たぶん最後の御挨拶 の商品レビュー
気をつけなければいけないことが一つだけある。決して話が長くならないことだ。重要なことは、理解させることではない。理解した、と思い込ませることである。 実際国語は全く苦手だった。おまけに大嫌いだった。嫌いだから苦手なのか、苦手だから嫌いなのかもわからないほど苦手だった。 で、それ...
気をつけなければいけないことが一つだけある。決して話が長くならないことだ。重要なことは、理解させることではない。理解した、と思い込ませることである。 実際国語は全く苦手だった。おまけに大嫌いだった。嫌いだから苦手なのか、苦手だから嫌いなのかもわからないほど苦手だった。 で、それに対して理系科目は、やっぱり自分としては得意なつもりだった。 会社のことでどうしても納得できないことがあり、悩んだ末に一つの結論を出していた。私は会社での仕事や、それにまつわる不可解で理不尽としか思えない事情を長々と話した。 「こんなことをするために俺は大学を出たんやない。この会社に入ったわけでもない。もう嫌になった。辞めるからな」 あの時に辞めなくて本当によかったと思っている。今もたまに、あの声を聞きたくなる。あの声を聞くと、大抵のことは大したことではないと思えるからだ。 たとえ五年間でもサラリーマンを体験したことは、今の私の最大の財産であり、武器だと思っている。私は五年間、特殊なカルチャースクールに通っていたのだ、と考えることにしている。 小説のネタのことだけをいっているのではない。私は多くのことを、あの巨大な組織の中に身を置くことで学んだ。 気が合っているわけでもなく、共通の趣味や楽しみがあるわけでもない複数の人間たちと、毎日のように顔を合わせ、協力し合って仕事をこなしていくという日常は、 人間関係と社会生活というタイトルでレポートを書けるほどの知恵を私に授けてくれた。 以前、某出版社の某部署で、私の電話での話しぶりがあまりに丁寧なので話題になったことがあったが、それは明らかにこの時代の名残である。 仮に大学を出て、定職につくことなく作家になっていたなら、「電話での言葉遣いも知らない幼稚なやつ」とさげすまれていたことだろう。 新人諸君。どうか会社で多くのものを学んでください。たぶんそこには、一生かかっても学びきれないほどの教材が転がっています。しかもこのカルチャースクールは、 お金がもらえるんだから最高じゃないですか。
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東野さんのファンである僕にしては今までの作品を振り返ることもできたしそれぞれの作品に対する作者の思いとか自分の作品が映像化されることに対する考えとかを知ることができてとても面白かった。 最後と言わんとまたたまにはこんな本も書いて欲しいですねー
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東野圭吾のエッセイ。放課後で江戸川乱歩賞受賞。10万部入れたが、次のヒットまで10年以上かかった。 最初のサイン会は知り合いが列を作り大盛況。翌日、開催したら閑古どり。サインしたのは子供一人。売れない時代が続く。 番組で一緒だった黒川博之とリハーサルからビールをがぶ飲み。お奨めは...
東野圭吾のエッセイ。放課後で江戸川乱歩賞受賞。10万部入れたが、次のヒットまで10年以上かかった。 最初のサイン会は知り合いが列を作り大盛況。翌日、開催したら閑古どり。サインしたのは子供一人。売れない時代が続く。 番組で一緒だった黒川博之とリハーサルからビールをがぶ飲み。お奨めは、切断、封印、厄病神、国境。奥さんの雅子さんには放課後と魔球の単行本の 表紙を書いてもらう。 真保の受賞の引き立て役だった。全く売れなかったが、映画化はされた。主演女優に会うたびに 美しさと顔の小ささに驚く。男優は画面で見るのと同じ。藤木直人は毛穴がなかった。広末と臨席したインタビュー。早大のことでの質問は禁止。 聞かれたら、それは「秘密」と答える。講演する大学教授役で出演。g@maでは、北陽と雑談するクイズ番組出演者役。 萩原智子は、母の義兄の弟の孫。ハギトモの母から作家東野圭吾の親戚と名乗っていいか電話はきた。本のことで相談された時が初対面。 ガメラ映画の監督に後書きを依頼。それが縁で真保を誘って撮影所を見学。ハワイトアウトのせいで真保は大歓迎。 天空の蜂は、3年かかりの大作。もんじゅ事故が起きたが評論家から無視された。吉川英治賞の候補になったが真保が受賞。二次会で合流し挨拶を させられた。 理系出身でエンジニアとして会社が働いた経験のある作家は自分だけだ。
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エッセイ集。 小説もいいけどエッセイも好き。 小説家も大変な職業だなぁ〜って改めて思った。それにしてもやっぱり東野さんの才能ってすごいなぁ〜。しみじみ…です。
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<11月読了>東野さんの、最後のエッセイらしい。生育歴を淡々と綴ってるけどおもしろいよなぁ。また、「あの頃僕らはアホでした」を読みたくなる。それにしても、●●賞やら○○賞やらをこんなにも逃していたとは。売れている作家のイメージがすごくあるから、ちょっとびっくりした。劇団四季に寄稿...
<11月読了>東野さんの、最後のエッセイらしい。生育歴を淡々と綴ってるけどおもしろいよなぁ。また、「あの頃僕らはアホでした」を読みたくなる。それにしても、●●賞やら○○賞やらをこんなにも逃していたとは。売れている作家のイメージがすごくあるから、ちょっとびっくりした。劇団四季に寄稿しているのも、うれしい。「オペラ座の怪人」パンフ、私持ってるんじゃないだろうか。
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まず、今まで、陽の目を見なかった作品が、けっこうあったのだという事に、苦労の程を知る事ができた。自信作だと思っても落選したり、そして、酷評を受ける作品だってある。勝手にタイトルを変えられたり、次の売れる作品が生まれるまでに、10年もあいてしまったりもする。改めて、作家は大変な仕事...
まず、今まで、陽の目を見なかった作品が、けっこうあったのだという事に、苦労の程を知る事ができた。自信作だと思っても落選したり、そして、酷評を受ける作品だってある。勝手にタイトルを変えられたり、次の売れる作品が生まれるまでに、10年もあいてしまったりもする。改めて、作家は大変な仕事なのだと認識させられた。好きなスターウォーズ、趣味のろくろの話では、身近に感じられる気がした。これが、最後のエッセイになるそうなので、読まれることをお勧めします。
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東野圭吾氏のエッセイ。 ほんのタイトルどおりエッセイはこれで最後という気持ちらしい。 エッセイを書くのが得意では無いし、その分、小説を書きたいという事らしい。 この本を読んで今までの東野氏の過ごしてきた年月だったり気持ちがわかった。 読みやすいエッセイ集です。
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2007.6.16読了。エッセイ。著者もおっしゃっているように、小説家は小説を書いて欲しい。真保裕一氏に対する複雑な気持だとか二人の仲は面白かった。森雅弘氏も結構好きだっただけど、今どうされているのでしょうか。
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タイトルからして面白いw 中身も面白いかった。一つ一つの作品に対するコメントとかもあったりしてイイ感じです。タイトルからわかるように、エッセイはこれで最後らしい。
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東野さんのエッセイはほんとうにおもしろいvV 最後のエッセイらしいです。 残念↓ 作家さん同士の交友関係もわかるよ(^ω^)
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