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悪童日記 の商品レビュー

4.3

116件のお客様レビュー

  1. 5つ

    56

  2. 4つ

    29

  3. 3つ

    18

  4. 2つ

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2016/12/01

初めましての作家さん。 第二次大戦下、魔女と呼ばれる祖母の元に疎開した双子。 子供が子供の理解力と自分たちが作り上げた基準の中で 祖母の意地悪に耐え、ひもじさに耐え、学び、知恵を身に着け 理不尽を受け入れ、愛情をそぎ落とし、冷静に観察し 自らを鍛え上げ麻痺させ非情に生き抜く様を ...

初めましての作家さん。 第二次大戦下、魔女と呼ばれる祖母の元に疎開した双子。 子供が子供の理解力と自分たちが作り上げた基準の中で 祖母の意地悪に耐え、ひもじさに耐え、学び、知恵を身に着け 理不尽を受け入れ、愛情をそぎ落とし、冷静に観察し 自らを鍛え上げ麻痺させ非情に生き抜く様を 余計な感情をそぎ落として淡々と綴られる。 これ3部作とのことですが、絶対に続編を読みたくなるよね? 絶対に全部読んでやる!!

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2016/06/17

新聞で映画の記事が載っていて、とても観に行きたかったけれど都合がつかなかったので、代わりにダメもとで原作を図書館で探したら公開書庫にあったので、ラッキーと読んでみた。  けれど、内容は全然ラッキーなんてものではなくて、不可思議な文体でなのに引き込まれて一気に読んでしまった。  綺...

新聞で映画の記事が載っていて、とても観に行きたかったけれど都合がつかなかったので、代わりにダメもとで原作を図書館で探したら公開書庫にあったので、ラッキーと読んでみた。  けれど、内容は全然ラッキーなんてものではなくて、不可思議な文体でなのに引き込まれて一気に読んでしまった。  綺麗事を言えば戦争が悪いんだろうけど、そんな状況下でもとことん自分を客観視して悪童として生きていけるのは、主人公が双子で、互いを自分の分身として見られるから、まさに客観的に捉えられるのかもしれない。  続編も読んでみたけれど、私的感想では本作だけで終えておいた方が胸糞悪い中でもまだ許せるかもしれない。

Posted byブクログ

2016/03/05

知り合いが、読み始めたら一気読みしたと言っていたけど、なるほど~。短い章が続いていてよみやすうえ、この内容なら引き付けられるのも分かる。 三部作なので、続編も読まなければ。

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2015/12/17

そんな素因があったから なるべくしてなったんだろう。 悪を 時代と環境のせいにはしては 安直すぎる、かな。 そうは書いてないけど そのへんの匂いがうっすらとしてしまう。 どうでしょう…

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2015/06/07

10年振りくらいの再読。5日間くらいで3冊よんだー。 この三部作も何年かおきに読みたくなって、そのたびに読んだカンジが変わっていく本。 舞台は多分第二次大戦中のハンガリー。 戦争によって逆境におかれた双子の少年達の物語……なんだけど、ちょっとまって、評価と感想は3冊読んでからに...

10年振りくらいの再読。5日間くらいで3冊よんだー。 この三部作も何年かおきに読みたくなって、そのたびに読んだカンジが変わっていく本。 舞台は多分第二次大戦中のハンガリー。 戦争によって逆境におかれた双子の少年達の物語……なんだけど、ちょっとまって、評価と感想は3冊読んでからにして! と強く申し上げます。 『悪童日記』『ふたりの証拠』『第三の嘘』。どうぞよろしく。

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2015/04/02

「髪に受けた愛撫だけは、捨てることができない。」 二人の子供は何もかも捨ててしまう。はじめは殴られた痛みを感じる体の弱さを。そして優しい言葉を感じる心の弱さを。 訓練された軍人のように何も感じず、冷酷に思考し、行動する。心を表現する言葉も「曖昧なもの」を切り捨て、事実だけを記録...

「髪に受けた愛撫だけは、捨てることができない。」 二人の子供は何もかも捨ててしまう。はじめは殴られた痛みを感じる体の弱さを。そして優しい言葉を感じる心の弱さを。 訓練された軍人のように何も感じず、冷酷に思考し、行動する。心を表現する言葉も「曖昧なもの」を切り捨て、事実だけを記録し、伝達する手段として使用する。 ...戦時下で生きるために。 乞食の訓練で受けた施しを二人は捨ててしまうが、「何も与えるものがないから」といって髪を撫でてもらった「事実」と、それを捨てることはできないという「事実」を記録する。そのことをどう思ったかは記録しない。 どう思ったのだろうか。素直に嬉しかったのか、それとも「心を動かされた」ことを疎ましく感じたのか。何も感じなければ書き残す必要もない一文があることで、読み手の想像力がかきたてられる。 ...「感情のない双子」から連想される作品として、Monsterのヨハンとアンナや、ブラックラグーンのヘンゼルとグレーテルがあげられていたが、自分はベルセルクのセルピコ(とファルネーゼ。双子ではないが)が浮かんだ。

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2015/02/27

Kさんのお勧め。 一応ミステリーでもあるらしいですよ、と言われたが、 今のところミステリーかどうかはよくわからない。 2巻、3巻と続くからだろうか。 不思議な感じの作品だった。 第二次世界大戦の戦中と戦後のハンガリーを舞台としているが、 ノンフィクションではなく、固有名詞もな...

