錦繍 の商品レビュー
一時、宮本輝にハマった時期があって、少し離れてからまた読んだ作品。 「晩秋に読む本としておすすめ」って紹介されてたと思う。 確かに、再会の場所が紅葉真っ只中のところで、全体的に哀愁が漂っていて、もう巻き戻すことの出来ない時間を生きているのに手紙のやり取りで2人の愛や憎しみ、悲し...
一時、宮本輝にハマった時期があって、少し離れてからまた読んだ作品。 「晩秋に読む本としておすすめ」って紹介されてたと思う。 確かに、再会の場所が紅葉真っ只中のところで、全体的に哀愁が漂っていて、もう巻き戻すことの出来ない時間を生きているのに手紙のやり取りで2人の愛や憎しみ、悲しみが色を取り戻す、という印象が晩秋を思わせた。 すごく薄い本なんだけど内容は濃いと思う。
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手紙のやり取りの形式は結構珍しいのではないかと思う。 途中で、手紙送りません からの やっぱり送りました みたいなのは面白かった。 人生経験少ないからか、あまりイメージできなかったので、繰り返し読みたいと思う。
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テレビで紹介されて読んでみたが、おもしろかった。手紙のやり取りだけで、これだけ想像することができるとは。 色々なことがあったとしても、毎日感謝して生きよう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読む前 愛し合っていた2人が、ただすれ違って誤解してしまったがために離婚したけれど、手紙を通して再び相思相愛になる話 なのかなと勝手に思っていた でも読んでみたら、思っていたよりもちゃんと不倫していたし、有馬さんは思ってたよりもダメな男やった お勧めしてくれた方がこの本を読んだ感想として、「ちゃんと言葉にしないとすれ違う」というようなことを言っていたからこそ、そう思ってたのかも? その意味を、ただ「事実を伝えること」みたいな意味合いで受け取っていたのだけど、この小説を読んでみて、実際にあった出来事は受け止め方に差はあれど大きな変わりはなく。 でも「お互いがしっかりと本音を伝え合うこと」で、しっかりと過去に向かい合って、受け入れて、今を生きることができるようになった話やなと感じた。 だからこそ、言葉にしないとすれ違うというのは、自分の思い込みを正さないとというわけでなく、自分の気持ちや物事をきちんと受け止めるためにはちゃんと言葉にしてそのまんまを伝えることが大切やということかも。と思った。 あと、要所要所で、障がいのある息子を業だと言ったり、男の不倫は性だと言ったり、小さな、ん?って思うことはちらほらあった。 なんとなくやけど、時代錯誤やなという感じの違和感。 けれど。その小さな違和感になる要素がなければ、この手紙は本心ではないものだったし、2人は前を向けなかったような気がする。 めちゃくちゃ人間臭い2人が、めちゃくちゃ時間をかけて過去を受け入れて、ようやく今を生きることができるようになった話という感想 でも、手紙形式だったからか、「こう生きるべき」というよりは、「こういう人生がある」みたいな小説で、なんかわからんけど今の小説にはない感覚な気もした え、いいな、とてもいいな
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40年も前に書かれた作品なので、日々の描写も生活実感もとても深い。ネズミの食べられる様も今では実感を持っては無理で、頭で考え想像しなければ映像も結べないと思う。 主人公の男性も30代と読み進んで分かった。もっと熟年の男女の物語のように思えたので、なんて私達は幼稚な人間になっている...
40年も前に書かれた作品なので、日々の描写も生活実感もとても深い。ネズミの食べられる様も今では実感を持っては無理で、頭で考え想像しなければ映像も結べないと思う。 主人公の男性も30代と読み進んで分かった。もっと熟年の男女の物語のように思えたので、なんて私達は幼稚な人間になっているのだろうと作品と離れた感慨を抱いた。
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2025.10.30 恥ずかしながら初めて宮本輝を読んだ。 まず、手紙のやりとりという設定に時代を感じる。20世紀に10代だった自分には、手紙やラブレターという設定はまだ理解できる。しかし、私の子ども世代にはそもそもの設定がもう通用しないのだろう。 本書で改めて考えた手紙の特徴は...
