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津軽 の商品レビュー

4.1

176件のお客様レビュー

  1. 5つ

    53

  2. 4つ

    59

  3. 3つ

    35

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

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2020/07/11

太宰の終活のようなお話だと思った。自分の故郷を旅する。会いたい人に会う。津軽を読んでみると、太宰はもう人生に悔いはなかったのではと思う。

Posted byブクログ

2020/03/23

 自分のことも周囲の状況も、冷静に分析して皮肉っぽく正直に語っている。この作品では、今まで読んだ他の太宰作品に比べて、その皮肉や自虐やツッコミが明るくて、ユーモアたっぷりで、読んでて笑える部分が多かった。特に、友人と過ごしている前半は、ひたすら陽気さが感じられ、後に自殺するよう思...

 自分のことも周囲の状況も、冷静に分析して皮肉っぽく正直に語っている。この作品では、今まで読んだ他の太宰作品に比べて、その皮肉や自虐やツッコミが明るくて、ユーモアたっぷりで、読んでて笑える部分が多かった。特に、友人と過ごしている前半は、ひたすら陽気さが感じられ、後に自殺するよう思えなかった。  しかし、最後二章を見ると、やはり太宰の纏っている暗さや、寸分の狂いでバランスが崩れ、精神が崩壊しそうな危うさが感じられて、明るさと暗さが絶妙に混じった作品だと思った。  冷静に分析しているのに、自分の本質が故の悲しい宿命に逆らえず、それを実直に文章にしちゃえるのが太宰らしいと思った。本作品では宿命を割り切っている感じがした。一方、他の作品では、やはり割り切ることができないか、宿命の終着点が死へと向かっている感じがする。それが故に後者は悲壮感や苦しみが一層強く感ぜられるような気がした。  太宰という魅力的な人間には、能力的にもその他の面においても足元にも及ばないけれど、自らの価値観に基づいて誠実で、繊細で、人が良く、それが故に苦しんで、また、自己否定から抜け出すことができない彼には、根元的な部分で共感してしまう部分が多い…。だからこそ彼の作品は慰めになるし、普段抱えているジレンマを言葉にしてもらえたりする。ただ私は私の宿命を、先入観や過去で決めずに、静かにフラットな視点から凝視して、救済のベクトルに持っていけれたらいいなと思う。うまく言えないけれど。

Posted byブクログ

2020/02/26

2020.2.25 15 友人から借りて読んだ。ようやく読めた。 津軽に行ってきたのを思い出し、風景が思い起こされてよかった。あの旅はよかった。太宰治のこんな文章も面白かった。 酒飲みまくってた。シーンシーンの心の動きとか共感するところが多かった。

Posted byブクログ

2020/02/15

津軽半島や青森の秘湯に一人旅した時のお供。 人間・太宰治に興味があるならオススメしたい。 基本的に紀行文学なのだが、エンディングが秀逸。 太宰のロマンティストな部分にグッときた。

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2020/02/07

解説にもあるが、第5節のとある人物との出来事が彼の根幹を表している。太宰の一片を文字通り垣間見れる文章であった。

Posted byブクログ

2020/02/02

2020/2/2 厚さは薄いけど内容はぎっしり。太宰治の生まれ育った街である青森を旅したときの情景とそこであった人々との交流を描いた太宰治のルーツが書かれていると言ってもいい本です。 太宰治は訪れた街についてたくさん書いてありますが、そのどれもが風景をありありと想像することができ...

2020/2/2 厚さは薄いけど内容はぎっしり。太宰治の生まれ育った街である青森を旅したときの情景とそこであった人々との交流を描いた太宰治のルーツが書かれていると言ってもいい本です。 太宰治は訪れた街についてたくさん書いてありますが、そのどれもが風景をありありと想像することができる表現がなされていることにすごさを感じます。ちょっと皮肉交じりで書かれている表現が、彼がこの地がとても気に入っていて大好きだったんだなぁということを思わせてくれます。 津軽を含め、この一帯を自分も旅してみたくなります。また、最後は、幼少期の自分の乳母と30年ぶりに再会するという結末で話が終わっています。旅をする過程で出てくる人物もかつての津島家で働いていた人だったり、関わりのある人たちばかり。 その思い出をたどる旅でもあったんだなあと思います。訪れた街を少し小馬鹿にしつつしっかりリスペクトを忘れていないあたりの太宰治のツンデレ感が否めません。

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2019/11/14

彼の教養の深さ、地元愛、情の大きさには頭が下がる。細やかな神経を持ち、自分を恥じ、相手を思いやる。言い続けたらキリがないほど、太宰治の温かい人間性が分かる作品。彼が今でもなお人に愛されている理由が分かった。 最初は細かく読んでいたが、途中から歴史の引用など少し飛ばしながら読む。...

彼の教養の深さ、地元愛、情の大きさには頭が下がる。細やかな神経を持ち、自分を恥じ、相手を思いやる。言い続けたらキリがないほど、太宰治の温かい人間性が分かる作品。彼が今でもなお人に愛されている理由が分かった。 最初は細かく読んでいたが、途中から歴史の引用など少し飛ばしながら読む。言葉が古く難しくて読みづらいところもあるが、なかなか良い小説だと思う。有名で評価も高い「人間失格」より、この「津軽」のほうが断然良かった。最後のほうにとっておいた「たけ」との再会。情景が浮かんでくるようだった。

Posted byブクログ

2019/11/05

声に出して笑いながら涙が出てくる、みたいな話。 一見紀行文のような私小説でありながら、普遍的なものも感じさせる。 人間失格より前に読んでいたら、太宰治のイメージは今よりもっと違ったかもしれない。 読後はなぜかすっきり。

Posted byブクログ

2019/10/30

10/23は津軽弁の日 生まれ育った土地から遠く離れて暮らしていた太宰治の、 津軽への3週間の旅をつづった紀行文。『津軽』。

Posted byブクログ

2019/10/29

太宰治の小説でも『津軽』は読んだことがありませんでした。 「金木は小石川、五所川原は浅草」と説明する彼。 そうなのでしょうか。五所川原はともかく、金木はずいぶん大きく語られている気がしますが。 東京から自分の故郷に里帰りするように津軽半島をめぐった時の様子が語られます。 かつ...

太宰治の小説でも『津軽』は読んだことがありませんでした。 「金木は小石川、五所川原は浅草」と説明する彼。 そうなのでしょうか。五所川原はともかく、金木はずいぶん大きく語られている気がしますが。 東京から自分の故郷に里帰りするように津軽半島をめぐった時の様子が語られます。 かつて「ここは、本州の極地である。この部落を過ぎて路はない。あとは海にころげ落ちるばかりだ。」 という一文を知り、竜飛岬へ行こうと思い立ったことがありました。 そこまで人を動かす力を持つ文。 「津軽では、梅、桃、桜、林檎、梨、すもも、一度にこの頃、花が咲くのである。」 とても美しい一文。 遅い津軽の春の訪れは、それほどに華やかで恵まれたものなのですね。 一度見てみたいものです。 津軽を語る文章はとても美しいのですが、津軽の地を訪れた太宰は、現地の知人と会っては、お酒の接待を受け、とにかく飲みまくっています。 そのこともまた包み隠さずに語られています。 そうした里帰り的意味合いの強い津軽半島訪問記は、ずっと音信不通だった著者の乳母と再会したところで終了します。 「さらば読者よ、命あらばまた他日。元気で行こう。絶望するな。」 最後の文章が印象的。こんなに力強い言葉を読者に残してくれながら、自ら命を絶った太宰。 その奥深さには、まだまだたどり着けていないようです。

Posted byブクログ