生物と無生物のあいだ の商品レビュー
【科学も物語で溢れている】 生物学の本でありながら、研究室に向かうまでのアメリカの街の風景や、ノーベル賞受賞者のアイデア発見に至るまでのエピソードが詰め込まれている。普通なら概念だけをさらっと説明して終わってしまうものだが、この本は物語が詰まっており、ある種の短編集といっても良...
【科学も物語で溢れている】 生物学の本でありながら、研究室に向かうまでのアメリカの街の風景や、ノーベル賞受賞者のアイデア発見に至るまでのエピソードが詰め込まれている。普通なら概念だけをさらっと説明して終わってしまうものだが、この本は物語が詰まっており、ある種の短編集といっても良いと思う。 現実世界や研究者の視点を行き来できて読みやすく、感情移入もできて楽しい。 「人間とは何か」という哲学的にも語られることが多いテーマを、一歩引いた「生き物とは何か」という視点で、「どういう状態・現象か」というところまで俯瞰して徹底的に科学でにじり寄る物語たちは必見である。
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私には難しかった… 秩序は守られるために絶え間なく壊されなければならない。 この言葉はとても印象的
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プロローグで触れられた「パーツ自体のダイナミックな流れ」「動的平衡」に迫っていく後半から、一気に面白くなった。 一般大衆向けの例え話がとっても分かり易いし、大事なところは様々に言い換えながら繰り返してくれるから、生物初心者でも大丈夫。 日々の食事って、大事なんだな…と改めて思わ...
プロローグで触れられた「パーツ自体のダイナミックな流れ」「動的平衡」に迫っていく後半から、一気に面白くなった。 一般大衆向けの例え話がとっても分かり易いし、大事なところは様々に言い換えながら繰り返してくれるから、生物初心者でも大丈夫。 日々の食事って、大事なんだな…と改めて思わされた。
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生命とは動的平衡状態にある流れである。実在論から見た生命論。時間を先回りすることが生命の本質であり、その意味では、生物は時間を生み出している。
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ようやく読み終える。読書は一気呵成にいかないと読みを再開する度に「前回までのあらすじ」なみのレビューが必要になる。文章が簡潔なのに綺麗,というイメージを持った。ごちゃごちゃしていない,頭の良さといったもの。著者自身の研究者としての歴史を軸に,動的平衡やタンパク質の話を展開する。動...
ようやく読み終える。読書は一気呵成にいかないと読みを再開する度に「前回までのあらすじ」なみのレビューが必要になる。文章が簡潔なのに綺麗,というイメージを持った。ごちゃごちゃしていない,頭の良さといったもの。著者自身の研究者としての歴史を軸に,動的平衡やタンパク質の話を展開する。動的平衡と相補性というキーワードに今,遭遇したことが何か自分にとって意味がある気がした。
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研究者の生活がよくわかる。 生物とは何か。 遺伝子の話。 作者の経験、歴史の出来事を、実話でありながら物語のように書かれている。 大変読みやすく面白い。 論理的で優しい言葉でできているのも素晴らしい。 ーーー この先、本を読みながらぼんやり思ったこと 一番気になったのは、ロザリンド・フランクリン。 自分の研究だけに目を向け、研究に真摯に向き合い生涯を終える。 彼女の研究を見てしまった人が第一発見者で名誉を得る。 ほとんどの人が一番になりたいと思うのか。 もし、研究の途中経過も公開し、誰でも見て続きを研究できたら、誰がではなく、研究そのものが進むだろう。 競わないから停滞するか、興味だけで追求できるのか。 興味で追求できる人が研究者だと思う。 初めの方に出て来た、死んだ鳥症候群。 日本から逃げ出そう。そう思う若者の流出を避ける為、日本の研究室の在り方が変わっていってくれると嬉しい。 そして、エピローグが印象的だった。 自然に敵わない謙虚な気持ちを大切にして生きたいと思った。
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ウイルスは生殖の器官を持たないが、生物と呼べるだろうか。そんな問いからはじまり、DNAの発見やタンパク質のふるまいを通じて生物の定義を考えていく。
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まず前半のDNAの正体に迫る生物学者たちのパートが面白い。野口英世の世界的評価の低さやフランクリンの業績など知らないことばかり。 そして示された生物が「自己複製機能を持つもの」という定義の上で、シュレディンガーの「負のエントロピー」、シェーンハーマンの「動的平衡」という概念に近づいていく。 そして、DNAが欠損しても正常に生涯を終えるマウスにつながっていく。 結局、自然法則の美しき秩序は、生命の神秘を示しているようで、機械論的自然観、仏教の諸法無我を裏付けている。
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ロックフェラー大学 野口英世の時代、ウイルスの存在を知らない。 細胞に寄生し複製する。 サンプルの完全な純化は不可能。「ふるまい」を調べる。 DNA(情報)4種の文字3つで 4*4*4 タンパク質(作用)の30種の文字 生命とは自己修復を行うシステム DNA二重らせん構造 ...
ロックフェラー大学 野口英世の時代、ウイルスの存在を知らない。 細胞に寄生し複製する。 サンプルの完全な純化は不可能。「ふるまい」を調べる。 DNA(情報)4種の文字3つで 4*4*4 タンパク質(作用)の30種の文字 生命とは自己修復を行うシステム DNA二重らせん構造 =対 1962年ノーベル賞 チャンスは準備された心(理論)に降り立つ 共犯者:ワトソン、クリック、ウイルキンズ、 ぺルーツ(タンパク質構造解析;データ提供 フランクリン) =ピアレビュー 同業者による論文審査 1論文3名程度 原子の平均的なふるまい 平方根の法則 100のうち10の誤差(平均を外れる) 精度は数が増すほど増大する 生物は大きい必要がある 100万で1000=0.1% 精度=秩序を生むための 生命の動的平衡 絶え間なく壊される秩序 「柔らかな」相補性 ジグソーパズル 相補性 絵柄は本質的には必要ない 周囲の8つのピースで(形を上下左右、角の4つで相対的位置)決まる ドミナント・ネガティブ(優位に害作用) 分子全体の欠落があっても適応可能な場合があるが 部分的な欠落は 時間軸の中で、より害を与える。 細胞生物学 ←トポロジー=ものごとを立体的に考えるセンス マンハッタンの振動 摩天楼の基礎杭から地下の岩盤に伝わり、地上全体に放散
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生物を生物たらしめる動的平衡という概念は文系の私には新鮮。また、実験から理論を導く際のプロセスの記述も生々しい。恐ろしいほど緻密に積み上げるところは見習うべきと感じた。
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