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日蝕 の商品レビュー

3.4

87件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

    24

  3. 3つ

    35

  4. 2つ

    7

  5. 1つ

    4

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2011/09/15

神は人に何を与うる? 神は魔女に何を与うる? 神は聾唖者に何を与うる? 神は錬金術師に何を与うる? 神は両性具有者に何を与うる?

Posted byブクログ

2011/05/16

「冀くは」!?なにこれ、読みにくっ! としょっぱなから前評判通りのルビまみれ文章でしたが、最初10ページ位を過ぎればそんなに小難しい日本語は出てきません。 単語も前後の文章で意味が予測できます。 内容もすっごいオーソドックスで、特に工夫もありません。 なんというか「間取りは建...

「冀くは」!?なにこれ、読みにくっ! としょっぱなから前評判通りのルビまみれ文章でしたが、最初10ページ位を過ぎればそんなに小難しい日本語は出てきません。 単語も前後の文章で意味が予測できます。 内容もすっごいオーソドックスで、特に工夫もありません。 なんというか「間取りは建売住宅と同じだけど、内装がもの凄い凝ってる」といった感じです。 職人芸じみた文体のほかは特筆すべきところは何もないです。 そしてこの文体に価値があるとは、私は思いません。 物語の時代背景を考えても、ここまでする必要はないんじゃないかと思います。逆にいえば文体に内容がついていってない。 なんだか「この作品を褒めないと、自分が無学に思われる」って気にさせません?騙されないよ、そんなもん。 中世ヨーロッパが舞台の作品が芥川賞だなんて珍しいですよね。 まあ、さらりとした文章が流行りの中にこれがあったら光るでしょうね。 11.05.13

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2011/03/03

永らく「積読」だったが、ふと手にとってみたら面白かった。鼻白むとか、物足りないとかいう評もあるようだが、楽しめた。 あえて難を言えばもうちょっと強烈で劇的なクライマックスでも良かったかな、と。 こういう美しくも難しい日本語を読める幸せ。 積読のまま手放さずによかった。 どう...

永らく「積読」だったが、ふと手にとってみたら面白かった。鼻白むとか、物足りないとかいう評もあるようだが、楽しめた。 あえて難を言えばもうちょっと強烈で劇的なクライマックスでも良かったかな、と。 こういう美しくも難しい日本語を読める幸せ。 積読のまま手放さずによかった。 どういういきさつで私の手元に来たのか思い出せないが この本を選んだ自分のセンス、ちょっと誇らしい。(2011.2.26)

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2011/01/28

華美な文体にもエキセントリックな展開にもそれ以上の何かを感じることができず、私にはあまり合わなかった。これが平野啓一郎初読なのでもう1,2作読んでみようかな・・・と気になる存在ではある。

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2011/01/22

再読。流麗にして難解な言葉遣いと、背徳を描いた作品。三島由紀夫の再来などと謳われたが、比べるものでもないように思う。 後半になるとクライマックスを除いてやや特徴的な言葉遣いに不徹底が見られるように感じられ、やや盛り上がりに欠けるように感じた。 しかし文体の徹底と骨子ある内容は近年...

再読。流麗にして難解な言葉遣いと、背徳を描いた作品。三島由紀夫の再来などと謳われたが、比べるものでもないように思う。 後半になるとクライマックスを除いてやや特徴的な言葉遣いに不徹底が見られるように感じられ、やや盛り上がりに欠けるように感じた。 しかし文体の徹底と骨子ある内容は近年の芥川賞受賞作のなかでは一つ抜けているように思う。 著者の作品はこれしか読んでいなかったので、他にも手を出してみたい。

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2011/01/08

・ストイックでやや頭でっかちな僧は、著者のキャラクターに一番近い気がする。 ・旧字の使用があやしいし徹底されていない。 ・前半の僧の語りはややだれるが、後半の魔女焚刑の場面が圧巻で、霊肉一致の秘蹟に読者も飲み込まれる。 ・魔女・両性具有・錬金術といったいかがわしい材料を取り込み、...

・ストイックでやや頭でっかちな僧は、著者のキャラクターに一番近い気がする。 ・旧字の使用があやしいし徹底されていない。 ・前半の僧の語りはややだれるが、後半の魔女焚刑の場面が圧巻で、霊肉一致の秘蹟に読者も飲み込まれる。 ・魔女・両性具有・錬金術といったいかがわしい材料を取り込み、不気味な熱を発する作品。熱にあてられたので星5つ。

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2010/11/21

おっと思った。古典や、宗教や、色々なものを吸収していないと書けない文章を、こんな若者がよく書けたなーと感心。しかもデビュー作、意欲作。著者の本は初めてだが、現代の小説も読んでみたいと思った。して、中身はと、中世ドミニコ会の神父が欠けた文献を探す途中で、ある信仰の腐敗した村による。...

