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私が語りはじめた彼は の商品レビュー

3.5

249件のお客様レビュー

  1. 5つ

    35

  2. 4つ

    81

  3. 3つ

    86

  4. 2つ

    22

  5. 1つ

    4

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2017/05/15

好きな作家さんなのでそこそこ読んでいるつもりでしたが、初期の作品である本作は未読でした。読んでびっくり、著者のこんなに暗い作品は初めて。私にとっては「若干乾いた桜木紫乃」といったイメージです。 お世辞にも色男とはいえない、見た目はまるで肝臓を悪くした狸なのに、なぜか女を惹きつけ...

好きな作家さんなのでそこそこ読んでいるつもりでしたが、初期の作品である本作は未読でした。読んでびっくり、著者のこんなに暗い作品は初めて。私にとっては「若干乾いた桜木紫乃」といったイメージです。 お世辞にも色男とはいえない、見た目はまるで肝臓を悪くした狸なのに、なぜか女を惹きつける力が半端ではないらしい大学教授・村川透。彼を告発する手紙が大学とマスコミに送りつけられたことで、人生が一転した人々を主人公にした連作。連作というのは巷にもあふれていて珍しくはありませんが、主人公の選び方が面白い。6編の最初の語り手は村川の助手で、村川が辞職に追い込まれれば自分の将来にも暗雲がもたらされると危惧しています。そんな彼が告発状の主を突き止めようと、村川の妻を訪ねるところから本作はスタート。2編以降の語り手は、自分の妻が村川と不倫関係にあると知ってしまった男、村川に捨てられた本妻の息子、村川の再婚相手の娘の動向を調査することになった若者、村川の実の娘の婚約者、そして最後にもう一度、最初の助手が語り手となります。光が感じられる話は少なく、こんな三浦しをんもいるんだと新鮮でした。 村川のよさについては理解できないのが残念。彼には信じられない数の女がいて、そのうち再婚相手に選ぶのは「こんな女性にならばトチ狂っても仕方ない」と思えるような相手ではありません。ただただ情念に駆られた女性で怖いだけ。いろいろと理解できないことだらけなのが余計にありそうだからより重く心に刺さります。この三浦しをんも好みです。

Posted byブクログ

2017/04/02
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※このレビューにはネタバレを含みます

『舟を編む』が面白かったので、三浦しをんさんの本をもっと読んでみたくなり。 んーーー期待したような胸キュン本ではなかったので残念でしたが(内容はよく調べてから本を買わないとだな…)、 随所に散りばめられている、即妙で美しい表現はさすがでした。 以下、印象的だったところ。 ・「妻の不貞を責めるとき、その刃はすべて私自身に返るだろう。」(p.81) ・「私はベッドに座って、手の爪を切っていた。あぐらをかいた足元にティッシュペーパーを広げ、パチンパチンと乾いた三日月を作りだす。」(p.102) ・「椿の言葉は予言のようだった。世界が滅ぶとか、みんな死ぬとか、そんな不吉なもんじゃない。雨が降る前には雨のにおいがするように、朝の光より早く鳥が囀るように、だれのことも脅かさない予言。」(p.145) ・「私は結婚してみてようやく実感した。世の夫婦の多くが、どうして子どもを作り、家を手に入れたがるのかを。」(p.245) 途中サスペンスのようで、自分が普段あまりサスペンスやミステリーを読まないので、背筋が薄ら寒くなり、気味が悪くなったところもありましたが、 終盤は、荒れ模様の暗い不吉な海に、朝が来て徐々に波が凪いで行くような静かな収束で、良かったです。

Posted byブクログ

2017/01/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

再読。好きかと問われると即答するのがためらわれるが、すごいかと問われるとすごいと即答できる。「彼」をめぐる人々の設定や描写や抱える闇が多種多様で重なりあうところがないのに、「彼」を中心につながっていてバラバラではない。救いのない話のようでいて、不思議と読後感が悪くない。一口では語れない複雑な物語。

Posted byブクログ

2016/12/31

学者としては一流だけれども、男・特に夫としては最低の部類に属する「村川融」について、彼を取り巻く「彼女」たちや村川の身近な人々が語っていくという連作短編集。 連作短編というわりには、それぞれの繋がりが薄い。核心的な部分にも触れられることなく進み、そして終わる。ただ言葉のチョイス...

