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日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか の商品レビュー

3.5

69件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

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  3. 3つ

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  4. 2つ

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2025/10/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

キツネの話からはじまり、最後には歴史とは何かを語る、構成おもしろ本。 キツネの話をしているときは正直なんかつまらなそ〜と思っていましたが、途中からアクセルベタ踏みで思ってもない方向に話が進んでいきます。 直線的で発展的に語られる歴史はナショナリズムの隆盛にも寄与していて、その歴史はほとんど無意識的に我々のスタンダードになっています。 ただ、この切り口からみる歴史のみに注目してしまうと、かつてのキツネに騙されていたようなタイプの歴史が見えにくくなっていきます。 それがよいことなのか、わるいことなのか、私には分かりませんが、歴史の普遍性のなさ、みたいなものをよく感じることができたのが本書で最も印象的でした。 たとえば明治維新は、日本の歴史に燦然と輝く出来事で、現代に繋がる最重要の革命であるというような語られ方をしますが、それによって当時には衰退した陣営もいたわけで全員に良いことが起きているわけではもちろんありません。。 というような話はよく聞くわけですが、本書ではもう少し進みます。 その先にあるのは、当時の都から大きく外れたような田舎の村では、比較的長い間、明治維新の影響はなかったのではないかということです。 当たり前といえば当たり前なんですが、でも、その歴史は語られないですよね。 そして、個人単位でも、こういったような構造で見逃している歴史、つまり記憶があるのではないでしょうか(自分自身のアイデンティティに繋がるように解釈されて保全されている記憶があり、不利益な記憶は見逃すようにできている)。 それを見逃させているのは、知性や理性であり、それらを稼働し続けている現代社会のあり方をも考えさせられましたね。 長くなりすぎたので感想終わりです。 おすすめ!!

Posted byブクログ

2025/08/30

タイトルだけ見るとオカルト系かな?と思ったものの、実際読んでみるとキツネに騙された話のある土地に住む人間たちの証言や感覚をきっかけに歴史というものを見つめる視点やその歴史などについて多岐にわたる角度から面白く切り込む本でした

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2025/08/22

そう言えば最近キツネにだまされなくなったよね(昔はちょいちょいだまされてたみたいな言い方!) びっくりしました 民俗学の本だと思って読んだら哲学の本でした 最終的に歴史とは何かみたいな考察にも行く まぁ、民俗学的要素も多分にあったけども そしてもっとびっくりしたのはクマさんも読...

そう言えば最近キツネにだまされなくなったよね(昔はちょいちょいだまされてたみたいな言い方!) びっくりしました 民俗学の本だと思って読んだら哲学の本でした 最終的に歴史とは何かみたいな考察にも行く まぁ、民俗学的要素も多分にあったけども そしてもっとびっくりしたのはクマさんも読んでたってこと うん、このタイトルは惹かれるよね クマさんの場合ワンチャンだましてた側の可能性も…(ないわ!) 筆者によると、1965年頃を境に「キツネにだまされた」という話が消滅したというのです そしてそれは様々な理由により、人間が「キツネにだまされる能力を失ってしまったから」なのだそう まるでだまされる方が優れてるみたいな言い方 いや実際優れてるのか? 大きな転換点として挙げられるのが、日本人と自然との付き合い方の変化によるものとのことなんだけど、ちょっと待って、これわいは近年問題になっている地球温暖化にも繋がってく話なんじゃね?とも思いましたよ 間違いなくこの本の主旨とは大幅にずれてると思うんだけど、「キツネにだまされる能力」って「自然に宿る神様たちの声を聞く」能力でもあると思うんよ まぁ地球温暖化って世界的な話なんで、日本人的アプローチだけでどうこう言える話でもないと思うんだけど、「キツネにだまされる」って現象は形を変えて世界中にありそうな気もするんよ つまりもう一度キツネにだまされるようになることが地球温暖化問題の解決に繋がっているってことなんよ! ってそんなわけあるか!( ゚д゚ )クワッ!!

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2025/06/15

図書館をふらふらしていてたまたま見つけて読みました。 言われてみればたしかに......と思い読んでみると思っていたよりも事態は深刻でこのままの状況ならきっとキツネに騙されることはできないままなのだろうなと思いました。∩^・▼・^∩ キツネに騙されていた時代から騙されなくなった...

