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幼年期の終わり の商品レビュー

4.1

194件のお客様レビュー

  1. 5つ

    66

  2. 4つ

    66

  3. 3つ

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  4. 2つ

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2021/07/13

みんなが平穏な日常を享受する、幸せ飽和状態な世の中では、新たな芸術は発展しないという視点が面白かった。よりよい(とされる)文明、圧倒的に高度な知性に対峙すると民族的文化的な多様性は失われ、人間の個性さえ均されていく。テクノロジーの進歩と共にますますグローバル化が進む現代社会におい...

みんなが平穏な日常を享受する、幸せ飽和状態な世の中では、新たな芸術は発展しないという視点が面白かった。よりよい(とされる)文明、圧倒的に高度な知性に対峙すると民族的文化的な多様性は失われ、人間の個性さえ均されていく。テクノロジーの進歩と共にますますグローバル化が進む現代社会においても、とんだ皮肉だなぁ

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2020/12/08

人類が迎えた結末は光栄なもの、みたいに書かれているけど、私はバッドエンドだと思いました。そもそも、子供達はもはや人類じゃないものに変貌してしまったし。進化の袋小路に閉ざされたオーヴァーロードの気持ち、人類最後の世代の気持ち、どちらを汲み取っても寂しい。ジェフリーが夢の中で宇宙の様...

人類が迎えた結末は光栄なもの、みたいに書かれているけど、私はバッドエンドだと思いました。そもそも、子供達はもはや人類じゃないものに変貌してしまったし。進化の袋小路に閉ざされたオーヴァーロードの気持ち、人類最後の世代の気持ち、どちらを汲み取っても寂しい。ジェフリーが夢の中で宇宙の様々な部分を垣間見る描写は、想像力に溢れててわくわくした。 人類変貌の描写は、2012年に起こると言われていた「アセンション」に影響を与えたのかな?と思った。

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2020/11/20

はじめてのSF作品。 新しい発想の幅が広がる感じがした。 普段考えない領域の物語で、その思考したことないわーということがどんどん出てくる。 なるほど、となったり、なんでそうなった?となったり…。 普段の生活に落とし込んだら役立つ発想がたくさん転がってた。 そこからいろんな発想も...

はじめてのSF作品。 新しい発想の幅が広がる感じがした。 普段考えない領域の物語で、その思考したことないわーということがどんどん出てくる。 なるほど、となったり、なんでそうなった?となったり…。 普段の生活に落とし込んだら役立つ発想がたくさん転がってた。 そこからいろんな発想も生まれた。 SFってリアルとフィクションと理想と希望と未来と、いろいろ混ざってて面白いんだなーと思った。

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2020/10/30

人類のまえに突如現れた圧倒的な高度文明を持つ“オーヴァーロード”。彼らの出現によって人類は争い・犯罪・貧困・宗教のしがらみ等から解き放たれる。彼らは一体何者なのか。なぜ地球にやってきたのか。人類はどのような未来を辿るのか。 海外SFの金字塔として名高い本作。「『幼年期の終わり』...

人類のまえに突如現れた圧倒的な高度文明を持つ“オーヴァーロード”。彼らの出現によって人類は争い・犯罪・貧困・宗教のしがらみ等から解き放たれる。彼らは一体何者なのか。なぜ地球にやってきたのか。人類はどのような未来を辿るのか。 海外SFの金字塔として名高い本作。「『幼年期の終わり』のように……」と様々な作品にモチーフとして登場するのでいい加減元ネタを読まねばと思い手に取りました。 オーヴァーロードとの邂逅~人類の繁栄期~そしてラストまで、全3章を通じて150年に渡るオーヴァーロードとの軌跡を描きます。 最初こそ未知の生物(?)の到来に恐れ反発もありましたが、人間とは良くも悪くも慣れるものでいつしかオーヴァーロードたちは日常の一部となりその恩恵に甘受します。皆が“理性的”に生きる時代。それは表面状としては平和な反面、人類の創造性は退化する一方でした。 それぞれの時代で主役が異なり、その時々での人間対オーヴァーロードが向き合うシーンは程よい緊張感が伝わってきます。その間、目を引いたのは“圧倒的知”に対峙したときの人間の行動や思想についてです。 好奇心は人にとって生きる原動力です。人はまだ見ぬ答えを得ようと努力し、自分と向き合い、時にもがき葛藤を繰り返し、年齢を問わず成長します。しかしオーヴァーロードという存在がすでに明らかな答えを知っている。他者から答えを与えられたり、探求心や好奇心の芽を摘まれる日常はつまらない、もっと言えば苦痛だと思います。 そんな相手を前に、自身の湧き立つ好奇心や譲れない信念に従って、相手をどうにか出し抜こうと奮起する人々はどの時代にも少なからず登場します。その姿は滑稽に映るでしょうか。その素直なまでの人間らしさ・人間味は私はとても魅力的に映りました。 冒頭からオーヴァーロードの目的はなかなか明かされませんが、3章でそれらの謎が一気に解明されます。それは宇宙にとっては希望でも、人類にとって絶望に違いません。辛く苦しい真実を突きつけられた後、読者を引き付けて止まないのは圧倒的で刹那的な映像美。一読の価値があります。 読み終えた頃には地球終焉までの宇宙誌を読み切った気分になり、本を閉じた瞬間それが手の平に収まる本のなかの世界で心底ほっとしました。しかしぞっとする程のリアリティ。もしかして私は地球の未来を先取りしただけでは……と不安に駆られるほど臨場感があります。50年以上前に刊行された作品ですが今なお読み継がれるのも納得。

