乳と卵 の商品レビュー
文章のテンポで最後までいっちまった。 関西弁混じりの切れ目ない文体が中毒になる。ヘンな気分になる。 ストーリーはあんまり覚えてない。
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芥川賞受賞作。 東京で暮らす夏子の所へ、大阪で暮らしている姉・巻子と姪・緑子がやってくる。 姉はスナック勤めで、母子家庭をやっていくのが大変そう。 豊胸手術をしたいと電話でそればかり行っていた姉にとまどう主人公。 思春期の姪は口をきかなくなっていて、筆談のみ。 授業で習ったり友達...
芥川賞受賞作。 東京で暮らす夏子の所へ、大阪で暮らしている姉・巻子と姪・緑子がやってくる。 姉はスナック勤めで、母子家庭をやっていくのが大変そう。 豊胸手術をしたいと電話でそればかり行っていた姉にとまどう主人公。 思春期の姪は口をきかなくなっていて、筆談のみ。 授業で習ったり友達と話題になったりした卵子のことなどメモに書き留めている。 内心は決して母を疎んでいるだけではないのだ… 新しい銭湯に行って、胸を観察する姉と思わずいろんな人の身体を見まくったり。 間違って2パック買ってしまった卵の賞味期限が来ていたので、1つは出しておいたところ… そういったあたりはリアル。 大阪弁混じり?でだらだらと続けて描くのが、実感こもってます。
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やっと読めました。 このつらつらと長い切れ目のない文章は(散文的というのでしょうか) 「思考の垂れ流し」という印象をうけました。 これが私にはすんなりと入ってきて、すんなりすぎて溶け込んでしまって楽しかったです。 物語に入り込めました。 タイトルがまさに!という感じでした。 乳...
やっと読めました。 このつらつらと長い切れ目のない文章は(散文的というのでしょうか) 「思考の垂れ流し」という印象をうけました。 これが私にはすんなりと入ってきて、すんなりすぎて溶け込んでしまって楽しかったです。 物語に入り込めました。 タイトルがまさに!という感じでした。 乳と卵 ばかりでした。
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才能というのは こういうものなの? とにかく描写が凄い ああああと思うような 美しい描写、
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図書館でたまたま見つけたので借りてみました。芥川賞を受けたことは知っていましたが、内容までは知らず・・・数時間あればすぐ読めるくらい読みやすい本でしたが、おもしろくはなかった・・・。「だから何?」みたいな・・・。でも受賞作品なわけだし、わたしが”良さ”をわからないだけなのでしょう...
図書館でたまたま見つけたので借りてみました。芥川賞を受けたことは知っていましたが、内容までは知らず・・・数時間あればすぐ読めるくらい読みやすい本でしたが、おもしろくはなかった・・・。「だから何?」みたいな・・・。でも受賞作品なわけだし、わたしが”良さ”をわからないだけなのでしょうか。
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大阪弁のもつ独特なリズムが、句点でつるつるらと繋がりながら綴られる文章。すっと入りやすい。 「乳首から、何もかもが出て行ってしまった。でもな、こうなるんよ。子供を生んだらば人は。 今の自分のそれじゃなくなってこのどんどん形が変わっていくこれ、乳首からどんどんなくなってった全部...
大阪弁のもつ独特なリズムが、句点でつるつるらと繋がりながら綴られる文章。すっと入りやすい。 「乳首から、何もかもが出て行ってしまった。でもな、こうなるんよ。子供を生んだらば人は。 今の自分のそれじゃなくなってこのどんどん形が変わっていくこれ、乳首からどんどんなくなってった全部、どこにいくのん。 んで残ったのは結局これ。縮んで、こんな乳首だけついて、こことかもう、ほら、べこべこんなって。 何もないねん。ここにはもう」 この気持ちは、整形とかで若さを取り戻したいという願望とは、ちがうもの。 そこにはっとする。 自然に経年劣化する、てことじゃなく、吸い取られてしまった、そして汚いものだけ足跡みたいに残って 残りもののこのからだ、という感覚。 母と言葉を交わすと傷つけてしまうジレンマから筆談しかしなくなった娘、 子供ならではの苛立たしい繊細さ、でも愛情がうまく受け取れないあげられないあの感じ、 反抗期、思春期、色々名前はあれど、不安定などこにも片付けられない感じが恐ろしくリアルで 台所のシーンでは久々に泣いてしまった。 そうだ。離れて暮らすと忘れがちだけど母と娘二人きりで対峙するのは難しいのだった。 それが主人公がいて場に3人になることでようやく向き合える。 母娘二人が壁を(殻を)壊して、中身をどろっとぶちまけて、混ざり合って、 それはまた新しい命が生まれる作業と似ている部分も有り、殻を壊すのはいつだって子供の仕事で、 そんな色々を考えてまた、ああ、すごく良くできているなぁ。と感嘆。
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芥川賞受賞ってことで読んでみた。 関西弁がなかなか流暢でして、面白かった。 途中で出てくる緑子のメモ?みたいなのが素朴で良い。 描写が独特で生々しいけど厭味がないのも良い。 ストーリー性が深すぎるのかあまり僕は理解できなかった。
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2009.08.第138回芥川賞受賞作品.巻子とその子どもの緑子が大阪からやってくる.巻子は豊胸手術をしたいという.緑子は、自分に生理が来るのが嫌でたまらない.緑子はずっと巻子と話をすることなく筆談でコミュニケーションをとっている.巻子の帰りが遅く酔っ払って帰ってきた日、緑子がつ...
