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文明崩壊(上) の商品レビュー

3.9

52件のお客様レビュー

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2023/11/23

「銃・病原菌・鉄」に続いて読了。読み始める前は、例えば「ローマ帝国の滅亡」のようなスケールの実例の考察かと勝手に想像していたが、本書で対象とされるのは現代のアメリカモンタナ州、西洋文明到達前のイースター島、1000年前のポリネシアの島々やネイティブアメリカン、マヤ文明、北大西洋の...

「銃・病原菌・鉄」に続いて読了。読み始める前は、例えば「ローマ帝国の滅亡」のようなスケールの実例の考察かと勝手に想像していたが、本書で対象とされるのは現代のアメリカモンタナ州、西洋文明到達前のイースター島、1000年前のポリネシアの島々やネイティブアメリカン、マヤ文明、北大西洋のヴァイキング植民地等もっと限定された社会の盛衰の歴史だ。 みずからの環境破壊、気候の変動、他社会との敵対関係/友好的な交易関係、文化的な姿勢の5つが滅亡に至る要因としてそれぞれの文明を分析、考察している。年代も規模も文化水準も様々だが、それぞれが現代のグローバル世界の縮図として描かれる。人口増加により期せずして脆弱な自然環境を破壊し滅亡にまで至ってしまう過酷さは、温暖湿潤、自然の恵み豊かな日本に住む我々の想像を超えているが、誰にも知られずにひっそりと滅亡していった文明の数々を現代に甦らせるロマンがある。 そして、西洋化された価値観では測れない精神世界が確かに存在していたという事実。例えば、第三世界の多くで人肉食が存在していたそうだが、食べるという行為は文明化されていない土着の世界では娯楽や嗜好ではなくもっと神聖なものだったはずで非文化的とか野蛮だとか断罪してしまうのはやはり違和感がある。 学者ならではの専門性、緻密さ、想像力で大変読み応えがある名著。相変わらず同じ記述が何度も出てきて冗長になるのはご愛敬。 下巻に続く。

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2023/09/07

2010初読。 2020/4再読。 原書の刊行が’05年なので、本書で度々述べられていた、世界が持続可能な社会への道筋を見つけるか、資源を消費し尽して社会崩壊へ至るかの分かれ目の数十年の、下手すりゃ半分が経過してしまった事になる。中国は形振り構わぬ大量消費社会となり、アメリカを始...

2010初読。 2020/4再読。 原書の刊行が’05年なので、本書で度々述べられていた、世界が持続可能な社会への道筋を見つけるか、資源を消費し尽して社会崩壊へ至るかの分かれ目の数十年の、下手すりゃ半分が経過してしまった事になる。中国は形振り構わぬ大量消費社会となり、アメリカを始めとする自国第一主義の風潮が、新型コロナウイルス肺炎のパンデミックの影響で更に広がっているような時期での再読であった。

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2022/02/05

 その土地でまかなえるカロリーの限度があること。森林資源の限度。  限度を超えた時の、反応方法。トップダウンで逃れる。ボトムアップする。 環境破壊 気候変動 近隣の敵対集団 友好的な取引相手 環境問題への社会の適応

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2021/09/03
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※このレビューにはネタバレを含みます

 イースター島やマヤ文明も、そして現代のルワンダの大量虐殺も、基本は、人が、森を切り開いて食物を作り人口を増やし、同時にそこの土壌を流出させ数十年後には再生不可能になって食糧不足になって、食料の取り合いで殺し合って自滅するというパターンをとっている。崩壊は時間がかかるので、人は見ぬふりをして自滅する。当然、現代は環境を破壊する科学技術も桁外れだし、地球規模での崩壊が起こっても不思議ではない、いや起こりつつある。

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2021/07/04

ダイアモンド氏2巻目。 人類史における文明の崩壊について、どの様な原因があったのか多面的に考察されている。 崩壊には5つの要因があり、環境被害、気候変動、近隣の敵対集団、友好的な取引相手、環境問題への社会の対応だと言う。 上巻では現代のモンタナ、イースター島、ビトケアン諸島、アナ...

ダイアモンド氏2巻目。 人類史における文明の崩壊について、どの様な原因があったのか多面的に考察されている。 崩壊には5つの要因があり、環境被害、気候変動、近隣の敵対集団、友好的な取引相手、環境問題への社会の対応だと言う。 上巻では現代のモンタナ、イースター島、ビトケアン諸島、アナサジ遺跡、マヤ文明、グリーンランド領のバイキングが取り上げられているが、どの事例も漏れなく環境被害が要因の一つになっている。やはり人間が生活する事で自然に及ぼす影響が大きいのだろう。環境に気をつければ崩壊を免れた可能性が高い。

