日の名残り の商品レビュー
再読。 ほんとよく考えられている話だと感心する。 いろんなことが思い浮かんで感想を書こうとするんだけど、自分には何をどう表現したらいいやら。 カズオ・イシグロ研究のサイトや論文、書籍で批評を読めば読むほど、何か自分が書いて意味があるのだろうかと。 8冊ある長編の内、読んでいな...
再読。 ほんとよく考えられている話だと感心する。 いろんなことが思い浮かんで感想を書こうとするんだけど、自分には何をどう表現したらいいやら。 カズオ・イシグロ研究のサイトや論文、書籍で批評を読めば読むほど、何か自分が書いて意味があるのだろうかと。 8冊ある長編の内、読んでいないのは「わたしたちが孤児だったころ」のみとなったが、相変わらず読みやすさは海外のものとは思えない。 母親とは日本語で会話をしていたことは大きいと思うけど前に記事にこんなことが載っていた。 ・カズオイシグロ本人が訳者と密に連絡を取り合っていること。 ・イギリスでしか通じにくい表現を避けたり、訳される国々で同じようなニュアンスになるよう世界的に通じるよう努力していること。 ■ 養老孟司の話を思い出した。 養老孟司は大昔に論文をだしたところ、ネイティブに書かせていると疑われ、はじかれそうになるくらい英語力に定評があるみたいだけど、彼いわく、原著と翻訳の違いはファンタジーは特に顕著で、ハリーポッターなどは面白さどころか同じ物語なのかと思うほど次元が違う別物に思えるらしい。 ■ 日の名残りを何年か前に読んでイギリスの文化に興味をもち、そうこうしている内に妻が紅茶にはまって、自分も影響を受けた。 やっぱり長く続く文化は変数が多いなと。 これも立派なアウトプットか。 ■ 最後の未読の長編「わたしたちが孤児~」と 三村尚央「カズオ・イシグロを読む」を購入した。
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最初、執事の話かぁ、、おもろいのかなあ、難しいし、昔のイギリスの話じゃわからない事だらけで俺にはまだわからないんじゃないかとなかなか手に取らなかったが、読んでみてビックリした。 翻訳の方の手腕ももちろんあると思うけど、序盤からグイグイ引き込まれて早く読みたいモードになった。 カ...
最初、執事の話かぁ、、おもろいのかなあ、難しいし、昔のイギリスの話じゃわからない事だらけで俺にはまだわからないんじゃないかとなかなか手に取らなかったが、読んでみてビックリした。 翻訳の方の手腕ももちろんあると思うけど、序盤からグイグイ引き込まれて早く読みたいモードになった。 カズオイシグロの本はまだ2冊しか読んでないけど、俺のような馬鹿でも引き込ます事と私を離さないでを読んだ時から思っていた文章の美しさを両立させている凄い作家だと思った。 擬音で表すと終盤にかけて心にじわぁ〜っと広がるなんとも言えない気持ちはなんだろうか。 こういう気持ちにさせてくれるから本も映画も好きなんだと改めて感じる。 本当に読んでよかった。 品格。過ぎ去っていった過去。人それぞれの在り方。人生とは。
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旅の帰りに。 どうなの?と思う部分もあったけど、主人公はやはり真面目で可笑しい魅力あるひと。「なりますまい」が気になった。 再会の部分はうるっとなった。 過去について
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一流の品格とは何か、一流の執事とは何か、良き人生とは何か。 どんな時でも品位を忘れないスティーブンス…かっこいいぜ…超かっこいいぜ。 特に終盤にかけての人生を考えるパート、全編にわたって執事の行く道について考えるところ、深いテーマがあって、あまり難しい文章を読めない私でも伝わ...
一流の品格とは何か、一流の執事とは何か、良き人生とは何か。 どんな時でも品位を忘れないスティーブンス…かっこいいぜ…超かっこいいぜ。 特に終盤にかけての人生を考えるパート、全編にわたって執事の行く道について考えるところ、深いテーマがあって、あまり難しい文章を読めない私でも伝わるところはすごく伝わった。 1日20ページくらいのペースで読み進めてやっと読破…あまりにも品位がありすぎで、格調があってなかなか触れることのない文学、名作というのはいやでもわかる。 どのように生きるのが誇らしいか、どのようなことを考えるのが良いか、人生も一日も、夕方がいい。 仕事一徹の人の考えることは全然わからないし、そのような能力を持った人たちだけが経験する苦悩もあるのですね。 原文だと色々ニュアンスも違うのかな? 海外の文学に触れる際って必ず翻訳のフィルターを通すじゃないですか。 でも英語たいへんだから… 読めて本当に良かったと思える本でした。
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老年の執事が一人旅での出会いや出来事をきっかけに自身の人生を思い返す物語。 学生のときは就職活動等を通じて自他の視点から自分を見つめ直す機会がありましたが、社会に出て6年、日々に忙殺され自身について分析することができていない気がしています。 ふと立ち止まったとき、そのときの自分か...