2009.08.第138回芥川賞受賞作品.巻子とその子どもの緑子が大阪からやってくる.巻子は豊胸手術をしたいという.緑子は、自分に生理が来るのが嫌でたまらない.緑子はずっと巻子と話をすることなく筆談でコミュニケーションをとっている.巻子の帰りが遅く酔っ払って帰ってきた日、緑子がついに、話をする.二人で卵を頭で割り、卵まみれで泣いている.なんだかよく分からない.
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構えていたほと読みにくくなかったし、他の作品も読んでもいいかも。 主人公はけっこう内にこもってて、その思考がぐるぐるぐるぐる語られるのだけど、意外とリアルだったりする。
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川上未映子さんの、作品集としては3冊目、著書としては4冊目にあたる本書には、第138回芥川賞受賞作である表題作が収録されています。 その「乳と卵」、とにかく、すんごい、「女体」な本であります。<容れ物としての女性の体の中に調合された感情を描いて、滑稽にして哀切>という山田詠美さ...
川上未映子さんの、作品集としては3冊目、著書としては4冊目にあたる本書には、第138回芥川賞受賞作である表題作が収録されています。 その「乳と卵」、とにかく、すんごい、「女体」な本であります。<容れ物としての女性の体の中に調合された感情を描いて、滑稽にして哀切>という山田詠美さんの選評のとおり。 語り手である<わたし>(夏ちゃん)が、やっぱり大阪弁で語ります。39歳の姉の巻子と、その娘緑子が、夏、大阪から上京し、<わたし>の東京の家で三日間過ごします。巻子はホステスで、豊胸手術を受けたいと言っている。緑子はしゃべらないけど、内側から発せられるものはあって、伝えたいことがあるときは紙に書いて見せる。 巻子は、<わたし>が語るとおり、豊胸についてくまなく調べていて、ものすごく詳しい。<わたし>と銭湯に行ったり中華料理を食べに行ったり、明るく過ごします。が、実はいろいろ苦労していることがうかがえる。緑子は、ノートに思ったことを書き綴ります。女が生理になること、子を生むということ、母親と豊胸のこと。こういうこと、ものすごくよくわかる。やっぱり女だから。 この作品全体が、ものすごく女の匂いがします。ムンムンしてます。生々しいくらいに。でも、これが女の体なのです。<わたし>や巻子のように、すでにそういうものとして受け入れていようが、思春期にある緑子のようにそれを厭だと思おうが、厳然とそこにある体。つくづく、不思議で奇妙なものです。 読んでいて、たまらなく切なくなります。ていうより哀しいというのかな。本当に、まさしく、山田詠美さんの言葉のとおり、「滑稽にして哀切」なんです。大阪弁のせいなのか、笑えるんですよ。言い回しがおもしろくて、くふっと笑ってしまう。でも一方でとてつもない寂しさを感じるんですよね。胸がきゅーっとなるくらいに。これこそが川上さんの言葉群の味であり魅力なんだろうと思います。 クライマックスシーン、緑子の感情の飛散と、卵の応酬は、圧巻です。 そしてもうひとつ、「あなたたちの恋愛は瀕死」という、24ページほどの短編が収録されています。これも女性の話で、「女」度が高い作品ですね。 どこかで誰かと待ちあわせをしていて、その前に、新宿の百貨店の化粧品売り場で化粧品を買うのだけど、まだあと4時間ある。本屋に行こうと歩いていると、ティッシュを配る男がいて、彼のことをあれこれ考え始める。 ラストはびっくりで、「へーい」というのが笑えるけど、これまたなんだかすごく哀しい。はたから見たらホント変な女だと思うけど、本人は必死。川上さんらしい作品です。 読了日:2008年8月16日(土)
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