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私が語りはじめた彼は の商品レビュー

3.5

249件のお客様レビュー

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2019/02/17

最初はばらばらの短編小説集かなと思ったのだが、話が様々な視点で進んでいき、繋がっていく。繊細な心理描写とスピード感のあるストーリーが同居している。こういうジャンルの小説は 三浦しをん ならでは。

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2019/01/06

学内のみならずカルチャーセンタなどで女性との関係が多い中国史専門の大学教授を取り巻く家族関係、新家族関係、師弟関係などが連作短編として構成。

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2018/12/03

取り立ててどこが良いとも言えないような、妻子を持つ教授が複数の愛人から取り合いをされる。教授は主人公にならずに、あくまでその周りの話。 人のものを盗ると、つぎは盗られる恐怖におびえることになる。最後までモヤモヤした気持ちで終わった。

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2018/10/14

ひとりの大学教授の浮気や再婚や死を巡り家族やその周囲が語る。受け取りが甘くて読み終えてもこういう話と説明し辛い。馥郁たるふくよかさみたいなものに満ちていて、薄暗い仄灯りのようで、気付けば引き込まれ作品世界の水にどっぷりと浸るみたい。詳らかにし切らない奥ゆかしさ。自殺に向かう義理の...

ひとりの大学教授の浮気や再婚や死を巡り家族やその周囲が語る。受け取りが甘くて読み終えてもこういう話と説明し辛い。馥郁たるふくよかさみたいなものに満ちていて、薄暗い仄灯りのようで、気付けば引き込まれ作品世界の水にどっぷりと浸るみたい。詳らかにし切らない奥ゆかしさ。自殺に向かう義理の娘が特に印象深い。

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2023/06/14

「彼」・古代中国を研究している大学教授村川融をめぐる男と女の物語は、連作短編という形をとりながら、全て読み終わったあとは20余年にわたる長編小説を読んだような充実感で満たされる絶妙の構成となっている。 そのうえ、一つ一つの短篇の完成度が恐ろしく高い。 どの話も静かに始まり、終盤...

「彼」・古代中国を研究している大学教授村川融をめぐる男と女の物語は、連作短編という形をとりながら、全て読み終わったあとは20余年にわたる長編小説を読んだような充実感で満たされる絶妙の構成となっている。 そのうえ、一つ一つの短篇の完成度が恐ろしく高い。 どの話も静かに始まり、終盤に向けて大きなカタストロフィを迎え、収束する。そのエネルギーがすさまじくて、物語にぐいぐい引き込まれる。 「彼」の妻や息子、不倫相手、その娘など、関係者それぞれが抱えた闇に焦点をあてた個々の短篇では、恋愛、家族、友情といったあたりまえの人間関係のはかなさや、頼りなさが描かれている。 どのページを開いても、お気に入りのフレーズが見つかるほど言葉の魅力にもあふれた作品で、「予言」は特に優しくて、切ない最上の短編。 この作品、「風が強く吹いている」や「舟を編む」のような爽やかさとは対極にあるものの、こういうのをもっと書いて欲しいな~とつくづく思った。

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2018/08/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

あることがきっかけで人から紹介された本だ 真実は一つではない それは私自身、このまだまだ少ない人生経験からも実感しているところだ この話はある一人の男が中心になっているが、その人が直接物語に登場することはない その人が登場するのは誰か別の人が語っている「彼」であり、他の誰かから見た「彼」である 話が進むにつれてだんだんとぼんやり「彼」はかたち作られていくが、はっきりと形になることはない 最初は推理小説のような話なのかとも思ったけど、明確な答えは用意されていない あるのはただただ、いろいろな人が語る真実だ 男女のどろどろとした話なのに、客観的でどこか遠くからみているような物語の視点、それがとてもリアルで現実味を帯びているように思った 三浦さんの本を読んだのは初めてだったけど、人の感情の量り方がこわいほどに上手い方なんだなと感じた この本を手に取ることになったきっかけを思うとなんとも言えない気持ちになる 結局は人から見た事実が真実になる いろんな状況証拠を比べて合わせて、こうだったんだろうと溜飲を下げることしかできない

Posted byブクログ

2018/04/03

彼、村川融についての短編集。 村川は歴史学の大学教授。何故だかモテるらしい。 彼についてかたられるのではなく 彼の周囲の女性にについて、ほかの男性が語る。 それによって村川という男の形を頭で想像してみる。 彼という人がどういう人なのかわかるようでわからない。 本当のところなんて...

彼、村川融についての短編集。 村川は歴史学の大学教授。何故だかモテるらしい。 彼についてかたられるのではなく 彼の周囲の女性にについて、ほかの男性が語る。 それによって村川という男の形を頭で想像してみる。 彼という人がどういう人なのかわかるようでわからない。 本当のところなんて、 本人以外にはわからないことなのかもしれない。 それよりも、村川の義理の娘の調査をしていた 渋谷くんと五反田くんに興味津々。 別の小説にできそうだ。

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2018/03/31

何故か女性を惹きつける村川教授。彼をめぐる女性たちは彼の存在によって人生を狂わされた。そしてその女性たちとなんらかの形で関わる男性たち。全体を通して暗い小説なのですが、ページがどんどん進みました。

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2017/10/16

人間の孤独を救うのは、愛する事よりも理解される事の方が真実なのかもしれないと感じてしまった。様々な立場の孤独や喪失感。通り越して救われる者もあれば、取り憑かれたままの者もいる。 この人の小説は、言葉選びがとても綺麗だ。好きな小説だった。

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2017/09/06

『秘密の花園』読了後に、矢も盾もたまらず本書を読む。大学教授の妻と、その教授の弟子との、濃くも非日常な会話から始まる各編は、どうしようもなく堕落しながら物語と時を紡いでいく。最後に教授が骨となっても、彼らが生きる世界には暗澹たる時間が過ぎていくようだ。『秘密の花園』と比べると、本...

『秘密の花園』読了後に、矢も盾もたまらず本書を読む。大学教授の妻と、その教授の弟子との、濃くも非日常な会話から始まる各編は、どうしようもなく堕落しながら物語と時を紡いでいく。最後に教授が骨となっても、彼らが生きる世界には暗澹たる時間が過ぎていくようだ。『秘密の花園』と比べると、本書は、著者は「男なのでは疑惑」を想起させるような文体だった。

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