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「いき」の構造 他二篇 の商品レビュー

3.8

76件のお客様レビュー

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2014/03/17

「いき」とは「媚態」を根本として、それに「意気地」と「諦め」が加わった様子のことをいう。 日本独特の美意識を、哲学の言葉で明快に書き表している。 とはいえ、どんな言葉を使っても、こういう美意識をニュアンスまで完全に言い表すことはできない。このことを筆者自らはっきりと言っていると...

「いき」とは「媚態」を根本として、それに「意気地」と「諦め」が加わった様子のことをいう。 日本独特の美意識を、哲学の言葉で明快に書き表している。 とはいえ、どんな言葉を使っても、こういう美意識をニュアンスまで完全に言い表すことはできない。このことを筆者自らはっきりと言っているところに、九鬼周造の哲学者としての覚悟のようなものが感じられる。 残念ながら現代人の私には、現実で「いき」な人やものに出会う機会がないが、これを読むとなんとなく分かる気がするのは日本人だからなのか。 ただ、本当に「いき」を理解するには、やはり自分には人生経験が全然足りていない。

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2014/02/04
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「いき」とは江戸時代の江戸を中心に始まった日本特有の美学である。江戸時代は身分差を持つ恋愛が頻繁にあったと考えられる。そのため身分差を超えないための一種の禁欲的行為として「いき」が機能し、浸透したのだと考えられる。 江戸時代では身分差があった場合に恋愛関係にはなることは不可能であった。そこで、「いき」が機能してくるのである。媚態の状態では、異性との距離を出来得る限り接近せしめつつその極限に達しないことが大切ある。そして、媚態は異性の征服を仮想目的とし、目的の実現とともに消滅の運命にある。目的の実現から生まれるのは倦怠・絶望・嫌悪と言った感情である。 しかし、だからと言って媚態の状態を持続させるのは難しいことである。そこで、媚態を保つ手段として意気地が出てくるのである。自己の欲求とは逆の行動を取ることによって目的の実現を防ぐのである。この状態を貫いた場合には、最終的には心中へと行き着いてしまう。

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2014/01/19

20世紀の日本哲学者である九鬼周造による本著書には、「いき」について、内包的構造、外延的構造、自然的表現、芸術的表現の切り口で、哲学的に丁寧に説明されている。 「いき」とは、大和民族の特殊の存在様態の顕著な自己表明の一つであると考える。 意気、渋み、甘味、野暮、上品、地味、派...

20世紀の日本哲学者である九鬼周造による本著書には、「いき」について、内包的構造、外延的構造、自然的表現、芸術的表現の切り口で、哲学的に丁寧に説明されている。 「いき」とは、大和民族の特殊の存在様態の顕著な自己表明の一つであると考える。 意気、渋み、甘味、野暮、上品、地味、派手、下品の点軸を定義した上で、さび、乙、きざ、雅、味、いろっぽさという面が存在するとの説明。事例として、抜き衣紋、首、素足、手、縦縞、色(灰色、茶色、青系統色)、建築、音楽についても興味深い。 日本民族に独自の美意識をあらわす語「いき(粋)」とは何か。「運命によって<諦め>を得た<媚態>が<意気地>の自由に生きるのが<いき>である」

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2013/12/23
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※このレビューにはネタバレを含みます

「いき」ということがらの「本質」ではなく「存在そのもの」のありようを、「媚態」「意気」そして「諦念」として分析してみせながら、さりとてそのような分析的な手法では捉えようのないものであると結論づける。 六面体の構造モデルの提案は、「どうこれ?うまくはまってるでしょ?」という嬉しさが伝わってきて微笑ましい。

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2013/12/19

高校生の時に授業で使った本。 いま改めて読んでも小難しくて、表題の「いきの構造」の章だけで挫折。 言葉で説明しろと言われても困る「いき」という価値観が わかったようなわからないような...。 でも「いき」という価値観を捉えていくための アプローチの仕方(多面体での説明とか)は面白...

高校生の時に授業で使った本。 いま改めて読んでも小難しくて、表題の「いきの構造」の章だけで挫折。 言葉で説明しろと言われても困る「いき」という価値観が わかったようなわからないような...。 でも「いき」という価値観を捉えていくための アプローチの仕方(多面体での説明とか)は面白かった。 もうちょっと時間を置いてからまたチャレンジしようかな。

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2013/11/11

日本独自の美意識について深く掘り下げて考え抜かれた良書。 何かについて知るためには「比べること」が重要だと言われるが、まさに色々な角度から比較することによって「いき」や「風流」という言葉に形を与えていく様は圧巻。 さらに「情緒の系図」では多種多様な「感情」が分かりやすく図にまとめ...

