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西瓜糖の日々 の商品レビュー

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115件のお客様レビュー

  1. 5つ

    30

  2. 4つ

    42

  3. 3つ

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  5. 1つ

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2013/01/05

アイデスに流れる静謐で幻想的な空気。忘れられた世界。すべては淡々と過ぎていく、その中に、軽やかさと、ほのかな甘さが漂う世界。 「寝床に入って、横になっていたのかな、もうちょっとで眠ってしまうところだったのだが、あなたは何かのことで笑った。ひとり笑い。一日を終えるには、これは...

アイデスに流れる静謐で幻想的な空気。忘れられた世界。すべては淡々と過ぎていく、その中に、軽やかさと、ほのかな甘さが漂う世界。 「寝床に入って、横になっていたのかな、もうちょっとで眠ってしまうところだったのだが、あなたは何かのことで笑った。ひとり笑い。一日を終えるには、これはいい。それがわたしの名前だ。」 <わたしの名前>

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2013/01/02

『西瓜糖の日々』R.ブローティガン その世界はほとんどのものを西瓜糖で作っている。語り手は少し前まで彫刻を彫っていたが、本を書くことを仕事に変える。 彼(物語のなかでは明確にされていない。もし彼女ならそれはそれで物凄く面白い)には過去に愛したマーガレットと、今愛しているポーリーン...

『西瓜糖の日々』R.ブローティガン その世界はほとんどのものを西瓜糖で作っている。語り手は少し前まで彫刻を彫っていたが、本を書くことを仕事に変える。 彼(物語のなかでは明確にされていない。もし彼女ならそれはそれで物凄く面白い)には過去に愛したマーガレットと、今愛しているポーリーンがおり、マーガレットとポーリーンは幼い頃からの友達である。 この西瓜糖の世界のすぐ隣には(と言うのか、その他の全ては)〝忘れられた世界〟があり、そこを人々は好まずに〝アイデス〟という彼らにとっての理想郷での生活を平穏に静謐に送っている。 今は静かなアイデスには少し前〝虎の時代〟があり、主人公の両親はかれらに食われているが、その時主人公は虎たちに算数を教えてもらっている。虎たちは美しい声を持っていたが、もうほとんどの人々はその声を忘れている。 感情の起伏のないような〝アイデス〟に耐えきれなくなったインボイルはある日から〝忘れられた世界〟のすぐ側に住み、忘れられたものたちを醸造してはウィスキーを作りだし酔っ払う生活を始めた。それに賛同する輩がインボイルのまわりに集まり、〝アイデス〟の人々は彼等を無いもののように扱う。 この物語のなかで、何度も出てくる〝マーガレットはひどく悲しんでいる〟ことについて、主人公は誰にその理由を聞かれても〝知らない〟と答えている。それはまるで感情が感じられない、自分の感情も他人の感情も無いものような場所なのだと思えました。 インボイルが主人公たちに唱える〝ここがアイデスだなんて、理想郷だなんて、何もわかっちゃいない!〟という言葉にはそんなことが含まれているように思える。 全体的に詩的な、幻想的な世界観は読んでいて時間の流れをおかしくするようだった。

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2012/12/18

これこそ幻想小説だなあ、と思いました。 なんだか綿飴のようにふわふわしていて、夢のようです。現実感ゼロ。 正直、よくわかりませんでした。 でも、読んでいる時の陶酔や読み終わった時の浮遊感はありました。 これは味わう作品です、きっと。 何度でも読み直したいと思います。

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2012/08/03

ノンセンスというか、理があるようでないような、西瓜の汁の薄甘いような曖昧な感覚に覆われたまま進んでいく物語。 多分、ただ味わえばいいのだと思う。

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2012/04/18

こんな世界感の本、始めて読んだ。 独特な世界にキュン。とっても優しい 文章にドップリ。何だか浮遊している 感覚になって入りこんでしまいました。

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2012/04/16

優しくて冷たい物語。どこかとらえどころがない、という印象。西瓜糖に囲まれた生活。 訳が優れていると思う。

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2011/12/22

司書Aが実際に、就活中の現実逃避で読んでいた本です。透明感のある文章で描かれる、この世のどこでもない世界。静かに遠くに行ける1冊です。→お好きな方に:村上春樹「1Q84」913.6/Mu43/1-3

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2011/11/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

詩的でボンヤリとた話だが、途中でバイオレンスもあるのでメリハリが有る。自分は外国小説は苦手だがコレは好き。

Posted byブクログ

2018/03/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

村上春樹の文体の源流…なるほどな〜。 〈忘れられた世界〉と水瓜糖の世界。学生から社会人の区切りを渡ったばかりなので、そのような境目に思えました。

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2011/02/27

生々しい死の気配が、静謐な言葉によって囲まれ、息を潜めている。 私はこの「どこか脆いような、微妙な感じの平衡が保たれている」世界アイデス全体が死への停滞期間、即ち昏睡状態ではないかと思う。 闇に吸収されるが如くぼうっと灯される、文中何度も出てくるランタンのような小説、大好きであ...

生々しい死の気配が、静謐な言葉によって囲まれ、息を潜めている。 私はこの「どこか脆いような、微妙な感じの平衡が保たれている」世界アイデス全体が死への停滞期間、即ち昏睡状態ではないかと思う。 闇に吸収されるが如くぼうっと灯される、文中何度も出てくるランタンのような小説、大好きである。 特に、名前のない「わたし」が書く「わたしの名前」がとても美しい。

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