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猫と庄造と二人のおんな の商品レビュー

4.1

133件のお客様レビュー

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    40

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2011/10/06

猫への愛情に振り回される男とふたりのおんなの物語.品子が最初は嫌っていたはずのリリーにのめり込んでいく心理描写が絶妙.この小説,私には滑稽であることより,いささか歪んだ形の愛情を,猫に対してしか注ぎ得ない庄造の悲劇であるように思える.もちろんそれははたから見れば喜劇的色彩をおびざ...

猫への愛情に振り回される男とふたりのおんなの物語.品子が最初は嫌っていたはずのリリーにのめり込んでいく心理描写が絶妙.この小説,私には滑稽であることより,いささか歪んだ形の愛情を,猫に対してしか注ぎ得ない庄造の悲劇であるように思える.もちろんそれははたから見れば喜劇的色彩をおびざるを得ないのだけど. この「猫」をほかの趣味あるいは仕事などに置き換えれば,それほど特殊な話をしているわけでもないのかもしれない.

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2011/09/28

猫をめぐる男と女ふたりの人間模様。 猫への愛情、度が過ぎるとどうなるか。 女は面倒な生きもの。 面倒くさくパッとしない自分に、ほんの少しでもリリーのように虜にする魅力があったなら。

Posted byブクログ

2011/09/21

ねこだましいで紹介されていたので読んでみました。面白かったです。 出てくる登場人物がそれぞれ色々な思惑を胸に画策を行う訳ですがそんな中確かに猫だけは悠然と構え、一番自分を大事にしてくれそうな人の所でくつろいでいる。確かにお猫様が一番ヒエラルキーの上に君臨していてその下で人間が...

ねこだましいで紹介されていたので読んでみました。面白かったです。 出てくる登場人物がそれぞれ色々な思惑を胸に画策を行う訳ですがそんな中確かに猫だけは悠然と構え、一番自分を大事にしてくれそうな人の所でくつろいでいる。確かにお猫様が一番ヒエラルキーの上に君臨していてその下で人間が何かオロオロしているのがおかしくもあり、一抹のかなしさを感じさせたりします。 結局リリーには自分の使う座布団より綿の厚い布団を2枚もあてがってあげたり、滋養のつくものを食べさせてあげたり、といった描写に猫好きだったと言う作者の姿をちらと垣間見た気がしました。

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2013/03/26

猫賛歌の小説。(笑)人間が愛情を捧げる心理を、愛猫を中心に巧みに表現した短編作品です。 ダメ男が最も愛情を傾ける猫リリーを頂点に、新旧妻のおんな二人(いや母親も入れると三人か)の駆け引きを緻密に表現されており、また、ダメ男庄造の溺愛と憔悴ぶりがきれいに対比されていて、それが面白か...

猫賛歌の小説。(笑)人間が愛情を捧げる心理を、愛猫を中心に巧みに表現した短編作品です。 ダメ男が最も愛情を傾ける猫リリーを頂点に、新旧妻のおんな二人(いや母親も入れると三人か)の駆け引きを緻密に表現されており、また、ダメ男庄造の溺愛と憔悴ぶりがきれいに対比されていて、それが面白かった。僕なんかがこんな心理もあるだろうと予測することが、それ以上に次から次へと展開されるので、これはかなり心情が吟味されてあるのだろう。 解説によると谷崎文学の根底にある、(リリーへの)「隷属の幸福」を拒まれた男の破滅を描いたということであるが、心理描写が巧み過ぎるせいか理屈が先行し少し説教臭さのある文章になっている半面、関西弁の穏やかさと日本語表現がきれいなので、気軽に楽しみながらすらすら読めます。また、自分にはよくわかりませんが、猫好きな方にはたまらないのではないでしょうか。(笑) ラストはかなり余韻が残るのですが、余韻が残り過ぎて結末としては物足りなさも感じてしまい、逆に忘れられないラストになりました。この後の展開がまた気になるところです。

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2011/08/29

猫に3人とも振り回されていて、 多分リリーは何とも思っていないんだろう ところが面白かった。 へたれ。

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2011/07/24

猫を媒介にして、とある夫婦の形を浮き上がらせる。 その姿は悲哀に満ちていて、滑稽な感じもする。よくまとまった小説、という印象だ。品子や福子の心理が丁寧に語られていくところなど、なかなか読みごたえがある。何か試しに物語を作る、といったことをするときにはこういうものを参考にするといい...

猫を媒介にして、とある夫婦の形を浮き上がらせる。 その姿は悲哀に満ちていて、滑稽な感じもする。よくまとまった小説、という印象だ。品子や福子の心理が丁寧に語られていくところなど、なかなか読みごたえがある。何か試しに物語を作る、といったことをするときにはこういうものを参考にするといいのではないかと思った。

Posted byブクログ

2011/07/21

 題名が主従関係を表わしている。つまり猫がトップ。猫をまるで悪女のように描くところがおもしろい。猫を溺愛する男をめぐり、二人の女があれやこれやとする。とにかく滑稽な関係。ユーモラスだけど、猫の気まぐれさに惹かれてしまう気持ちがわかる。人間は追いかけたくなる生き物なのかな。

Posted byブクログ

2011/04/24

中学の時、国語の模試の問題文で読んだことがきっかけ。 なんて面白いんだろうと、出典名を覚えて帰った。 時が立ち、大学の時に、古本屋で購入。 ドロドロした話だが、猫が入っているので、少々コミカルな印象も。切なくなりたいとき、おすすめ。

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2010/12/05

タイトルの、猫→庄造→二人のおんなという順番が、もうこの物語の全容を表していると言ってもいい。猫が非常に魅力的。一番えらいのである。庄造はどうしようもないし、前妻と後妻なんかは最早2人の『おんな』でしかない。大変モヤモヤしてドロドロした話だけど、うまくたちまわる猫の傍で、ガチャガ...

タイトルの、猫→庄造→二人のおんなという順番が、もうこの物語の全容を表していると言ってもいい。猫が非常に魅力的。一番えらいのである。庄造はどうしようもないし、前妻と後妻なんかは最早2人の『おんな』でしかない。大変モヤモヤしてドロドロした話だけど、うまくたちまわる猫の傍で、ガチャガチャやってる人間たちが本当に人間くさくて滑稽で面白い。

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2010/09/29

谷崎作品の中でも「人間らしさ」を描いたものとしては一番じゃないかと思う。 素晴らしいのは終わり方。一見唐突とも思える終わりだけれど、それだけに鮮烈。「あー結局そうなのか」「人間ってどうしようもないな」って作品中の人物を客観的に、冷静に「どうしようもない」と思う一方で、自分の中で...

谷崎作品の中でも「人間らしさ」を描いたものとしては一番じゃないかと思う。 素晴らしいのは終わり方。一見唐突とも思える終わりだけれど、それだけに鮮烈。「あー結局そうなのか」「人間ってどうしようもないな」って作品中の人物を客観的に、冷静に「どうしようもない」と思う一方で、自分の中で心当たりのある部分は必ずあって、表向きにはあまり出さないエゴ、人間の性をさらけ出されたようでどきっとする。

Posted byブクログ