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日蝕 の商品レビュー

3.4

87件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

    24

  3. 3つ

    35

  4. 2つ

    7

  5. 1つ

    4

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2013/06/09

15世紀頃、キリスト教の敬虔なお坊さんが 信仰書籍を求めてフランスからイタリアに旅に出る物語。 読了までにめちゃくちゃ時間がかかった。 独特の擬古文的文体は決して読みやすくはないが、 本作で描かれている「人間の求める聖性と業の表裏一体」は 確かにこういった文体でなければ表現で...

15世紀頃、キリスト教の敬虔なお坊さんが 信仰書籍を求めてフランスからイタリアに旅に出る物語。 読了までにめちゃくちゃ時間がかかった。 独特の擬古文的文体は決して読みやすくはないが、 本作で描かれている「人間の求める聖性と業の表裏一体」は 確かにこういった文体でなければ表現できないところとも思う。 京大在学中に発表し芥川賞を受賞した当時は賛否両論だったようで、 大きな「否」の論拠は作品が衒学的である、という点。 確かに物語全体を通して訴えたいことは理解できたが、 それが作者の真に言いたいことなのかどうかは判然としない。 その意味で、衒学的と言われてしまうのかもしれないが、 濃淡の差はあれど、人間の表現活動全般に 衒学的要素は内包されるのであって、そこだけを論われるのは 論評としてフェアではないと思う。 登場する敬虔なお坊さん、研ぎ澄まされた寡黙な錬金術師、 錬金術師に使える畸形の下男、下男の妻は村の堕落した司祭に孕まされ、 生まれた子供は唖、更には洞窟に囲われる謎の生物と設定はド変態の極み。 人間の業が聖性を生み、聖性が新たな業を生むというスパイラル。 そのスパイラル自体の業性と一気にすべてを破壊する奇跡。 衒学的だろうが、ここまで描ききれば見事と思う。

Posted byブクログ

2013/03/27

図書室でタイトルに惹かれ、初めて読んだ平野さんの本。アンドロギュノス、キリスト教、錬金術などのモチーフが素敵だった。 買い直してもう一度、ゆっくりと読みたい。

Posted byブクログ

2013/01/20

大学時代に購入。 当時、芥川賞受賞作ということで話題になり、また作者が同年代だったことも読んでみたいとおもったのが購入したきっかけです。 今読み返したら何を思うかと実家から持ってきました。 今回読み始めてまず思ったのは、あのころの私はこの本読んでないな、と。 つかっている言葉が...

大学時代に購入。 当時、芥川賞受賞作ということで話題になり、また作者が同年代だったことも読んでみたいとおもったのが購入したきっかけです。 今読み返したら何を思うかと実家から持ってきました。 今回読み始めてまず思ったのは、あのころの私はこの本読んでないな、と。 つかっている言葉が難解で、読み進めるのがつらい。 おそらく途中でなげだしているはずです。 たとえば「囲繞」なんて、今ならば読むことができる言葉ですが、当時の私が読めていたわけがない。 年を重ねて少し知識が増えてたのか、今ならばさらっと読み流すことができますが。 じゃあ、内容はというと、「私にはわかりません!!」。 解説に書かれていた『通過儀礼』とかなんとか、なんのこっちゃ。 なじみの無い単語が出てきて、いかんともしがたい。 神学・哲学・歴史の勉強をしている人にはわかりやすいのかな。 そこで、私はひとつの「ファンタジー」として読んでみることにしました。 魔王を討伐する勇者のパーティーに加わる賢者が、若かりしころを回想します。 魔王討伐に必要になる錬金術をおさめるきっかけになった出来事を、賢者が語るのです。 当然、使用する言葉は昔の言葉、古文調。 これならば、私にも読める。 同年代で、こんな作品をつくりあげることができる人が存在するなんて、本当にすごい。 いったいどういう学び方をしてきた人なんだろう。 芥川賞受賞当時、この作品については賛否があったようです。 文壇に鮮烈なデビューを図った若者に対するやっかみだったりするのかもしれませんが、 その後も作品を世に出し続けて、活躍を続けていることからしても、 当時の実力は本物だったのでしょう。 本作品は、私には少し難しかったので、☆3。

Posted byブクログ

2012/10/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

以前、『かたちだけの愛』を読んで 思いのほか面白かったので 過去の著作を読んでみようと思い まずはデビュー作から読んでみました。 古めかしい文体かつ神学的な内容が多かったのですが、 それでも読ませる力がある作品です。 これを大学在学中に書いてデビュー、 しかも芥川賞受賞というのは、確かにすごいし、 納得でもあります。 言葉の字体が古く、常用漢字ではないのですが カナは振ってありますし、 文章の流れというかテンポが素晴らしく、 文豪のもつそれに近いと思いました。 ※明治以降のいわゆる日本文学全集に載ってるような小説を 読んでいればなおさら違和感なく、読めると思います。 ラストの魔女焚刑のシーンは、すごいですね。 正直どういうことを暗喩していたのかわからないのですが 盛り上がりが半端無かったです。 ベルセルクの触のシーンを思い出しました。

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2012/08/20

ものすごく読みにくいです。一週間かかってしまった…。 文章表現がなのか、語り部的な視点で書かれるところがなのか、三島由紀夫の再来なんて言われているようですが、それは言い過ぎではないでしょうかね。 文章表現は、別にこんなにする必要性を感じないし、軽石を噛むみたいなざらつきがあるし。...

