ユージニア の商品レビュー
地元の名家である青澤家で米寿のお祝いが開かれるが、そこで一族17人犠牲にした毒殺事件が起こり、一族の娘である盲目の美少女、緋紗子が生き残る。 その十数年後に一人の関係者、満喜子が事件を調査し、それに纏わる本を出版。そして更に十数年後、新たな探求者が事件の調査を始める。 事件があ...
地元の名家である青澤家で米寿のお祝いが開かれるが、そこで一族17人犠牲にした毒殺事件が起こり、一族の娘である盲目の美少女、緋紗子が生き残る。 その十数年後に一人の関係者、満喜子が事件を調査し、それに纏わる本を出版。そして更に十数年後、新たな探求者が事件の調査を始める。 事件があり、犯人がいて、そして当時の関係者の証言もある。 事件の大筋は解明しているのに(それすらラストの満喜子の発言から定かではないが)、細かいけれど不安にさせる謎がいくつも残り、解明されないまま終わります。 ミステリーといえるのか?一度読んだだけではわかりませんでした。ピースを繋げると答えがあるのかないのか、それも見えません。 そういう意味でもう一度読みたい本ではありますが、答えがないのでモヤモヤ感に収拾がつきません。 また、謎を補完し完成させた場合、面白いミステリー小説なのか? どんでん返しやトリックの素晴らしいミステリー小説は多くあり、それらに比類する作品なのかがわからない限り、この小説は答えを用意しないという技法でのみ評価された作品だと思います。 ということで、評価の難しい作品でした。
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20年以上前に起こった17人の犠牲者を出した毒殺事件。 事件の真相とは?犯人は誰だったのか? 当時の関係者たちへのインタビューで綴られる本書。 すこしづつ明らかになっていく真実と矛盾。 読者は、あたかも事件の真相を追う記者のような気持ちで物語へ引き込まれて行くのだが・・・・。 ...
20年以上前に起こった17人の犠牲者を出した毒殺事件。 事件の真相とは?犯人は誰だったのか? 当時の関係者たちへのインタビューで綴られる本書。 すこしづつ明らかになっていく真実と矛盾。 読者は、あたかも事件の真相を追う記者のような気持ちで物語へ引き込まれて行くのだが・・・・。 物語の構成・牽引力は、目を見張るものがあったが、ラストには正直納得いきませんでした。 読む方によって印象は違うのでしょうが、好みの分かれる作品だとは思います。 少年少女文庫時代しか恩田作品を知らなかったので、こういった作風も書ける成長を感じるとともに、ある意味新鮮ではありました。 熱烈なファンが多いのも、わかるような気がします。
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『夜のピクニック』の作者による作品。インタビュー、回想、いろんな文体でやや読みにくい。 話も分かりにくく、なんだか居心地の悪い作品。その気持ち悪さが、この本の真骨頂だろう。
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二回目。 前回もおもしろく読んだけど、謎だらけで終わった。 今回はもうちょっと踏み込んで読めるかなと思ったけど、やっぱり謎だらけ。 正解はないにしても、自分なりにも答えがだせなかった。 でも、おもしろいことには違いない。 冬に読んだけど、夏の暑さを感じる本。
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私にとっての恩田陸は、読む作品ごとに評価が変わる作家のひとり。 「ユージニア」は全体に流れる不穏な空気とか、現実からちょっとずれてるような独特の雰囲気がかなりツボに入り、しかも装丁もものすごい気に入ったので思わず買ってしまった。 本棚にあるとちょっと嬉しい。
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すきだぁあこのどうしようもない感じ! だれもがなんかかわいそうな感じ。 大量殺人事件。毒。少女。断片。本。
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推理小説ではないよなぁ。 この(ある意味)美しい世界の中には、私は入れない。装丁のような、うっすらと霧のかかったスノーグローブの中を、いろんな角度から覗くような。そして真実をさらけだしたくて、それを地面にたたきつけたとしても、煙のように消えていくのだろう。 出版社 / 著者からの...
推理小説ではないよなぁ。 この(ある意味)美しい世界の中には、私は入れない。装丁のような、うっすらと霧のかかったスノーグローブの中を、いろんな角度から覗くような。そして真実をさらけだしたくて、それを地面にたたきつけたとしても、煙のように消えていくのだろう。 出版社 / 著者からの内容紹介 あの夏、青沢家で催された米寿を祝う席で、 十七人が毒殺された。 ある男の遺書によって、一応の解決をみたはずの事件。町の記憶の底に埋もれた大量殺人事件が、年月を経てさまざまな視点から再構成される。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
もう一度読みたい本。 昔、ある事件が大きな家で起きて、まさにその時、家に居た少女の話を、色々な人から聞いていく話。 最終的な結論がはっきり出されず、読者の解釈に任せるのだけれど、それがとても上手くて脳味噌が揺さぶられた感じがした。
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わざわざ言葉で落ちを語らなくともわかるでしょこれで。とミステリー作家が作品を重ねるときっと一度は作りたい様式なんだと思う。真相を曖昧にしつつ、真相を十分に表現している。凝った作りの装丁も含めて佳作です。
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綺麗だと思ったんです。すごく綺麗な世界。 素敵な邸宅、非の打ち所の無いお嬢様、端正な青年、夏の風景、嵐の描写までも。 空気がどっと溢れて、目の前に広がっていくような、自分がそこにいるかのような感覚でした。 でも怖かった。 一章ごとに語り手が変わる、という構成で、インタビュー形式...
綺麗だと思ったんです。すごく綺麗な世界。 素敵な邸宅、非の打ち所の無いお嬢様、端正な青年、夏の風景、嵐の描写までも。 空気がどっと溢れて、目の前に広がっていくような、自分がそこにいるかのような感覚でした。 でも怖かった。 一章ごとに語り手が変わる、という構成で、インタビュー形式だったり、小説のような語り口だったり、様々な語り方で事件そのものを描いているんですが、その事件のイメージがどんどん鮮明になっていくんです。 読み終わったときの何とも言えない脱力感、そして事件の収束を感じた充実感、その両方を感じました。 祖父江さんの装丁も素晴らしい。 ジャケットの紙裏印刷も気が利いているし、 プロローグの、紙のサイズが少しずつ大きくなって本文の紙サイズになる仕組みで物語に引き込まれ、 さらに本文組は全て垂直に見て少し、本の僅か斜めに組まれている。物語の独特の世界観を表現しているようでした。 なんだかすごい本に出会ってしまった、そんな感じです。
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