといって面白い話かというとそうでもないのだが、ただ大阪から豊胸手術の為上京し自分の部屋に同居しはじめた親子が強烈な個性を持っているので、そこには思わず引き込まれた。タイトルの付け方もちょっと工夫が無い気がした。まあ芥川賞作品だから次の作品に期待といったところでしょうか。
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一つの文章が長いから最初から映画の長回しのような印象を持ちながら読んだんやけども、豊胸、豊胸て何で豊胸にこだわるんか解らへんし、最後なんて二人で卵割りおうてて、何で卵なん?て思うたんやけれども、何やかやで全体は面白いなこの本。
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心の声をそのまま紙面に表した文章は、句読点の位置が不規則で、読みにくいと思ってしまうものの、その負の印象に打ち勝つようなリアルな心の動きが、作品を読み続けてしまう原動力になって、最後までほぼ一気読み。 例えば、すごく真面目な事を考えている最中に、ふと目に留まった別のことが気になっ...
心の声をそのまま紙面に表した文章は、句読点の位置が不規則で、読みにくいと思ってしまうものの、その負の印象に打ち勝つようなリアルな心の動きが、作品を読み続けてしまう原動力になって、最後までほぼ一気読み。 例えば、すごく真面目な事を考えている最中に、ふと目に留まった別のことが気になって、不謹慎にも笑いたくなったりするような、そんな些細な、でも、普通にありえるつれづれな思いが良く表現されてるなと。 大人が思っている以上にいろいろ深いことを考えている子供。40代目前にして、女としての自分を再確認したい母親。心のベクトルが別々の方向に向いていることに対する、お互いの葛藤や苦しみが良く表れていて、読み終わった時には、この文体だからこそ、この小説は成り立つのかなと言う印象が残る。 語り手なのに影の存在である母親の妹も、いい味を出している。 内容がとても好きと言うわけではないけれど、うまく作れてるなと言う意味で、★四つ。 同時収録の「あなたたちの恋愛は瀕死」の方が好み。
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ええやん。 けっこうええやん。 樋口一葉や泉鏡花で終わってしまったはずの落語のような文体。それの口語体における復活。読みづらいが、半分過ぎたぐらいから慣れてくる。人の思考を地続きに文章化したら、これだけとりとめなくよみづらいよね、という形の一つのアンサー。丸は少なく、点でバカみた...
ええやん。 けっこうええやん。 樋口一葉や泉鏡花で終わってしまったはずの落語のような文体。それの口語体における復活。読みづらいが、半分過ぎたぐらいから慣れてくる。人の思考を地続きに文章化したら、これだけとりとめなくよみづらいよね、という形の一つのアンサー。丸は少なく、点でバカみたいに文を繋ぐ繋ぐ繋ぐ。これってもう失われた言語の領域だと思っていたのに、これほど違和感なく現代語で書いたのは見事。特に男ではできる気がしない。実験的で素敵。 内容もいい。特に男にとってはものすごくグロテスクで新鮮。豊胸手術をめぐる話ですが、そこにおける自然の否定は、原因の否定であり、子供の存在の否定に感じる。納得。 また、自然の大きな嵐の中に巻き込まれていく子供の視点から考えてみれば、人工と自然、自己と異物、母と子、否定と肯定、それらのカオスが、まじでカオス。生命についてのかなり根本的なテーマを取り扱っていて、まさに乳と卵。 ラスト付近でなぜか爆笑。エンターテイメント要素のある純文学はサービス精神が旺盛で良いですね。
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