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2021/02/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ジャレドさんの2冊目。この本ではかつて文明があった地域がなぜ崩壊してしまったのかについていくつかの事例をもとに考察を重ねていくものです。 まず、はじめは作者が住んでいたアメリカモンタナ州。もともとは自然が豊かで素晴らしい環境にあった。でも、鉱業会社が銅山を採掘する事業を進め、ずさんな運営により環境をこれでもかというほどに破壊した。水や土の中に有毒な物質がどんどん流れ込み、下流の水は飲むことができなくなった。また、豊かな森林は人々の生活に必要な木材や紙として次々に伐採されていき、大木は姿を消していった。その場に植えられた苗木は成長途上で山火事(雷などが原因)にあうと、すべて焼き尽くされてしまう。で、木々は育たず山は荒れたまま。 次はイースター島。いまやあの大きな石像のほかには何もない寂寥とした空間だが、かつては緑もあり、農業が行われ12もの首長がそれぞれの領地を治めていたという。でも、木材として木々を伐採していった結果、林は再生せず、最終的に木材は無くなった。木材がなくなると、海へ出るカヌーも作れず摂取するたんぱく源は島にいる鳥や海辺の貝。でもそれも取りつくして無くなった。最後は亡くなった人を食べたりする、人肉食へと堕ちていった。なぜイースター島の人々は木々をすべて切り倒してしまうというような暴挙をしてしまったのだろう。それには、イースター島の自然環境の影響がある。植物の成長率と実生の定着率が悪かったのだ。乾燥していて低温な荒れ地だからだ。それから、近くに人の住む島がなく孤立していたことも影響した。 あとはマヤ文明。文字や大きな遺跡もあり高度な文明を有していたマヤ文明だが、ヨーロッパ人がそこへ到着したとき、すでに誰も住んでおらず廃墟と化していた。文明が発展して人口が増える。その人口を支えるためだけの資源が無くなったと考えている。そこには強烈な干ばつなどの自然現象による影響もある。 他にもいくつかの事例が書かれている。いずれも自然環境の崩壊が文明の崩壊につながっている。しかも高度な文明の人たちは現代の人々に比較にならないほど自然についての知識があったにもかかわらず根絶やしにしてしまった。自然の変化は1日、1か月、1年。人の生きている40年~50年の間はそれほど変わったようには思えなかったのかもしれない。でも、100年、200年経つとき、その変化はリカバリーできないほど大きなものになっていて、手の施しようが無かったのかもしれない。これは、何も大昔の出来事だけではなく、現代も十分に起こりうる。というか、現代は人が生きている人生の中でどんどん自然が変化していることを目の当たりにしている。あたりまえのように食べ物を食べ、あたりまえのように資源を使いまくる今の過ごし方を続けていれば、これまた当たり前のように資源は無くなり、気づいた時にはどうにもならず滅亡するしかなくなっているのかもしれない。

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2021/01/28
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比較研究 第一部ではモンタナ州の問題について色々と論じている 次はイースター島の話 イースター島が孤立した地球のメタファー ピトケアン島とヘンダーソン島の人達がどう滅びたのか マヤ文明 ヴァイキング ノルウェー領グリーンランド 自然植生の破壊、土壌侵食

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2019/01/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

前半は滅亡した文明史であり、退屈。 後半は現代史であり、興味深い。人口圧力が環境破壊、ひいては、虐殺を招く要因のひとつなど。 ジャニス 集団思考 ケネディ大統領が学んだもの

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2018/11/12

イースター島やマヤ文明が滅亡理由は、ロマンチックな話ではなく、人間が生きていくための必然的な環境破壊と気候変動だった。宇宙人説とか聞いたことがあるけど、ここまでしっかりした形で滅亡の過程を描いてくれている本は初めてだ。なかなか興味深い。 以下注目点 ・イースター島がかつては人...

イースター島やマヤ文明が滅亡理由は、ロマンチックな話ではなく、人間が生きていくための必然的な環境破壊と気候変動だった。宇宙人説とか聞いたことがあるけど、ここまでしっかりした形で滅亡の過程を描いてくれている本は初めてだ。なかなか興味深い。 以下注目点 ・イースター島がかつては人口密度の高い豊かな土地で、モアイ像を建てられるほどの力のある社会だっとは驚き。そしてその崩壊の理由が人間が生活することにより必然的に起こる環境破壊が原因だったとはさらに驚きである。その終末は人肉食に陥るという無残な事実も認識した。 ・古代マヤの崩壊した原因は、戦争と干ばつ。食料の供給と輸送に限界があり、小国が乱立。 ・グリーンランドが崩壊した理由の一つは、権力が集中し、危機的状況にあっても、権力者のための行動が優先されたことにあったから

Posted byブクログ

2018/10/06

文明が崩壊する原因を、環境破壊など5つの要因の枠組みで分析。環境が良好な時代に人口を増やし、環境が悪化するとそれを支えきれずに文明が崩壊する。現代に潜む想定外のリスク。

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