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日の名残り の商品レビュー

4.3

638件のお客様レビュー

  1. 5つ

    262

  2. 4つ

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  3. 3つ

    94

  4. 2つ

    9

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2023/06/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ダーリントン卿に仕える執事の一人語り。 主人公スティーブンスについて、最初は良き執事と感じ、読み進めるが、徐々にモヤモヤしてくる。 スティーブンスの言動に共感できないのだ。 過去が甦るにつれ、彼の執事としての栄光と闇が見えてくる。 確かに執事としての仕事を忠実に全うしたのだろう。だが、実直過ぎて、柔軟性に欠けるというか、思慮が足りないというか… ターニングポイントはいくつかあり、違う行動に出れば、結果は違っていたと思う。 最後の夕暮れの場面で、スティーブンスは涙ぐむ。人生を後悔し、やっと人間らしい正直な感情が表出された。 この先、彼はどうなるのかなぁ、まさか…最悪の終わり方なのか?と、心配したのも束の間、 新しい主人の為に、下手なジョークの練習をしようと切り替えるくだりで、ズコーっと転けてしまった。(笑)そして安心した。 最後まで、愚直さを貫き通す姿に正真正銘の品格ある執事だと納得した。 そして良くも悪くもイギリスらしさを感じた。

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2023/06/07

主人公の語り口が独特 品格とはなにか考えさせられた 起承転結はないが読んでて心地よかった イギリス旅行に行く前に手に取った本

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2023/05/29

イギリスの田園風景の品格。わかりやすいドラマや「見せ場」がないからこそ偉大。美しさの持つ落ち着き、慎ましさ。自らの美しさと偉大さをよく知っているので、大声で叫ぶ必要がない。

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2023/05/21

230521*読了 執事と言えば、やはりイギリス。 英国紳士、英国貴族のダーリントン卿に仕えた執事が、一人旅を通して、過去を回想する。同じく執事だった父親との最期、女中頭とのエピソード、彼女の想い、卿の過ちとも言える政治的交流など。 それだけと言えばそれだけなのだけれど、それをこ...

230521*読了 執事と言えば、やはりイギリス。 英国紳士、英国貴族のダーリントン卿に仕えた執事が、一人旅を通して、過去を回想する。同じく執事だった父親との最期、女中頭とのエピソード、彼女の想い、卿の過ちとも言える政治的交流など。 それだけと言えばそれだけなのだけれど、それをここまで濃密に美しく文章にできるところがカズオ・イシグロさんの素晴らしさだと思う。 旅のエピソードと過去の出来事が混在しているのに、ごちゃごちゃしないのも巧みな文章力の賜物。 この優雅な物語の流れの中に起きるさざなみ、感情の揺れ、切なさ。それがたまらない。 そして、至って真面目な執事が真面目であるが故にジョークか?と思うような行動、発言をするところもいい。こんなに真剣にジョークを学ばなければ、と考えて実行しちゃう人はそうそういないのでは。 カズオ・イシグロさんの小説を今年はたくさん読みたい。

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2023/05/18

カズオ・イシグロ初邂逅。 名家に仕える執事、スティーブンスが、久々に与えられた余暇に英国をドライブ。 既に辞めてしまった女中頭のミス・ケントンに会うことを目的の一つに。 その道すがらに起こる出来事をきっかけに、お仕えしている家で発生した様々な出来事を思い出しながら滔々と語り、そ...

カズオ・イシグロ初邂逅。 名家に仕える執事、スティーブンスが、久々に与えられた余暇に英国をドライブ。 既に辞めてしまった女中頭のミス・ケントンに会うことを目的の一つに。 その道すがらに起こる出来事をきっかけに、お仕えしている家で発生した様々な出来事を思い出しながら滔々と語り、そこから執事としての品格や、あるいはかつて一緒に働いていた女中頭の行動の理由などを深く考察していく。 とりたてて大きな事件が起こるわけではない。 モノローグの中には、かつて自らも巻き込まれた、主人が起こした政治的な動きなども語られるが、執事の口調はあくまでおだやかで紳士的。最初はどこか退屈な感じもした。 ただ、読んでいくうちに美しい英国の景色だったり、スティーブンスの仕事に対する熱い想いなどが手に取るように伝わるようになり、そして終盤、ミス・ケントンに会うくだりではすっかりスティーブンスに感情移入してしまっていた。 解説では丸谷才一が、この物語の背後に潜むイギリスという国の政治的なありかた的なことを語っていたが、そういう小難しいところは抜きにして、私は仕事に対して丁寧であること、一生懸命であることの重要さとか、その勇気みたいなものをもらった。 とてもいい小説だった。読んで良かった。

