たぶん最後の御挨拶 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
「あとがき」を見ますと、1985年に江戸川乱歩賞を受賞(初受賞)した直後から、ちらほらとエッセイの依頼が舞い込むようになり、小説家というものはエッセイを書くものだと思い込み、自伝もどきを書いたり、趣味について語ってきたりしたのですが、しかしある時、自分のエッセイ集を眺めていて、ふとこんなものを読んで楽しいのかと疑問を持ったそうです。 そして、エッセイを書くことに違和感を覚え、最近はエッセイの依頼を特殊な事情がない限り断っているということなので、このタイトルにしたそうです。 本人曰く「私はエッセイが得意ではありません。これまでの受賞はフィクション小説で、受賞したこととエッセイを書く能力とは無関係なのです。エッセイを依頼されるたびに頭を捻り、脂汗を流すことになります。そもそも私はストレートに言葉にするのが下手なのです。表現したいことは、頭の中でもやもやと漂っており、それを人に伝える方法として、小説を選んだのです」 ということなので、最後のエッセイ(2006年)をじっくり読んでみました。確かに部分的には面白いものもあるのですが、小説と比べると、やはり小説に軍配があがります。 面白い例として、こんなエピソードがありました。「あの頃ぼくらはアホでした」で中学の頃の話を書いた処、母親がそれを読んで「男の子なんか、なんぼ厳しく育てようと思ても無駄や、親の見てへんとこで何してるかわからへん。『あの頃ぼくらはアホでした』を読んで、ようわかったわ」と、言ったそうです。大阪にいるお母さんの気持ちがよくわかる気がします。良いお母さんだと思います。
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作家さんの書く文章はどうしてこんなに面白いのだろう。特別な表現や出来事を書いてるわけじゃない、何気ない日常なのに引き込まれて読んでしまう。東野圭吾さんでもこんなに苦労する作家の世界。厳しいからこそこんなに惹かれるのだろうか?今後もいい作品楽しみにしています。
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「東野圭吾」のエッセイ集『たぶん最後の御挨拶』を読みました。 『人魚の眠る家』に続き「東野圭吾」作品です。 -----story------------- この1冊で「東野圭吾」のすべてがわかる! 『放課後』で乱歩賞を受賞、順風満帆な作家生活が始まるはずだった??。 『秘密』で...
「東野圭吾」のエッセイ集『たぶん最後の御挨拶』を読みました。 『人魚の眠る家』に続き「東野圭吾」作品です。 -----story------------- この1冊で「東野圭吾」のすべてがわかる! 『放課後』で乱歩賞を受賞、順風満帆な作家生活が始まるはずだった??。 『秘密』でブレイクするまで10年、直木賞受賞まで20年の日々 打たれ弱かったら作家になんかなってない。 下手なエッセイ書く暇あるなら、もっと小説書かんかい! 文学賞落選記録15回! ― 「押し続けていれば壁はいつか動く」と信じ続けた20年の日々。 ----------------------- 「東野圭吾」のエッセイは2012年12月に読んだ『ちゃれんじ?』以来なので、約4年振りですね。 ■Ⅰ 年譜 ■Ⅱ 自作解説 ■Ⅲ 映画化など ■Ⅳ 思い出 ■Ⅴ 好きなもの ■Ⅵ スポーツ ■Ⅶ 作家の日々 ■たぶん最後の御挨拶―あとがき デビューから本書が発行された2007年(平成19年)頃までの心境や本人よる作品解説等が中心に描かれているエッセイです。 1985年(昭和60年)に乱歩賞を受賞し、順調な作家生活が始まると思われたが、、、 何度も何度も文学賞の候補になりつつ落選という不遇の時代が続き、その緊迫感に押されながらも、10年の歳月を経てやっと『秘密』で大ブレイクし、20年の歳月を経て6回目の候補で直木賞を受賞… という長く辛い日々を、大阪人ならではの苦境を笑いとばす姿勢で、明るく愉しい文体で綴ってあり、読んでいると勇気や元気をもらえるような一冊でしたね。 タイトルのとおり、エッセイ集としては本作品がたぶん最後で、これからは小説の執筆に専念… とされていますが、、、 本当に最後だと断言していないので、わかんないですね… 本人はエッセイは苦手と断言してますが、読んでいると面白いんですよねぇ。 個人的には、小説もエッセイも読みたいんだけどなぁ。
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東野さんのエッセイ。乱歩賞受賞からの売れない日々などを振り返ったりしてる。作品に対しての思い入れなど。結構意外な一面を垣間見た感じ。
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どの程度、東野圭吾に触れ合ったかを試される本 この本を読むタイミングにより読者からの評価は割れる。というのも、ある程度この本の中には著作の解釈が記載されているからである。 ただ解釈以外にも本には、本人らしさも表現されていて、読んでいると面白い。 やっぱりなーというと...