図書館をふらふらしていてたまたま見つけて読みました。 言われてみればたしかに......と思い読んでみると思っていたよりも事態は深刻でこのままの状況ならきっとキツネに騙されることはできないままなのだろうなと思いました。∩^・▼・^∩ キツネに騙されていた時代から騙されなくなった時代の変容と、時代の違いが分かりやすかった印象があります。

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2025/05/26

軽い気持ちで読み始めたら結構深淵な世界だった 前半はだまされなくなった理由を、経済や科学、環境などから考察して、後半では現代人の歴史の捉え方にまでスケールアップする。 言われてみると僕も歴史を一元的に見てたなぁ

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2025/05/23

私は自然が好きで、これまで各地の秘境を巡ってきたが、いくら深い山の中に身を置いても、何峰か大山を越えていけば普段見慣れた、自然の加入する余地のない街が確実にあるんだよなっていう諦念に近い感覚が拭えない。たしかに深夜に鬱蒼とした山々を眺めるときなんかは、一時的に神的な恐怖を感じるこ...

私は自然が好きで、これまで各地の秘境を巡ってきたが、いくら深い山の中に身を置いても、何峰か大山を越えていけば普段見慣れた、自然の加入する余地のない街が確実にあるんだよなっていう諦念に近い感覚が拭えない。たしかに深夜に鬱蒼とした山々を眺めるときなんかは、一時的に神的な恐怖を感じることはある。だけど、この感覚がある限りこれから先もキツネに化かされることはできないと思う。

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2025/05/11

「かつてキツネは本当に騙していたのかどうか」は論証しようがなく、また論証の対象ではないとして、「どうして『キツネに騙された』という話が聞かれなくなったか」だけを論点に絞って筆を進めているのが面白い視点だった。科学的方法だけではつかみとれない真理というものがある、という主張を立脚点...

「かつてキツネは本当に騙していたのかどうか」は論証しようがなく、また論証の対象ではないとして、「どうして『キツネに騙された』という話が聞かれなくなったか」だけを論点に絞って筆を進めているのが面白い視点だった。科学的方法だけではつかみとれない真理というものがある、という主張を立脚点にしている。 高度経済成長期真っ盛りの1965年を境にどうしてキツネ(やタヌキ等の山の獣)に人間が騙される話を聞かなくなったか、そこにはいくつかの社会の変化、価値観の変化が要因としてある…と多くのページを割いて説明してくれている。それ自体は分かりやすい説明で説得力もあったのだけど、帯やまえがきで「ターニングポイントは1965年。この年に何があったのか⁈」と煽っているわりには、戦後〜1960年代を通じて緩やかな変化があり、最後にそういう騙されたエピソードが確認できたのが1965年というだけだったのだろう。特に1965年に決定的な事件があったわけではなさそうだ。なので、これは少し煽り過ぎだと思った。 それはそれとして、農村部での伝統的価値観から近代的価値観への変化の説明は非常に内容が豊かで面白かった。特に第三章『キツネにだまされる能力』が良かった。

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2025/01/11

タイトルに惹かれて購入。現代は歴史や物事を知性を通して知覚することが重要視されており、その文脈においてはキツネに騙されるような、高度経済成長期以前の自然と人間のコミュニケーションや自然に霊性を見出していたような精神世界は見えざるものとなっている。 この主張自体は面白いけどスピ系に...

タイトルに惹かれて購入。現代は歴史や物事を知性を通して知覚することが重要視されており、その文脈においてはキツネに騙されるような、高度経済成長期以前の自然と人間のコミュニケーションや自然に霊性を見出していたような精神世界は見えざるものとなっている。 この主張自体は面白いけどスピ系に悪用されそうな理論だなと思った(笑)

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2024/07/19

1965年頃を境に、日本人はキツネにだまされなくなったんだって!? キツネにだまされるということが、本当にあるか否かについては敢えて問わず、ただその現象を考えてみて、こうして本にしちゃうところが面白い。 昔は高度成長で、今ならインターネットやSNSで、知りうる世界がとても拡が...

1965年頃を境に、日本人はキツネにだまされなくなったんだって!? キツネにだまされるということが、本当にあるか否かについては敢えて問わず、ただその現象を考えてみて、こうして本にしちゃうところが面白い。 昔は高度成長で、今ならインターネットやSNSで、知りうる世界がとても拡がったように思うけど、一方で、知らず失っている世界もとても多いのかもしれない、と思う。

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2024/05/16

表題の疑問、気になって読んでみた。 1965年を境に、日本人はキツネに騙されなくなるらしい。 その理由は本書に任せるとして、 ジブリの「平成狸合戦ぽんぽこ」はいつの時代の話なんだろう?と調べたら昭和40年代。 昭和40年は1965年なのでまさにその年。 ジブリがその境の時期を知...

表題の疑問、気になって読んでみた。 1965年を境に、日本人はキツネに騙されなくなるらしい。 その理由は本書に任せるとして、 ジブリの「平成狸合戦ぽんぽこ」はいつの時代の話なんだろう?と調べたら昭和40年代。 昭和40年は1965年なのでまさにその年。 ジブリがその境の時期を知っていたのか分からないけど、 時代設定としてはまさに、だったわけだ。

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