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「いき」の構造 他二篇 の商品レビュー

3.8

76件のお客様レビュー

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2012/08/03

ヨーロッパ哲学的な言葉で、日本の言葉・表現を腑分けしていく。論理自体はヨーロッパ的というよりは普遍的なものだろうし、読んでいてすごく説得力がある。 この感情とは何か、この感性とは何か、そういった問いへの一連の強力な答えになるだろうし、これによって比較文化的通路が生まれうるだろう、...

ヨーロッパ哲学的な言葉で、日本の言葉・表現を腑分けしていく。論理自体はヨーロッパ的というよりは普遍的なものだろうし、読んでいてすごく説得力がある。 この感情とは何か、この感性とは何か、そういった問いへの一連の強力な答えになるだろうし、これによって比較文化的通路が生まれうるだろう、という感じです。 P.88 しかしながら概念的分析の価値は実際的価値に尽きるであろうか。体験さるる意味の論理的言表の潜勢性を現勢性に化せんとする概念的努力は、実際的価値の有無または多少を規矩とする功利的立場によって評価さるべきはずのものであろうか。否。意味体験を概念的自覚に導くところに知的存在者の全意義が懸っている。実際的価値の有無多少は何らの問題でもない。そうして、意味体験と概念的認識との間に不可通約的な不尽性の存することを明らかに意識しつつ、しかもなお論理的言表の現勢化を「課題」として「無窮」に追跡するところに、まさにまさの学の意義は存するのである。

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2012/06/24

難解… 成る程ね~という部分も多いけど基本的によくわからない、 というか自分の学の無さを思い知らされる。 あの岡倉天心と血が繋がっている(?)というのは驚いた。

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2012/06/10

ずいぶん昔の、しかも海外で書かれた本で驚きました。一度国外に出ることで日本を意識する事ができ、日本に対する冷静な判断ができるものなのか。一度外国の生活をしてみたいと思いました。 また、デザインにかかわる方が予想以上にこの本を読んでいる事にも驚きです。

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2012/03/18

論文なのに面白い! 読んでいて心踊るものがあった。 「いき」の構造・風流に関する一考察・情緒の系図の三編が収録されていて、日本の美意識について解りやすく書かれている。 特に「いき」については、共感・納得するところが多く、あっという間に読めた。 横縞より縦縞、武士道、仏教、江戸文化...

論文なのに面白い! 読んでいて心踊るものがあった。 「いき」の構造・風流に関する一考察・情緒の系図の三編が収録されていて、日本の美意識について解りやすく書かれている。 特に「いき」については、共感・納得するところが多く、あっという間に読めた。 横縞より縦縞、武士道、仏教、江戸文化、媚態などなど日本の良さを再認識できる。 決してひとりよがりなものではなくて、すっきりしていて、国際的感覚があるところに脱帽。

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2012/07/01

 本書は、『「いき」の構造』の他に、『風流に関する一考察』、『情緒の系図』が併収されている。  『「いき」の構造』では、「いき」という言葉の独自性が西洋哲学の手法を用いて論じられている。「いき」を媚態、意気、諦めの3つの言葉を用い定義しつつ、他の様々な日本語との関連から分析してい...

 本書は、『「いき」の構造』の他に、『風流に関する一考察』、『情緒の系図』が併収されている。  『「いき」の構造』では、「いき」という言葉の独自性が西洋哲学の手法を用いて論じられている。「いき」を媚態、意気、諦めの3つの言葉を用い定義しつつ、他の様々な日本語との関連から分析している。着眼点の鋭さにただただ舌を巻いた。『風流に関する一考察』では「風流」について、『情緒の系図』では「情緒」について、それぞれ『「いき」の構造』と同様に様々な日本語を用いて分析している。日本文学や和歌を沢山引用しており、それらの比較を通して次々に概念が浮き彫りになっていく感覚は得もいわれぬ。どの作品においてもいえることだが、日本文化を礼賛しているようには感じられず、中立性を保てているため、好印象を受けた。これは西洋哲学の視点から論じられているからだと考えられる。  著者の哲学や言語学への造詣の深さが感じられ、また日本語の多義性や多様性、その奥深さを存分に堪能できる一冊である。

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2011/09/16

「いきだねえ!!」 粋な人間が最近少ない。 風流な人間もいなくなった。 日本人なのにね!

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2011/09/07

於菟が現在の研究を行う上で最も参考になった三冊の本の一つです。 この本の表紙に示されている直方体が於菟の研究の原点です。 ☆ メタローグ 「粋なお方」とは、今日風に言えば、さしずめ「クールなやつ」のことである。しかし、こんな風俗めいた言葉を、それまでの日本の哲学がまともに取...

於菟が現在の研究を行う上で最も参考になった三冊の本の一つです。 この本の表紙に示されている直方体が於菟の研究の原点です。 ☆ メタローグ 「粋なお方」とは、今日風に言えば、さしずめ「クールなやつ」のことである。しかし、こんな風俗めいた言葉を、それまでの日本の哲学がまともに取り上げることは、およそ考えられなかった。日本では、「善の研究」(西田幾多郎)をはじめ「人生いかに生きるべきか」の問いに向き合った哲学が王道だったからだ。だが、「(いきの表現は)うすものを身に纏うことである」といった言葉が平気で飛び出す本書の面白さは、まさに無類である。「いき」の特性は、異性に対する「媚態」であり、江戸者の「意気地」であり、執着のない「諦め」である。畳みかけるような分析の切れも、書名同様、垢抜けしている。(宮川匡司) 『ことし読む本いち押しガイド2000』 Copyright© メタローグ. All rights reserved. 出版社/著者からの内容紹介 日本民族に独自の美意識をあらわす語「いき(粋)」とは何か.「運命によって〈諦め〉を得た〈媚態〉が〈意気地〉の自由に生きるのが〈いき〉である」――九鬼は「いき」の現象をその構造と表現から明快に把えてみせたあと,こう結論する.再評価の気運高い表題作に加え『風流に関する一考察』『情緒の系図』を併収. (解説 多田道太郎) ★

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2012/04/06

「いき」という言葉自体は現代日本にも残っているけれど、その概念は既にかなり風化しかかっているように思う。昔どんな風にこの言葉が使われていたのか、『「いき」の構造』で探って見るのは面白い事のように思う。

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2011/06/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

この本には、表題作の他に「風流に関する一考察」「情緒の系図」が併収されています。三篇とも、難しいのですが、比較的、「いき」の構造が理解しやすく、「風流―」「情緒―」と読み進めるに連れて難解になっていきました。 「いき」の構造は題のとおり、「粋(意気)」という概念の構造を、内包的・外延的な見地から定義していきます。直六面体の図を使って言葉を定義していくその方法には得心するとともに、その発想の凄さに驚嘆してしまいます。この話の中に、遊郭に大きな影響を受けた日本人の人生観も読み取れて大変おもしろいです。さらに、遊郭を「芸能界」に置き換えれば、「野暮」→「甘味」→「意気」→「渋味」という流れは現代にも適用できるかもしれません。 「風流に関する一考察」は「いき」と同じように「風流」を定義していく話、「情緒の系図」は歌から人間の感情を読み取り、分析し、図式化してみようという話。どの話も一読の価値は絶対にあると思います。何年か経った後、深く理解するためにもう一度読んでみたいと思わされる本でした。

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2011/05/17

「いき」とは何か。江戸の名家に生まれ、留学などで哲学に傾倒した作者が、着物の色配合や、しぐさである、体の曲線美などで「いき」を説明した本。かなり深いところに行っているが、丁寧に読むと「へぇー」の連続である。日本の「いき」な第一人者。

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