どの程度、東野圭吾に触れ合ったかを試される本 この本を読むタイミングにより読者からの評価は割れる。というのも、ある程度この本の中には著作の解釈が記載されているからである。 ただ解釈以外にも本には、本人らしさも表現されていて、読んでいると面白い。 やっぱりなーというところもあるが、そこは読者により感じる場所は異なるだろう。 東野先生、エッセーはもう出さないんですよね?確認しましたよ? 読書の主体はやはり読者である。
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東野圭吾はクールで物静かなイメージがあったが真逆で陽気でユーモアのある関西人という印象に変わった。サラリーマンから専業小説家になる過程も詳しく書いてあり自伝としては面白かった。エッセイの内容としては面白みに少しかける感じで好みではなかった。これでエッセイは最後だと述べていたがこの...
東野圭吾はクールで物静かなイメージがあったが真逆で陽気でユーモアのある関西人という印象に変わった。サラリーマンから専業小説家になる過程も詳しく書いてあり自伝としては面白かった。エッセイの内容としては面白みに少しかける感じで好みではなかった。これでエッセイは最後だと述べていたがこの人は確かにエッセイ向きでないのだろう。
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面白かった。東野さんのエッセイも十分面白いと思う。でも撤退するという本人の考えが知れてよかった。直木賞受賞のときの心情が書かれてて胸が熱くなった。
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東野圭吾さんラストのエッセイ エッセイも十分面白いけど書くのやめたことによってあれだけの素晴らしいミステリー作品が生まれたならそれはしょうがないなと思う ミュージシャンが伝えたいことは全部歌にしてるみたいな感じがしてかっこいいよね
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作家自身の作品についての随筆集。 こんなに書いているのかとあらためて思いました。 それを読みながら、数冊の本をまた古書で注文しました。 直木賞の作品も読んでなかった・・・ 今後の読む本が増えました。
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東野圭吾著作は何作か読んだけど、どちらかというと当たり外れが多い作家だと思うので、「東野圭吾"だから"面白い」のようなメディアの宣伝の仕方には疑問があった。一方で彼の人柄については、テレビに出たこともあるんだ、と今回知ったくらいで、そういう意味ではちょっと偏見...
東野圭吾著作は何作か読んだけど、どちらかというと当たり外れが多い作家だと思うので、「東野圭吾"だから"面白い」のようなメディアの宣伝の仕方には疑問があった。一方で彼の人柄については、テレビに出たこともあるんだ、と今回知ったくらいで、そういう意味ではちょっと偏見もあって本著を読み始めたかもしれない。 初期のころの「これくらい売れる、そうしたら…」という考え方は森博嗣を思い出させて(思考は森氏のほうがドライで客観的はあるけど)、でもその試算が外れて「これはうまくいかなかった」と言い訳なく顧みているところは、なまじ売れっ子だと盛り上げられているからこその見栄や虚勢はない、素直な人なんだなあと思った。感情の起伏の少ないツンとしたタイプでも、強いこだわりを持ったタイプでもない、それこそ一般企業に勤めていそうな「フツー」の人で、周りがワーッと囃し立てるのにも嬉しい反面若干引いてそうな人柄が嫌いじゃないなと感じた。
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