日本独自の美意識について深く掘り下げて考え抜かれた良書。 何かについて知るためには「比べること」が重要だと言われるが、まさに色々な角度から比較することによって「いき」や「風流」という言葉に形を与えていく様は圧巻。 さらに「情緒の系図」では多種多様な「感情」が分かりやすく図にまとめられていて、思わず写メに撮ってしまうほど。笑 未読の方は是非とも手にとっていただきたいです。

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2013/09/27

「うまいこと言えないけどなんとなくあんな感じでなんかいい感じのあれ」という「いき」について、丁寧に要素を取り出して、整理しなおしてくれた感じです。「そうそう、うまく表現できなかったけどそういう感じだよ!」という謎のテンションで一気読みしました。筆者の意図を掴めているかは大いに疑問...

「うまいこと言えないけどなんとなくあんな感じでなんかいい感じのあれ」という「いき」について、丁寧に要素を取り出して、整理しなおしてくれた感じです。「そうそう、うまく表現できなかったけどそういう感じだよ!」という謎のテンションで一気読みしました。筆者の意図を掴めているかは大いに疑問です。 具体例としてあげられているものも素敵で、三本線とばちと柳と桜の花、なんて組み合わせを見たときはうっかりときめいてしまいました。あれ?本当にその組み合わせだったかなあ。 ふざけた内容で恐縮ですが、枯れ木も山、ということでご勘弁願います。

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2015/05/12

10年早かった。全く意味がわからないままただページをめくりなんとか最後までたどり着いたが、一体何が書いてあったのか、それは何を意味していたのかがほとんど理解できなかった。わずかに理解できた部分は面白かった。日本美術の考察は日本人の普遍的な興味の対象であるからだろう。それだけに分か...

10年早かった。全く意味がわからないままただページをめくりなんとか最後までたどり着いたが、一体何が書いてあったのか、それは何を意味していたのかがほとんど理解できなかった。わずかに理解できた部分は面白かった。日本美術の考察は日本人の普遍的な興味の対象であるからだろう。それだけに分からないのが悔しい。美術か哲学に対する素養があると楽しめるかもしれない。他二篇についてはほとんど読まなかった。残念だ。

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2012/11/29

面白い。ダイナミックに切り開かれていく地平に目を見張っているうちに、さまざまな現象がその地平線に展開され整理され、美しく一つのストーリーをなしたという感じ。 感覚的なこと、意識現象は言語化することで思想となり、一本の糸で連ねられて構造を表すようになり、他者と言葉を媒介して論ずる...

面白い。ダイナミックに切り開かれていく地平に目を見張っているうちに、さまざまな現象がその地平線に展開され整理され、美しく一つのストーリーをなしたという感じ。 感覚的なこと、意識現象は言語化することで思想となり、一本の糸で連ねられて構造を表すようになり、他者と言葉を媒介して論ずることができるものとなる。逆に言えば、その作業によってこそ、感覚を共有し議論の俎上に載せることができるようになる。「意味体験を概念的自覚に導くところに知的存在者の全意義が懸っている(88頁)」とは、まさにこの稿の意義であろう。 それまで実に感覚的に語られることしかなかった「いき」とは一体どういうことなのか?──答えは表紙にも引用されている「運命によって〈諦め〉を得た〈媚態〉が〈意気地〉の自由に生きるのが〈いき〉である(95頁)」という一文にまとめられているが、その結論に至るまでの現象のあばき方というか、分析の過程が、読んでいて小気味よくなるほどの切れ味に満ちている。 「思想を構造化することの成功例」みたいな感じで(うろ覚え)、丸山真男「日本の思想」で言及されてたのも納得。 この頭の中が整理された感覚、ぜひ味わってみませんか、と人に薦めたくなりました。 ※章四、五は具体例。一〜三が特に面白かったなぁ。六の結論だけ読んでも魅力を堪能できないと思うのでぜひとりあえず一〜三を

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2012/10/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

野暮な行動は取れるが, 「いき」な振る舞いは難しい。 「いき」の構造を読めば,いきになれるかと思った。 読み終わって,自分には無理だと思った。 江戸,徳川時代が鍵かも。 解説を多田道太郎が書いている。 読んで,はたと分かった。 江戸っ子か、ハイデッガー,ベルグソン,サルトルが理解できないと理解できないかも。 3度は読んでみようと思った。

Posted byブクログ