ものすごく読みにくいです。一週間かかってしまった…。 文章表現がなのか、語り部的な視点で書かれるところがなのか、三島由紀夫の再来なんて言われているようですが、それは言い過ぎではないでしょうかね。 文章表現は、別にこんなにする必要性を感じないし、軽石を噛むみたいなざらつきがあるし。 いっそフランス語で書いたらー、なんて思いましたり。 語り部的な視点で、というと、まぁ、三島由紀夫の豊饒の海四部作の本多を思わせますが、 ピエェルを追いかけて洞窟のなかで両性具有者を覗く行為、なんていうとまさに暁の寺なんですが、 嫌らしさ、卑しさが足りなくって。 物足りない!! しかし、芥川賞でこういう中性ヨーロッパの話って珍しいのではないですか。

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2012/03/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 思ったよりファンタジーだったのでびっくりした。もっともっと主人公が思索に耽るばかりの話かと思っていた。イヤ、十分耽っているわけですけれども。  難しい文章、といわれることが多いけれども、明治時代あたりの小説を読み慣れていれば普通に読めるし、読み慣れてなくてもちょっと頑張ればすぐ慣れる。むしろ、どうしてそう同じ熟語を連呼するんだ! もっと違う言葉を出してくれ! と思った。個人的には、平野啓一郎は説明が上手な人だと思っている。ニコラの思索にみられるような難解で抽象的な話も、かなり分かりやすく書いてあると思う。  ただ、そういった思索が非常に面白かったのだけど、最後のアレでパーンしてしまった。え、ええと、何が書いてあったんでしたっけ?  以下、蛇足ながらこの作品について佐藤亜紀が自作『鏡の影』からの盗作疑惑をウェブ上で発言したことについて。  私は『鏡の影』は未読なので、どうして佐藤亜紀がそう思ったのか分からない。『日蝕』が盗作で書けるようなものだとは思えないが、盗作である証拠もそうでない証拠も、提示しようがない。佐藤亜紀も提示できなかったようだ。  にも関わらず他人の小説を盗作だと言う、これは創作をする人としてあるまじきことだし、普通ならば絶対にしないことだと私は思う。『鏡の影』絶版と『日蝕』発表等々が重なり、精神的に落ち込んだために生まれた邪推だろう。  ただ、佐藤亜紀が何か自分の作品に通じるものを、この『日蝕』から感じとったということは確かなのだろう。少し心持ちが違っていれば、佐藤亜紀は平野啓一郎という新人作家にとって良き理解者となれていたかもしれないし、またお互い良い刺激を与え合うことができたかもしれない。それなのに、一度言われた盗作疑惑は晴れぬまま延々と残り続け、平野啓一郎は佐藤亜紀なんか知らんしこれからも読む気はないとか言ってしまう。  どちらも素晴らしい作家なのに残念だ。とりあえず、佐藤亜紀は『天使』しか読んだことないので、そのうち『鏡の影』などの作品も読んでみようと思う。

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2012/02/06

読みにくい文章で一度挫折した小説。 読みにくさを耐えて読み進めれば、後半の盛り上がりと美しさに惹かれる。

Posted byブクログ

2018/11/15

中世の魔女狩りにおける集団的妄執を題材とした幻想小説。小気味良い擬古文体で中世仏国の望観を表現する事で、意味論的な多義性を醸し出しつつ文章の持つ詩的寓意性に新しい可能性を感じさせる一冊。

Posted byブクログ

2012/03/03

パワフルな小説だ。 キリストのゴルゴタの丘での死は世界中の原罪を背負ったものであったとか、じゃあ、キリストは罪の塊だったのかとか。 無信教の私にはわかりませんが、 これは日蝕のシーンを書きたいがために書いた小説に違いない。 それだけに日蝕のシーンは凄い。 いや、ホント凄い。 ...

パワフルな小説だ。 キリストのゴルゴタの丘での死は世界中の原罪を背負ったものであったとか、じゃあ、キリストは罪の塊だったのかとか。 無信教の私にはわかりませんが、 これは日蝕のシーンを書きたいがために書いた小説に違いない。 それだけに日蝕のシーンは凄い。 いや、ホント凄い。 イク。いやホント。

Posted byブクログ

2011/10/09

すっごい読みにくいです。自分がバカなせいなんですけど、漢字がよくわかんないんで、超ゆっくり読まないと頭に入ってきません。 ドーンが面白かったから行けるかと思いましたが、自分にはまだ早かったという感じ。 でもストーリーは結構面白かったです。ファンタジーの世界観がちょっと怖いんで...

すっごい読みにくいです。自分がバカなせいなんですけど、漢字がよくわかんないんで、超ゆっくり読まないと頭に入ってきません。 ドーンが面白かったから行けるかと思いましたが、自分にはまだ早かったという感じ。 でもストーリーは結構面白かったです。ファンタジーの世界観がちょっと怖いんですけど、描写を理解できた個所のイメージは独特でそれこそ神話的な感じでした。 ちゃんと読めてないんで理解度40%程度の人間の感想です。

Posted byブクログ