学者としては一流だけれども、男・特に夫としては最低の部類に属する「村川融」について、彼を取り巻く「彼女」たちや村川の身近な人々が語っていくという連作短編集。 連作短編というわりには、それぞれの繋がりが薄い。核心的な部分にも触れられることなく進み、そして終わる。ただ言葉のチョイスは絶妙で、表現として美しいなと思うものやハッとさせられる一文は多い。 ストーリー構成としては、ただ「この人から見た村川とは、こういう人物なのか」とぼんやり思いながら読み進めるだけ。特に感じ入る話があるわけではなかったのが残念。私がちょっと、「連作」というあたりに期待を重く置きすぎたのかもしれない。淡々と、いろんな登場人物がそれぞれの目から見た「彼(村川)」についての話を聞くだけの本、と思って読めば、まだよかったかも。

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2016/09/07

とても魅力的な連作。 ちょっと驚くほどの完成度。 適度な影と愛情が居心地良く、ついつい長居したくなる物語でした。

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2016/08/28

3 大学教授の村川融をめぐる家族、不倫先の家族、研究室の助手などの話。いろんな人から見た彼を描きつつ、人間関係の難しさが見えてくる。村川先生の視点がないのが若干分かりづらい。ここまでの影響力があって変わった人はなかなかいなそう。

Posted byブクログ

2016/05/29

ゴメンなさい三浦しをんさん、いままでに読んだすべての作品は?大好きでしたが、このお話は全然解りませんでした。もう何がなんだかちんぷんかんぷんで、一つひとつの単元は理解できますがワタシの中でぜんぜん繋がらず、なんだか繋がりのある単元たちなのだと気付いたのはようやく最後の単元を読んで...

ゴメンなさい三浦しをんさん、いままでに読んだすべての作品は?大好きでしたが、このお話は全然解りませんでした。もう何がなんだかちんぷんかんぷんで、一つひとつの単元は理解できますがワタシの中でぜんぜん繋がらず、なんだか繋がりのある単元たちなのだと気付いたのはようやく最後の単元を読んでいるときです。記憶力と言おうか理解力と言おうかそういうものが少しずつ失われているような気がします。 「風が吹いている」は、作品も映画もだ~い好きです。

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2016/05/08

愛を信じられない/疑い続けてしまう人たちばかりが出てくる話。息苦しくて、重苦しくて、でもぐいぐいと読んでしまった。 でも、愛を信じるって物凄く愚直なことなのかもしれない。ロマンチックで、夢見がちで。それか、ただの思考停止?疑い続けて、じりじりと生きているほうが人間らしいのかも。 ...

愛を信じられない/疑い続けてしまう人たちばかりが出てくる話。息苦しくて、重苦しくて、でもぐいぐいと読んでしまった。 でも、愛を信じるって物凄く愚直なことなのかもしれない。ロマンチックで、夢見がちで。それか、ただの思考停止?疑い続けて、じりじりと生きているほうが人間らしいのかも。 そして、人間なんて結局そこにある事象に過ぎないんだな、見ている人によってその人は変わるから、結局そこに本当のその人はいない。逆に、その人と関わる人数分、その人はいる。面白い。 面白いけど、好きな人のことは理解したいとおもってしまうから、さみしい。 三浦しをんさんの作品を読んだのは初めてだったけれど、シャープで魅力的な文章を書く人だなとおもった。他の作品も読んでみたい。

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2016/03/23

読んでびっくり、全然面白くなかった。面白さが分からなかったと言うべきか。「彼」について、立場の違う複数の人間が深く語っていく内容かと思っていたが、たいした事件もなく淡々と語られていくだけ。最後まで「彼」という人間の魅力も何も分からないままで終わった。それで、何が言いたい?というの...

読んでびっくり、全然面白くなかった。面白さが分からなかったと言うべきか。「彼」について、立場の違う複数の人間が深く語っていく内容かと思っていたが、たいした事件もなく淡々と語られていくだけ。最後まで「彼」という人間の魅力も何も分からないままで終わった。それで、何が言いたい?というのが率直な感想。ただ、この文体は今まで読んだしをん作品と趣が変わっていて良かったと思う。

Posted byブクログ

2016/01/03

思い悩む生き物だということかな いつだって、まわりからみたのじゃ、なにもわからないのに すこしずつからまって、こじれるのかな

Posted byブクログ