砂糖の世界史 の商品レビュー
砂糖の世界史であり、また、奴隷の世界史、でもあった。我々の世界がいかにして成り立っているか、いかなる犠牲のもとに成り立っているかを考えさせられる。
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砂糖はいつどこで発祥したのか、そしてどのように世界中に広まったのか、主に欧米を中心に砂糖を通じて世界史を読み解く作品。 砂糖は紀元前の頃から存在していたようだが、ヨーロッパに持ち込んだのはイスラムの商人らしい。そして大航海時代が始まると共に、ヨーロッパ諸国が植民地である中南米に...
砂糖はいつどこで発祥したのか、そしてどのように世界中に広まったのか、主に欧米を中心に砂糖を通じて世界史を読み解く作品。 砂糖は紀元前の頃から存在していたようだが、ヨーロッパに持ち込んだのはイスラムの商人らしい。そして大航海時代が始まると共に、ヨーロッパ諸国が植民地である中南米にプランテーションを拡大したことによって、現在にも続く大ヒット「世界商品」となったのである。 しかしプランテーションには大量の労働力が必要だったため、たくさんのアフリカの人々が奴隷として中南米へ送られる事となる、絶望のあまり奴隷船から海に身を投げる人もいたそうだ。 結果としてヨーロッパの国々は砂糖の製造販売で儲け、インディオから搾取した金銀で儲け、奴隷貿易でも儲けるという、なんとも理不尽な三角貿易を確立させたのである。 その後一般市民にも広く普及した砂糖が、産業革命の原動力になった事は間違いないが、いまだにプランテーションがあった地域は、産業が育たず発展途上国となっている場合が多いらしい。 一部上流階級の嗜好品として栽培された砂糖が、現代まで続く大きな負の遺産を残してしまったのだ。そして今現在も世界のどこかで、アンフェアな貿易が行われているかも知れない事を、決して忘れてはいけないと思う。
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砂糖という世界商品を通じて見る近代世界史。紅茶に砂糖、という、日常が、実は、イギリスの世界帝国としてのビジネスがあったからこそ、とわかる。そして、ヨーロッパ諸国のエゴイズムも。
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特に大きな事件に触れるわけではないが、砂糖を通して歴史の確かな流れと世界が構造化していく過程が見事に活写されている。日本のように主食、副食つまりおかずという概念がある方が珍しいなど豆知識も面白い。
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砂糖の発祥から拡がりまで、地理や歴史的な背景を紐解き語られる。 強烈な印象として残るものは無かったが、教養として染み込んだ気がする。
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とてもわかりやすく、世界史を学ぶ前に読んでおくと、大量の暗記を要求される退屈な科目、と思わずに済むし、今世界にある格差が、歴史によるものだということがよくわかる。モノカルチャーや、国の政策に従う危険性にも気づかされる。 中高生に薦めたい良書。 ただ、紅茶がコーヒーより支持されたの...
とてもわかりやすく、世界史を学ぶ前に読んでおくと、大量の暗記を要求される退屈な科目、と思わずに済むし、今世界にある格差が、歴史によるものだということがよくわかる。モノカルチャーや、国の政策に従う危険性にも気づかされる。 中高生に薦めたい良書。 ただ、紅茶がコーヒーより支持されたのは、コーヒーより淹れるのが簡単だから、と何度も出てくるが、ここだけは納得しかねる。紅茶は茶葉を摘んで揉んで発酵、乾燥させたものを買うから、お湯を注ぐだけ、と言えばそうだけど、コーヒーだって豆を摘んで乾燥させた状態で輸入して、各自焙煎して、挽けば、あとはお湯を注ぐだけ、そうかわらないと思うけど。挽いた状態で売ってもよいし、コーヒーミルなんて作り出すのはわけないんだから、焙煎した豆の状態で売ってもよい。フランスはワインを飲む文化があったので紅茶が拡がらなかったとあるけど、コーヒー・紅茶という、アッパー系(覚醒系)の飲み物と、ダウナー系(酩酊系)の酒を一緒にはできないだろう。イギリスは紅茶、フランスやイタリアはコーヒーになったのは何故か、知りたかったが、イギリスの紅茶についてしか書かれていない。
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高校の授業で一度読んで以来の読了。砂糖という世界商品を通して世界がいかに一つに結びついていったかを俯瞰するのが本書の目的だが、個人的に本書のもっとも面白いところは、世界史で勉強した様々な知識が頭の中でより具体的に「映像化」されることだと思う。つまり、想像も及ばない遠い昔の話から、...
高校の授業で一度読んで以来の読了。砂糖という世界商品を通して世界がいかに一つに結びついていったかを俯瞰するのが本書の目的だが、個人的に本書のもっとも面白いところは、世界史で勉強した様々な知識が頭の中でより具体的に「映像化」されることだと思う。つまり、想像も及ばない遠い昔の話から、「ああ確かに自分と同じ人間たちが生活していたんだ」と思えるところまで引き寄せて考えられるようになるということ。世界史の中の具体的な人間像を思い浮かべることができるようになることだ。 教科書に載っている様々な用語はそれはそれで重要だが、その用語をもとにしながら全体としての歴史的流れを追うのだけでも精一杯。どうしてもそこに「具体性」は乏しくなってしまう。そこに「砂糖」という考えるための材料がひとつ投入されると、砂糖というこの魅惑的な食べ物を求める人間の姿を思い浮かべることができる。彼らとて自分たちと同じように甘いものが好きだったのであり、だからこそ(今となってはたとえそれが汚い手段であったとしても)なんとかしてそれを手に入れようと植民地の開拓に腐心し、あるいは奴隷として使われることになってしまったのである。そうして世界史が動き出して今日に至っているのだ。 最近になってようやく歴史を学ぶことの面白さに目覚めてきたが、時にこうしたひとつのもの、この本でいうところの「砂糖」のような物や事件、人などに着目して歴史を捉え直してみるのは意義があることだし面白いなと思った。
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砂糖という材料を通じて、世界がいかにしてつながっていくのか、世界システム論を土台にした歴史の見方を、ものやわらかな口調で説明したテーマ史。名著。
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世界史を一つの物から捉えることは、今までの自分の物の見方を変えてくれる。教科書を断片的に読んで覚えた知識は地政学的な繋がりも、その国・地域ごとの事情も何も汲んでいない。砂糖という「世界商品」で同時代のそれぞれの国の事情を踏まえ、そして現在へのつながりを、立体として考えることは、ほ...
世界史を一つの物から捉えることは、今までの自分の物の見方を変えてくれる。教科書を断片的に読んで覚えた知識は地政学的な繋がりも、その国・地域ごとの事情も何も汲んでいない。砂糖という「世界商品」で同時代のそれぞれの国の事情を踏まえ、そして現在へのつながりを、立体として考えることは、ほかの物事の見方を考えるのにとても有用だった。 世界システム、三角貿易から成り立つイギリスの豊かな社会はカリブ海の黒人奴隷によるプランテーションによって得られている。これは今の日本にもどこか当てはまるのでは。
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砂糖は麻薬と言われています。 ネットを調べれば、いっぱい情報は出てきます。 そんな砂糖を誰がどんな意図を持って 広めたのかに興味がありました。 やはり砂糖=金です。 砂糖のある所に奴隷あり。 世界を支配する砂糖。 起源知っておいて損はないと思います。
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