老年の執事が一人旅での出会いや出来事をきっかけに自身の人生を思い返す物語。 学生のときは就職活動等を通じて自他の視点から自分を見つめ直す機会がありましたが、社会に出て6年、日々に忙殺され自身について分析することができていない気がしています。 ふと立ち止まったとき、そのときの自分から見て今の自分はどう見えるのでしょうか。悔いのない人生は存在しないと思うけれど、良くも悪くも振り返ることに意味のある、充実した時を過ごしていきたいと思いました。
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読み終えた時は★4だったけれど、時間が経つと★5に変化した。不思議。。そして最後から2ページ前、ウェイマスのベンチで出会った男の言葉にぐっと来た。だから「日の名残り」なんだと。いつの間にか、自分が執事のスティーブンスになって、過去を振り返り旅をしている気持ちになった。真面目で思慮...
読み終えた時は★4だったけれど、時間が経つと★5に変化した。不思議。。そして最後から2ページ前、ウェイマスのベンチで出会った男の言葉にぐっと来た。だから「日の名残り」なんだと。いつの間にか、自分が執事のスティーブンスになって、過去を振り返り旅をしている気持ちになった。真面目で思慮深く、責任感も品格も持ち合わせているスティーブンス。ジョークはまだ不得意みたいだけれど、偉大な執事として従事した彼の人生をわずかながら体験した感覚。日の名残り、素晴らしいなあ。
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これといって盛り上がりもなく、淡々と記憶が綴られているだけだが、読了できたのは、やはり作者の表現力と構成、英国のお屋敷の暮らしへの憧れか。 ただもう少し盛り上がって欲しかった。「信頼できない語り手」の手法としては十分ではなく、スティーブンスはどこまでも制服の人であろうなあと思う。
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壮年・老年が人生を振り返る小説っていいよね 特有の悲哀が漂っているし、しかも本書では本人はなーんにも自身の核心に迫れていないという 分岐点はそのときは分岐点と気付けないみたいな文とても響いた 自分もこんな振り返り甲斐のある人生を歩みたい そして爺になってから自分が持ってる偏見を自...
壮年・老年が人生を振り返る小説っていいよね 特有の悲哀が漂っているし、しかも本書では本人はなーんにも自身の核心に迫れていないという 分岐点はそのときは分岐点と気付けないみたいな文とても響いた 自分もこんな振り返り甲斐のある人生を歩みたい そして爺になってから自分が持ってる偏見を自覚して動悸に襲われたい 世界史を忘れすぎていてイギリスの状態小説としての面白さを半分くらいしか享受できなかったので星4です 学び直して読み直して星5にしたい
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地味に、沁みる。 短い休暇を使って かつての同僚に会いに行く老執事が 旅先の風景や地元民との交流を味わいつつ 来し方を思い出す…という。 すごい職業倫理だわ。 自分の家庭より仕事が優先なのは けれど自身の親の代からのことだから それをやり通したことにむしろ 誇りを持って生きて...
地味に、沁みる。 短い休暇を使って かつての同僚に会いに行く老執事が 旅先の風景や地元民との交流を味わいつつ 来し方を思い出す…という。 すごい職業倫理だわ。 自分の家庭より仕事が優先なのは けれど自身の親の代からのことだから それをやり通したことにむしろ 誇りを持って生きている。 …のだけど、まったく正しかったとは 言い切れない部分があるというか。 そういう仕事、そういう時代だったのだと 言い聞かせてる部分もあるよね。 会いに行く元同僚…メイド長さんなんですが いや、もう、これツンデレでしょう。 気がつけ!気がついててその態度か!? と、やきもきしながら回想シーンを読みました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
何も事件は起きないのに、しみじみと良い小説だった。 一般庶民にはほとんど接点のない、実態を良く知らない仕事なので最初は戸惑った。執事の鑑とも言えるスティーブンス。雇主を悪く言うことはないため読者としてはどう捉えればいいのか悩む点もあったが、徐々に執事の役割と心得と品格が分かってきたような気がした。 途中からのミス・ケントンとの思い出話は、これは愛なのではないかなと思えてきてからは切なかった。それらしい言葉はひとつもないのに、じんわりと温かい思い出の数々。 衝動的に気持ちをぶつけてみせるミス・ケントンに比べ、事務的になりすぎるスティーブンスの気持ちは分からないでもない。同じお屋敷で毎日同じメンバーで顔を合わせて仕事するのは、少しでも気を抜けばだらしない空気に繋がってしまうものだから。全ては雇主のために、身も心も捧げたような形で一生を過ごしたのだ。 ハッキリとは言わないのにスティーブンスの気持ちがありありと分かる。出しゃばらず奥ゆかしく、けれど人間の心が伝わってくる。 過ぎ去った日々を振り返り、穏やかに未来に繋がる旅。いつか思い出す時にはこの休暇は素晴らしいものだったと、のちにスティーブンスは思うに違いない。 涙してしまいそうになったセリフ。 「私どもは、みな、いま手にしているものに満足し、感謝せねばなりますまい」 「夕方こそ一日でいちばんいい時間だ」
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