Kさんのお勧め。 一応ミステリーでもあるらしいですよ、と言われたが、 今のところミステリーかどうかはよくわからない。 2巻、3巻と続くからだろうか。 不思議な感じの作品だった。 第二次世界大戦の戦中と戦後のハンガリーを舞台としているが、 ノンフィクションではなく、固有名詞もない。 むしろ、 残酷で悲惨でおぞましい内容にもかかわらず、 語り口が淡々としているためか、 主人公の少年たちの生き抜く力が強いためか、 乾ききったおとぎ話のような感覚に陥る。 それゆえ、最後の国境を超える方法は酷いものだが、 衝撃は受けない。 予想がついていた訳ではなく、 感覚が麻痺している状態というか。 この感情の麻痺、思考の停止が、 いつの間にか自分の中に起こってしまったことが 恐ろしかった。

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2015/02/14

読み始めたら、頁を繰る手が止まらなくなりました。 「面白い」というのとは違う、不思議な力に引き込まれ、半ば熱に浮かされるようにして読了しました。 最大級の賛辞を送ってもなお足りない、この作品にしかない(断じて!)固有の魅力を備えた小説です。 主人公は、物語の始まりの時点で9歳の双...

読み始めたら、頁を繰る手が止まらなくなりました。 「面白い」というのとは違う、不思議な力に引き込まれ、半ば熱に浮かされるようにして読了しました。 最大級の賛辞を送ってもなお足りない、この作品にしかない(断じて!)固有の魅力を備えた小説です。 主人公は、物語の始まりの時点で9歳の双子です。 ただ、無垢な子どもと思ってはいけません。 タイトル通り、とんでもない悪童なのです。 けんかをする、猫を枝に吊るす、煮立った湯の中に鼠を生きたまま投げ込む、大人を強請る、他人のセックスをのぞき見する、果ては放火や殺人までやってのけます。 しかし、彼らはただ単に「悪童」なのではありません。 実に過酷な環境に置かれています。 場所は明らかではありませんが、二人は〈大きな町〉から戦火を逃れ、母親に連れられて、〈小さな町〉の祖母の家にやって来ます。 母は〈小さな町〉へ引き返していきます。 これが冒頭の場面。 祖母は、吝嗇で意地悪で酷薄です。 二人をしばしば口汚く罵り、満足に物も食べさせず、着替えも与えず、風呂にも入れません。 いまだと十分に虐待と認定される行為でしょう。 しかし二人も負けていません。 屋根裏部屋に昇る梯子に密かに切込を入れて祖母を突き落すことで屋根裏部屋を確保し、床にのぞき穴を開けます。 祖母に内緒で家のすべての部屋の合鍵をつくり、どこでも自由に立ち入れるようにします。 後半で男にかくまってくれと頼まれた女の子を殺そうと画策する祖母には、暴力団もかくやの方法で脅迫し、断念させます。 うん、悪童です。 本書はその悪童の二人が自ら書いた「日記」の体裁をとります。 二人は、日記の始めのほうで、この日記には「真実しか書かない」ことを誓います。 誰々が「親切」とか、誰々のことを「好き」という言葉は、主観が交じるので徹底的に退けます。 ですから、全篇にわたって感傷は一切なし。 それどころか二人の感情さえも描かれません。 苛烈極まりない場面も、淡々と記述され、それが逆にある種の凄味となって読者の胸を鷲掴みにします。 本書は主語が一貫して「ぼくら」で語られます。 二人はまさに一心同体で、学校で離ればなれになるのも、実に手の込んだやり方で阻止します。 その二人が最後、離れ離れになる印象的なシーンで本書は幕を閉じます。 もちろん、ここも淡泊、まるで読者を突き放すような素っ気ない描写です。 ただ、私は大いに感動しました。 実に実に実に実に実にいい小説です。 ここまで書いたら、作者のプロフィールにも触れなければなりますまい。 アゴタ・クリストフ(1935~2011)は、ハンガリー生まれ。1956年のハンガリー動乱の時に西側に亡命、スイスに定住します。 86年に初めて書いた本書「悪童日記」がフランスの出版社から刊行され一躍脚光を浴びます。 さらに、本書の続篇である「ふたりの証拠」「第三の嘘」を刊行して作家としての地位を確立します。 実は、この続篇の「ふたりの証拠」と「第三の嘘」はいま、私の手元にあります。 もう続きが読みたくて読みたくて、昨日、岩見沢市立図書館で借りて来たのです。 至福。 あ、本書の存在は、最近読んだ池澤夏樹さんの「現代世界の十大小説」(NHK出版新書450)で知りました。 こんな素晴らしい小説のことを教えてくれた池澤さんにも深く深く感謝します。

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2015/01/08

再読。 あの時の衝撃は全く感じなくて、ただ、『ブリキの太鼓』に似た感触だった。 正月夫の実家で夫の蔵書から持ってきてもらったんだけど、「三部作だったよね」と夫が持ってきたのが今確認したら『悪童日記』『昨日』『第三の嘘』だった衝撃…泣きたい。

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2014/11/15

“「ぼくたちには、懺悔することなんて何もありません」 「お前たち、それは間違っているよ。あのような犯罪はとても重くて、この先、引きずっていけるものではない。懺悔すれば、お前たちの胸の内も軽くなるというものだ。神様は、心から罪を悔いる者なら誰でも、お赦しくださるのだから」 ぼくらは...

“「ぼくたちには、懺悔することなんて何もありません」 「お前たち、それは間違っているよ。あのような犯罪はとても重くて、この先、引きずっていけるものではない。懺悔すれば、お前たちの胸の内も軽くなるというものだ。神様は、心から罪を悔いる者なら誰でも、お赦しくださるのだから」 ぼくらは言う。 「ぼくたち、何ひとつ悔いていません。悔いることなんか、何もないんです」”[P.174]

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