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2023/05/09

特に大きな事件もなく、淡々と進む文章なので好き嫌いが分かれそう。 読み終えたあと、なんだか朝日を見たあとのような不思議な爽快感と暖かさがある。

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2023/07/25

大学の合格祝いとして担当の歯科医師の方に頂いた本なのですが、まるで1本の映画を観ているような時がゆっくりと流れる気品溢れる物語でした。

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2023/04/28

ポスト資本主義のような考えが、イギリス紳士の中に少しあるような気がした。 自分として、見習いたい部分だと思った。

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2023/07/05

ずいぶん前に映画を見て気になっていた作品。 やっと読めた。 主人公のスティーブンスがいかにもな英国執事という設定。古き良き時代を、長年仕えてきたダーリントン卿や執事として大先輩の父、仕事の同士である女中頭ミス・ケントンとの思い出を振り返りながらドライブ旅行は進む。 執事として...

ずいぶん前に映画を見て気になっていた作品。 やっと読めた。 主人公のスティーブンスがいかにもな英国執事という設定。古き良き時代を、長年仕えてきたダーリントン卿や執事として大先輩の父、仕事の同士である女中頭ミス・ケントンとの思い出を振り返りながらドライブ旅行は進む。 執事としてダーリントン卿を心から敬愛し信じたスティーブンス。執事としての仕事に心から誇りを持ち真面目に打ち込んだスティーブンス。結果、父の最期の瞬間に立ち会うことは出来ず、自身のミス・ケントンへの想いにも気付かず、主は敬愛したダーリントン卿からアメリカ人のファラディに変わり、美しく維持されたダーリントン・ホールも大勢いた雇人も極限まで減る。 ドライブの最大の目的はミス・ケントンとの再会だが、その再会が出来るのかどうか、また出来たとしてスティーブンスの思惑通りに進むのかが、回想を読み進むほど心配になってくる。 時に健気で時に滑稽、時に痛々しいほど真摯に理想である「品格ある」執事の仕事に突き進んだ彼が、旅の最後にたどり着いた答えは。 心配したような結末でなくて良かった。 ファラディの元で、スティーブンスがどのような執事振りを見せてくれるのか、渾身のジョークはどんなものなのか、想像すると楽しい。

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2023/04/15

コロナ前、都会の喧騒に疲れながら、社会人の辛さを感じつつ毎日を過ごしていた。 ある日、会社の同期や先輩と行った海水浴に遅刻し、一人でバスを乗り継いで向かった。 遅刻したことを後悔しながら、行きたくねえなあと思いつつ乗り継ぎながら日の名残りを読み進めた。 ちょうど、最後の乗り継ぎバ...

コロナ前、都会の喧騒に疲れながら、社会人の辛さを感じつつ毎日を過ごしていた。 ある日、会社の同期や先輩と行った海水浴に遅刻し、一人でバスを乗り継いで向かった。 遅刻したことを後悔しながら、行きたくねえなあと思いつつ乗り継ぎながら日の名残りを読み進めた。 ちょうど、最後の乗り継ぎバスを待っているベンチで、最後のシーンを読み終えた。 スティーブンスの人生の振り返り、小旅行が、何となく自分の今と重なった気がした。 正直、5年前のことで内容はおぼろげだ。 ただ、今でもその時の千葉の雰囲気や、ベンチでの座ってた記憶を思い出せる。 読み返そうという気はまだ起きていないが、また読みたいと思えるような素晴らしい作品だった。

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