おっと思った。古典や、宗教や、色々なものを吸収していないと書けない文章を、こんな若者がよく書けたなーと感心。しかもデビュー作、意欲作。著者の本は初めてだが、現代の小説も読んでみたいと思った。して、中身はと、中世ドミニコ会の神父が欠けた文献を探す途中で、ある信仰の腐敗した村による。そこで謎の錬金術師と出会い、両性具有者が処刑されと。ちょっと、ファンタジーである。ファンタジーならもっと怒涛の展開があっていいし、純粋に文学にするなら各々キャラクターの掘り下げがあってもいい。最初の数十ページに受けた興奮を最後まで持続することは困難だった。しかし、難解な文章だが読者が途中で本を投げ出すか投げ出さないかのラインはわかっている。それはきっとすごい事なんだろうと思う。

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2010/09/14

高校時代に読んだのだがさっぱりわからなかったので再挑戦、しかしまぁ、自分はそれほど成長できていなかったということが確認できました。 純粋に、キリスト者と錬金術と無知な民衆の物語として読めばそれなりに面白いのですが、これが芥川賞を取るだけのオリジナリティとかメッセージ性のようなもの...

高校時代に読んだのだがさっぱりわからなかったので再挑戦、しかしまぁ、自分はそれほど成長できていなかったということが確認できました。 純粋に、キリスト者と錬金術と無知な民衆の物語として読めばそれなりに面白いのですが、これが芥川賞を取るだけのオリジナリティとかメッセージ性のようなものにはたどり着けませんでした。 途中は難解な漢字とルビの多様でペースダウンしましたが、ラストの焚刑のシーンはすごいね。幼稚かもしれませんが、ベルセルクの三浦建太郎の絵のイメージが浮かびました。あのマンガも蝕がキーワードですしね。 解説の文章には閉口。「肩越しに見つめ、積極的に反復に身を任せることで文学を創出してゆく」とか、段落ごとに(~~のように)とか、なんでこう、純文学の解説って私はわかってるんだけどね。ふふん。みたいな雰囲気なんでしょうね?w

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2010/07/27

第120回芥川賞。 15世紀フランスの話。 パリ大学の学生がリヨン近郊の村を訪れ、謎の錬金術師と逢う。魔女狩りが行なわれ、両性具有者が火刑に遭う。その瞬間、太陽が月にむしばまれる。思いがけない日蝕に村はパニックになる。 とにかく文章が難解。「~せられむ」「~せむとする」などの文語...

第120回芥川賞。 15世紀フランスの話。 パリ大学の学生がリヨン近郊の村を訪れ、謎の錬金術師と逢う。魔女狩りが行なわれ、両性具有者が火刑に遭う。その瞬間、太陽が月にむしばまれる。思いがけない日蝕に村はパニックになる。 とにかく文章が難解。「~せられむ」「~せむとする」などの文語体、「抑(そもそも)」「辺幅(へんぷく)を脩(おさ)めぬ」などの難読漢字にかなり手こずる。ルビも豊富で、どのページもすみずみまで文字だらけだ。

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2010/06/10

この本を読んで、私は悔しさのような絶望感のような哀しさのような気持ちで涙が出た。 物語の表層にではなく物語の内容とは別とでも言うべき深層に在るものに、文章という表現方法の中に垣間見られる、形の無い、例えば絵画を見て何かしらを感じる時のようなものが、私を涙させた。 解説を読むと、...

この本を読んで、私は悔しさのような絶望感のような哀しさのような気持ちで涙が出た。 物語の表層にではなく物語の内容とは別とでも言うべき深層に在るものに、文章という表現方法の中に垣間見られる、形の無い、例えば絵画を見て何かしらを感じる時のようなものが、私を涙させた。 解説を読むと、私の感想は全く本質を捉えておらず、作者の意図や記されたメッセージを汲み取っていないらしいのだが、別に解説通りに読まなければ(感じなければ)いけないということはない。 平野啓一郎氏の小説をいくつか読んで共通して感じることは、語り手となる主人公に、苛立ちのような不快感のような嫌悪感のような類の感情を抱かせられるということだ。 そういった感情を抱くというのは、実は統ての人間の本質にある黒い塊を実に正直に顕しているからに他ならない。 しかしながら人間は綺麗事が好きなのだ。真正面から自分の本質など見たくなんてないのに平野氏は平気で抉り出してしまう。圧倒される程の才能を持って、その美しい文章と毅然とした文体と緻密に構築された流れとで抉り出す。 不快でありながら清く潔く美しいという相反する感情を抱かせる。 そんな風だから、後味は決して良くなくて、心に重く苦しく行き場のない感情が残る。 それでも私は平野氏の小説を手に取ってしまうのは、現代のくだらない情報が氾濫する中で、平野氏は人間に対して嘘偽りなく真正面から文章で向き合っているように感じるからだ。 そういう真摯な姿勢で小説を書く若い作家はそういないだろうと思う。

Posted byブクログ