2025.10.30 恥ずかしながら初めて宮本輝を読んだ。 まず、手紙のやりとりという設定に時代を感じる。20世紀に10代だった自分には、手紙やラブレターという設定はまだ理解できる。しかし、私の子ども世代にはそもそもの設定がもう通用しないのだろう。 本書で改めて考えた手紙の特徴はやはり「時間」だと思う。LINEやTwitterといった即時性の時代の反映しているから
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テレビで紹介されていたので読んでみた。興味深い視点で、手紙の持つ不思議な言葉の力を感じた。最近では手紙で言葉を交わすという行為は全くと言っていいほど無い。訳あって友人と3年ほど手紙でのやり取りをしていた経験があるが、手紙でしか伝えられない言葉があると思う。深層心理のような、精神論...
テレビで紹介されていたので読んでみた。興味深い視点で、手紙の持つ不思議な言葉の力を感じた。最近では手紙で言葉を交わすという行為は全くと言っていいほど無い。訳あって友人と3年ほど手紙でのやり取りをしていた経験があるが、手紙でしか伝えられない言葉があると思う。深層心理のような、精神論のような、口に出すと恥ずかしいことも言えてしまう感覚。 この作品にはその感覚を思い出させる手紙のやり取り、感情のこもった言葉や描写が物語を作っていて手紙の内容である事を時々忘れてしまうほどだった。 未来へ向けてお互いが自身の人生に向き合い、決意する最後の手紙にはモノトーンだった過去の描写に対してカラーが入っていく感覚で晴れやかだった。
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錦繍とは、錦(美しい織物)のように鮮やかで美しいさまを指します。転じて、美しい紅葉の比喩。 元夫婦二人の手紙のやり取りによる、過去、現在、そして選択される未来。 過去の話は湿っぽい感じ。だけど、令子さんが出てきてからが本当に爽やかで素敵だった。 一番好きなところは、令子が手紙...
錦繍とは、錦(美しい織物)のように鮮やかで美しいさまを指します。転じて、美しい紅葉の比喩。 元夫婦二人の手紙のやり取りによる、過去、現在、そして選択される未来。 過去の話は湿っぽい感じ。だけど、令子さんが出てきてからが本当に爽やかで素敵だった。 一番好きなところは、令子が手紙を読んで、この女の人が好きだと言うところ。愛だねありゃ。 お父さんと亜紀のやり取りもとても好きだった。やり手の社長が不器用に娘の背中を押すのが良い。 どうして錦繍と題名につけたんだろうと考えた。私の答えはね、生きている中で訪れるターニングポイントで出会う美しいもののことだと思う。まさにこの手紙たちのこと。モーツァルトのこと。息子の成長のこと。。。 あぁ良かった!良い話だった!良い本だった!
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10年前に離婚した亜紀と靖明が、蔵王のゴンドラで再開する。心中事件を起こして離婚した靖明に、再婚して障害児を持つ亜紀が手紙を書く。刃物で刺されるという凄惨な事件で別れた元妻と夫が、相見えることなく文字だけのやりとりをはじめ、繰り返す。二人が出会う前のこと、二人でいたときにその影で...
10年前に離婚した亜紀と靖明が、蔵王のゴンドラで再開する。心中事件を起こして離婚した靖明に、再婚して障害児を持つ亜紀が手紙を書く。刃物で刺されるという凄惨な事件で別れた元妻と夫が、相見えることなく文字だけのやりとりをはじめ、繰り返す。二人が出会う前のこと、二人でいたときにその影であったこと、二人が別れてその後のこと、すべてが見事な文章で綴られていく。別れていた時間、書いてから届くまでの時間、返事をまつ時間、そばにいて言葉を交わすのとは違った時間の流れを思うだけで胸がつまる。書いている間にも相手の時間は流れ、待つ間にも二人の時間は流れ続ける。
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評価の高いこちらの作品をやっと手に取りました。 初めての宮本輝さん。 元々夫婦だった男女の手紙のやりとり。 ただそれだけなのに、どうしてこんなに読み終わり鳥肌が立ったのか。 自分でもよくわかっていませんが、長い往復書簡だけでも2人の人生を読者に感じさせる作者はすごいのだろうな...
評価の高いこちらの作品をやっと手に取りました。 初めての宮本輝さん。 元々夫婦だった男女の手紙のやりとり。 ただそれだけなのに、どうしてこんなに読み終わり鳥肌が立ったのか。 自分でもよくわかっていませんが、長い往復書簡だけでも2人の人生を読者に感じさせる作者はすごいのだろうなと… こんな浅はかな感想しか今は出てこないけど、読んでよかった、出会えてよかった作品でした。
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