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私が語りはじめた彼は の商品レビュー

3.5

249件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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2015/12/19

大学教授・村川融について、妻、娘、息子、弟子etcがそれぞれ語る連作。 興味深いのは、何人もの人が語る村川融という人間の人物像が、最後まで読んでもぼんやりとしていてよく分からないということ。 大学教授で、けして容姿端麗ではないけれどなぜか妙に女にもてて、研究熱心で、薄情なところが...

大学教授・村川融について、妻、娘、息子、弟子etcがそれぞれ語る連作。 興味深いのは、何人もの人が語る村川融という人間の人物像が、最後まで読んでもぼんやりとしていてよく分からないということ。 大学教授で、けして容姿端麗ではないけれどなぜか妙に女にもてて、研究熱心で、薄情なところがある男。という特徴は浮かび上がってくるものの、本人はほぼ登場しないから、実のところどんな人なのか分からない。 ただ、登場人物全員がそれぞれの形で村川融に翻弄され、それぞれの形で強く惹かれていたということだけは分かった。 読んでいて、実際の人間というのもそういうものなのかもしれない、と思ったりした。 一人の人間について、Aから見たら優しくて善い人でも、Bから見ると冷酷な人物に映る可能性があって、そこに実体なんていうものは存在しないのかもしれない。 それぞれの主観を通した評価が、一人の人間の人物像を浮かび上がらせていく。だけどそれは明確な答えではないから、どこかぼんやりとしている。 最も印象的だったのは、村川融の息子の中学時代からその後について描かれた「予言」でした。 胸が苦しくなり、先が気になってどんどん読み進め、胸が熱くなり、そして温かいところに着地する。 すっきり爽やかとは言えない後味の短編が続く中、唯一笑顔になれるような。 でも後味が悪いお話も変な余韻があってそれはそれで良かった。 人間の内面にある打算とか醜さが、何かのきっかけで露呈する瞬間。そして一波過ぎた後、かき乱されたそこは一体どうなるのか。 逃げる人、修復しようと努力する人、見て見ぬふりをする人、そもそも気づかない人、きっと様々だ。 こんなに恐ろしくてある意味壮絶な小説を20代の時に書いていたなんて、一体どんな人生を歩んできたらそうなれるのだろう、としばし考えてしまうような小説でした。

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2015/09/23

私は好きな雰囲気の話だったけど、読み始めてすぐ、え、誰の本だった?って思うくらい三浦さんぽくない感じでびっくり。濃厚だった。

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2015/08/21

三浦しをん氏の作品は、「神去なあなあ日常」「舟を編む」「木暮荘物語」位しか、読んでいなかったので、こうゆう作品描かれるのだと、思った。 篠田節子氏風の三角関係の憎悪だけでなく、内に秘めた嫉妬が、描かれているようにも感じられた。 最初の寵姫の密通の仕置きに、おどろおどろしい物を感...

三浦しをん氏の作品は、「神去なあなあ日常」「舟を編む」「木暮荘物語」位しか、読んでいなかったので、こうゆう作品描かれるのだと、思った。 篠田節子氏風の三角関係の憎悪だけでなく、内に秘めた嫉妬が、描かれているようにも感じられた。 最初の寵姫の密通の仕置きに、おどろおどろしい物を感じながら、読み進んだ。 しかし、内容としては、大学教授の村川融をめぐる不倫での、周りの家族が、振り回される短編連作小説であった。 複数の女性と不倫を犯した、村川融は、この小説の中では、余り、感情の流れが、出てこない。 周りの者たち、教え子、妻、再婚相手、娘、息子と、、、、が、抱く問題を心理的に追い込んでみて、各自が、解決していくなり、解決しないまま妥協してみたり、解決したと受け止めながら、進んで行く。 ただの不倫関係、離婚関係、家族関係だけでなく、「風に乗った途端に花びらは重さを忘れ、痙攣にも似た震える奇跡を描きながら地面を目指す」、、、等の描写の仕方には、素晴らしさを感じる。 人間関係もそんな感じで、剥離されるのだろう。 著者会心の作と、書かれてあったが、もう少し、連作として、読みやすい方が、良いように思える。

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2015/08/14

読み終わった後にどっと疲れを感じそうなじっとりとした内容だけど、言葉遣いが巧みで文章自体は軽やかだからそうはならなかった。面白かった。

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2016/05/15

しかし凄いな三浦さん。 好きか嫌いかと聞かれれば、私の嫌いなタイプの作品です。 男女の愛を中心にしたドロドロとした物語。 それでも最後まできっちり読ませてくれる。 この物語はどこか不思議な、ちょっと薄暗く、粘度の高さを感じさせる独自の世界。そうした世界をきっちり生み出す力には感心...

しかし凄いな三浦さん。 好きか嫌いかと聞かれれば、私の嫌いなタイプの作品です。 男女の愛を中心にしたドロドロとした物語。 それでも最後まできっちり読ませてくれる。 この物語はどこか不思議な、ちょっと薄暗く、粘度の高さを感じさせる独自の世界。そうした世界をきっちり生み出す力には感心させられます。 軽いものから、こういう本格的なものまで、いろいろ書ける上手い作家さんだと思います。

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2015/05/31

面白かった。いない人を中心にその周りの人について書かれた物語。愛を欲しがる虚しさは尽きず、それでも無駄と知りつつ求めてしまう。手に入らないものが欲しくて屈折してる人たち。家路のカタルシス。

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2015/04/29

2005年本屋大賞9位 大学教授・村川融を助手、妻、息子、娘、浮気相手側のストーリーから表現されるお話。 人の「負」の感情(「愛」という名の「独占欲」かな?)の陰鬱な話だが、表現がとても豊かなのでサラッとした感じで読みやすくなっている。 が、 登場人物は皆陰湿タイプw 若い人...

2005年本屋大賞9位 大学教授・村川融を助手、妻、息子、娘、浮気相手側のストーリーから表現されるお話。 人の「負」の感情(「愛」という名の「独占欲」かな?)の陰鬱な話だが、表現がとても豊かなのでサラッとした感じで読みやすくなっている。 が、 登場人物は皆陰湿タイプw 若い人から中年を見たときの偏見が前面に出ている感じがして中年の何たるかをちっともわかってない気がするなぁ(それが狙いかも知れんが)。 なので、若い人には受けが良いと思うけど…う~ん。

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2015/03/20

ここで常に語られる男、村川融、嫌な奴だ…好きじゃないわ…あと話がなんとなくシリアス寄りなのでいまいち好きではなかった。三浦しをんほある程度ギャグテイストがある方が好き。

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2015/02/25

物凄く大きなエネルギーを感じた。間違いなく面白い、のだけど…今の自分には一度読んだだけでは受け止められない。二度三度繰り返し読んで、あと5、6年くらいしたら背伸びせずこの作品と向き合えるのかもしれない。

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2015/02/12

脳裏に焼きつく、強烈なストーリーと描写でした。 どろどろしたストーリーですが、だからこそ、読み終わったときに、大切なひとをもっと大切にしたくなりました。

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