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2020/09/08

突如世界中の大都市の上空に現れた巨大な飛行物体。攻撃するでもなく、静かにそこに在り続ける。 その日から始まる未知の世界。 これは凄い。 圧倒された。

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2020/06/11
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※このレビューにはネタバレを含みます

※書きかけのメモです。随時加筆します。 第1部 大都市の上空に巨大な宇宙船が現れた。 オーバーロードが地球を非敵対的に支配する。 オーバーロードの地球総督カレランと接触できるのは、国連事務総長のストルムグレンだけ。 オーバーロードが姿を見せないのと、目的を明らかにしないことに人々は不満を持っていた。 50年後にオーバーロードは姿を見せると約束した。 第2部 オーバーロードが姿を現した。 ルパート・ボイスのパーティーで、ジャン・ロドリクスがオーバーロードの母星を知ってしまい、密航する。 第3部 ジョージ・グレグソンとジーン・モレルの子供たちが不思議な夢を見るようになり、やがて大きく変化していく。 人類は、子供の世代から変化し、親の世代は消えて行く運命だった。 子供達は、ひとつになって、宇宙へ。その時地球は消滅した。 地球の最後を見届けたのは、密航して80年後に地球に帰ってきたジャンだった。 ※オーバーロードの上にはオーバーマインドという存在がある。 ※オーバーロードは地球人のように存在が変化しないらしい。

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2020/04/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 あらゆる種類の争いや紛争が一掃されたことは、創造芸術の終焉を意味していた。アマチュアとプロの区別なく、アーティストは無数にいた。しかし、この数十年というもの、文学や音楽、絵画、彫刻の新しい傑作は一つとして生まれていなかった。世界はいまだに、二度と帰らぬ過去の栄光に生きていた。 この変化を憂えていたのは、ほんの一握りの哲学者だけだった。人類は新しく手に入れた自由を謳歌するのに夢中で、目先の快楽の少し先に何があるのか、思いを凝らしてみようなどとは考えなかった。ついにユートピアが見つかり、その目新しさはまだ、すべてのユートピアの天敵――退屈に侵食されてはいなかったのだ。(p.145) 人類は、いまだ地球から自力では出られずにいる。地球は、100年前と比べ、不公平は少ない反面、はるかにちっぽけな星になっていた。オーヴァーロードたちは、戦争と飢餓と病気を根絶やしにしたと同時に、冒険をも絶滅させてしまったからだ。(p.179) ご存知ですか。1日に500時間分の番組がラジオやテレビから垂れ流されているとか。いっさい眠らずに1日24時間をそれだけに費やしたとしても、スイッチ1つで手に入る娯楽の20分の1も視聴できないということですよ!人間が受身なスポンジに――吸収するだけで、何も生み出さないスポンジに成り下がろうとしているのも不思議はありません。世間の人々が、平均して1日あたりどのくらいの時間をテレビに費やしていると思いますか。3時間だそうです。じきに人類は、自分の人生というものを持たなくなるでしょうね。連続ドラマについていこうとするだけで1日が終わってしまうんですから!(p.273) 宇宙船は波打ち際に着陸した。柔らかな砂に船体が深く沈む。大きな曲線を描くパネルの列が上方に滑るようにして一斉に開き、タラップが金属でできた舌のように砂浜に向けてするりと伸びた。散らばっていた言いようのないほど孤独な人影が溶け合い始め、間も無く、人間の集団とまったく同じように動く一つの影になった。 孤独? なぜそんな言葉が浮かんだのだろう?あの子どもたちがこの先絶対に感じることのないもの――それは孤独だろうに。孤独を感じるのは個人だけ――人間だけだ。個という壁 が取り払われたとき、人格が消えると同時に孤独も消える。大海原も、もとはといえば無数の雨粒だった。(p.362)

Posted byブクログ

2020/03/30

面白い。古さを感じさせない。 展開は全く想像できなかった。 三分構成で、それぞれ思ったのとは全く違う展開だった。 他の人にも是非薦めたい

Posted byブクログ

2020/03/02

すごい。この話が真理なんじゃないかと思いたくなるくらい整合性がある。そして結末の凄まじい虚無感。こんな話を考えつくなんて、すごいな。語彙の無さが身に染みるが、すごいとしか言いようがない。

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2020/03/01

着想、展開とも素晴らしい。古典とされるが、本作を超えるものを多くは知らない。同じ著者の代表作「2001年宇宙の旅」よりも自分たちの存在について大きな視点を提供するインパクトがあった。 光文社古典新訳版は「いま」に近い言葉の感覚の翻訳を目指したものらしく、原作が見通すことのできな...

着想、展開とも素晴らしい。古典とされるが、本作を超えるものを多くは知らない。同じ著者の代表作「2001年宇宙の旅」よりも自分たちの存在について大きな視点を提供するインパクトがあった。 光文社古典新訳版は「いま」に近い言葉の感覚の翻訳を目指したものらしく、原作が見通すことのできなかった「いま」のネット社会などの視点はないが、だからといって古典SFにありそうな古臭さを感じるものはなかった。「いま」読むに耐える作品。

Posted byブクログ